著者は経産省官僚→京都大学、藤井教室准教授→官僚に戻った中野剛志氏。
主に日本から見た世界のリスク要因を列挙しており、リスクの顔ぶれを見るだけで絶望的な気分になります。
ドラゴンボールで例えると、ピッコロを倒してホッとしているところに、フリーザ一味がやって来た!くらいの絶望感といえばわかりますかね?
そのリスクの顔ぶれは以下の通り。
1) ユーロ危機による世界大恐慌
2) アメリカの財政の崖
3) 中国をはじめとした、新興国の成長鈍化
4) 覇権国家アメリカの衰退に伴う、中東情勢の不安
5) 温暖化などに伴う食料、水不足
6) 大地震
7) スクリューフレーション(中産階級の貧困化=スクリューイングとインフレーションの造語)
どれか一つでも解決するのには非常に長期の時間が掛かり、かつ優秀な人材を総動員しないと難しそうな問題であることがお分かりいただけると思います。
上記の問題の根本には1900年代の覇権国家であったアメリカの没落があります。
アメリカが強いリーダーシップを発揮していたからこそ、中国や中東のならず者たちに睨みをきかせ、地球温暖化やユーロ危機には相談できる頼れる存在でした。
しかし、現在のアメリカにはご存知のとおりそのような兄貴分的役割は期待できません。
2)であげたように、自分の尻拭いで精一杯な状況です。
これはアメリカが悪いという話ではなくて、アメリカ兄さんの保護下で甘えていた世界各国の責任という他ありません。
たっぷり肝を冷やしたところに解決案も提示してくれているところがありがたいです。
簡潔にまとめると、必要なもの(食料、国防、エネルギー、地震対策)を確保し、大恐慌から日本を守れるようにし、デフレ脱却を果たして国際的ポジションを高める、最終的にこれらを達成できるための計画を作るというものです。
途方もないことに見えるかもしれませんが、リスクを考えるとはこういうことだと思います。
「そんな恐ろしいことは起きるわけがない」と思う人は政治家なんてやってはいけません。
そう言う意味でも、本書は政治家の方にぜひ読んでいただきたい一冊だと思います。

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日本防衛論 角川SSC新書 グローバル・リスクと国民の選択 新書 – 2013/1/10
中野 剛志
(著)
現在、世界経済は、「気候変動」「軍事」「国際政治」「エネルギー」「食糧」「自然災害」などのグローバル・リスクに直面している。
こうしたリスクは経済学の領域ではないが、現実の経済に深く関係しているため、広い視野を持ってリスク・シナリオを書き換えなければ、さまざまなことに対処できなくなってきている。
ところが日本には、こうした事態が起こったとき、「想定外の出来事が起こった」と開き直って責任逃れをしている政治家、経営者のなんと多いことか!
迫りくる中国のリスクに対応するためには、今こそリスク想定の範囲を作り変えなければならず、早急にその対応が求められているのだ。
にもかかわらず、消費税増税、TPP参加、電力自由化など、政府の政策は国力を弱めるものばかりだ。このままなら、デフレも、底なしの大不況も、まだまだ続き、まさに世界はロスト・ワールドとなると著者は予言する。
覇権国アメリカの力が弱まり、リスクだらけの世界となったいま、国を沈没させないために、日本はどうすればいいのか。日本の30年後を見据えた総合安全保障の必要性と新国家戦略を説く。
こうしたリスクは経済学の領域ではないが、現実の経済に深く関係しているため、広い視野を持ってリスク・シナリオを書き換えなければ、さまざまなことに対処できなくなってきている。
ところが日本には、こうした事態が起こったとき、「想定外の出来事が起こった」と開き直って責任逃れをしている政治家、経営者のなんと多いことか!
