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新幹線とナショナリズム (朝日新書) 新書 – 2013/8/9
藤井 聡
(著)
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購入オプションとあわせ買い
敗戦後、自信を失っていた日本人に希望を与え、ナショナルプライドを復活させた新幹線。
鉄道や道路などのインフラを整備して国家を発展させた海外の例なども交えながら、
ナショナル・シンボルとしての新幹線を論じていく。
現在、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線、東海道新幹線、
山陽新幹線、九州新幹線が開通しているが、
財源難などで着工が認められている路線以外の新幹線整備は進みそうもない。
しかし、現実の日本を見ると、「政令指定都市」の大半は新幹線が通っている都市圏にある。
日本海、北海道、四国など、全国津々浦々に新幹線を造って分断されて衰退している地方をまとめあげることで、日本は強い国になれる。
財源面も含めて構想実現への筋道を具体的に示す。
【目次】
はじめに
第一章―ナショナル・シンボルとしての「新幹線」
・2011年3月12日:打ちひしがれた日本の小さな希望の灯火
・新幹線で全国でつながることで、ナショナリズムが喚起された
・ニッポンの象徴/ナショナリズムとしての「新幹線」
・でも、メディアでは「新幹線整備」は叩かれる
・メディアの中で繰り返される「新幹線の整備」叩き
・ホントに、新幹線の整備は「無駄」だったのか?
・新幹線の整備は、都市の「命運」を分けてきた
・まだまだ続く、新幹線の整備に対する批判的な報道姿勢
・新幹線の整備に見える「ナショナリズム」に対する反発
第二章―ナショナリズムとは国民を家族と見なすことである
・ナショナリズムとは「国民」を一つの「家族」と見なすこと
・ナショナリズムは、国民に安心や案寧を与える
・世間に否定的にとらえられるナショナリズム
・国を動かし、世界を動かすナショナリズム
・「ナショナリズム」は人文社会科学の重要トピック
・しかし、それぞれの国家は「民族」だけでは定義できない
・ナショナリズムは、「国民」の原理と「政府」の原理で成立する
・「ナショナリズム」は、民族主義とも政府主義とも違う、別次元のものである
・ナショナリズムは、国家統合という「努力」なくして成立し得ない
・危機の時代にこそ、ナショナリズムが求められる
・今日本は、文字通りの「危機の時代」のただ中にいる
・「危機」に立ち向かうために、今こそ「ナショナリズム」を見直すべし!
~など、計13項目
第三章―ナショナリズムがつくりあげた「新幹線」
・「新幹線」と「ナショナリズム」が織りなしたダイナミックな物語
・敗戦から10年、焼け野原から立ち上がる日本
・「十河国鉄総裁」が打ち出した新幹線構想
・鉄道斜陽化論を乗り越えるための構想
・「国家」のために世間の風潮と戦う「国士/ナショナリスト」
・「鉄道斜陽論」という「不条理な先入観」との戦い
・まずは国鉄「内部」で意識の統一を目指す
・全ての課題を一気に解決する「スピードアップ」の戦略
・スピード競争に負けた、技術者のナショナリズム
・「講演会」を契機として、世論の中に「広軋新線待望論」が巻き起こる
・国民が熱狂的に歓迎した「世界一」の「夢の超特急」
~など、計17項目
第四章―「新幹線」がつくりあげたナショナリズム
・新幹線をつくる「計画行為」が「国民統合」を導く
・ローマをローマにしたのは、徹底的な「交通投資」だった
・「世界史的大国」はいずれも「道」によってつくられていった
・「夢の実現」という共通体験が「ナショナル・シンボル」を生み出した
・敗戦による「劣等意識」が、ようやく払拭された
・新幹線の成功が、世界各国のナショナリズムを刺激した
第五章―つなげよう、ニッポン!
・夢の新幹線構想
・先進国では「当たり前」の新幹線「ネットワーク」構想
・遅々として進まない、地方での新幹線構想
・新幹線構想が進まないのは、「ナショナリズム」の動きが低調だから
・リニア新幹線構想は、「ナショナリズムの低調さ」の象徴
・国家プロジェクトでなく、「民間ビジネス」としてのリニア新幹線構想
・リニア新幹線の「民間ビジネス化」で、国民はどれだけ損をするのか?
