知らなかったが、黒川にとって初めての短編集らしい。87年から91年ごろに発表された作品が
集まっており、作者の初期の作品群である。今でこそ「疫病神」シリーズに代表される直木賞作家
として素晴らしい作品を連発してくれる黒川だが、この若き時代でもかなり高質な作品を書いて
いたことが分かる短編集である。謎解きを中心に書かれた作品が中心ではあるが、登場人物の
哀れな人生にも触れたなかなか味わい深い作品もある。大阪弁での漫才を彷彿させるやり取りは
この時代から健在であるが、ちょっと凝ったストーリー展開や意外な結末も読者を楽しませてくれる。
私は、基本黒川の長編ものが好きだが、この短編集も十分黒川ワールドが堪能出来た。

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てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書 (講談社文庫) 文庫 – 2003/6/13
黒川 博行
(著)
漫才刑事たちに休息はないのか!?
「ようそんな口から出まかせを平気でいえますな。閻魔さんに舌ぬかれまっせ」
「かまへん。わしゃ二枚舌や」。
大阪府警の刑事たちが漫才そのものの大阪弁で事件を解決する。
フグ毒により客が死んだ事件に端を発する表題作をはじめ、下着ドロの意外な真犯人を描く「飛び降りた男」など、傑作短編全6編を収録。
「ようそんな口から出まかせを平気でいえますな。閻魔さんに舌ぬかれまっせ」
「かまへん。わしゃ二枚舌や」。
大阪府警の刑事たちが漫才そのものの大阪弁で事件を解決する。
フグ毒により客が死んだ事件に端を発する表題作をはじめ、下着ドロの意外な真犯人を描く「飛び降りた男」など、傑作短編全6編を収録。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2003/6/13
- ISBN-104062737701
- ISBN-13978-4062737708
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2003/6/13)
- 発売日 : 2003/6/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 336ページ
- ISBN-10 : 4062737701
- ISBN-13 : 978-4062737708
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,339,610位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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黒川 博行 (くろかわ・ひろゆき)
1949年愛媛県生まれ。京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。大阪府立高校の美術教師を経て、83年『二度のお別れ』でサントリーミステリー大賞佳作。86年『キャッツアイころがった』でサントリーミステリー大賞を受賞。96年「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。2014年『破門』で直木賞を受賞。
(本データは『海の稜線』が刊行された当時に掲載されていたものです。)「BOOK著者紹介情報」より
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2004年3月24日に日本でレビュー済み
大阪の朝日放送で部長刑事という番組があったが、この作品を原作にドラマ化して欲しかった。と思うくらい、普通の大阪人の刑事たちが主人公です。
作者は、一貫して大阪弁の、関西を中心にしたミステリーを書き続けている希少な存在です。東野圭吾や高村薫にしても、最初の頃は、関西を舞台に大阪弁をふんだんに使った小説を書いていましたが、やがて東京弁の小説を書くようになってしまいました。だから、尚更、黒川頑張れ!って言いたいね。
無論、謎解きとしての芯もちゃんとあって、尚且つ、会話が楽しいのです。
捜査会議で班長から、「そこのクロ・マメだまっとれ!」と怒られる刑事なんて想像できますか?
作者は、一貫して大阪弁の、関西を中心にしたミステリーを書き続けている希少な存在です。東野圭吾や高村薫にしても、最初の頃は、関西を舞台に大阪弁をふんだんに使った小説を書いていましたが、やがて東京弁の小説を書くようになってしまいました。だから、尚更、黒川頑張れ!って言いたいね。
無論、謎解きとしての芯もちゃんとあって、尚且つ、会話が楽しいのです。
捜査会議で班長から、「そこのクロ・マメだまっとれ!」と怒られる刑事なんて想像できますか?
