本書は、中国という畸形な国の実態を、主流派経済学への警鐘として描いている。畸形な国というのは、目的のため
なら手段を選ばない無謀さを持っている点である。第1章の内モンゴル自治区の鬼城(ゴーストタウン)が象徴的である。
1947年、モンゴル人が住んでいた領域を中国領の自治区に編入し漢民族が移入。数十万人のモンゴル人を大粛清し、
現在、漢民族が80%を占めるに至っている。移入した漢民族は、場当たり的に草原を開墾し、農耕を大々的に行った。
生産請負制度の導入で牧畜民も収入を求め家畜を過放牧し、深刻な砂漠化が進み多くの貧困者を生んだ。2000年から
「西部大開発」プロジェクトと呼ぶ計画経済の一環として、オルドス市の石炭産業バブルに便乗し、あるいは経済成長
率の辻褄あわせのため、オルドス市に100万人都市を作ろうとした。砂漠をアスファルトで被覆し、10万人規模の高層
マンション群を建設着工、完成前に石炭バブルは弾けた。その後、世界最悪のPM2.5国の汚名対応に、習近平は「大気
汚染対策」を進めざるを得なくなった。あおりを食ってマンション群建設は完成前に止まった。不動産バブルは崩壊し
「鬼城」のひとつになった。掃除人とタクシー運転手ら100人程が、雇われて住んでいるのみ。やがて廃墟となるだろう。
内モンゴル自治区は、漢民族に「庇貸して母屋取られ」散々な目にあっている。日本では、まず沖縄が心配なところ。
オルドス市の中心地区に豪奢な「ゲーティド・コミュニティ」があり、超富裕層たちを中国の公安警察が警備している
という。中国は超格差社会になり、1%の人間が国富の1/3以上を占有し、1/4の人間が国富の1%を分け合っている
と政府系人民日報が控えめに報じているという。
「グローバリズム」という主流派経済学では「短期的利益極大化」のために障害になるものは全て取り除けば、経済は
最高に発展し最適化するらしい。そのために、各種のバブルを必要とする。中国は最後にして最大の「実験場」に見える。
中国人民が全員豊かになるハッピーエンドはありえないと、鄧小平自身は洞察していた。「そんなことになれば、地球は
パンクする」と。
中国経済が破綻し、それを口実に、難民輸出が始まると、反日的な数百万人の中国が日本へ押し寄せる可能性があり、
受け入れれば日本は崩壊すると著者は警告している。
世界経済・社会の危うさが身に迫る今日、いざとなれば自給自足でも耐えられる、持続可能で、多くの国民が幸せに
暮らせるセーフティネットの経済学も強く求められているようだ。
本書は情報源のひとつとして読み、さまざまな未来のシナリオを考えることができる本である。

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中国崩壊後の世界 (小学館新書) 新書 – 2015/12/1
三橋 貴明
(著)
決死の中国現地取材を敢行!
北京から飛行機で1時間。内モンゴル自治区のオルドスはかつては石炭で栄え、2010年には一人あたりGDPが中国全土で首位に立ったこともある。インフラを整備し、高級マンションやホテルが相次いで作られた。ところが今はどうか・・・・・・。2012年に石炭価格が暴落し、習近平の「大気汚染対策」が追い打ちをかけ、石炭産業は壊滅状態となってしまった。その結果、オルドスからは人が消え、豪華な建物が颯爽と建ち並ぶのに、車や人が全然いないという不気味なゴーストタウン(鬼城)となり果ててしまった。
中国の不動産バブルの崩壊はすでに知られていることだが、次の株式バブルは政府主導によるものだった。不動産バブルに代わるものとして株式バブルは登場したのだ。そんなバブルが弾けるのは当たり前だ。敏腕ファンドマネージャーはもとより、個人投資家たちが相次いで自殺するなどとんでもない事態に陥っている。ところが、中国政府には打つ手がない。
中国経済の崩壊・・・それは全世界にどういう影響を与えるのか。そして、どういう結論を迎えるのか。日本はどう対処していけば、この難局を乗り越えられるのか。気鋭の経済評論家が見事に読み解く!