迫りくる中国のリスクに対応するためには、今こそリスク想定の範囲を作り変えなければならず、早急にその対応が求められているのだ。
にもかかわらず、消費税増税、TPP参加、電力自由化など、政府の政策は国力を弱めるものばかりだ。このままなら、デフレも、底なしの大不況も、まだまだ続き、まさに世界はロスト・ワールドとなると著者は予言する。
覇権国アメリカの力が弱まり、リスクだらけの世界となったいま、国を沈没させないために、日本はどうすればいいのか。日本の30年後を見据えた総合安全保障の必要性と新国家戦略を説く。
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
- 発売日2013/1/10
- ISBN-104047315923
- ISBN-13978-4047315921
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商品の説明
著者について
中野剛志(なかの・たけし)1971年神奈川県生まれ。評論家。東京大学教養学部卒業。社会科学博士(エディンバラ大学)。元京都大学大学院工学研究科准教授。主な著書に『TPP亡国論』(集英社新書)など。『日本思想史新論』(ちくま新書)で山本七平賞奨励賞受賞。
登録情報
- 出版社 : 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング) (2013/1/10)
- 発売日 : 2013/1/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 223ページ
- ISBN-10 : 4047315923
- ISBN-13 : 978-4047315921
- Amazon 売れ筋ランキング: - 534,239位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
またもや、日本の将来に不可欠な力作を、中野氏が世に送り出してくれた。
『日本防衛論』を読んだ直後の偽らざる実感だ。
本書の目的意識は、世界経済が直面している「グローバル・リスク」の時代に、日本の「国家経済政策」をどうするか、である。
だが、「グローバル・リスク」には、「気候変動、軍事、国際政治、エネルギー、食糧、自然災害など、経済学以外の学問の専門分野の知見を要するもの」が多く含まれる。
だから「さまざまな学問領域の知見を総動員しなければ、国民経済を運営することができなくなってきている」(14ページ)。
こうした認識のもとに、想定される新たな「リスク・シナリオ」を描く壮大な試みこそ、本書の中心的なテーマとなっている。
中野氏は、日本経済の「リスク・シナリオ」として具体的に「ユーロ危機」「アメリカの景気後退」「新興国の構造不況」「地政学的変動」「地殻変動」の6つを特定する。
「中国リスク」に関しても、特に1章を設けて論じている。
いずれも、的確な情報や理論を駆使しながら、困難な試みに挑んでいる。
一つ一つの事象の関連性までを幅広く、そして深く思索し抜き、高い説得力を生み出している著者の力量には、感嘆の念を覚えるほどである。
特に、「覇権国家」(アメリカ。かつてはイギリス)が、相対的に力を衰退させ、グローバルな経済秩序の維持が限界に達したことで、新たな危機が顕在化してきた、との基本認識は、今後の日本の針路を考える上で、とても大切な要素であると思えた。
中野氏は、刺激的な言葉で、そのことを指摘する。
「グローバルな経済成長という世界史上の例外的な二百年間は終わりを告げ、人類はまだ誰もが体験したことのない危険な時代に突入した」。
だが、「日本はあまりにも無防備である」と。
そして、リスクの指摘にとどまらず、その明快な処方までを大胆に提示している。
国防、エネルギー、食糧、大規模地震対策という「四つの安全保障」を優先して強化するため、財政出動を惜しんではならない等、4点にわたる提案が、第7章「日本の選択」においてなされている。
「あとがき」の最後の部分では、中野氏がこの書を送り出す思いを記している。
「筆者の意見に同意するか否かにかかわらず、少なくとも本書が参照した情報や理論は、現実のリスクと格闘している政治家、行政官あるいはビジネスマンにとっては、非常に有益なものとなるのではないかと思う。どんな形であれ、本書が、祖国を守るための一助となれば幸いである」。
私は、大学の教養課程の教科書や副読本などとしても、幅広く読まれ、あらゆる専門分野の人々が、共通認識として学んでほしいと願う。
それほどの重要な意味を持つ、画期的な著作であると感じている。
『日本防衛論』を読んだ直後の偽らざる実感だ。
本書の目的意識は、世界経済が直面している「グローバル・リスク」の時代に、日本の「国家経済政策」をどうするか、である。
だが、「グローバル・リスク」には、「気候変動、軍事、国際政治、エネルギー、食糧、自然災害など、経済学以外の学問の専門分野の知見を要するもの」が多く含まれる。
だから「さまざまな学問領域の知見を総動員しなければ、国民経済を運営することができなくなってきている」(14ページ)。
