小学校低学年の子が必死に働いて、軍隊や親衛隊から逃げまわって
野生の中で食料を確保して、ギリギリで戦時下を生き延びていく話。
主人公はそんな極限状態の中でいろんな人と出会って成長していく。
ドイツ兵にもソ連兵にもポーランド人にも、それぞれいい人はいて、必死に主人公を助けてくれる。
でも、ドイツ兵は平然とポーランドの村を焼き払うし
ソ連兵は投降したドイツ兵捕虜をいきなり殺す
ポーランド人にも、ユダヤ人のこと通報して、金をもらう汚いやつがいる。
更に言うなら、最後に主人公を助けたユダヤ人は、主人公の大事な十字架を宗教の違いから焼き捨てる。
ユダヤ人はかわいそうだけで終わらない
人間の優しさや残酷さ、戦争の悲惨さを描いた傑作だと思います。

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走れ、走って逃げろ 単行本 – 2003/7/15
ユダヤ人が強制移住させられたゲットーで,8歳のスルリックは家族と生き別れになってしまった.ゲットーから脱走したものの,農村で働き森を放浪する日々は過酷そのもの.片腕を失い,ついに過去の記憶をも失ってしまうが,それでも少年は精一杯生きる術を身につけ,友情を育んでいく.実話にもとづいた勇気あふれる物語.
- 本の長さ276ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2003/7/15
- ISBN-104001155710
- ISBN-13978-4001155716
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
第二次世界大戦下のポーランド。ゲットーから脱出した8歳のユダヤ人少年。森と農村を放浪する過酷な日々は、少年から片手と過去の記憶をうばった。けれども少年はけっしてくじけなかった…。ホロコースト文学の傑作。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2003/7/15)
- 発売日 : 2003/7/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 276ページ
- ISBN-10 : 4001155710
- ISBN-13 : 978-4001155716
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,489,040位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,873位ロシア・東欧文学研究
- - 6,675位童話・こどもの文学
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とにかくいろんな世代に読んでほしい1冊
第二次世界大戦下でのお話
第二次世界大戦下でのお話
2021年5月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
綺麗な本だった。
2020年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まずはDVDを拝見致しました、
それで、原作をよんでみたくなり
購入致しました。
DVD内にはない史実もあり、切なくも感動と力強く生きられた主人公に、思いを馳せた次第です。
それで、原作をよんでみたくなり
購入致しました。
DVD内にはない史実もあり、切なくも感動と力強く生きられた主人公に、思いを馳せた次第です。
2023年6月3日に日本でレビュー済み
ホロコーストという人類が自ら創出した地獄を生き抜いた少年の記録。
一見すると作者がいて、フィクションもののように見えますが、全て実話です。
冒頭に「地獄」と書きましたが本当に地獄。いつ捕まるかわからない、食事もありつけない、寝るところはだいたい森という状況を、たった9歳くらいの少年が生き抜くのです。
もし、私が同じ立場だったら到底生きぬくことはできないと思いました。
そして、過酷な状況と同時に、善意ある人々が少年を助けます。その一人は家をゲシュタポに焼かれても助けます。また、ナチス側なのに少年を助けた兵士もいます。『走れ、走って逃げろ』は人があるべき姿を描いた作品でもあるのです。
この善意の人々のようにできなくとも、わたしはこうでありたいと強く思わせてくれた作品でした。
一見すると作者がいて、フィクションもののように見えますが、全て実話です。
