前巻で中学校団体戦東日本代表決定戦を勝ち抜いた上条歩。今回の指導役は香車・桂馬・歩に代わり、
以前は上条歩を忌み嫌い、表には出てこなかった玉こと女王が登場し、付きっきりで指導を行ない、
満を持して大橋桂香・橘とともに西本たちとの対局に挑むのだが……というおはなし。
なぜ女王が上条歩を忌み嫌っていたのか。そして西本はどうして奨励会入りせず、アマチュアの
中学生の大会に出場しているのかという謎の提示と回収そして上条歩自身の急激な成長
(まるで『精神と時の部屋』に入ったかのようだ)、個人戦で見せつけられた西本の無双ぶりに圧倒されて
自信を失いかけるも桂香の姿を見て奮起するという上条歩の機微がうまく描かれている。
また、『玉』ではなく『女王』としたのも、八方向に一マスずつ動くことができる王将ではなく、
おそらく八方向に何マスでも動くことができるチェスのクイーンをイメージしたものなのだろう。
揚げ足を取るようで申し訳ないが残念な点は、本作は神奈川県を舞台にしているようだが、
神奈川県民はあまり自分の住む土地を地の文にあるような『神奈川』という言い方はせず、
『相模原に帰る』『小田原に戻る』といった言い方をすることがため(強いて言うなら神奈川県民にとって
『神奈川』は横浜市神奈川区・旧神奈川宿界隈を意味することが多い)、どうしてもその違和感が
頭の中に残ってしまったことだ。頭に引っかかる微妙な間違いは電撃文庫で時折散見編集や
校閲の方はそのあたりにも注意しつつ制作にあたってもらいたい。

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王手桂香取り! (2) (電撃文庫) 文庫 – 2014/6/10
第20回電撃小説大賞《銀賞》受賞、熱い勝負とさわやかドラマの将棋青春ストーリー、第2弾!
「頭が高い! 我こそが真の将棋神、女王である! 」
中学校将棋団体戦の東日本代表の座を勝ち取った歩の前に、最も偉大な駒、王の駒娘が現れる。来るべき決勝大会に向け、歩を鍛えてくれるという。
そのスパルタンな指導を受け、さらに棋力をあげていく歩。一方では桂香と息抜きのお出かけをして、少しづつ距離を縮めていく。
そして迎えるは中学校将棋団体戦の決勝大会。桂香の中学時代最後の大会。最強の中学生を相手に、歩たちの白熱の戦いがはじまる!
「頭が高い! 我こそが真の将棋神、女王である! 」
中学校将棋団体戦の東日本代表の座を勝ち取った歩の前に、最も偉大な駒、王の駒娘が現れる。来るべき決勝大会に向け、歩を鍛えてくれるという。
そのスパルタンな指導を受け、さらに棋力をあげていく歩。一方では桂香と息抜きのお出かけをして、少しづつ距離を縮めていく。
そして迎えるは中学校将棋団体戦の決勝大会。桂香の中学時代最後の大会。最強の中学生を相手に、歩たちの白熱の戦いがはじまる!