こうした認識のもとに、想定される新たな「リスク・シナリオ」を描く壮大な試みこそ、本書の中心的なテーマとなっている。
中野氏は、日本経済の「リスク・シナリオ」として具体的に「ユーロ危機」「アメリカの景気後退」「新興国の構造不況」「地政学的変動」「地殻変動」の6つを特定する。
「中国リスク」に関しても、特に1章を設けて論じている。
いずれも、的確な情報や理論を駆使しながら、困難な試みに挑んでいる。
一つ一つの事象の関連性までを幅広く、そして深く思索し抜き、高い説得力を生み出している著者の力量には、感嘆の念を覚えるほどである。
特に、「覇権国家」(アメリカ。かつてはイギリス)が、相対的に力を衰退させ、グローバルな経済秩序の維持が限界に達したことで、新たな危機が顕在化してきた、との基本認識は、今後の日本の針路を考える上で、とても大切な要素であると思えた。
中野氏は、刺激的な言葉で、そのことを指摘する。
「グローバルな経済成長という世界史上の例外的な二百年間は終わりを告げ、人類はまだ誰もが体験したことのない危険な時代に突入した」。
だが、「日本はあまりにも無防備である」と。
そして、リスクの指摘にとどまらず、その明快な処方までを大胆に提示している。
国防、エネルギー、食糧、大規模地震対策という「四つの安全保障」を優先して強化するため、財政出動を惜しんではならない等、4点にわたる提案が、第7章「日本の選択」においてなされている。
「あとがき」の最後の部分では、中野氏がこの書を送り出す思いを記している。
「筆者の意見に同意するか否かにかかわらず、少なくとも本書が参照した情報や理論は、現実のリスクと格闘している政治家、行政官あるいはビジネスマンにとっては、非常に有益なものとなるのではないかと思う。どんな形であれ、本書が、祖国を守るための一助となれば幸いである」。
私は、大学の教養課程の教科書や副読本などとしても、幅広く読まれ、あらゆる専門分野の人々が、共通認識として学んでほしいと願う。
それほどの重要な意味を持つ、画期的な著作であると感じている。
2013年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年・1月、中野剛志氏の著書です。
本書は、気候変動・軍事・国際政治・エネルギー・食糧・自然災害などのグローバル・リスクについて書かれた本で、かなり学際的です。
223ページの新書で広範なテーマを扱うわけですから、
浅広い感じにはなりますが、経済関係の記述は、簡潔ながらも読み応えがあったと思います。
個人的には、ミンスキーの金融不安定化説と覇権安定理論の関連性や、米国・China・欧州の経済など、経済関係の記述が良かったです。
お勉強になりました。
ただ、原発の記述については、大いに疑問を感じます。
P11にあるように、リスクとは「確率と被害の掛け算」なわけですが、
「被害」が許容範囲を超える場合は、「確率」をゼロにする、あるいは、できる限り最小に抑え込むことが必要なのではないのでしょうか?
P95には、放射性廃棄物の処理費用や廃炉時の解体費用を含めて、原発の発電コストは8〜13円/kWhという旨がありますが、
「放射性廃棄物の処理費用」の「処理」の内容を聞きたいものです。8〜13円って、1.5倍以上も違いますし。
また、「仮に現在の原発の発電電力量で今後五十年間のみ運転するとしても、
その発電電力量は約十五兆kWhにも及ぶ」(P95)というのも疑問です。
原発は、たとえ需要の少ない時間帯でも、ひたすら発電し続けますから、その約十五兆kWhのうち、一体どれだけ需要に結びつくのか疑問。
プルサーマルや高速増殖炉を、もっともらしく書いているのにも、疑問を感じます。
エネルギー安全保障という観点から、「原発」というカードを温存するのは有効だと思います。
ただ、「原発を保持しつつも、余程のことが無い限り再稼動しない」というグレーゾーンを進むのがベストではないでしょうか?
同時に、「太陽光」「地熱」「メタンハイドレート」「風力」「波力」などのカードを並べていくリスクの分散、
「火力 → ハイパー火力」といった資源依存量の減少、「スマートグリッド」「省エネ」などで電力依存量の減少などを図っていくのも大事だと思います。
本書は、概ね良い本、濃い内容だと思いますが、ところどころで「?」もありますので、「☆-1」させていただきました。
本書は、気候変動・軍事・国際政治・エネルギー・食糧・自然災害などのグローバル・リスクについて書かれた本で、かなり学際的です。
223ページの新書で広範なテーマを扱うわけですから、
浅広い感じにはなりますが、経済関係の記述は、簡潔ながらも読み応えがあったと思います。
個人的には、ミンスキーの金融不安定化説と覇権安定理論の関連性や、米国・China・欧州の経済など、経済関係の記述が良かったです。
お勉強になりました。
ただ、原発の記述については、大いに疑問を感じます。
P11にあるように、リスクとは「確率と被害の掛け算」なわけですが、
「被害」が許容範囲を超える場合は、「確率」をゼロにする、あるいは、できる限り最小に抑え込むことが必要なのではないのでしょうか?
