本書が著された目的の一つは、自傷症とそれを取り巻く状況に関する正しい認識の啓蒙だという風に感じる。そのため本書は専門用語を使う事を可能な限り避けて、出来るだけ平易な言葉で解説しようとこころみられている。もちろん、ごく数ページにわたり精神病理学的解説も加えて、臨床心理学や精神医学の専門家のニーズにも答えようとしている。解説に用いる用語は非常に工夫されており、その翻訳の巧みさも光る。
自傷症にまつわる問題には学術的には不明な部分も少なくないにもかかわらず、著者は重要な部分は断定的言い回しで繰り返し述べている。つまり本書にはメリハリが有る。例えば「自傷行為を行う事は、他者を信用出来ず、自傷による痛みや麻痺感の方が信用出来る」という感覚が有ると繰り返し述べ、後半ではそれに付け加えて「この様な孤立が長く続けば続く程重症化し、治療が難しくなる」という事を強調している。これは自傷症のみならず、脅迫性障害や拒食症にも言える事で、著者はその事にも言及し、悪循環の弊害については特に強調する。学術的問題は別にして、著者が強調する部分にはさすがになるほどと思わせられる。断定的に強調する事が著者の持ち味であって、本書では重要な事を中心に述べ、そうでない事は思い切って割愛したという印象だ。
本書はリスカなどをする方とそれを取り巻く方に特におすすめしたい。
内容が強く印象に残る書だ。

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CUTTING リストカットする少女たち (集英社文庫) 文庫 – 2005/1/20
スティーブン・レベンクロン
(著),
森川 那智子
(翻訳)
「自傷」はなぜ起きる? 一層の理解のために。
自分で自分の身体を傷つける思春期の少女たちが増えている。患者の症例からその原因、被害者、心の治療法をたんねんに探る。苦しむ者や家族には勇気を与える著者初のノンフィクション。
自分で自分の身体を傷つける思春期の少女たちが増えている。患者の症例からその原因、被害者、心の治療法をたんねんに探る。苦しむ者や家族には勇気を与える著者初のノンフィクション。
- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2005/1/20
- ISBN-104087604799
- ISBN-13978-4087604795
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2005/1/20)
- 発売日 : 2005/1/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 344ページ
- ISBN-10 : 4087604799
- ISBN-13 : 978-4087604795
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,049,627位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,956位ストレス・心の病気
- - 4,305位臨床心理学・精神分析
- - 7,973位集英社文庫
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2006年8月13日に日本でレビュー済み
本書は、CUTTINGといわれるリスカをする少女たちの面接の記録である。
気がついてほしいけど、気がついてもらえないこころの傷がある少女たち。
それは、一言では表わせない感情である。そして押さえることのできない衝動性・・・・
自分を傷つけてしまうことにより、自分の存在を確かめるような行為
わたしも自分を傷つけたい気持ちがある、いつその衝動性に負けるかはわからない。
本書を読んでいて、涙が出てきた。すべてわたしとは同じではないけれども、本の
中の少女たちの気持ちを少しでも共感できたような気がする。
本の中の少女たちにも、幸せであると感じるときが来てほしいと思う・・・
気がついてほしいけど、気がついてもらえないこころの傷がある少女たち。
それは、一言では表わせない感情である。そして押さえることのできない衝動性・・・・
自分を傷つけてしまうことにより、自分の存在を確かめるような行為
わたしも自分を傷つけたい気持ちがある、いつその衝動性に負けるかはわからない。
本書を読んでいて、涙が出てきた。すべてわたしとは同じではないけれども、本の
中の少女たちの気持ちを少しでも共感できたような気がする。
本の中の少女たちにも、幸せであると感じるときが来てほしいと思う・・・
2006年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は精神科看護師(男)です。「話がある」「近くにいて、手をにぎって。」と3人組の20代女性患者さんから、いきなり言われました。はっきり言ってとてもとまどいましたが、話を聞くと「リスカがしたい」「はさみでいいから貸して」と?????「どうすればいいのか?」看護師20年、精神科9年、今までに体験したことの無い無力感・脱力感「どうすれば・・・」。その場は「話を聞いてくれるだけでいいから」といわれ聞くことしかできません、私は正直に「すまない、ごめんなさい僕には何もできない、どうすればいいのか?わからない」と言うのがやっと。
「ほんの少しでも良いから何かできれば」と思い、以前後輩看護師(女)から薦められた(全く興味なく読んでいませんでした)この本を引っ張り出して読みました。
この本では自傷症として定義され、様々なケースをあげて説明されています。自傷症の原因は多岐にわたっていること、「有効な手助け」としてのセラピストのあり方などのポイントが書かれています。