・新幹線についての「ナショナリズム」が駆動しない構造
・新幹線についての「物語」が共有できない背景
・東日本大震災による「国難」という「大きな物語」
~など、計19項目
おわりに
~浮ついた「空気」からの、真っ当な「世論」へ~
参考文献
鉄道や道路などのインフラを整備して国家を発展させた海外の例なども交えながら、
ナショナル・シンボルとしての新幹線を論じていく。
現在、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線、東海道新幹線、
山陽新幹線、九州新幹線が開通しているが、
財源難などで着工が認められている路線以外の新幹線整備は進みそうもない。
しかし、現実の日本を見ると、「政令指定都市」の大半は新幹線が通っている都市圏にある。
日本海、北海道、四国など、全国津々浦々に新幹線を造って分断されて衰退している地方をまとめあげることで、日本は強い国になれる。
財源面も含めて構想実現への筋道を具体的に示す。
【目次】
はじめに
第一章―ナショナル・シンボルとしての「新幹線」
・2011年3月12日:打ちひしがれた日本の小さな希望の灯火
・新幹線で全国でつながることで、ナショナリズムが喚起された
・ニッポンの象徴/ナショナリズムとしての「新幹線」
・でも、メディアでは「新幹線整備」は叩かれる
・メディアの中で繰り返される「新幹線の整備」叩き
・ホントに、新幹線の整備は「無駄」だったのか?
・新幹線の整備は、都市の「命運」を分けてきた
・まだまだ続く、新幹線の整備に対する批判的な報道姿勢
・新幹線の整備に見える「ナショナリズム」に対する反発
第二章―ナショナリズムとは国民を家族と見なすことである
・ナショナリズムとは「国民」を一つの「家族」と見なすこと
・ナショナリズムは、国民に安心や案寧を与える
・世間に否定的にとらえられるナショナリズム
・国を動かし、世界を動かすナショナリズム
・「ナショナリズム」は人文社会科学の重要トピック
・しかし、それぞれの国家は「民族」だけでは定義できない
・ナショナリズムは、「国民」の原理と「政府」の原理で成立する
・「ナショナリズム」は、民族主義とも政府主義とも違う、別次元のものである
・ナショナリズムは、国家統合という「努力」なくして成立し得ない
・危機の時代にこそ、ナショナリズムが求められる
・今日本は、文字通りの「危機の時代」のただ中にいる
・「危機」に立ち向かうために、今こそ「ナショナリズム」を見直すべし!
~など、計13項目
第三章―ナショナリズムがつくりあげた「新幹線」
・「新幹線」と「ナショナリズム」が織りなしたダイナミックな物語
・敗戦から10年、焼け野原から立ち上がる日本
・「十河国鉄総裁」が打ち出した新幹線構想
・鉄道斜陽化論を乗り越えるための構想
・「国家」のために世間の風潮と戦う「国士/ナショナリスト」
・「鉄道斜陽論」という「不条理な先入観」との戦い
・まずは国鉄「内部」で意識の統一を目指す
・全ての課題を一気に解決する「スピードアップ」の戦略
・スピード競争に負けた、技術者のナショナリズム
・「講演会」を契機として、世論の中に「広軋新線待望論」が巻き起こる
・国民が熱狂的に歓迎した「世界一」の「夢の超特急」
~など、計17項目
第四章―「新幹線」がつくりあげたナショナリズム
・新幹線をつくる「計画行為」が「国民統合」を導く
・ローマをローマにしたのは、徹底的な「交通投資」だった
・「世界史的大国」はいずれも「道」によってつくられていった
・「夢の実現」という共通体験が「ナショナル・シンボル」を生み出した
・敗戦による「劣等意識」が、ようやく払拭された
・新幹線の成功が、世界各国のナショナリズムを刺激した
第五章―つなげよう、ニッポン!
・夢の新幹線構想
・先進国では「当たり前」の新幹線「ネットワーク」構想
・遅々として進まない、地方での新幹線構想
・新幹線構想が進まないのは、「ナショナリズム」の動きが低調だから
・リニア新幹線構想は、「ナショナリズムの低調さ」の象徴
・国家プロジェクトでなく、「民間ビジネス」としてのリニア新幹線構想
・リニア新幹線の「民間ビジネス化」で、国民はどれだけ損をするのか?
