2005年に発売されたSound Horizon 4th Story CD
【Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜】
を、十文字青先生がノベライズした作品――その下巻。
『退廃へと至る幻想・・・ 背徳を紡ぎ続ける恋物語・・・』、エロティシズムとグロテスクが絡み合ったダークファンタジーが、一つの解釈によって新たに生み出されています。
・06 Yield
・07 Lの楽園[→side:E→]
・08 Sacrifice
・09 Lの楽園[→side:A→]
・10 StarDust
・11 笛吹き男とパレード
・カラーイラスト 4頁
・挿絵 8頁
・各章ごとの登場人物紹介
・十文字青と左のあとがき
【Elysion】という物語は幻想成分が強く、言い換えれば抽象的なストーリーでもあるために、CDから得られる情報だけを文章化しても小説にはならなかったはずです。
小説化するに当たり、その物語の外堀を埋める着想――十文字先生独自の世界観と要素がどうしても必要になってきますが、素晴らしいのはそのどれもが、おそらく読者が【Sound Horizon】に対し抱いている幻想に融和するものだという点にあると思います。
平たく言えば、サンホラの世界観を壊さずにオリジナル要素を足して加えて混ぜてこれだけの物語を書き上げた先生はすげぇってことです。
物語に関しては、正直、自分自身エリュシオンに対する理解が浅いのもあり、「え? どういうこと?」「は? 時間軸どうなってんの?」と健やかに混乱したのですが、これはたぶん著者の狙いなんだと思います。
というか逆に、エリュシオンの楽曲を一つの物語に繋げ具体的文章として書き上げる難しさを考えれば、これでもとても丁寧で理解しやすいのかもしれません。
私にはよくわからない部分も多々ありましたが、深すぎてちょっとよくわからねぇってのはRevoさんの楽曲も同じなので(笑)、このよくわからなさ、多数の解釈を持たせる幻想の濃さ、それこそがSound Horizonだと納得できるつくりになっているのは間違いありません。
上巻の 『Lの天秤』がA.E.1568で、下巻の『Lの楽園[→side:E→]』がA.E.1922。
これは
【Roman】
のロレーヌに纏わる同じ舞台、同じ時代の話……のはずが、年代(?)が違ったり、仮面の男とオルフェの関係だったり、『エリス』だったり、箱舟教団だったり、大災禍だったり、世界を襲った洪水だったり、物語に籠められた仕掛けが面白いです。
ただ、暗鬱で陰鬱――可哀想な少女達の話が多いので、読了後に心が晴れやかになるなんてことはまずありえません(笑)
【Nein】
が発売され、『憎しみを花束に代えて』を聴いたあとなので『StarDust』の物語が気になっていたのですが、意外というか、【Nein】の『ステラ』の感じを想像してると予想外かもしれません。
エリスの『星』への憧憬の描写があまりなかったので、もう少し『星屑』と絡めてほしかったかなとも思いましたが、『Ark』とも繋がっていたり(まぁ全話繋がっているんですが)して、そう来たかと感服しました。
決して、読みやすい、愉快になる、心が弾む――などなど、そんな前向きな気持ちになれる物語ではありません。
しかしサンホラファンには、是非この楽園と奈落を――十文字先生が紡いだ幻想と深淵を覗いてみてほしいです。
サンホラファン以外でも楽しめるかどうかは、わかりません!(笑)

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Elysion 二つの楽園を廻る物語 (下) 単行本 – 2015/6/27
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避けられぬ罪と、悲しき祈りが紡ぐ異なる地平線の全てが今、明かされる! さあ、心に深い傷を負う者よ。その心に深い闇を飼う者達よ。あの仮面を被った笛吹き男が待っている。「──楽園パレードへようこそ! 」
幾度も開かれる扉。廻る楽園。仮面の男が繰り返すのは果たして悲劇なのか。世界は終わり、そして始まるだろう。娘は収穫を誤り、姉は妹を犠牲にされ、女は星屑に踊らされる。果てなき物語にもたらされる答えとは? 避けられぬ罪と、悲しき祈りが紡ぐ異なる地平線の全てが今、明かされる。さあ、心に深い傷を負う者よ。その心に深い闇を飼う者達よ。あの仮面を被った笛吹き男が待っている。「──楽園パレードへようこそ! 」
幾度も開かれる扉。廻る楽園。仮面の男が繰り返すのは果たして悲劇なのか。世界は終わり、そして始まるだろう。娘は収穫を誤り、姉は妹を犠牲にされ、女は星屑に踊らされる。果てなき物語にもたらされる答えとは? 避けられぬ罪と、悲しき祈りが紡ぐ異なる地平線の全てが今、明かされる。さあ、心に深い傷を負う者よ。その心に深い闇を飼う者達よ。あの仮面を被った笛吹き男が待っている。「──楽園パレードへようこそ! 」
- 本の長さ340ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA/角川書店
- 発売日2015/6/27
- ISBN-104041030927
- ISBN-13978-4041030929
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商品の説明
著者について