2020年10月28日に日本でレビュー済み
黒川博行さんの本です。
短編小説ですね。「てとろどときしん」「指輪が言った」「飛び降りた男」「帰り道は遠かった」「爪の垢、赤い」「ドリーム・ボート」の六編です。
どれもが、刑事が主役という感じですね。
基本、大阪弁でのセリフのかけあいが軸で、あとは最低限の描写という、黒川さん特有のうまい話展開。
こういう話って、どうしてもわかりづらくなっちゃうところもあったりするのですが、黒川さんはそこいらへんはちゃんと計算しているっぽいです。
なかなか面白いですが、ただ、大阪府警がこんなふうに、ちゃんと仕事しているのかなぁ、という気がしないではないです。
短編小説ですね。「てとろどときしん」「指輪が言った」「飛び降りた男」「帰り道は遠かった」「爪の垢、赤い」「ドリーム・ボート」の六編です。
どれもが、刑事が主役という感じですね。
基本、大阪弁でのセリフのかけあいが軸で、あとは最低限の描写という、黒川さん特有のうまい話展開。
こういう話って、どうしてもわかりづらくなっちゃうところもあったりするのですが、黒川さんはそこいらへんはちゃんと計算しているっぽいです。
なかなか面白いですが、ただ、大阪府警がこんなふうに、ちゃんと仕事しているのかなぁ、という気がしないではないです。
2019年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
黒川博行さんのを読み漁ってます。
この作品も読んでて次のページが気になって止められません。
このシリーズも続けて欲しいですね。
この作品も読んでて次のページが気になって止められません。
このシリーズも続けて欲しいですね。
2018年2月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
安定の面白さです。黒川作品を次々に購入してますが、誰も例外なく楽しめます。
2015年1月22日に日本でレビュー済み
6話の短編集ですが、どれも坦々と静かに進みます。登場する刑事は、どの方もフツーの公務員で、”疫病神”シリーズや”悪果”に出てくる刑事のように、公金を使い込んだり、強請ったりしません。刑事はそうであって欲しいと切に願うわたしは安心して読み進んだのですが、その一方実に物足りない感じがしました。
「血液型が同じでも、それだけで犯人だとは言えないでしょ」のようなセリフが出てきますが、DNAの威力絶大の現代に読むと、さすがに作品の古さを感じざるを得ません。
星四つ、とも思いましたが、それでは疫病神シリーズと同じになってしまうので、三つとしました。
「血液型が同じでも、それだけで犯人だとは言えないでしょ」のようなセリフが出てきますが、DNAの威力絶大の現代に読むと、さすがに作品の古さを感じざるを得ません。
星四つ、とも思いましたが、それでは疫病神シリーズと同じになってしまうので、三つとしました。
2013年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
黒豆コンビの軽妙な語りは、読めば読むほど癖になります。
関西弁ならではの言葉の応酬で、他の方言ではこうはうまくいかなかったでしょう。
テレビでやれば、絶対面白いと思います。
おかたい刑事モノとは一味も二味も違い、また人情刑事モノとも違う。
黒川刑事モノとでもいえば良いでしょうか。
劇画タッチでもない人間的な刑事が出てきます。脇役で出てくる人も、
犯人も皆、人間的です。そのへんにいそうな人ばかりです。
それがために、気持ちが入ります。
お薦めです。
関西弁ならではの言葉の応酬で、他の方言ではこうはうまくいかなかったでしょう。
テレビでやれば、絶対面白いと思います。
おかたい刑事モノとは一味も二味も違い、また人情刑事モノとも違う。
黒川刑事モノとでもいえば良いでしょうか。
劇画タッチでもない人間的な刑事が出てきます。脇役で出てくる人も、
犯人も皆、人間的です。そのへんにいそうな人ばかりです。
それがために、気持ちが入ります。
お薦めです。
2004年1月7日に日本でレビュー済み
本書は、著者のデビュー作「二度のお別れ」や「八号古墳に消えて」でもお馴染みの大阪府警の黒マメコンビが活躍する作品を中心にした6作品からなる短編集である。表題作の「てとろどときしん」(「河豚の記憶」を改題)は87年出と、いまから17年前の作品であることも本書を楽しむ要素となろう。黒マメコンビとは、大阪府警捜査一課の刑事である黒木憲造と亀田淳也のコンビである。作品の魅力ともなっているのが、二人の漫才のような会話である。亀田がホームズで黒木がワトソン役で、上方漫才よろしく、のらりくらりとした会話のなかから事件解決の糸口をたぐる。しかし、このコンビは盛名をはせない。ストレス社会の現代では、あくまでも売れない漫才師を地でいく二人に共感すら覚え、とても魅力的である。関西弁が大好きな書評子は、著者の作品を読むと癒されるのだ。ギスギスした満員電車の中でさえ、癒しの関西弁ワールドを局地的に展開してしまうという魅力的な作品である。