ここまでの話の中で一番、悲痛な巻だ。
日露戦争は日本の勝利に終わったが講和会議は紛糾し、やっとまとめた小村寿太郎全権は帰国後に国民とマスコミの罵詈雑言にさらされた。出迎えた桂小太郎首相と山本権兵衛海相は小村全権を自ら守った。日本は行政と皇室の良識によって世論の暴走による滅亡から救われた。
作中の帝国は全方位の勝利を獲得し講話の主導権を得た。得てしまった。得てしまったがゆえに世論の暴走に行政と帝室は引きずられ泥沼に落ちていく。レルゲンもゼートゥーアも桂小太郎がいない帝国で東部の泥濘に沈んでいく。
こうなると戦争の集結には一つしか道が残されていないのだが、史実の通りになるのだろうか。ここまで来るとターニャの出番は多くても意味は軽くなる。連邦は質より量の極限を行く。5人力の勇者も6人は相手取れないという。つまるところ帝国がどれだけの勇者を繰り出しても連邦が6倍の兵士を送り込めば詰んでしまう。
二度目の戦争終結の機会を今度は自分たちの失敗で逃す帝国の地獄を存在Xはどう見ているのやら。そろそろでてきて連邦の無神論者に宗旨変えをさせる大技の一つも見せてもらいたいものだ。
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