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ろくでなしのロシア─プーチンとロシア正教 単行本 – 2013/2/21
中村 逸郎
(著)
「宗教は、なやめるもののため息であり、心なき世界の心情であるとともに精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである」と若きマルクスが『ヘーゲル法哲学批判序説』で記したように、70年間の共産主義を捨て貧富の差が激化するロシアにおいて宗教の復興ぶりは著しいものがあります。
一時はオウムなどの新興宗教が勢力を伸ばしましたが、いまは旧来のロシア正教会の力が復活しています。プーチンがロシア正教会と在外ロシア正教会の和解を斡旋したりソ連邦時代に没収された財産を返還したりしたことによって、正教会は一種の財閥の観を呈しています。
カトリックと違い、かつてのロシア正教においてはピョートル大帝以降、総主教が廃止され皇帝(ツァーリ)が教会の首長でありました(皇帝教皇主義)。それは英国国教会の首長がイギリス国王であること以上の強い権力であり、人民(ナロード)にとってツァーリは神でした。
さて、なぜプーチンが正教会に対して融和的なのか……。すでに多くの教会ではプーチンを「聖人」とみなすイコンが掲げられはじめていると著者はいいます。その一方で強烈な反発も生じているとも。
プーチンとロシア正教の癒着、野合。それはソ連邦時代の個人崇拝の流れを汲みながらも、よりロシアの「古層」に根ざした権力アプローチであり、西側や日本のインテリによる「民主化」必然論を容易には寄せつけないものでもありましょう。
一時はオウムなどの新興宗教が勢力を伸ばしましたが、いまは旧来のロシア正教会の力が復活しています。プーチンがロシア正教会と在外ロシア正教会の和解を斡旋したりソ連邦時代に没収された財産を返還したりしたことによって、正教会は一種の財閥の観を呈しています。
カトリックと違い、かつてのロシア正教においてはピョートル大帝以降、総主教が廃止され皇帝(ツァーリ)が教会の首長でありました(皇帝教皇主義)。それは英国国教会の首長がイギリス国王であること以上の強い権力であり、人民(ナロード)にとってツァーリは神でした。
さて、なぜプーチンが正教会に対して融和的なのか……。すでに多くの教会ではプーチンを「聖人」とみなすイコンが掲げられはじめていると著者はいいます。その一方で強烈な反発も生じているとも。
プーチンとロシア正教の癒着、野合。それはソ連邦時代の個人崇拝の流れを汲みながらも、よりロシアの「古層」に根ざした権力アプローチであり、西側や日本のインテリによる「民主化」必然論を容易には寄せつけないものでもありましょう。
- 本の長さ258ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2013/2/21
- ISBN-10406218172X
- ISBN-13978-4062181723
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商品の説明
著者について
中村 逸郎
1956年、島根県生まれ。学習院大学法学部卒業。同大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。島根県立大学助教授を経て、現在、筑波大学国際総合学類長・教授。専攻はロシア現代政治。著書に『東京発モスクワ秘密文書』(新潮社、のちに『ソ連の政治的多元化の過程』と改題して成蹊堂より刊行)、『ロシア市民―体制転換を生きる』(岩波新書)、『帝政民主主義国家ロシア―プーチンの時代』『虚栄の帝国ロシア―闇に消える「黒い」外国人たち』(ともに岩波書店)『ロシアはどこに行くのか―タンデム型デモクラシーの限界』(講談社現代新書)などがある。
1956年、島根県生まれ。学習院大学法学部卒業。同大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。島根県立大学助教授を経て、現在、筑波大学国際総合学類長・教授。専攻はロシア現代政治。著書に『東京発モスクワ秘密文書』(新潮社、のちに『ソ連の政治的多元化の過程』と改題して成蹊堂より刊行)、『ロシア市民―体制転換を生きる』(岩波新書)、『帝政民主主義国家ロシア―プーチンの時代』『虚栄の帝国ロシア―闇に消える「黒い」外国人たち』(ともに岩波書店)『ロシアはどこに行くのか―タンデム型デモクラシーの限界』(講談社現代新書)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2013/2/21)