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日2014/6/10
- 寸法10.7 x 1.7 x 15.2 cm
- ISBN-104048666231
- ISBN-13978-4048666237
登録情報
- 出版社 : KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014/6/10)
- 発売日 : 2014/6/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 312ページ
- ISBN-10 : 4048666231
- ISBN-13 : 978-4048666237
- 寸法 : 10.7 x 1.7 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,843,856位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2017年2月16日に日本でレビュー済み
前巻の引きで出てきた王将駒の化身、女王(将棋神)によって指導を受け、全国一を目指す巻
今巻も、主人公が着実に棋力を上げ、桂香先輩との距離を着実に縮め、西本と因縁対決をして、最後には大きな決意をする、というストーリー構成はわかりやすく、おもしろかったと思う
しかし、女王が登場したことにより、歩、香車、桂馬の3人娘が恋愛サポート兼コメディ担当に格下げになってしまい、とても残念
女王は「神」と自称する割にあまり神っぽくないし可愛さもいまいちだし、3人娘は出番がほとんどなくなるしで、これなら3人娘に続投してほしかった
また、前巻同様に専門用語が多く、読みづらい問題は相変わらず抱えたまま
一方で作品の良さだった、強くなる過程や手段に説得力が無くなり、秘策も微妙なものとなり、描写も曖昧になってしまった
ストーリーで意外だったのは大橋名人との対戦や最後のオチぐらいで、それ以外は前巻の伏線を順当に消化しただけ、という印象が強い
1巻でアイデアを出し尽くしてしまったのだろうか?、というのが正直な感想で、その意味では期待外れだった
次巻で最終巻のようなので、期待して拝読したい
今巻も、主人公が着実に棋力を上げ、桂香先輩との距離を着実に縮め、西本と因縁対決をして、最後には大きな決意をする、というストーリー構成はわかりやすく、おもしろかったと思う
しかし、女王が登場したことにより、歩、香車、桂馬の3人娘が恋愛サポート兼コメディ担当に格下げになってしまい、とても残念
女王は「神」と自称する割にあまり神っぽくないし可愛さもいまいちだし、3人娘は出番がほとんどなくなるしで、これなら3人娘に続投してほしかった
また、前巻同様に専門用語が多く、読みづらい問題は相変わらず抱えたまま
一方で作品の良さだった、強くなる過程や手段に説得力が無くなり、秘策も微妙なものとなり、描写も曖昧になってしまった
ストーリーで意外だったのは大橋名人との対戦や最後のオチぐらいで、それ以外は前巻の伏線を順当に消化しただけ、という印象が強い
1巻でアイデアを出し尽くしてしまったのだろうか?、というのが正直な感想で、その意味では期待外れだった
次巻で最終巻のようなので、期待して拝読したい
2014年6月23日に日本でレビュー済み
とかいう発言が将棋ファンの中でも有名ですが、前巻における「大抵のプロ棋士になら飛車落ちでも勝てる」という台詞は、恐らくはこの発言に則っての一言だったのだろうと、今巻において割とはっきり示されております。私は前巻の時点でその意図は察しておりましたともええ。
それはともかく第二巻です。前回よりもレベルアップした敵と、レベルアップした戦いがえがかれております。
一つ気になった点は、前作のライバルキャラであった二階堂君が若干かませ気味なスタンスに成り下がってしまっている感があるということでしょうか。このままの状況が続くのは物語の構成上もあまりよくないような気がしますね。今後様々な意味で、彼のライバルとしての復権が果たされれば、物語全体の中でも大きな意味を持ってくるんではないかとかそんな風にも思います。いやでも今回の彼の立ち位置は主人公の成長を見せるのに大いに役立っていたのも事実。今後の彼の立ち回りに期待したいです。
今回は前巻の最後にて名前だけ登場するに留まった、中学生最強棋士西本と主人公の戦いが示されております。主人公と彼との直接対決においては、なんというか多少の将棋ファンであれば「おお!」と反応してしまいそうになるギミックが仕込まれていたりで、かなり楽しめます。妙手を見つけた時のカタルシスというのはやはり魅力的です。最終的な結末としても、昨今のライトノベルでは忌避されがちな事が行われていたりするんですが、個人的にはあの展開もあるべき形に落ち着いたものと言っていいんじゃないかと思っています。次巻に期待。
それはともかく第二巻です。前回よりもレベルアップした敵と、レベルアップした戦いがえがかれております。
一つ気になった点は、前作のライバルキャラであった二階堂君が若干かませ気味なスタンスに成り下がってしまっている感があるということでしょうか。このままの状況が続くのは物語の構成上もあまりよくないような気がしますね。今後様々な意味で、彼のライバルとしての復権が果たされれば、物語全体の中でも大きな意味を持ってくるんではないかとかそんな風にも思います。いやでも今回の彼の立ち位置は主人公の成長を見せるのに大いに役立っていたのも事実。今後の彼の立ち回りに期待したいです。
今回は前巻の最後にて名前だけ登場するに留まった、中学生最強棋士西本と主人公の戦いが示されております。主人公と彼との直接対決においては、なんというか多少の将棋ファンであれば「おお!」と反応してしまいそうになるギミックが仕込まれていたりで、かなり楽しめます。妙手を見つけた時のカタルシスというのはやはり魅力的です。最終的な結末としても、昨今のライトノベルでは忌避されがちな事が行われていたりするんですが、個人的にはあの展開もあるべき形に落ち着いたものと言っていいんじゃないかと思っています。次巻に期待。
2014年8月8日に日本でレビュー済み
まず初めに「前の巻を読んでいないけれど、将棋要素だけを楽しめますか?」という疑問について。
具体的な棋譜や盤面が提示されるわけではないので厳しいと思います。
最序盤や途中の流れは一部記述される場合もありますが、あくまでも雰囲気を伝える程度ですからね。
考え方の変化、読みの深化など、登場人物が成長していく姿を楽しむことが主軸なので前の巻を読んでおくべきでしょう。
さて、それでは前巻既読者へ。
前の巻では「後手に横歩取りを拒否する権利がある」ということが語られました。
先手がいつも得意戦法を目指せるとは限らない。相手に選択権がある戦法も存在するのだという視点を与えてくれた。
更に今度は女王(玉将)。前回の三柱よりも棋力が上だと言われている彼女が与えてくれる新しい将棋観とは何なのか?
