この本はどうとらえるかで評価が変わると思います。
池波先生の代表といわれる作品は鬼平犯科帳、剣客商売等々。
これらの作品は主人公と廻りの登場人物が織りなすフィクションとしての物語に引き込まれていきますが、本書は伝記的に駆け足で西郷隆盛の一生が描かれています。もちろん途中途中に西郷さんの魅力につながるエピソードが描かれてはいますが、それがメインではなく何故、西郷さんが西南戦争で死ななければならなかったのか、時代背景を元に淡々と進行していきます。
味方も敵も西郷さんを愛し、尊敬し、おそれも抱いていた。そんな中でやむを得ず担ぎ出されてしまう。
西南戦争がなければ維新後の日本が国として立ち上がることはできなかったとも言えるのかもしれません。
人情味あふれる池波作品を期待して読むのなら、幾分マイナス評価になるのだろうし、西郷さんを通して幕末から維新後までを味わうというのであればプラス評価になるでしょう。

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西郷隆盛 (角川文庫 い 8-13) 文庫 – 2006/3/25
近代日本の夜明けを告げる激動の時代、明治維新に偉大な役割を果たした西郷隆盛。その半世紀の足取りを克明に追った伝記小説であるとともに、西郷を通して描かれた幕末維新史としても読みごたえ十分の力作。
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2006/3/25
- ISBN-104041323304
- ISBN-13978-4041323304
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA; 一般文庫版 (2006/3/25)
- 発売日 : 2006/3/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 253ページ
- ISBN-10 : 4041323304
- ISBN-13 : 978-4041323304
- Amazon 売れ筋ランキング: - 160,251位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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大正12年(1923)、東京・浅草生まれ。下谷・西町小学校を卒業後、株式仲買店に勤める。戦後、下谷区役所に勤務して長谷川伸の門下に入り新国劇の脚 本を書いて演出の腕も磨く。昭和35年(1960)、「錯乱」で直木賞を受賞。52年(1977)、吉川英治文学賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕 掛人・藤枝梅安」の三大シリーズが人気絶頂のさなか、急性白血病で逝去する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 池波正太郎が書いたもうひとつの「鬼平」「剣客」「梅安」 (ISBN-13: 978-4270005859 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西郷隆盛のことをたった1冊で書き尽くすとは、流石、池波正太郎という感じです。ではありますが、本家 海音寺潮五郎の「西郷隆盛」にも目を通していただきたい。また、池波正太郎の「人斬り半次郎」、これぞ時代小説の醍醐味を満喫させてくれ、幕末・明治維新の風を感じさせてくれます。加えて、海音寺潮五郎の「明治太平記」は夜も寝かせてくれないほど一気に読める。明治維新150年がらみのドラマの内容がどの程度か、蘊蓄を傾けることができま~す!
2016年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
池波正太郎ファンとしては、もう一つでしょうか。
西郷隆盛もんで言うと…って主人公別人ですけど、
人斬り半次郎…字違うかもしれません、随分前に
読んだんで。
そっちのがオモロかったですわ。
西郷隆盛もんで言うと…って主人公別人ですけど、
人斬り半次郎…字違うかもしれません、随分前に
読んだんで。
そっちのがオモロかったですわ。
2017年11月1日に日本でレビュー済み
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西郷の思いがけない面とか、当時の時代状況の中での彼の生き方が良く分かる。
2006年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、『鬼平』や『剣客商売』シリーズで死後も人気作家の地位を降りない、池波正太郎氏が描く、西郷の伝記的小説である。
明治の国際的知識人、内村鑑三が日本文化を世界に向かって発信するために記した『代表的日本人』という本がある。
西郷隆盛は、その本の冒頭で、真っ先に取り上げられている。このことからもわかるように、西郷は、我が国が長い歴史の中で得た、外国人にも胸を張って紹介できる傑出した存在であるといえよう。
例えば、単に有能な役人や政治家、軍人はいるだろう。
それに、単に理想を追い求める人道主義的な教育者もいるだろう。
だが、それらの諸要素を最高度に併せ持つ巨大さを持った、西郷のような人間は、ざらにはいない。