●Sound Horizon:サウンドクリエイター、Revoを唯一のメンバーとする超人気音楽ユニット。自らを「幻想楽団」と称し、物語性のある歌詞と組曲的な音楽形式による「物語音楽」を主な作風とする。作品は“Story CD"と銘打たれたコンセプト・アルバム群を主軸に展開している。
●左:『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『ささみさん@がんばらない』『アーシャのアトリエ』等代表作多数。
●左:『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『ささみさん@がんばらない』『アーシャのアトリエ』等代表作多数。
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA/角川書店 (2015/6/27)
- 発売日 : 2015/6/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 340ページ
- ISBN-10 : 4041030927
- ISBN-13 : 978-4041030929
- Amazon 売れ筋ランキング: - 550,477位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年8月9日に日本でレビュー済み
2018年6月25日に日本でレビュー済み
下巻には『Yield』『Lの楽園 [→ side:E →]』『Sacrifice』『Lの楽園 [→ side:A →]』『StarDust』『笛吹き男とパレード』が収録されています。
正直、妊娠中の方や、恋人と熱愛中の方には読むのをオススメしたくありません(笑)
そう思えるくらい、エリス達の抱えている想いが、読んでいてグサッと刺さりました。
元ネタの美しくもグロテスクで救いの無い、あの歌詞の雰囲気を、よく表現されたなぁと感心。
最後の、あのパレードの表現にはゾクゾクしました。
正直、妊娠中の方や、恋人と熱愛中の方には読むのをオススメしたくありません(笑)
そう思えるくらい、エリス達の抱えている想いが、読んでいてグサッと刺さりました。
元ネタの美しくもグロテスクで救いの無い、あの歌詞の雰囲気を、よく表現されたなぁと感心。
最後の、あのパレードの表現にはゾクゾクしました。
2015年7月11日に日本でレビュー済み
Sound Horizonのアルバム「Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜」を十文字青先生がノベライズした「Elysion 二つの楽園を巡る物語」も下巻になりますと、仮面の男と少女以外がメインの話でそれぞれの『エリス』が狂気に陥っていく過程や、狂気の描写がより強烈に描かれているように感じます。そこは流石「薔薇のマリア」などで幾多の狂気を書き上げてきた十文字先生だけあって、1つ1つが原曲に沿いつつも、こういう解釈でいくかという具合に描かれています。
中でも「StarDust」は原曲の中でも特に人気が高く、私も期待していただけに、主人公が恋にのめり込み、裏切られ、燃えるような情熱の赤を象徴の如く殺人に至る過程に、「キターッ!」と感じたのは私だけではないはずです。
そうした個々の物語だけでなく、全体として仮面の男と少女、それぞれの『エリス』が最後の「笛吹き男とパレード」で結びつけられて終わるのは、これが十文字先生の解釈による締め方なのかと納得できました。
本の最後で、また別の地平線がノベライズされると発表されましたが、果たしてどの作品になるでしょうか。まあ気長に待つとしましょう。
中でも「StarDust」は原曲の中でも特に人気が高く、私も期待していただけに、主人公が恋にのめり込み、裏切られ、燃えるような情熱の赤を象徴の如く殺人に至る過程に、「キターッ!」と感じたのは私だけではないはずです。
そうした個々の物語だけでなく、全体として仮面の男と少女、それぞれの『エリス』が最後の「笛吹き男とパレード」で結びつけられて終わるのは、これが十文字先生の解釈による締め方なのかと納得できました。
本の最後で、また別の地平線がノベライズされると発表されましたが、果たしてどの作品になるでしょうか。まあ気長に待つとしましょう。
2015年11月8日に日本でレビュー済み
Elysionをテーマにしたオリジナル小説と言っても過言ではない。かなり逸脱しています。
Revoの執筆したElysionが好きで追っていた身としては、どうしてこのような自由すぎる解釈で世に出そうと思ったのかがわかりません。
文章についても癖があってたいへん読みづらい。
内容についても、どうしてそうなった、の連続です。
既にサンホラーの方が読んだら、ん?なんだこれは?となる部分が多いと思います。
まだElysionについての知識がない方は、小説から入る事はお勧めしません。
二次創作として読む程度がちょうど良いと思います。
Revoの執筆したElysionが好きで追っていた身としては、どうしてこのような自由すぎる解釈で世に出そうと思ったのかがわかりません。
文章についても癖があってたいへん読みづらい。
内容についても、どうしてそうなった、の連続です。
既にサンホラーの方が読んだら、ん?なんだこれは?となる部分が多いと思います。
まだElysionについての知識がない方は、小説から入る事はお勧めしません。
二次創作として読む程度がちょうど良いと思います。