◆現代の〈オタク〉像
〈メタ=ネタの連発でしか自分を守れない「人間的」でアイロニカルな
コミュニケーションと、ベタな物語に「動物的」に感動してしまう
素朴なメンタリティの解離的共存〉
◆「まんが・アニメ的リアリズム(大塚英志)とゲーム的リアリズム(東浩紀)」
〈まんが・アニメ的リアリズムは、キャラクターの死をひとつの物語の
なかで描き、読者をそこに感情移入させることで現実を作品化する。
ゲーム的リアリズムは、キャラクターの死を複数の物語のなかに
拡散させてしまうかわりに、その複数性に耐える解離的な生を描き、
キャラクター・レベルとプレイヤー・レベルの二層構造を導入することで
現実を作品化する。〉
著者の提唱する「ゲーム的リアリズム」は、小説技法の観点から
見れば、格別目新しいことを述べているわけではありません。
パラレル・ワールドやメタ視点を導入した作品
などは、いくらでも過去に前例があると思います。
ただ、ゲームというメディアの特性と、現代という
時代性を考慮に入れれば、また違った見方ができます。
作中人物と「ゲームをしている自分」が
二重化する、というゲームの基本構造。
そして、絶対的な価値観など、どこにも存在せず、その場に合わせて
「キャラ」を使い分けながら生きていくことが当たり前となった我々。
そのような解離的な生が、一般レベルにまで浸透した現代を逆照射する
わかりやすいロールモデルを提示したところに、著者の創見があります。

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文学環境論集 東浩紀コレクションL 単行本 – 2007/4/14
東 浩紀
(著)
東浩紀2000年前半の集大成をBOX化!東浩紀の1999年から2006年までの全原稿を全集化。全3巻のうち、その待望の第1巻である『東浩紀L』は、東浩紀と文学についての論考を全て収録!
- 本の長さ862ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/4/14
- ISBN-104062836211
- ISBN-13978-4062836210
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/4/14)
- 発売日 : 2007/4/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 862ページ
- ISBN-10 : 4062836211
- ISBN-13 : 978-4062836210
- Amazon 売れ筋ランキング: - 246,842位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 45位講談社BOX (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)ほか多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月27日に日本でレビュー済み
発売された2007年と現在の著者ではスタンスがほぼ
変わったといってもいいのかもしれない。秋葉原の事件
以後、大きな物語を否定しつつ大きな物語について語る
ということを主張していたが、「表現の自由について発
言する」「社会の評判を得る」「自ら以外の問題でも考
えるし発言する」といったスタンスに変化しつつあるよ
うだ。その点から言えばもはやこの作品は変化の過程す
ら残っていないのではあるが。
変わったといってもいいのかもしれない。秋葉原の事件
以後、大きな物語を否定しつつ大きな物語について語る
ということを主張していたが、「表現の自由について発
言する」「社会の評判を得る」「自ら以外の問題でも考
えるし発言する」といったスタンスに変化しつつあるよ
うだ。その点から言えばもはやこの作品は変化の過程す
ら残っていないのではあるが。
2007年4月16日に日本でレビュー済み
誠実な議論も、緻密な論証も、清新な想像力も、独創的な創造性も、まったくない残念本。こんなものを書いていては相手にする人は誰もいなくなる。いまからでも遅くないから、奮起して立ち直って欲しい。