- 発売日 : 2013/2/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 258ページ
- ISBN-10 : 406218172X
- ISBN-13 : 978-4062181723
- Amazon 売れ筋ランキング: - 515,664位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年5月16日に日本でレビュー済み
政治を理解するには宗教を知り、宗教を理解するには政治を知ること。本書は、ロシア社会の根幹をえぐり出している。
2018年2月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何とも評価の難しい本。
私は基本的にロシア語のできない著者の本は評価しない。それは所詮、また聞き情報の寄せ集めに過ぎないからだ。またロシア政治を分析する上で、軍事・外交・地政学の記述がいくら盛りだくさんだろうと、肝心の宗教勢力の洞察を欠く書は欠陥品と考えている。
中村氏はモスクワ大学などに都合7年間も留学していたので、ロシア語に堪能であるだけでなく、ロシア人の気質もよく理解しているとされる。氏は遠くシベリヤ方面にもフィールド・ワークを広げられ、おそらく日本でも有数のロシア通の一人であろう。本書表紙の二枚の写真は、本書の意図を明白にものがたっている。
ひとつはモスクワ市クリメーント寺院を巡回するプーチンと眼光鋭いカリーニン長司祭。他は再興著しいロシア正教の陰で見捨てられたままの古儀式派の礼拝堂である。
つまり著者はロシア語が堪能で、即座にロシア市民の懐に飛び込んでいける新しいタイプの学者であり、昨今の宗教事情にも関心が高いと見た私は少なからぬ期待を持って本書に飛びついた。
本書の肝は、政権基盤の拡充・強化を目指すプーチンのロシア正教への急速な接近と、旧教会建物・敷地の返還を受けたうえ、石油輸出まで含む教会ビジネスの拡大を支援された教会勢力の驚くべき実態だ。ローマ・カトリックの金融活動は周知のことだけれど、ロシア正教は今や本来の宗教活動はそっちのけで事業拡大に血眼になっているらしい。
革命で抑圧され疲弊した各地教会が自力で財政基盤の立て直しを図ることそれ自体はいいことだが、宗教人と言えども人間のやること、さまざまな弊害が予想される(公有敷地をめぐる森友・加計事件を想起せよ)。ロシア人の魂とされた正教をひきつけることでロシア人の懐旧の情・愛国的センチメントを揺り動かそうというのがプーチンの目論見であろうが、教会勢力の倫理観の後退によって信者の支持が薄れ、それが政権に跳ね返ることにならぬか。
困難なことではあるが、近代国家は、政教分離を確立して初めて成立した。この点でロシアの近代化は遠い先のように思える。
中村氏はプーチンの手法にはかなり批判的だ。しかしだからと言って非力な指導者では、今のロシアを統率してゆけない。隙あらばと手ぐすね引いている勢力が内と外にひかえているのだから。プーチンの目が光っている限りロシアの領地が侵食されることはないしロシアの国益は守られる。
中村氏には、ロシア市民の様々な情報があり過ぎて、論語読みの論語知らずではないけれど、太いロシアの将来像が描けてない。ロシアは、今、巨大な試行錯誤の真っただ中にあるということなのだろう。
私は基本的にロシア語のできない著者の本は評価しない。それは所詮、また聞き情報の寄せ集めに過ぎないからだ。またロシア政治を分析する上で、軍事・外交・地政学の記述がいくら盛りだくさんだろうと、肝心の宗教勢力の洞察を欠く書は欠陥品と考えている。
中村氏はモスクワ大学などに都合7年間も留学していたので、ロシア語に堪能であるだけでなく、ロシア人の気質もよく理解しているとされる。氏は遠くシベリヤ方面にもフィールド・ワークを広げられ、おそらく日本でも有数のロシア通の一人であろう。本書表紙の二枚の写真は、本書の意図を明白にものがたっている。
ひとつはモスクワ市クリメーント寺院を巡回するプーチンと眼光鋭いカリーニン長司祭。他は再興著しいロシア正教の陰で見捨てられたままの古儀式派の礼拝堂である。
つまり著者はロシア語が堪能で、即座にロシア市民の懐に飛び込んでいける新しいタイプの学者であり、昨今の宗教事情にも関心が高いと見た私は少なからぬ期待を持って本書に飛びついた。
