著者は公共インフラストラクチュア計画の専門家。前半はその種の計画・Feassibility Studyのあり方をきちんと説明している。
そして後半に、当面するリニア新幹線計画の問題点を理路整然と説明する。
そう言う意味では、優れた教科書と言える。
★4つとさせていただいたのは、地震やテロに対する脆弱性、膨大な電力消費と東京大阪間の時間短縮の利便性の向上が釣り合うかどうか、といった原発事故後の関心事の言及が薄く感じられたためであるが、それはあと知恵での感想と言えなくもない。その意味で、ちょうどJR東海が決定を宣言したこの時点での改訂版を希望する。
また、この計画を決定する過程での審議会が、原発ムラ同様に業界の利権共有組織(鉄道ムラ?)の中で人選され、儀式化されている様子もわずかながら触れられている。ドイツでは独立の専門家による審議会や議会がリニア鉄道計画を却下した事実が述べられている。こういう点が日本の民主主義の致命的な欠陥だと思える。

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必要か、リニア新幹線 単行本(ソフトカバー) – 2011/2/4
橋山 禮治郎
(著)
東京―大阪間を約1時間で結ぶ、8割がトンネル・地下のリニア中央新幹線。この大規模なプロジェクトをどう見るか。東京湾横断道路、超音速機コンコルドなど国内外の巨大開発の成否を検証してきた著者が、採算性、安全性、環境の視点から疑問を提起。需要・工費の甘い見通しなどを具体的に指摘して、根本的な再検討を主張する。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2011/2/4
- 寸法13.5 x 1.6 x 19.5 cm
- ISBN-104000245066
- ISBN-13978-4000245067
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2011/2/4)
- 発売日 : 2011/2/4
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 192ページ
- ISBN-10 : 4000245066
- ISBN-13 : 978-4000245067
- 寸法 : 13.5 x 1.6 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 878,202位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,295位鉄道 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大型プロジェクトを完成させ、世の中が便利になることは大変良いことだ。但し、その為には「出費」という大きな壁が存在し、最終的に儲かるものか否かが成否を決める。この本はその点にスポットを当て、拙速なリニア建設は危ないと警鐘を鳴らしている。日本の人口が少なくなる中、本当に建設費を回収出来るだけの乗客数を望めるか、それに就いては皆さんも是非この本を読んでじっくり考えて戴き度い。
又、リニアの各駅停車は東京〜大阪迄2時間。現在最速の新幹線のぞみ号は東京〜新大阪間2時間25分。このような差しか存在しない中で、本当にリニアは必要なのか。新幹線を改良した方が遥かに低コストで最大の効果を得られるのでは と思ってしまう。
東京湾横断道路、本四架橋、台湾高速鉄道、中海干拓等、苦戦を強いられた、もしくは失敗した事業は多い。その二の舞にならないよう、リニア建設は慎重に行って戴き度い。この本を読んだ後、現在のリニア建設計画に大きな不安を抱いた。
又、リニアの各駅停車は東京〜大阪迄2時間。現在最速の新幹線のぞみ号は東京〜新大阪間2時間25分。このような差しか存在しない中で、本当にリニアは必要なのか。新幹線を改良した方が遥かに低コストで最大の効果を得られるのでは と思ってしまう。
東京湾横断道路、本四架橋、台湾高速鉄道、中海干拓等、苦戦を強いられた、もしくは失敗した事業は多い。その二の舞にならないよう、リニア建設は慎重に行って戴き度い。この本を読んだ後、現在のリニア建設計画に大きな不安を抱いた。
2021年9月24日に日本でレビュー済み
うーん、否定する情報しか仕入れる気がない人達が書いてそうなレビューですね。
賛成の情報少しでも見てきたのでしょうか?私はとても疑問だと思います。
賛成の情報少しでも見てきたのでしょうか?私はとても疑問だと思います。
2013年12月15日に日本でレビュー済み
リニア新幹線の計画について如何に無謀な計画か、過去の成功、失敗したインフラ事業と比較しながら解説する。長年研究しながら今や日本ぐらいしか研究してない、インフラから見て他の交通との親和性が低い、時速500kmはすでに既存の新幹線やTGVと比較して対したメリットがない、著しく環境破壊を引き起こすリスク、電磁波による健康被害、あげくに莫大な負債を起こし国民負担を強いるリスク、そもそも推進したいのは政府だけではないか、あげればいくらでも出てきそうなほど疑問だらけの計画と技術。昔はともかく現在から見ればリニアはすでに夢の技術ではなく、社会貢献ができない無意味な技術(むしろ有害)というのが分かっているのに、これまで大金を注ぎ込んだので引くに引けないのではないか??