P95には、放射性廃棄物の処理費用や廃炉時の解体費用を含めて、原発の発電コストは8〜13円/kWhという旨がありますが、
「放射性廃棄物の処理費用」の「処理」の内容を聞きたいものです。8〜13円って、1.5倍以上も違いますし。
また、「仮に現在の原発の発電電力量で今後五十年間のみ運転するとしても、
その発電電力量は約十五兆kWhにも及ぶ」(P95)というのも疑問です。
原発は、たとえ需要の少ない時間帯でも、ひたすら発電し続けますから、その約十五兆kWhのうち、一体どれだけ需要に結びつくのか疑問。
プルサーマルや高速増殖炉を、もっともらしく書いているのにも、疑問を感じます。
エネルギー安全保障という観点から、「原発」というカードを温存するのは有効だと思います。
ただ、「原発を保持しつつも、余程のことが無い限り再稼動しない」というグレーゾーンを進むのがベストではないでしょうか?
同時に、「太陽光」「地熱」「メタンハイドレート」「風力」「波力」などのカードを並べていくリスクの分散、
「火力 → ハイパー火力」といった資源依存量の減少、「スマートグリッド」「省エネ」などで電力依存量の減少などを図っていくのも大事だと思います。
本書は、概ね良い本、濃い内容だと思いますが、ところどころで「?」もありますので、「☆-1」させていただきました。
2013年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大平内閣時の「総合安全保障戦略」を、現代版にしたような書。
大平内閣以降に出てきた新自由主義、グローバル化によるリスク、また今後予想されるG0
(主導的役割を担う国の消滅)のリスクを丁寧に解説し、日本の取るべき道を説いている。
「最大のリスクはリスクを認識できない日本人」といった主張は、
著者らしいブラックジョークだが笑えない。
そんな暗い状況にも関わらず、
「宿命を嘆く必要は無い。宿命を感じる事にこそ、生きるという真の意味がある」と、
オルテガの言で結んでいることは救い。
いずれにしても、著者の書に共通する「憂国」を感じる書であり、日本が置かれている
危機を考える上で良い書であると思う。
大平内閣以降に出てきた新自由主義、グローバル化によるリスク、また今後予想されるG0
(主導的役割を担う国の消滅)のリスクを丁寧に解説し、日本の取るべき道を説いている。
「最大のリスクはリスクを認識できない日本人」といった主張は、
著者らしいブラックジョークだが笑えない。
そんな暗い状況にも関わらず、
「宿命を嘆く必要は無い。宿命を感じる事にこそ、生きるという真の意味がある」と、
オルテガの言で結んでいることは救い。
いずれにしても、著者の書に共通する「憂国」を感じる書であり、日本が置かれている
危機を考える上で良い書であると思う。
2014年10月9日に日本でレビュー済み
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読了した感想、”政府はこの国に対する危機感が足りない”の一言です。
素人でも危機感を感じている事柄でも、政府は無頓着なのでは?と思わざるを得ません。
中野氏の指摘はいつも的確であり、良い悪いではなく、はっきり言って読めば読むほど現実を知り頭が痛くなります。
それほど現実に即した正鵠を射る内容だと思います。
素人でも危機感を感じている事柄でも、政府は無頓着なのでは?と思わざるを得ません。
中野氏の指摘はいつも的確であり、良い悪いではなく、はっきり言って読めば読むほど現実を知り頭が痛くなります。
それほど現実に即した正鵠を射る内容だと思います。
2014年2月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本のメディアでは、米国の利益に反するような見解は記事にならず、また放送もされないようである。
この事が人々の合理的な判断を妨げている。本書は世界的な視野にたち、我が国の置かれた状況を
踏まえ、目下の国益とはなにかを追求したもので、政策担当者はもちろん、志ある有権者必読の書である。
この事が人々の合理的な判断を妨げている。本書は世界的な視野にたち、我が国の置かれた状況を
