期待せず読んだら面白かった本。
日本国内勢力同士の合戦を100個集めて、それぞれ簡潔に解説してある。極力客観的に、分からないことは分からないときちんと書いてあるので安心して読める。
それぞれの時代の合戦について読み進むうちに、次のような歴史の流れが分かるところが面白い。
(1)狩猟生活を主とする蝦夷の民や山の民たちは、個人の戦闘能力では自分たちに劣る農耕民たちの集団戦術に追いつめられてしまった。
(2)兵器の発達に伴って主戦力のアマチュア化がすすんだ。弓矢や刀(鎌倉時代の武士)→槍(戦国時代の足軽)→新式銃(明治維新の農民兵)という具合。
さらにこの本の面白いのは、ときに、奥州藤原氏(蝦夷系一族の末裔)に兵法を学んだ源義経とか、楠木正成(山の民の一族)が、ふとあらわれて「従来の常識を破る革命的な新戦術」で歴史に大きな影響を与えるところ。かつて農耕民から追いつめられ圧倒されたはずの人々が、痛烈なしっぺ返しを食わせるエピソードは、理屈ぬきに痛快。

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日本百合戦: 名将の知略を探るガイドブック (朝日文庫 な 24-2) 文庫 – 2005/12/1
中山 良昭
(著)
古くは壬申の乱、源平合戦から、新しくは戊辰戦争、西南戦争まで、日本史に名を残す100の戦いを、現代の視点からくわしく再検討。勝負を分けたさまざまな要素(政治、経済、地理、気象、人間性)を、合戦図を添えて多角的に分析する、ユニークな歴史読み物です。古戦場の地形、当時の社会・技術条件の考察を基礎としながら、従来の文献史料重視の合戦史とはひと味違った自由な解釈、歴史散歩の妙味をお楽しみください。
- 本の長さ342ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2005/12/1
- ISBN-104022614951
- ISBN-13978-4022614957
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2005/12/1)
- 発売日 : 2005/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 342ページ
- ISBN-10 : 4022614951
- ISBN-13 : 978-4022614957
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,922,079位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2014年10月2日に日本でレビュー済み
古代の巣伏の合戦から西南戦役まで100の合戦を概観している。国内の合戦のみを扱っているため白村江の戦いや日露戦争などは扱っていない。また100という数字にこだわった為かあまり必然性のない合戦の紹介も見受けられる。
著者は合戦をハード(生産力、兵站力、資金力など)とソフト(人材、戦意、作戦など)と環境(気候、時代など)の3要素に区別してそれぞれの合戦も以上の理屈に従って構造的に腑分けしている。
マルクス的な唯物史観に従えばただハード面で優れた即ち地政学的に有利な政治組織が他勢力を併呑してゆくという構造となるはずだが事実はそうではない。それは人間の意識的な働きや感情といった形而上の世界を無視した話である。もちろん地政学的に恵まれた勢力が結果的に権力を握ってゆくのは確かだがしかしだからこそそこには『名将』の炙り出される歴史的構造的条件が整う訳である。つまり本書は非常に科学的でありながら人間の魂や意識といった実存性というものを肯定しているのである。
しかし鉄砲の出現が『合戦』を無機質で破壊的な『戦争』にしたという著者の主張には首肯しかねる。例えば古代ローマの投石機はどうだろう。また鉄砲が無機質なら西部劇の決闘主義の説明がつかない。そもそも西洋の戦争は異民族を奴隷にし奴隷を前面に押し出してまた異民族を討伐するというジェノサイド的な残虐性が古代からあり鉄砲から破壊的になったとは一概に言えない。またあらゆる技術に光と陰があるように鉄砲が平民の武装化と『民主主義』という光をもたらしたことは事実であり著者の主張はややセンチメントに過ぎるのではないか。
著者は合戦をハード(生産力、兵站力、資金力など)とソフト(人材、戦意、作戦など)と環境(気候、時代など)の3要素に区別してそれぞれの合戦も以上の理屈に従って構造的に腑分けしている。
マルクス的な唯物史観に従えばただハード面で優れた即ち地政学的に有利な政治組織が他勢力を併呑してゆくという構造となるはずだが事実はそうではない。それは人間の意識的な働きや感情といった形而上の世界を無視した話である。もちろん地政学的に恵まれた勢力が結果的に権力を握ってゆくのは確かだがしかしだからこそそこには『名将』の炙り出される歴史的構造的条件が整う訳である。つまり本書は非常に科学的でありながら人間の魂や意識といった実存性というものを肯定しているのである。
しかし鉄砲の出現が『合戦』を無機質で破壊的な『戦争』にしたという著者の主張には首肯しかねる。例えば古代ローマの投石機はどうだろう。また鉄砲が無機質なら西部劇の決闘主義の説明がつかない。そもそも西洋の戦争は異民族を奴隷にし奴隷を前面に押し出してまた異民族を討伐するというジェノサイド的な残虐性が古代からあり鉄砲から破壊的になったとは一概に言えない。またあらゆる技術に光と陰があるように鉄砲が平民の武装化と『民主主義』という光をもたらしたことは事実であり著者の主張はややセンチメントに過ぎるのではないか。