冒頭に「地獄」と書きましたが本当に地獄。いつ捕まるかわからない、食事もありつけない、寝るところはだいたい森という状況を、たった9歳くらいの少年が生き抜くのです。
もし、私が同じ立場だったら到底生きぬくことはできないと思いました。
そして、過酷な状況と同時に、善意ある人々が少年を助けます。その一人は家をゲシュタポに焼かれても助けます。また、ナチス側なのに少年を助けた兵士もいます。『走れ、走って逃げろ』は人があるべき姿を描いた作品でもあるのです。
この善意の人々のようにできなくとも、わたしはこうでありたいと強く思わせてくれた作品でした。
2015年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今年(2015)の5月に文庫本として出版された少年少女向けの優れた本である。実話に基づいて書かれた第二次世界大戦下のポーランドで、ユダヤ人迫害の最中、ゲットーを脱出した8歳の少年が主人公である。あまりにも過酷な体験が続き、とうとう片腕と記憶を失ってしまうが、まさに奇跡的な一婦人との感動的な出会いによって、少年の心の深い傷がいやされるのである。特に中学生たちに、是非薦めたい本である。
2016年11月19日に日本でレビュー済み
本書は、第2次大戦下のポーランドで、どのようにしてユダヤ人の小さな子どもが生き延びたかを記したものです。
この種の本をいくつか読んできたせいか、感傷的になることなく読むことができました。そして、読後に感じたことは(カバーの後ろに「中学生から」と書かれているのですが)、中学生が読むなら、リヒターの『あのころはフリードリヒがいた』(できたら、リヒターのその後の作品も)のほうがいいのではないかと思いました。
理由は、ナチスがユダヤ人を迫害し、また、普通の人々までもが一種のヒステリーのようになって、ユダヤ人を追いつめていくプロセスがよく描かれているからです。ただただ、ユダヤ人の子どもが可哀相な目にあっているという情緒面から理解するのではなく、そのような状況がどのようにして起こるかも知る必要があると思うからです。
十分にユダヤ人への迫害の歴史を読んだわけではありませんが、旧約聖書の記述から始まって、ディアスポラなどの歴史などをひもといて、ナチスによるユダヤ人迫害・殺害だけに目を奪われないようにしなければならないと思います。迫害等に至る歴史的経緯、また迫害する者の政治的、心的な動機も視野に入れて考えることが、このような問題の本質に迫ることになるからです。なお、これは中学生に望むものではありません。
ところで、本書のキーとなるところは、やさしい女の人が8歳の主人公を守るために与えた十字架と聖母マリアのメダルが、戦後、ユダヤ人の孤児収容施設で引きちぎられ、ストーブに投げ込まれるところではないでしょうか。戦時下では、キリスト教信者のシンボルとなるものが、子どもの生命を守る。しかし、戦後は、それらは〈屈辱の象徴〉として投げ捨てられる。ここに、ポーランドの田舎のカトリック信仰の深さと、ユダヤ人の歴史の苦悩が表されているように思いました。そして、「…ぜんぶ忘れても、父さんや母さんを忘れても、ユダヤ人だということは決して忘れちゃいかんぞ」という、父親の最期のことばが、このキリスト教のシンボルを火に投じる行為を解き明かしていると思います。
そして、最後の「わたしも、その一人だった」という結び。この言葉がなければ、この物語は、戦時下のポーランドにおけるユダヤ人の子どもを扱った一冊の本として閉じられたでしょう。しかし、この最後の言葉があることで、読者は、著者とこの話を聴く場に同席したことになり、過去に起こった事実を知った立場に置かれたことになります。その意味で、この一文は重要だと思いました。
ナチスによるユダヤ人虐待・殺害は、その行為を行った立場にあるものだけでなく、その時代に居た人々の心のうちをも考えなければならない、広範な問題を含んだものだと思います。そして、そこには、ハンナ・アーレントの『イェルサレムのアイヒマン──悪の陳腐さについての報告』(Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil)』にあるように、まさに、人には〈悪の陳腐さ〉ということが逃れ難くつきまとっていることを痛感させられます。
この種の本をいくつか読んできたせいか、感傷的になることなく読むことができました。そして、読後に感じたことは(カバーの後ろに「中学生から」と書かれているのですが)、中学生が読むなら、リヒターの『あのころはフリードリヒがいた』(できたら、リヒターのその後の作品も)のほうがいいのではないかと思いました。