・新幹線についての「ナショナリズム」が駆動しない構造
・新幹線についての「物語」が共有できない背景
・東日本大震災による「国難」という「大きな物語」
~など、計19項目
おわりに
~浮ついた「空気」からの、真っ当な「世論」へ~
参考文献
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2013/8/9
- ISBN-104022735198
- ISBN-13978-4022735195
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2013/8/9)
- 発売日 : 2013/8/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4022735198
- ISBN-13 : 978-4022735195
- Amazon 売れ筋ランキング: - 891,659位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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藤井 聡(ふじい さとし)京都大学(大学院工学研究科・都市社会工学専攻)教授 1968年奈良県生まれ。
91年京都大学卒業、93年京都大学大学院修了後、93年同大学助手、98年スウェーデン・イエテボリ大学客員研究員,02年京都大学助教授、03年東京工業大学助教授、06同大学教授を経て,09年より現職。
専門は土木工学(土木計画学)、交通工学,ならびに,公共問題のための心理学.
受賞歴は、
『社会的ジレンマ研究』で03年土木学会論文賞,07年文部科学大臣表彰・若手科学者賞、10年日本学術振興会賞。
『認知的意思決定研究』で05年日本行動計量学会優秀賞(林知己夫賞)。
『村上春樹に見る近代日本のクロニクル』にて06年表現者奨励賞。
『交通政策論』で08年米谷・佐々木賞。
『モビリティ・マネジメント入門』にて08年交通図書賞。
『交通需要予測研究』で98年土木学会論文奨励賞。
『コミュニティに関する進化心理学研究』で09年社会心理学会奨励論文賞。
詳しくは、
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/index.php/fujiilab/fujii.html
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年3月13日に日本でレビュー済み
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新幹線に興味があり購入しましたが非常に難しい内容でした。しかし、著者に共感できるところも多くありました。
2013年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東海道新幹線の生い立ち、そしてそこにあったのはナショナリズムであった。新幹線が、戦後の経済復興に果たした役割は、単に人と物の移動問題だけではなく、日本民族の連帯感、家族観を再び呼び起こすことができたことである。ローマ帝国における国土強靭化は、道路建設であったこと。同じことが、江戸時代にもあったこと。道を作る、新幹線を作る、夢をもって突き進む、その事がナショナリズムであり、国家存亡の要であるとの話に感銘した。公共工事悪玉論しか信じない人にきちんと読んで欲しい一冊でした。
2013年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どうやら、
・東海道新幹線によりナショナリズムが大いに盛り上がった。
・リニア新幹線は東海地震に備えて早期に開業すべき。
・山陰、四国新幹線開業で地域経済は大いに発展する。
と言いたいらしいが、その論拠は何とも杜撰なものばかりである。
新幹線が有意義であるという本書最初の論点を、「明治初の政令指定都市の内、新幹線の
通っていないものは既に政令都市では無くなってしまい、現在は(札幌を除き)新幹線の通って
いるところばかりとなった。故に都市の盛衰を分けたのが新幹線整備である」などとしている。
であれば何故明治初との比較なのか。新幹線のお蔭だというのであれば新幹線開業時(1964)と
現在とを比べ、その盛衰を比較すべきである(尤もそうすれば忽ちこの論理は破綻してしまうが)。