本書の肝は、政権基盤の拡充・強化を目指すプーチンのロシア正教への急速な接近と、旧教会建物・敷地の返還を受けたうえ、石油輸出まで含む教会ビジネスの拡大を支援された教会勢力の驚くべき実態だ。ローマ・カトリックの金融活動は周知のことだけれど、ロシア正教は今や本来の宗教活動はそっちのけで事業拡大に血眼になっているらしい。
革命で抑圧され疲弊した各地教会が自力で財政基盤の立て直しを図ることそれ自体はいいことだが、宗教人と言えども人間のやること、さまざまな弊害が予想される(公有敷地をめぐる森友・加計事件を想起せよ)。ロシア人の魂とされた正教をひきつけることでロシア人の懐旧の情・愛国的センチメントを揺り動かそうというのがプーチンの目論見であろうが、教会勢力の倫理観の後退によって信者の支持が薄れ、それが政権に跳ね返ることにならぬか。
困難なことではあるが、近代国家は、政教分離を確立して初めて成立した。この点でロシアの近代化は遠い先のように思える。
中村氏はプーチンの手法にはかなり批判的だ。しかしだからと言って非力な指導者では、今のロシアを統率してゆけない。隙あらばと手ぐすね引いている勢力が内と外にひかえているのだから。プーチンの目が光っている限りロシアの領地が侵食されることはないしロシアの国益は守られる。
中村氏には、ロシア市民の様々な情報があり過ぎて、論語読みの論語知らずではないけれど、太いロシアの将来像が描けてない。ロシアは、今、巨大な試行錯誤の真っただ中にあるということなのだろう。
2013年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルの「ろくでなしのロシア」を、とにかく無理矢理こじつけてあちこちにくっつけている感じでうんざりでした。
プーチンの話も、特に真新しいこともなかったです。
プーチンの話も、特に真新しいこともなかったです。
2016年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近になってこの著者がロシアの情勢についてテレビで話を聞いてからファンになり、どのようなことを書いているのかと気になり購入しました。読み始めから面白くていい加減な国なんだな、と改めて思いました。プーチンのことも如実に書かれていて、この人の人となりを知るにはいい本だと思います。ちなみに、タイトルはロシア人が入っていた言葉から付けられたそうです。
2013年9月25日に日本でレビュー済み
カトリックやプロテスタントといった西方キリスト教に比べてなじみの少ないロシア正教の現状をソビエト崩壊後のロシア再生・安定化の歴史とシンクロして描き出したリポートである。
ロシア正教の主導部がどのようにプーチンなどのロシア支配層を相互利用しあいながら自らの政治的・金銭的地位の向上を成し遂げたかである。
ただし、西方キリスト教とは異質な正教会のもつ「俗世と教会」との係わり方や考え方を理解しないと、ロシア正教がただの宗教マフィアにしか見えてこないでしょう。著者が清濁併せ飲むようなロシア正教及び東方正教会の精神性を知り得ない以上、それは仕方ないことでしょう。
それを探求しない限り、ソ連時代にあれだけの迫害と弾圧を堪え忍んだロシア正教が何故、これほどの力を手に入れるまで復興したのか理解することで出来ません。それを知ることは、ロシア正教を支え続けたロシア民衆の精神性を知る旅でもあり、ソルジェニーツィンやドストエフスキーの描くロシアを「真」に理解することでもあるでしょう。
ドストエフスキーやソルジェニーツィンの描くロシア正教の精神性から見るなら、教会は「穢れ・堕落」しえいるからこそ、真理を保持し続ける真のキリスト教なのだと言えるのですが・・・
ちなみに、私は日本に於ける圧倒的少数派のキリスト教、日本ハリストス正教会の信者ですので、どうしても正教びいきになってしまうのかも知れませんが・・
ロシア正教の主導部がどのようにプーチンなどのロシア支配層を相互利用しあいながら自らの政治的・金銭的地位の向上を成し遂げたかである。
ただし、西方キリスト教とは異質な正教会のもつ「俗世と教会」との係わり方や考え方を理解しないと、ロシア正教がただの宗教マフィアにしか見えてこないでしょう。著者が清濁併せ飲むようなロシア正教及び東方正教会の精神性を知り得ない以上、それは仕方ないことでしょう。