……結論から言えば、期待を上回ってはくれませんでした。
守勢に回って反撃できない主人公に対して「攻めなければ勝てない」と言うのは、わかります。
しかし、最強の神様が守勢に回らず攻撃ばかりで勝つことをレクチャーしてくれても攻撃と守備の価値観は変わらない。
仕掛けのタイミングとは、相手より早い=最適ではないはず。
この神様は比類なき棋力を持ち、相手に王手をかけられることもなく攻めきって勝ってしまうと言われても、ちょっと受け入れがたい。
ルールに沿って平等な条件で戦えるゲームの王者ではなく、能力バトル物作品キャラの戦いぶりを語られている気分です。
最強の神が守備を重視する指し方を見せてくれないせいで、受けを中心にした戦法を研究する気持ちが産まれない
当然です。わざわざ最善手の可能性が低いであろう防御型・反撃型なんて特訓しても効率が悪い。
攻めこそ至高と見せつけられている。
「自分よりもっと強い駒がいる」と言っていた香車や桂馬や歩が攻撃重視を奨励するのなら、違う心持ちになったと思います。
人間のプロより凄い戦法だけれども、まだ彼女たちが発見できていない可能性があると信じられるのなら、他の道を探してもいい。
香車たちは、まだコンピューターでさえ発見できていない最善手がきっとあると言ってくれたのだから。
同じように、香車たちが発見できていない最善手を主人公が探したっていい。攻撃以外にも、防御も試そうときっと思える。
不完全な神たちから学び、しかし真似をしていても勝てないのならと真逆の戦い方に研究を進める可能性がある。
第一巻ではオチをつけるため新キャラを出したのかもしれませんが、こんな退屈な神様よりも前巻の三柱を掘り下げて欲しかった。
色んなタイプの女性を出すという要請には応えていても、肝心の将棋を指導する存在としては香車達よりも魅力が無かったです。
新キャラといえばもう一人、前の巻で名前が出てきた強い学生も登場しました。
彼と二階堂と桂香と主人公をもっと深く書くためにも、やはり説明を省ける香車たちに続投してもらいたかったですね。
最後の対局は面白かったけれど、人を選ぶ要素もあるかもしれません……
具体的な棋譜や盤面が提示されるわけではないので厳しいと思います。
最序盤や途中の流れは一部記述される場合もありますが、あくまでも雰囲気を伝える程度ですからね。
考え方の変化、読みの深化など、登場人物が成長していく姿を楽しむことが主軸なので前の巻を読んでおくべきでしょう。
さて、それでは前巻既読者へ。
前の巻では「後手に横歩取りを拒否する権利がある」ということが語られました。
先手がいつも得意戦法を目指せるとは限らない。相手に選択権がある戦法も存在するのだという視点を与えてくれた。
更に今度は女王(玉将)。前回の三柱よりも棋力が上だと言われている彼女が与えてくれる新しい将棋観とは何なのか?