正直なところ精神科看護師でありながら、まだまだ迷いの世界にはまっていますが、この本はとてもよく書かれておりリストカット(精神科)とは関係ないと思っている方も、是非読んでいただきたい本だと思います
「ほんの少しでも良いから何かできれば」と思い、以前後輩看護師(女)から薦められた(全く興味なく読んでいませんでした)この本を引っ張り出して読みました。
この本では自傷症として定義され、様々なケースをあげて説明されています。自傷症の原因は多岐にわたっていること、「有効な手助け」としてのセラピストのあり方などのポイントが書かれています。
正直なところ精神科看護師でありながら、まだまだ迷いの世界にはまっていますが、この本はとてもよく書かれておりリストカット(精神科)とは関係ないと思っている方も、是非読んでいただきたい本だと思います
2011年8月7日に日本でレビュー済み
このような本は、市場にたくさん存在しいまもなお増殖中でsる、読み手のかたに、こころにとめておいてほしいことがあり、レビューをかいた。それは、著書の数がふえればふえるほど、リストカットをする人間がふえているということ。リストカットは症候群である。日本のお国柄、とりたててさわがれるのかもしれないが、問題はリストカットではなくて、その奥にあるもので、それを見抜くことのできる経験者をふやすことにもっと目をむけてほしい。というのも、私自身、書くのをまよったが、、リストカットの傷跡の記録があるから。こういうたぐいのほんをみて、それをおぼえるこどももいることを絶対に忘れないでほしい。
2006年12月16日に日本でレビュー済み
悩み等で苦しむ少年は発狂したり、自殺が目立ちますが、少女は何故かリストカットで精神を落ち着ける術を持っているという。
自己防衛に自己を傷付けるのである。
この違いに興味を持った私はこの本を手にとりましたが、なかなか頭の悪い私にも良く分かりました。リストカットしない人にも、理解しやすいと思います。
値段も安く、リーズナブルですし、オススメ。
リストカットは心の病です。 病院へ行けば専門の指導があります。悩むより、病と割りきって病院行きましょう。
あと、自殺は「殺人」です。
やめましょう…。
自己防衛に自己を傷付けるのである。
この違いに興味を持った私はこの本を手にとりましたが、なかなか頭の悪い私にも良く分かりました。リストカットしない人にも、理解しやすいと思います。
値段も安く、リーズナブルですし、オススメ。
リストカットは心の病です。 病院へ行けば専門の指導があります。悩むより、病と割りきって病院行きましょう。
あと、自殺は「殺人」です。
やめましょう…。
2005年8月22日に日本でレビュー済み
私は、リストカットをしています。
彼氏が、私のことをわかってあげたくて読んだらしくて、私にも読めと進めてきたので、読みました。
リストカットは、悪くないことだってわかったし、自分の考えを深めることができる本でした。
でも、親は全然わかってくれません。
切ると怒るんです。
学校でも、避けられちゃいます。
この本は、家庭にも学校にも必要な本ではないかと思います。
もっと、世の中にリスカについて理解してもらいたい。
彼氏が、私のことをわかってあげたくて読んだらしくて、私にも読めと進めてきたので、読みました。
リストカットは、悪くないことだってわかったし、自分の考えを深めることができる本でした。
でも、親は全然わかってくれません。
切ると怒るんです。
学校でも、避けられちゃいます。
この本は、家庭にも学校にも必要な本ではないかと思います。
もっと、世の中にリスカについて理解してもらいたい。
2005年2月7日に日本でレビュー済み
リストカットに関わる多くの人にとって、有益な本である。
治療者として関わる人、特に初心者の心理士にとっては、参考になる点が多いだろう。
また、家族の方や当事者にとっても、自分で自分を傷つけなくてはならないほどの痛みや苦しみを理解する一助になると思われる。
中学生以下の方には難解かもしれないし、人によっては内容に耐えられないと感じるかもしれない。
専門家にとっては、解釈や技法が違うと感じる方もいるかもしれない。
私自身は、訳で違和感を感じることがあったが、妥当で穏当な説明がなされているように思った。
冒頭で、当初の扱う自傷症について定義しており、この本で取り上げた自傷にあたらない人もいる。
自傷という現象を、一くくりで論じることの困難を、私はよく感じさせられる。
そのような網羅しきれない論点があるとしても、自傷を放置することの危険性と、
それは超克しうる問題・援助しうる問題であることを知ることは、大切なことであろう。
若年層で気軽に気楽にリスカを始める人が増えているだけに、手軽に手に取れる文庫なのもよいと思った。
治療者として関わる人、特に初心者の心理士にとっては、参考になる点が多いだろう。
また、家族の方や当事者にとっても、自分で自分を傷つけなくてはならないほどの痛みや苦しみを理解する一助になると思われる。
中学生以下の方には難解かもしれないし、人によっては内容に耐えられないと感じるかもしれない。
専門家にとっては、解釈や技法が違うと感じる方もいるかもしれない。
私自身は、訳で違和感を感じることがあったが、妥当で穏当な説明がなされているように思った。
冒頭で、当初の扱う自傷症について定義しており、この本で取り上げた自傷にあたらない人もいる。
自傷という現象を、一くくりで論じることの困難を、私はよく感じさせられる。
そのような網羅しきれない論点があるとしても、自傷を放置することの危険性と、
それは超克しうる問題・援助しうる問題であることを知ることは、大切なことであろう。
若年層で気軽に気楽にリスカを始める人が増えているだけに、手軽に手に取れる文庫なのもよいと思った。