そもそも新幹線は人口稠密地帯を結んで計画されているのだから、そこが政令都市なのは当然の
帰結である。それを新幹線のお蔭などとは虫のよい原因と結果の取り違えもいいところである。
存亡の危機にあった新幹線計画を「ナショナリズムが救った」として、十河信二の任期切れ時に
世論の後押しで留任となったことを挙げる。しかしこの時既にオリンピックを目指した国家プロ
ジェクトとなり工事は開始されていた。むしろ花道の退任になりこそすれ、これが新幹線計画の
危機等となる筈もない。本書の表題を際立だせるためのレトリックに過ぎないといえる。
ローマ帝国の道路網、ヒットラー主導のアウトバーン、米国の高速道路網を例に、これら強国が栄えたのは
歴史の常識である。故に日本も新幹線網を構築すべきだとある。しかし、この論であれば対象と
すべきは日本の高速道路網の整備である。旅客輸送のみに焦点を当て国勢の基礎となすのは無理がある。
経済における物流交通を無視してどうする。
日本では人口20万人以上の都市で新幹線で結ばれていない都市が17も残っているのに、仏と独では
僅か3都市しかない、と整備の遅れを嘆いているが、鉄道路線の基本無視も甚だしい。欧州では元々が
標準軌であり、高速列車は高速新線のみでなく在来線にも容易に乗り入れることができる。
基本的に都心部は在来乗り入れとなっている。従って高速列車が殆どの大都市間を結んでいるのは
至極当然のことである。こんな鉄道の基本条件の違いも無視して高速鉄道を語るなと言いたい。
数百兆円もの被害が想定される東海地震に備えてリニア新幹線を税金を懸けてでも早期に整備して
バックアップ機能を持たせるべきだという。しかしここではなぜか同じくバックアップとなりうる
北陸新幹線の存在を敢えて無視している。しかも震災時の肝心要の物流については、リニアでは
全く無力であるというのに。
何の論拠も示さないまま山陰、四国新幹線の開業により、島根、徳島、香川が10年で10%の経済発展や
観光増が可能であるという。元来経済基盤が小さいところが多少成長したところで日本全体から見れば
影響は相当限定される(だから敢えて成長率のみで示しているのだろう)。現在唯でさえ単線、非電化
区間を擁する非効率な赤字ローカル線を新幹線化したところで、それに相応しい効果が得られると言い
切れるのか。四国新幹線の前提となる新幹線専用(明石)海峡大橋はどうするのか。更に数千億円をこれに
懸けるつもりなのか。
内容紹介に「具体的提言」とあるので多少なりとも期待したのだが、完全に肩透かしを食らってしまった。
新たな知見など何もないのではないか。実質的な効果を的確に現わせないものだからやむなく「愛国心」
に訴えるしかないと言っているようなものだ。いみじくも本書冒頭で「新幹線建設は土建屋の戯言か」
と言っているのはまさに正鵠であろう。
・東海道新幹線によりナショナリズムが大いに盛り上がった。
・リニア新幹線は東海地震に備えて早期に開業すべき。
・山陰、四国新幹線開業で地域経済は大いに発展する。
と言いたいらしいが、その論拠は何とも杜撰なものばかりである。
新幹線が有意義であるという本書最初の論点を、「明治初の政令指定都市の内、新幹線の
通っていないものは既に政令都市では無くなってしまい、現在は(札幌を除き)新幹線の通って
いるところばかりとなった。故に都市の盛衰を分けたのが新幹線整備である」などとしている。
であれば何故明治初との比較なのか。新幹線のお蔭だというのであれば新幹線開業時(1964)と
現在とを比べ、その盛衰を比較すべきである(尤もそうすれば忽ちこの論理は破綻してしまうが)。
そもそも新幹線は人口稠密地帯を結んで計画されているのだから、そこが政令都市なのは当然の
帰結である。それを新幹線のお蔭などとは虫のよい原因と結果の取り違えもいいところである。
存亡の危機にあった新幹線計画を「ナショナリズムが救った」として、十河信二の任期切れ時に
世論の後押しで留任となったことを挙げる。しかしこの時既にオリンピックを目指した国家プロ
ジェクトとなり工事は開始されていた。むしろ花道の退任になりこそすれ、これが新幹線計画の
危機等となる筈もない。本書の表題を際立だせるためのレトリックに過ぎないといえる。
ローマ帝国の道路網、ヒットラー主導のアウトバーン、米国の高速道路網を例に、これら強国が栄えたのは
歴史の常識である。故に日本も新幹線網を構築すべきだとある。しかし、この論であれば対象と
すべきは日本の高速道路網の整備である。旅客輸送のみに焦点を当て国勢の基礎となすのは無理がある。