北京から飛行機で1時間。内モンゴル自治区のオルドスはかつては石炭で栄え、2010年には一人あたりGDPが中国全土で首位に立ったこともある。インフラを整備し、高級マンションやホテルが相次いで作られた。ところが今はどうか・・・・・・。2012年に石炭価格が暴落し、習近平の「大気汚染対策」が追い打ちをかけ、石炭産業は壊滅状態となってしまった。その結果、オルドスからは人が消え、豪華な建物が颯爽と建ち並ぶのに、車や人が全然いないという不気味なゴーストタウン(鬼城)となり果ててしまった。
中国の不動産バブルの崩壊はすでに知られていることだが、次の株式バブルは政府主導によるものだった。不動産バブルに代わるものとして株式バブルは登場したのだ。そんなバブルが弾けるのは当たり前だ。敏腕ファンドマネージャーはもとより、個人投資家たちが相次いで自殺するなどとんでもない事態に陥っている。ところが、中国政府には打つ手がない。
中国経済の崩壊・・・それは全世界にどういう影響を与えるのか。そして、どういう結論を迎えるのか。日本はどう対処していけば、この難局を乗り越えられるのか。気鋭の経済評論家が見事に読み解く!
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2015/12/1
- ISBN-104098252465
- ISBN-13978-4098252466
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2015/12/1)
- 発売日 : 2015/12/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 253ページ
- ISBN-10 : 4098252465
- ISBN-13 : 978-4098252466
- Amazon 売れ筋ランキング: - 632,728位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 411位小学館新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家・経済評論家。中小企業診断士。1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業ノーテルをはじめNEC、日本IBMなど を経て2008年に中小企業診断士として独立、三橋貴明診断士事務所を設立した。現在は、経済評論家、作家としても活躍中。2007年、インターネットの 掲示板「2ちゃんねる」において、公開データの詳細な分析によって韓国経済の脆弱な実態を暴く。これが反響を呼んで『本当はヤバイ!韓国経済』(彩図社) として書籍化されて、ベストセラーとなった(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 経済ニュースが10倍よくわかる「新」日本経済入門 (ISBN-13: 978-4776206187)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年7月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ネットや民放の経済番組で活躍されている三橋貴明氏による新書です。三橋氏の著作は他の方が書かれた中国経済本と同じように経済音痴の習近平が発した中国共産党の経済政策がいかにでたらめであるかを、様々な事実を挙げて検証していますので、リアリティを感じます。
先週から全部で4冊ほど「中国経済崩壊本」読みましたが、いずれも結論は同じなので、今後の推移と日本経済へのダメージ軽減のために何をすべきかを考える上で参考になったと思います。
先週から全部で4冊ほど「中国経済崩壊本」読みましたが、いずれも結論は同じなので、今後の推移と日本経済へのダメージ軽減のために何をすべきかを考える上で参考になったと思います。
2020年11月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
特に問題なし.
2016年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中国の今の状態を知るには良いかもしれないが、タイトルの「崩壊後の世界」については。。。ちょっとタイトルと中身のイメージが違うかな。
2016年9月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
未だ読破していないが、捉え方の視点と考察内容が気に入っている。
2015年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中国においていかに日本の常識が通用しないか、その凄まじい現実が、実際の細密な
取材を通して精密に描かれています。
また世界ではこれから中国の人件費高騰による割高感から各国の向上が撤退しており、生産工場としても、
また市場としても優位性がないことを表しています。
しかし、これまでも中国経済が衰退に向かうと、日本政府が援助し、助けたように、