この本は多くの疑問点を指摘していて警鐘を鳴らす点は良いが、繰り返しの説明が多い、事例の掘り下げが少なく表面的で信ぴょう性が分からない、JRや政府がなぜ計画を推進するのか、このみんなが疑問に思う点について著者なりに分析した考察や推察がない、反対側の視点のみ、というあたりが残念。
ただリニアが不要な技術と計画であり、実践すれば将来に経済、環境、健康に重大な禍根を残すインフラになる可能性が非常に高いのは間違いないだろう。
この本は多くの疑問点を指摘していて警鐘を鳴らす点は良いが、繰り返しの説明が多い、事例の掘り下げが少なく表面的で信ぴょう性が分からない、JRや政府がなぜ計画を推進するのか、このみんなが疑問に思う点について著者なりに分析した考察や推察がない、反対側の視点のみ、というあたりが残念。
ただリニアが不要な技術と計画であり、実践すれば将来に経済、環境、健康に重大な禍根を残すインフラになる可能性が非常に高いのは間違いないだろう。
2017年3月9日に日本でレビュー済み
このプロジェクトで思い出すのは現行の新幹線が建設された時の話です。
あの時も当時の国鉄はバカ者呼ばわりされてましたね。こんなものは昭和の万里の長城だとも言われていた。
そんな事を言った人が今の新幹線を見てどう思っているか聞きたいね。
今、JR各社は5分10分の時間短縮に必死に取り組んでいる。なのに、リニア反対派からは時間短縮への抗議の声はついぞ聞かれません。どうしちゃったんですか?
未来への想像力の欠如は実に滑稽なものだと感じられる本をどうもありがとうございます。
あの時も当時の国鉄はバカ者呼ばわりされてましたね。こんなものは昭和の万里の長城だとも言われていた。
そんな事を言った人が今の新幹線を見てどう思っているか聞きたいね。
今、JR各社は5分10分の時間短縮に必死に取り組んでいる。なのに、リニア反対派からは時間短縮への抗議の声はついぞ聞かれません。どうしちゃったんですか?
未来への想像力の欠如は実に滑稽なものだと感じられる本をどうもありがとうございます。
2011年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
JR東海が自力での建設を表明し、国も暗に背中を押していると思われる「中央・リニア新幹線」には、必要性、採算性、安全性から疑問を投げかける声も多い。著者は、過去の成功した、或いは失敗に終わった大プロジェクトの数々を実証的に検証しながら、リニア新幹線について、拙速を避けた議論を呼びかけているが全く同感である。
技術・安全面では、磁気強度、電磁波の影響、長大トンネルの避難ルートなど、早期に技術情報を公開させて、第三者による十分な検討が不可欠であろう。(磁気遮蔽を強化すれば、機体重量が増加し、浮上できない、といったジレンマもあるかもしれない。)
文中には記されていないが、もし、上記技術的課題も幸いにも解決し、「リニア新幹線」として開業に至ったとすれば、その暁には今以上に国際化も進展し、それにより、治安を担保する意味からも、現在の空港並の搭乗時の保安検査も必要になるのではないか?そうすると、所要時間の短縮効果も相応に減殺される、と考えなければならないだろう。
技術・安全面では、磁気強度、電磁波の影響、長大トンネルの避難ルートなど、早期に技術情報を公開させて、第三者による十分な検討が不可欠であろう。(磁気遮蔽を強化すれば、機体重量が増加し、浮上できない、といったジレンマもあるかもしれない。)
文中には記されていないが、もし、上記技術的課題も幸いにも解決し、「リニア新幹線」として開業に至ったとすれば、その暁には今以上に国際化も進展し、それにより、治安を担保する意味からも、現在の空港並の搭乗時の保安検査も必要になるのではないか?そうすると、所要時間の短縮効果も相応に減殺される、と考えなければならないだろう。
2013年3月18日に日本でレビュー済み
およそ、輸送手段としては移動時間の短縮が命題となろう。すなわち、時速で表される移動速度である。
半導体集積回路(LSI)ではメモリ容量のように、1K、4K、16K、64K、256K、1000K(1M)などと、2進で2桁(4倍(=2×2))づつ増える容量を10進で表示してきた。
移動速度もそうであろう。徒歩は4km/h、自転車なら16km/h、車なら64km/h、新幹線なら256km/h、ジェット旅客機なら1024km/hと、およそ4倍づつ早くなることで移動手段としての価値があり、移動手段・輸送手段として残っているのだと思う。そう考えると512km/hあたりにあるリニア新幹線はまさに中途半端である。バイクの32km/hと同じような位地に甘んじようとするのか?