経済における物流交通を無視してどうする。
日本では人口20万人以上の都市で新幹線で結ばれていない都市が17も残っているのに、仏と独では
僅か3都市しかない、と整備の遅れを嘆いているが、鉄道路線の基本無視も甚だしい。欧州では元々が
標準軌であり、高速列車は高速新線のみでなく在来線にも容易に乗り入れることができる。
基本的に都心部は在来乗り入れとなっている。従って高速列車が殆どの大都市間を結んでいるのは
至極当然のことである。こんな鉄道の基本条件の違いも無視して高速鉄道を語るなと言いたい。
数百兆円もの被害が想定される東海地震に備えてリニア新幹線を税金を懸けてでも早期に整備して
バックアップ機能を持たせるべきだという。しかしここではなぜか同じくバックアップとなりうる
北陸新幹線の存在を敢えて無視している。しかも震災時の肝心要の物流については、リニアでは
全く無力であるというのに。
何の論拠も示さないまま山陰、四国新幹線の開業により、島根、徳島、香川が10年で10%の経済発展や
観光増が可能であるという。元来経済基盤が小さいところが多少成長したところで日本全体から見れば
影響は相当限定される(だから敢えて成長率のみで示しているのだろう)。現在唯でさえ単線、非電化
区間を擁する非効率な赤字ローカル線を新幹線化したところで、それに相応しい効果が得られると言い
切れるのか。四国新幹線の前提となる新幹線専用(明石)海峡大橋はどうするのか。更に数千億円をこれに
懸けるつもりなのか。
内容紹介に「具体的提言」とあるので多少なりとも期待したのだが、完全に肩透かしを食らってしまった。
新たな知見など何もないのではないか。実質的な効果を的確に現わせないものだからやむなく「愛国心」
に訴えるしかないと言っているようなものだ。いみじくも本書冒頭で「新幹線建設は土建屋の戯言か」
と言っているのはまさに正鵠であろう。
2013年8月9日に日本でレビュー済み
本書は救国のレジリエンスでも示唆されていた藤井先生の交通インフラに対する考えが
新幹線を中核としてまとめられているものであり、日本という「国家」強靭化のために
国土全体に新幹線を血管のように張り巡らせることで、都市部と地方部を一体的に
強くしていくことを提案するものである。
特に新幹線は富士山同様に日本のナショナルシンボルとなりうるものであり
交通インフラの中でも地方活性化に直結するものでもあって
全国的な整備が、国民の雇用や国の税収、ひいては日本という国家の維持存続発展に
このうえなく資するものであることを
我が国の歴史も引きながらわかりやすく説いてある。
藤井先生はまさに行動する保守知識人であり、総合社会科学の視点から
様々な論考を発表されているので、こう表現することが適当かどうかはわからないが
本書は近著のなかでも著者専門中の専門に属し必読と考えられる。
真に日本という国家全体の成長発展に思いを馳せ、詰めて正しく物事を考えてゆこうとする
読者ならば、読めば間違いなく元気になる一冊である。おすすめである。
新幹線を中核としてまとめられているものであり、日本という「国家」強靭化のために
国土全体に新幹線を血管のように張り巡らせることで、都市部と地方部を一体的に
強くしていくことを提案するものである。
特に新幹線は富士山同様に日本のナショナルシンボルとなりうるものであり
交通インフラの中でも地方活性化に直結するものでもあって
全国的な整備が、国民の雇用や国の税収、ひいては日本という国家の維持存続発展に
このうえなく資するものであることを
我が国の歴史も引きながらわかりやすく説いてある。
藤井先生はまさに行動する保守知識人であり、総合社会科学の視点から
様々な論考を発表されているので、こう表現することが適当かどうかはわからないが
本書は近著のなかでも著者専門中の専門に属し必読と考えられる。
真に日本という国家全体の成長発展に思いを馳せ、詰めて正しく物事を考えてゆこうとする
読者ならば、読めば間違いなく元気になる一冊である。おすすめである。
2013年10月20日に日本でレビュー済み
私は新幹線整備論者なのだが、本書は正直ひどい。
あらゆる論がなんの根拠もなく言いっ放しな上に、たまに思い出したように上げてくる数字は説得力ゼロ。
たとえば冒頭、明治初期と現在の都市人口の変化を比べて、金沢をはじめとした日本海側の都市の人口が減り、一方新幹線の通っている太平洋側の都市人口が増えているので、やはり新幹線を通すべき、などという主張をする。