踏まえ、目下の国益とはなにかを追求したもので、政策担当者はもちろん、志ある有権者必読の書である。
2013年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
危機意識自体には共感できる部分もありますが、いささか著者の思い込みが強すぎて、論理に客観性を欠く印象がありました。
持論に対する世間の反論を挙げはするものの、それに対する反証の示し方が乱暴すぎます。
読み進む内に、そのあたりが気になり、読了できませんでした。
持論に対する世間の反論を挙げはするものの、それに対する反証の示し方が乱暴すぎます。
読み進む内に、そのあたりが気になり、読了できませんでした。
2013年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本で中野は二つの重要な指摘をしている。まず、一つ目は「覇権安定理論」だ。これは正当な市場主義には公正なルールが必要と説く。確かに考えてみればルール無き競争は経済行為というより略奪だ。中国を見よ。彼らは経済発展の名のもとに、水を、大地を、大気を、そして貧しい人々を略奪している。元手を用いて、徒党を組み、兵器を含めた装備や機械を準備し政治権力を籠絡して邁進しているのは資本主義的で公正なる発展ではなく略奪とも表現すべき短視眼的な利益の追求だ。国内市場における公正な市場ルールを整備するものは国家であり、国際市場においてそれを担当するのが覇権国家だ。19世紀のイギリス、20世紀のアメリカがこれに当たるが既に今日実効的な覇権国家は失われていると中野は言う。彼はそれを国際協調体制G8もG20も無効化されているGゼロ世界と表現した。この結果、今日世界は財務至上主義からくる人件費や投資の圧縮によってデフレが進行、経済格差は拡大、遂に社会の不安定化が螺旋状に進行する「スクリューフレーション」を患わっていると言う。相変わらず鋭い。
世界を不安定化するスクリューフレーションに対応するには世界貿易のルールを変えなくてはならず、その為には再び国際覇権に準ずる体制を構築する必要がある。では、この責任を担えるのが誰か。こういった必要を全く理解できず、国内において実行しない中国は論外であろう。また、理解はできるだろうが域内で実行できないEUもまた担当者たりえない。やはり、実績あるアメリカの再生を願うしかなくその為に出来る事があれば我が国も全力で応援すべきだろう。また、基本的に原理主義的傾向を持つ米国の暴走を抑える事も必要でその面でも覇権国家だった経験を持つイギリスと協力すべきだろう。我が国は良くも悪くも「国益」に固執しないで「世界の平和と発展」を願っている事は日本人なら皆知っている。日本ならば世界の公正な貿易ルールの構築とその実施に必ず貢献できると私は信じる。
この本の主題たるリスクとその対応については他の人も書いてくれているので割愛するが、技術的イノベーションが減ってきているとの記述についてコメントすると、多分、今最も熱いイノベーションの現場はiPS細胞に代表される医療/生化学分野だと思うのでこの辺りの評価も読みたかった。
世界を不安定化するスクリューフレーションに対応するには世界貿易のルールを変えなくてはならず、その為には再び国際覇権に準ずる体制を構築する必要がある。では、この責任を担えるのが誰か。こういった必要を全く理解できず、国内において実行しない中国は論外であろう。また、理解はできるだろうが域内で実行できないEUもまた担当者たりえない。やはり、実績あるアメリカの再生を願うしかなくその為に出来る事があれば我が国も全力で応援すべきだろう。また、基本的に原理主義的傾向を持つ米国の暴走を抑える事も必要でその面でも覇権国家だった経験を持つイギリスと協力すべきだろう。我が国は良くも悪くも「国益」に固執しないで「世界の平和と発展」を願っている事は日本人なら皆知っている。日本ならば世界の公正な貿易ルールの構築とその実施に必ず貢献できると私は信じる。
この本の主題たるリスクとその対応については他の人も書いてくれているので割愛するが、技術的イノベーションが減ってきているとの記述についてコメントすると、多分、今最も熱いイノベーションの現場はiPS細胞に代表される医療/生化学分野だと思うのでこの辺りの評価も読みたかった。