理由は、ナチスがユダヤ人を迫害し、また、普通の人々までもが一種のヒステリーのようになって、ユダヤ人を追いつめていくプロセスがよく描かれているからです。ただただ、ユダヤ人の子どもが可哀相な目にあっているという情緒面から理解するのではなく、そのような状況がどのようにして起こるかも知る必要があると思うからです。
十分にユダヤ人への迫害の歴史を読んだわけではありませんが、旧約聖書の記述から始まって、ディアスポラなどの歴史などをひもといて、ナチスによるユダヤ人迫害・殺害だけに目を奪われないようにしなければならないと思います。迫害等に至る歴史的経緯、また迫害する者の政治的、心的な動機も視野に入れて考えることが、このような問題の本質に迫ることになるからです。なお、これは中学生に望むものではありません。
ところで、本書のキーとなるところは、やさしい女の人が8歳の主人公を守るために与えた十字架と聖母マリアのメダルが、戦後、ユダヤ人の孤児収容施設で引きちぎられ、ストーブに投げ込まれるところではないでしょうか。戦時下では、キリスト教信者のシンボルとなるものが、子どもの生命を守る。しかし、戦後は、それらは〈屈辱の象徴〉として投げ捨てられる。ここに、ポーランドの田舎のカトリック信仰の深さと、ユダヤ人の歴史の苦悩が表されているように思いました。そして、「…ぜんぶ忘れても、父さんや母さんを忘れても、ユダヤ人だということは決して忘れちゃいかんぞ」という、父親の最期のことばが、このキリスト教のシンボルを火に投じる行為を解き明かしていると思います。
そして、最後の「わたしも、その一人だった」という結び。この言葉がなければ、この物語は、戦時下のポーランドにおけるユダヤ人の子どもを扱った一冊の本として閉じられたでしょう。しかし、この最後の言葉があることで、読者は、著者とこの話を聴く場に同席したことになり、過去に起こった事実を知った立場に置かれたことになります。その意味で、この一文は重要だと思いました。
ナチスによるユダヤ人虐待・殺害は、その行為を行った立場にあるものだけでなく、その時代に居た人々の心のうちをも考えなければならない、広範な問題を含んだものだと思います。そして、そこには、ハンナ・アーレントの『イェルサレムのアイヒマン──悪の陳腐さについての報告』(Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil)』にあるように、まさに、人には〈悪の陳腐さ〉ということが逃れ難くつきまとっていることを痛感させられます。
2011年3月30日に日本でレビュー済み
第二次世界大戦下のポーランド。たった八歳でゲットーから脱走した少年がいた。『走れ、走って逃げろ』(ウーリー・オルレブ:作、母袋夏生:訳、岩波書店、1800円)は、本人からオルレブが聞き出した話を、冷静に八歳の子どもの視点で描き直しています。
ゲットー脱出に失敗し、父親が連れ去られたスルリック。食料を求めて、母親とゴミあさり出かけるのですが、はぐれてしまう。帰り道も判らなくなった彼は、孤児のグループに入り生き延びます。そして、親切な農民のおかげで、無事脱走し、彼の放浪生活が始まる。まずは名前をユレクに変えます。そしてキリスト教徒としての振る舞いを覚えます。それが生き延びるための最低の条件です。
あちこちの農家で仕事を貰い、藁小屋で眠り、また次の場所へ。いつしか、母親の顔も、兄弟の名前も忘れ、キリスト教徒の孤児ユレクになります。
戦争が終わり、ユダヤ人救済センターに連れて行かれますが、ユレクは逃げ出します。彼にとって自分はユレクであってスルリックなんかではないからです。
戦争が子どもからアイデンティティを奪ってしまう物語です。イスラエルの子どもたちが、ユレクを自分だけではなく、パレスチナの子どもと重ねて読んでいてくれたら嬉しい。
ゲットー脱出に失敗し、父親が連れ去られたスルリック。食料を求めて、母親とゴミあさり出かけるのですが、はぐれてしまう。帰り道も判らなくなった彼は、孤児のグループに入り生き延びます。そして、親切な農民のおかげで、無事脱走し、彼の放浪生活が始まる。まずは名前をユレクに変えます。そしてキリスト教徒としての振る舞いを覚えます。それが生き延びるための最低の条件です。
あちこちの農家で仕事を貰い、藁小屋で眠り、また次の場所へ。いつしか、母親の顔も、兄弟の名前も忘れ、キリスト教徒の孤児ユレクになります。
戦争が終わり、ユダヤ人救済センターに連れて行かれますが、ユレクは逃げ出します。彼にとって自分はユレクであってスルリックなんかではないからです。
戦争が子どもからアイデンティティを奪ってしまう物語です。イスラエルの子どもたちが、ユレクを自分だけではなく、パレスチナの子どもと重ねて読んでいてくれたら嬉しい。