北前船の衰退のような物流の変化、あるいは経済が一国規模から世界規模に広がったという変化などをまったく考慮していないし、そもそもこの動きは新幹線開通前の戦前からあった話であり、「新幹線」というより「鉄道」にこそ結びつけるべき話だ。
さらにいえば、新幹線を通せば経済が活性化するに決まっている。
今問題となっているのは、費用対効果の面で、ほかの施策よりも新幹線開通が優れているのかどうか、ということのはずだ。
だが、それについての検証も一切ない。
そしてひたすら感傷的な話が続くだけだが、たとえば新幹線開通がどれだけ国民に希望をもたらしたかを書いたパートもどう見ても資料の孫引きだし、そのことを知りたければほかにいくらでもいい本がある。
新幹線をどんどん広げていけば経済も発展し、そしてそれがナショナリズムをも喚起する、という論は、鉄道好き、新幹線好きだったら、誰でも主張したいし、信じたい。
だからこそ科学的な根拠が必要なのに、こんな底の浅い本を出したら、「むしろ新幹線網など広げなくていいのだ」という反証に使われかねない。
もっと綿密な調査をするか、居酒屋での酒飲み話にとどめておいてほしかった。
あらゆる論がなんの根拠もなく言いっ放しな上に、たまに思い出したように上げてくる数字は説得力ゼロ。
たとえば冒頭、明治初期と現在の都市人口の変化を比べて、金沢をはじめとした日本海側の都市の人口が減り、一方新幹線の通っている太平洋側の都市人口が増えているので、やはり新幹線を通すべき、などという主張をする。
北前船の衰退のような物流の変化、あるいは経済が一国規模から世界規模に広がったという変化などをまったく考慮していないし、そもそもこの動きは新幹線開通前の戦前からあった話であり、「新幹線」というより「鉄道」にこそ結びつけるべき話だ。
さらにいえば、新幹線を通せば経済が活性化するに決まっている。
今問題となっているのは、費用対効果の面で、ほかの施策よりも新幹線開通が優れているのかどうか、ということのはずだ。
だが、それについての検証も一切ない。
そしてひたすら感傷的な話が続くだけだが、たとえば新幹線開通がどれだけ国民に希望をもたらしたかを書いたパートもどう見ても資料の孫引きだし、そのことを知りたければほかにいくらでもいい本がある。
新幹線をどんどん広げていけば経済も発展し、そしてそれがナショナリズムをも喚起する、という論は、鉄道好き、新幹線好きだったら、誰でも主張したいし、信じたい。
だからこそ科学的な根拠が必要なのに、こんな底の浅い本を出したら、「むしろ新幹線網など広げなくていいのだ」という反証に使われかねない。
もっと綿密な調査をするか、居酒屋での酒飲み話にとどめておいてほしかった。
2014年7月1日に日本でレビュー済み
国土強靭化計画の旗振り役が書いた本なので経済ベースの本かと思いましたが、タイトル通り思いのほかナショナリズムに深く関わる本でした。
私としても新幹線を単なる交通手段とみなしていました。しかし著者はまず東海道新幹線が戦後の欧米人への劣等感の払拭や、国民統合の象徴としての役割を果たしてきたことを述べています。そして「富士山の前を走る新幹線」の写真に見られるように新幹線は日本の新しい象徴にまでなります。
次に新幹線とリニアモーターカーが日本にもたらす効果について述べられています。地方都市の発展という意味ではその都市に住まない人には直接的関係は薄いですが、南海トラフや首都直下型地震に備えての危機の分散は日本全体に関わる問題です。
安倍内閣は北海道新幹線と北陸新幹線を皮切りに40年来の新幹線整備計画を進めようとしています。その意義を手っ取り早く知るには非常に有用な書です。
私としても新幹線を単なる交通手段とみなしていました。しかし著者はまず東海道新幹線が戦後の欧米人への劣等感の払拭や、国民統合の象徴としての役割を果たしてきたことを述べています。そして「富士山の前を走る新幹線」の写真に見られるように新幹線は日本の新しい象徴にまでなります。
次に新幹線とリニアモーターカーが日本にもたらす効果について述べられています。地方都市の発展という意味ではその都市に住まない人には直接的関係は薄いですが、南海トラフや首都直下型地震に備えての危機の分散は日本全体に関わる問題です。
安倍内閣は北海道新幹線と北陸新幹線を皮切りに40年来の新幹線整備計画を進めようとしています。その意義を手っ取り早く知るには非常に有用な書です。
2013年9月15日に日本でレビュー済み
通読に要した時間:2時間