また、開発期間がこれほど長くなるのは、元々技術論からして素性が良いとは考えられないことだ。6、7年前にリニア開発に携わっている大学の後輩に会ったが、「開発期間が長過ぎるものは物にならないのではないか?」と率直な気持ちを伝えると、「近々、具体的になりますから。」と言われた。その具体化した計画に対し、これまで行われてきた過去の公共投資やプロジェクトの成否から類推してこの本が出来た。
分野が違う技術者の直感からするとリニア新幹線には疑問があるが、経済学者から見てもリニア新幹線は成功する見込みがないとするのは説得力があると思う。
新幹線(ようやく320km/hで運行されるようになった)とジェット旅客機での長距離移動で事足りている私である。リニア新幹線の必要性は全くのところ感じていない。無くてもいいというのが率直な気持ちだ。
半導体集積回路(LSI)ではメモリ容量のように、1K、4K、16K、64K、256K、1000K(1M)などと、2進で2桁(4倍(=2×2))づつ増える容量を10進で表示してきた。
移動速度もそうであろう。徒歩は4km/h、自転車なら16km/h、車なら64km/h、新幹線なら256km/h、ジェット旅客機なら1024km/hと、およそ4倍づつ早くなることで移動手段としての価値があり、移動手段・輸送手段として残っているのだと思う。そう考えると512km/hあたりにあるリニア新幹線はまさに中途半端である。バイクの32km/hと同じような位地に甘んじようとするのか?
また、開発期間がこれほど長くなるのは、元々技術論からして素性が良いとは考えられないことだ。6、7年前にリニア開発に携わっている大学の後輩に会ったが、「開発期間が長過ぎるものは物にならないのではないか?」と率直な気持ちを伝えると、「近々、具体的になりますから。」と言われた。その具体化した計画に対し、これまで行われてきた過去の公共投資やプロジェクトの成否から類推してこの本が出来た。
分野が違う技術者の直感からするとリニア新幹線には疑問があるが、経済学者から見てもリニア新幹線は成功する見込みがないとするのは説得力があると思う。
新幹線(ようやく320km/hで運行されるようになった)とジェット旅客機での長距離移動で事足りている私である。リニア新幹線の必要性は全くのところ感じていない。無くてもいいというのが率直な気持ちだ。
2012年4月22日に日本でレビュー済み
JR東海の社運をかけたプロジェクトであるわけだが
読んでみると確かにそこまでリニアが必要ないのかな_?
と疑問に思ってしまう内容。
著者は過去のプロジェクトの失敗例や成功例をあげながらこの国家プロジェクトは
本当に必要なのか?と問いかける内容です。
読んでみると確かにそこまでリニアが必要ないのかな_?
と疑問に思ってしまう内容。
著者は過去のプロジェクトの失敗例や成功例をあげながらこの国家プロジェクトは
本当に必要なのか?と問いかける内容です。