……結論から言えば、期待を上回ってはくれませんでした。
守勢に回って反撃できない主人公に対して「攻めなければ勝てない」と言うのは、わかります。
しかし、最強の神様が守勢に回らず攻撃ばかりで勝つことをレクチャーしてくれても攻撃と守備の価値観は変わらない。
仕掛けのタイミングとは、相手より早い=最適ではないはず。
この神様は比類なき棋力を持ち、相手に王手をかけられることもなく攻めきって勝ってしまうと言われても、ちょっと受け入れがたい。
ルールに沿って平等な条件で戦えるゲームの王者ではなく、能力バトル物作品キャラの戦いぶりを語られている気分です。
最強の神が守備を重視する指し方を見せてくれないせいで、受けを中心にした戦法を研究する気持ちが産まれない
当然です。わざわざ最善手の可能性が低いであろう防御型・反撃型なんて特訓しても効率が悪い。
攻めこそ至高と見せつけられている。
「自分よりもっと強い駒がいる」と言っていた香車や桂馬や歩が攻撃重視を奨励するのなら、違う心持ちになったと思います。
人間のプロより凄い戦法だけれども、まだ彼女たちが発見できていない可能性があると信じられるのなら、他の道を探してもいい。
香車たちは、まだコンピューターでさえ発見できていない最善手がきっとあると言ってくれたのだから。
同じように、香車たちが発見できていない最善手を主人公が探したっていい。攻撃以外にも、防御も試そうときっと思える。
不完全な神たちから学び、しかし真似をしていても勝てないのならと真逆の戦い方に研究を進める可能性がある。
第一巻ではオチをつけるため新キャラを出したのかもしれませんが、こんな退屈な神様よりも前巻の三柱を掘り下げて欲しかった。
色んなタイプの女性を出すという要請には応えていても、肝心の将棋を指導する存在としては香車達よりも魅力が無かったです。
新キャラといえばもう一人、前の巻で名前が出てきた強い学生も登場しました。
彼と二階堂と桂香と主人公をもっと深く書くためにも、やはり説明を省ける香車たちに続投してもらいたかったですね。
最後の対局は面白かったけれど、人を選ぶ要素もあるかもしれません……
2014年8月14日に日本でレビュー済み
安心してよめるさわやかラノベ。駒娘の頂点、女王様の登場です。
今度のお相手は、突出した実力者、西本君です。なぜアマチュアの
大会にと言わせるほどの棋士です。将棋の実力はもとより、真摯な
姿勢に頭が下がります。
彼を打倒するために猛特訓をはじめた歩くん。限られた時間の中
将棋に恋と精一杯すすむ主人公を応援せずにはいられませんでした。
万全をつくした歩くんですが、西本君は疑いのようない格上です。
やがてジリジリと追い込まれていきます。
底力がついている彼は簡単には折れません。一進一退の攻防から
勝利の可能性を手繰り寄せ、会心の鬼手、神の一手を放ちます。
勝負は終盤、詰むや詰まざるや、女王様から定評のある爆発力は
西本君の首に届くのか。本当に素晴らしい勝負でした。
あの局面、どちらが寄せてもおかしくない場面でした。
勝敗は、将棋に費やした時間の差だったとしか言いようがありません。
桂香先輩との距離も一歩前進です。歩くんには、そろそろ告白して
ほしいですね。自分の気持ちを相手に伝えるのは、勇気がいるけど
素晴らしいことですよ。将棋なら自分を意見を言えるんだから、告白
だってきっと大丈夫、先輩もちゃんと受け取ってくれますよ。
次を期待させつつ、1冊ごとに話をまとめてくる展開が好印象でした。
今度のお相手は、突出した実力者、西本君です。なぜアマチュアの
大会にと言わせるほどの棋士です。将棋の実力はもとより、真摯な
姿勢に頭が下がります。
彼を打倒するために猛特訓をはじめた歩くん。限られた時間の中
将棋に恋と精一杯すすむ主人公を応援せずにはいられませんでした。
万全をつくした歩くんですが、西本君は疑いのようない格上です。
やがてジリジリと追い込まれていきます。
底力がついている彼は簡単には折れません。一進一退の攻防から
勝利の可能性を手繰り寄せ、会心の鬼手、神の一手を放ちます。
勝負は終盤、詰むや詰まざるや、女王様から定評のある爆発力は
西本君の首に届くのか。本当に素晴らしい勝負でした。
あの局面、どちらが寄せてもおかしくない場面でした。
勝敗は、将棋に費やした時間の差だったとしか言いようがありません。
桂香先輩との距離も一歩前進です。歩くんには、そろそろ告白して
ほしいですね。自分の気持ちを相手に伝えるのは、勇気がいるけど
素晴らしいことですよ。将棋なら自分を意見を言えるんだから、告白
だってきっと大丈夫、先輩もちゃんと受け取ってくれますよ。
次を期待させつつ、1冊ごとに話をまとめてくる展開が好印象でした。