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谷崎潤一郎マゾヒズム小説集 (集英社文庫) 文庫 – 2010/9/17

4.1 5つ星のうち4.1 42個の評価


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谷崎文学で知る、ほんとうのいけないこと
谷崎文学の通奏低音であるマゾヒズムに焦点をあて、人間の心に潜む“魔性”を刺激する短編集。「少年」「幇間」「麒麟」「魔術師」「一と房の髪」「日本に於けるクリップン事件」の初期傑作6編を収録。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2010/9/17)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/9/17
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 232ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 408746606X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4087466065
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 42個の評価

著者について

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谷崎 潤一郎
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上位レビュー、対象国: 日本

2018年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文字が小さくて寝ながら読むには適さないかも。
漢字、用語が古くて突っかかる。漢字の文字に創造力を働かせる人もいるのでしょうけど、僕は源氏物語のように「現代語訳」で読みたい!
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年5月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
魔術師の文書が綺麗だったなあ.麒麟はよく分からない.幇間などは読みやすい
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年9月24日に日本でレビュー済み
・・・三人は何か新しく珍らしい遊戯の方法でも発見したように嬉々として光子の命令に服従し、
「腰掛けにおなり」と云えば直ぐ四つ這いになって背を向けるし、「吐月峰(はいふき)におなり」と云えば直ちに畏まって口を開く。

次第に光子は増長して三人を奴隷の如く追い使い、湯上りの爪を切らせたり、鼻の穴の掃除を命じたり、Urine を飲ませたり、始終私達を側へ侍らせて、長く此の国の女王となった。

- - - - - - 「 少年 」 より一部抜粋。
.

谷崎が、 「私の書いた最もキズのない小説は、『少年』である」 と述懐している通り、

幼少期に萌え出づる性の「甘酸っぱさ」を、的確に芸術へと昇華させた作品「少年」は、

プルーストの「失われた時を求めて」の様々なエピソードを彷彿とさせる名作である。

なお、「 少年 」 には、鏑木清方(かぶらき きよたか) が本作品のために描いた挿画があり、

江戸時代の「 絵草紙 」のように、挿画と本文を共に楽しむべき作品である。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年6月3日に日本でレビュー済み
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「日本に於けるクリップン事件」にて谷崎は自身のマゾヒスト論を開陳する。
マゾヒストは女性に虐待されることを喜ぶけれども、それは肉体的・官能的なものであって、
毫末も精神的な要素を含まない。たとえ心で軽蔑されるといえども、それを事実であるかのごとく
空想して愉しむのであり、狂言・芝居にすぎず、本物の奴隷にされては迷惑なのである。
よって彼らに君臨する女王様は人形あるいは器具でしかなく、マゾヒストが操作を誤ったり、飽いたり
すれば、ゴミのように捨てられる、つまり殺されることもあるのだ。

この見解にはいささか驚かされたが、もっとも顕著なのはこれを別として「一と房の髪」だろう。
殺人にまで発展しないにしろ、マゾヒストの本質は肉体・官能という点では他編にも通底している。

マゾヒストという人種はこれほどまでに利己的なのだろうか。
もちろん谷崎の言い分が正鵠を射ているのは確かである。
しかし、はじめに肉体・官能の女王⇔奴隷の関係があり、濃厚なコミュニケーションを重ね、
漸次精神的なサド・マゾ関係へと発展する成り行きもあるのではないだろうか。
これは理想論であるから、怒らないでほしいのだが、精神的な服従に悦楽をおぼえるマゾヒズムであれば、
奴隷は女王を人形や器具ではなく人間と見做す。玩弄されるのを空想でなく事実として捉え、
彼女のさまざまな嫐りに現実的な愉悦を感じ取る。
さらに主従関係が恒常化しかけたところでSMのねじくれた愛情が芽生える。
肉体的な遊戯もまじえながら頭脳でもプレイするわけだから厭きが来ず、倦怠を迎えない。
そして狂言・芝居ではなく、正真正銘の奴隷と化してゆくのである。

※ 写真・自己紹介は無視して下さい
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年12月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
谷崎作品が読みたくて短編集ということで、購入。
人間の本能的な欲求、そして変態性。
美しく特に叙情性すら感じてしまうのが谷崎作品のマジックなのだろう。
みうらじゅんの鑑賞もよかった。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年5月18日に日本でレビュー済み
おそらく男子なら、「性」を自覚する以前の幼い頃、擬似的な同性愛的遊戯、或いは被拘束的foreplay遊戯に手を染めた経験が多くの人にあるのではないか。ほとんどの場合「一線」を越えることなく「悪習」は已む。しかし「一線」を越えた人は・・・
『少年』はこの前者と後者の接点、少年期の微妙極まる一瞬を描いている。谷崎の小説世界の原初的風景を描く、興味深い一篇。
『一と房の髪』『日本に於けるクリップン事件』の2篇は谷崎作品としてはやや通俗の臭みがあるものの、『魔術師』『麒麟』『幇間』は精緻な工芸品のようだ。若い読者に薦める1冊です。
付記 ただし、この文庫本カバーの中村佑介氏によるイラストレーション。書店の店頭で買うのは、ちょっとためらいますよね。特に店員が女性の場合は(笑)。
2019年1月2日に日本でレビュー済み
上記レビューにもあるけれど「少年」が一番印象的でした。主人公達が10歳前後で友達の家に遊びに行って子供らしい遊びのつもりが段々とエスカレートして友達のお姉さん(14歳)となにかおかしな方向に・・・という内容ですが描写が細かくいちいちそのたびにネットで調べながら小説を読み進めました。映像化(無理だろうが)したものを一度、みてから読むとより理解しやすいかも?官能小説的な部分もあるので万人向けではないのかもしれないがとにかくこの人の文章は描写が細かくてきれいです。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2011年7月18日に日本でレビュー済み
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うちに全集があるのですが、新装版の限定表紙が面白そうだったので文庫を買いました。
(私が谷崎さんの本に抱いているある種のイメージをこの表紙が払拭できるかとも思ったのですが、そうでもなかったですね。)

作品についてですが、文章が綺麗で読みやすいです。横文字も日本語の文章を切らないようにさらっと挿入されていて美しいです。
ですが、私はどうしてもこのマゾヒズムに”歩み寄る”ことができませんでした。谷崎潤一郎の筆を持ってしても、やはり無理なものは無理なのです。
いいえ、美しく流れるような文章だからこそ、そこに描かれるものに眉をひそめてしまうというのでしょうか。
やはり無理でした。痰と鼻水の混じったものを飲めなんて言われたら、頬をはたいてしまいます・・・。
これは淫蕩で無様なさまが甘美ととるべき・・・なのだろうか・・・と思いつつも、ううん、やっぱり無理です、と本を置くこと数度。世界観にはひたれませんでした。
私には、マゾヒストとしての「役者の才能」がなかったのでしょう。あまり欲しいとも思いませんが、綺麗な文章で描かれる舞台を楽しめないのは少し残念でした。
後味は悪いですが、魔術師がお薦めです。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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