まず「鉄道に関する雑学」のような内容だと思って読んだところ、タイトルにある「ナショナリズム」に関する内容が主であり、新幹線開業に関する裏話や蘊蓄などを書いた本ではありませんでした。
新幹線の早期整備に賛成の方が読めば、その意見を後押しする内容に共感できるのではないでしょうか。
おりしも2020年東京五輪開催が決まった良いタイミングで発行されたと思います。
私が気になったのは、「ナショナリズム」を推すことに敏感になっているのかもしれませんが、婉曲な表現が多いということです。
たとえば
『(前略)その合理性を理解することが著しく困難な水準とは、全く次元が異なる水準の財政が展開されていることは間違いないでしょう』
とか、
『(前略)というのは、(中略)正統化し難い判断なのではないか、という意見を「合理的」に「否定」できる方はこの世の中に本当におられるのかどうか』
など、
もってまわった表現が筆者の主張に対する信頼を減じているように思えました。
まず「鉄道に関する雑学」のような内容だと思って読んだところ、タイトルにある「ナショナリズム」に関する内容が主であり、新幹線開業に関する裏話や蘊蓄などを書いた本ではありませんでした。
新幹線の早期整備に賛成の方が読めば、その意見を後押しする内容に共感できるのではないでしょうか。
おりしも2020年東京五輪開催が決まった良いタイミングで発行されたと思います。
私が気になったのは、「ナショナリズム」を推すことに敏感になっているのかもしれませんが、婉曲な表現が多いということです。
たとえば
『(前略)その合理性を理解することが著しく困難な水準とは、全く次元が異なる水準の財政が展開されていることは間違いないでしょう』
とか、
『(前略)というのは、(中略)正統化し難い判断なのではないか、という意見を「合理的」に「否定」できる方はこの世の中に本当におられるのかどうか』
など、
もってまわった表現が筆者の主張に対する信頼を減じているように思えました。
2017年3月16日に日本でレビュー済み
私は鉄道ファンなので、鉄道ものはよく買います。新幹線の将来、今後の整備の仕方にはおおいに興味を持っています。で、買ったのがこの本です。 結論から言うとひどい本、ハズレです。
確かに新幹線は日本が開発した、世界に誇るユニークな交通システムです。それ(東海道新幹線)を最初に建設する際には、確かにナショナリズムに訴え東京オリンピックと抱き合わせでそれを実現させました。日本という国がそういうことが必要な時代でした。しかし、新幹線とナショナリズムとは基本的に何の関係もないはずです。そこを強引に結びつける著者論理は全く理解できません。
この著者はっきり言って右翼です。控えめに言ってもニューライト。こういう方が安倍政権のブレーンなのは疑問ですね。時代錯誤的開発ありきの田中角栄的発想で、現有資源の在来線と共存という重要な課題は全く無視しています。単なるナショナリズムのごり押しです。新幹線が本当にもっと必要なのか?リニアが本当に要るのか?議論を尽くしてパブリックなコンセンサスを得ようという姿勢はこの方にはないですね。上から目線です。
こういった思想の持ち主の著書を、読売でも産経でもなく朝日新聞(朝日新聞出版)が発刊するというのは驚きです。慰安婦ねつ造記事以降朝日も変わったもんです。胡散臭さがなくなった点は評価できますが、朝日も右に舵を切りだしたことを強く感じました。
確かに新幹線は日本が開発した、世界に誇るユニークな交通システムです。それ(東海道新幹線)を最初に建設する際には、確かにナショナリズムに訴え東京オリンピックと抱き合わせでそれを実現させました。日本という国がそういうことが必要な時代でした。しかし、新幹線とナショナリズムとは基本的に何の関係もないはずです。そこを強引に結びつける著者論理は全く理解できません。
この著者はっきり言って右翼です。控えめに言ってもニューライト。こういう方が安倍政権のブレーンなのは疑問ですね。時代錯誤的開発ありきの田中角栄的発想で、現有資源の在来線と共存という重要な課題は全く無視しています。単なるナショナリズムのごり押しです。新幹線が本当にもっと必要なのか?リニアが本当に要るのか?議論を尽くしてパブリックなコンセンサスを得ようという姿勢はこの方にはないですね。上から目線です。
こういった思想の持ち主の著書を、読売でも産経でもなく朝日新聞(朝日新聞出版)が発刊するというのは驚きです。慰安婦ねつ造記事以降朝日も変わったもんです。胡散臭さがなくなった点は評価できますが、朝日も右に舵を切りだしたことを強く感じました。