それを探求しない限り、ソ連時代にあれだけの迫害と弾圧を堪え忍んだロシア正教が何故、これほどの力を手に入れるまで復興したのか理解することで出来ません。それを知ることは、ロシア正教を支え続けたロシア民衆の精神性を知る旅でもあり、ソルジェニーツィンやドストエフスキーの描くロシアを「真」に理解することでもあるでしょう。
ドストエフスキーやソルジェニーツィンの描くロシア正教の精神性から見るなら、教会は「穢れ・堕落」しえいるからこそ、真理を保持し続ける真のキリスト教なのだと言えるのですが・・・
ちなみに、私は日本に於ける圧倒的少数派のキリスト教、日本ハリストス正教会の信者ですので、どうしても正教びいきになってしまうのかも知れませんが・・
2016年2月12日に日本でレビュー済み
日本ハリストス正教会の信者の甘言に乗せられてはならない。彼等の金科玉条は、「ソ連時代にあれだけの迫害と弾圧を堪え忍んだロシア正教が何故、これほどの力を手に入れるまで復興したのか」であり、「ロシア正教を支え続けたロシア民衆の深い精神性」を強調しますが、高祖父の代からの信者の家系に属する私にとって、正教会の深い精神性とやらが、未だに理解できずに居る。
なぜって、ロシア正教はロシア正教であって、キリスト教ではないというのが家族の一致する見解だから。
12日からローマ法王とロシア正教会総主教がキューバで会見しているが、おつむの良いカトリック教会は何をトチ狂ったのか。
ロシア正教を支え続けたロシア民衆の深い精神性とやらは、権力者、富裕者側に付き、貧しい民衆や農奴たちを無知と迷信の中に囲い続けた正教会の遺産(=財産)にしか過ぎない。
ツルゲーネフの「猟人日記」の農奴たちの、あの惨めさ。静かな描写だが、読むたびに胸が締め付けられる。
それとは対照的な中村先生の筆致だが、ま、レポートであり、文学作品ではないので当然だが、私の家族ー特に父は喝采を叫んだ。
権力と金に擦り寄り、信者を平気で体制側に売る。だから、正教会は生き残って来られたのだから。
そろそろ、家族単位で正教会からオサラバする時期が到来したようだ。
先祖の信者たちのお墓は、手入れするだけで許してもらおう。
神父の祈りなど、もう要らない。
なぜって、ロシア正教はロシア正教であって、キリスト教ではないというのが家族の一致する見解だから。
12日からローマ法王とロシア正教会総主教がキューバで会見しているが、おつむの良いカトリック教会は何をトチ狂ったのか。
ロシア正教を支え続けたロシア民衆の深い精神性とやらは、権力者、富裕者側に付き、貧しい民衆や農奴たちを無知と迷信の中に囲い続けた正教会の遺産(=財産)にしか過ぎない。
ツルゲーネフの「猟人日記」の農奴たちの、あの惨めさ。静かな描写だが、読むたびに胸が締め付けられる。
それとは対照的な中村先生の筆致だが、ま、レポートであり、文学作品ではないので当然だが、私の家族ー特に父は喝采を叫んだ。
権力と金に擦り寄り、信者を平気で体制側に売る。だから、正教会は生き残って来られたのだから。
そろそろ、家族単位で正教会からオサラバする時期が到来したようだ。
先祖の信者たちのお墓は、手入れするだけで許してもらおう。
神父の祈りなど、もう要らない。
2016年4月1日に日本でレビュー済み
ソ連時代は宗教は激しく弾圧され、特にロシア正教は皇帝の権力と結びついた存在であったために共産主義者の目の仇にされていました
ソ連崩壊後、プーチンはは正教を再びロシア人のアイデンティティとすることによって、求心力を高めようとします
本書で驚いたのは、北方領土に正教会がかなり建設されているということでしょうか
これは愛国心を宗教心によって高めようとしてる現れでしょう
しかし、このような正教のロシアを目指すのは多民族国家ロシアにとって諸刃の剣で、イスラム教徒など少数派の教徒はこの政策のせいで割を食っているようです
ロシアを語る時には宗教は欠かせない要素であると思うので、ロシア正教に関心のある方などは一読してみるといいと思います
ソ連崩壊後、プーチンはは正教を再びロシア人のアイデンティティとすることによって、求心力を高めようとします
本書で驚いたのは、北方領土に正教会がかなり建設されているということでしょうか
これは愛国心を宗教心によって高めようとしてる現れでしょう
しかし、このような正教のロシアを目指すのは多民族国家ロシアにとって諸刃の剣で、イスラム教徒など少数派の教徒はこの政策のせいで割を食っているようです
ロシアを語る時には宗教は欠かせない要素であると思うので、ロシア正教に関心のある方などは一読してみるといいと思います