池波の筆は、そんな偉人、西郷の魅力と、近代国家として黎明期の激動の日本の歴史を余すところなく、紙の上に表現し尽している。
本書は大変構成力に優れた巧い小説だ。
西郷にまつわる様々なエピソードを時に強調し、あるときは大胆に省略し、劇的緊張を高め、最初から最後まで、読み出したら止まらないほどの面白さを発揮することに成功している。
この本は一読の価値がある。
歴史小説好きは勿論、それ以外の人も今回の新装版発売を機に、蔵書の一員に加えてみては如何だろう。
明治の国際的知識人、内村鑑三が日本文化を世界に向かって発信するために記した『代表的日本人』という本がある。
西郷隆盛は、その本の冒頭で、真っ先に取り上げられている。このことからもわかるように、西郷は、我が国が長い歴史の中で得た、外国人にも胸を張って紹介できる傑出した存在であるといえよう。
例えば、単に有能な役人や政治家、軍人はいるだろう。
それに、単に理想を追い求める人道主義的な教育者もいるだろう。
だが、それらの諸要素を最高度に併せ持つ巨大さを持った、西郷のような人間は、ざらにはいない。
池波の筆は、そんな偉人、西郷の魅力と、近代国家として黎明期の激動の日本の歴史を余すところなく、紙の上に表現し尽している。
本書は大変構成力に優れた巧い小説だ。
西郷にまつわる様々なエピソードを時に強調し、あるときは大胆に省略し、劇的緊張を高め、最初から最後まで、読み出したら止まらないほどの面白さを発揮することに成功している。
この本は一読の価値がある。
歴史小説好きは勿論、それ以外の人も今回の新装版発売を機に、蔵書の一員に加えてみては如何だろう。
2016年3月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
義父の誕生日プレゼントとして購入しました。
内容は、読んでませんが欲しいときにすぐに購入できるのが大変ありがたいです。
内容は、読んでませんが欲しいときにすぐに購入できるのが大変ありがたいです。
2016年5月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は西郷隆盛という個人にスポットを当てているが、それは同時に薩摩藩が背負った歴史そのものであったのだと実感させられた。
薩摩藩と長州藩を比較すると、幕末では薩摩藩はうまく幕府と朝廷、反幕勢力の間を立ち回り、時には狡猾に動いた。そのため大きな痛手を負うことなく、明治政府樹立まで表舞台で活躍し官軍となる。それと比べると、長州藩は朝敵の烙印を押され、幕府だけでなく薩摩藩からも攻められ、藩内では保守派と革新派の間で血みどろの抗争を繰り広げ、最後は高杉晋作のクーデターで主導権を握る。長州藩は、歴史を動かすための勢力争いや価値観の葛藤の超克を幕末に経験していた。しかし薩摩藩は順調に行き過ぎて、そういう経験をせずに明治を迎えた。それが西南戦争の悲劇に繋がったと思う。そこには薩摩藩が背負った歴史の宿命がある。その宿命を一身に背負ったのが、西郷隆盛だ。薩摩藩の一方の代表は大久保利通で、それと対峙する勢力・価値観の代表に祭り上げられざるを得なかったのが西郷隆盛になる。大久保とと西郷という盟友が、最後にこういう形で戦うことは歴史の皮肉としか言えない。
もうひとつこの本で面白いと思うのは、孝明天皇の毒殺説を取り上げている点だろう。これは明治政府の持つ正当性の本質にも関わる話になる。今の日本政府・皇室の正当性にも繋がることで、あまり公然とは取り上げられない論点になる。西郷が生きた時代の歴史の真実には、こんな闇もあり得るという点に触れている点で重要な内容だと思う。
薩摩藩と長州藩を比較すると、幕末では薩摩藩はうまく幕府と朝廷、反幕勢力の間を立ち回り、時には狡猾に動いた。そのため大きな痛手を負うことなく、明治政府樹立まで表舞台で活躍し官軍となる。それと比べると、長州藩は朝敵の烙印を押され、幕府だけでなく薩摩藩からも攻められ、藩内では保守派と革新派の間で血みどろの抗争を繰り広げ、最後は高杉晋作のクーデターで主導権を握る。長州藩は、歴史を動かすための勢力争いや価値観の葛藤の超克を幕末に経験していた。しかし薩摩藩は順調に行き過ぎて、そういう経験をせずに明治を迎えた。それが西南戦争の悲劇に繋がったと思う。そこには薩摩藩が背負った歴史の宿命がある。その宿命を一身に背負ったのが、西郷隆盛だ。薩摩藩の一方の代表は大久保利通で、それと対峙する勢力・価値観の代表に祭り上げられざるを得なかったのが西郷隆盛になる。大久保とと西郷という盟友が、最後にこういう形で戦うことは歴史の皮肉としか言えない。
もうひとつこの本で面白いと思うのは、孝明天皇の毒殺説を取り上げている点だろう。これは明治政府の持つ正当性の本質にも関わる話になる。今の日本政府・皇室の正当性にも繋がることで、あまり公然とは取り上げられない論点になる。西郷が生きた時代の歴史の真実には、こんな闇もあり得るという点に触れている点で重要な内容だと思う。
2003年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西郷隆盛といえば明治維新の一番の立役者でありることは疑いようはありません。この本でも西郷隆盛の維新に対する情熱や人間としての優しさが非常に良く伝わります。しかし、多くの人が疑問に思っている征韓論や西南戦争の真意が何だったのかについて池波氏独特の切口で小説化されていないのが非常に残念です。