今後とも日本政府が中国にたして莫大な支援と技術移転を行い、日本国内の景気そっちのけで中国を支援しつづければ、
中国は復活する可能性があり、今までも、何ども日本が中国の危機を救ってきました。
また、中国製の原発は危険とはいえ、毎年莫大な数の原発を生産しており、その事によって確実に技術の蓄積が
行われています。
それに対して日本では原発が作れるにも関わらず、反原発というイデオロギーによって原発を作らず、技術の蓄積が
行われていません。この狂った状況が今後も続くならば、いずれ中国は日本の技術を追い越し、
日本は技術でも人口でも富でも全てにおいて中国より劣り、中国に従属し、ひれ伏す時代が確実にやってくるでしょう。
現実に、日本は現在圧倒的優位にあり、このまま日本国内で原発を生産し続け、公共投資を行い、
普通に国家運営をしていればらくらくと中国を凌駕できるのに、気の狂った思想により、原発を止め、
発送分離をしてそれをアジア系外国企業に売り渡し、公共事業を極限まで減らして国内インフラを破壊し、
そこで浮いた莫大な資金を中国救済に使って破滅するシナリオを現実に歩もうとしています。
楽観主義も大事ですが、まず、中国の実態を見極めたうえで、日本もやるべき事をきっちりやっていかねばなりません。
そういう点でも、今から中国に工場を移転して一儲けしてやろうなどと考えている中小企業の社長さんたちには
ぜひこの本を買って読ませるべきです。この本には現在日本政府が行っている、狂った政策に関しても
197頁以降にきっちり言及しており、日本の将来についても憂いています。
この本を読み、日本人は、ただ中国の危険性を認識するにとどまらず、日本自身が襟をただし、とるべき道をたどらなければ、
日本も破滅への道をまっさかさまに転げ落ちていくという現実を直視し、政府に正しい政策を取らせるよう、国民の一人ひとりが
訴えていかねばなりません。
取材を通して精密に描かれています。
また世界ではこれから中国の人件費高騰による割高感から各国の向上が撤退しており、生産工場としても、
また市場としても優位性がないことを表しています。
しかし、これまでも中国経済が衰退に向かうと、日本政府が援助し、助けたように、
今後とも日本政府が中国にたして莫大な支援と技術移転を行い、日本国内の景気そっちのけで中国を支援しつづければ、
中国は復活する可能性があり、今までも、何ども日本が中国の危機を救ってきました。
また、中国製の原発は危険とはいえ、毎年莫大な数の原発を生産しており、その事によって確実に技術の蓄積が
行われています。
それに対して日本では原発が作れるにも関わらず、反原発というイデオロギーによって原発を作らず、技術の蓄積が
行われていません。この狂った状況が今後も続くならば、いずれ中国は日本の技術を追い越し、
日本は技術でも人口でも富でも全てにおいて中国より劣り、中国に従属し、ひれ伏す時代が確実にやってくるでしょう。
現実に、日本は現在圧倒的優位にあり、このまま日本国内で原発を生産し続け、公共投資を行い、
普通に国家運営をしていればらくらくと中国を凌駕できるのに、気の狂った思想により、原発を止め、
発送分離をしてそれをアジア系外国企業に売り渡し、公共事業を極限まで減らして国内インフラを破壊し、
そこで浮いた莫大な資金を中国救済に使って破滅するシナリオを現実に歩もうとしています。
楽観主義も大事ですが、まず、中国の実態を見極めたうえで、日本もやるべき事をきっちりやっていかねばなりません。
そういう点でも、今から中国に工場を移転して一儲けしてやろうなどと考えている中小企業の社長さんたちには
ぜひこの本を買って読ませるべきです。この本には現在日本政府が行っている、狂った政策に関しても
197頁以降にきっちり言及しており、日本の将来についても憂いています。
この本を読み、日本人は、ただ中国の危険性を認識するにとどまらず、日本自身が襟をただし、とるべき道をたどらなければ、
日本も破滅への道をまっさかさまに転げ落ちていくという現実を直視し、政府に正しい政策を取らせるよう、国民の一人ひとりが
訴えていかねばなりません。
2016年1月2日に日本でレビュー済み
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2000年以降50回以上仕事で中国へ出向いた小生でもあり、人民は素朴な人々であることを良く知っているつもり。
なので、国として立ち直ってもらいたいと思ってたが、やっぱりだめか!!・・と確信せざるを得ない。この世界一厄介な中国の現状を分かり易く解説。
なので、国として立ち直ってもらいたいと思ってたが、やっぱりだめか!!・・と確信せざるを得ない。この世界一厄介な中国の現状を分かり易く解説。
2016年1月2日に日本でレビュー済み
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三橋さんの記事は、Willでも読んでいて生きた情報と柵のない立場で書かれる方なので、
期待して求めました。 出だしが有る街のゴーストタウンの情景でしたので、
少し違和感を感じましたが、そのうちにこれは正しく一般のマスコミでは取り上げない
リアルな中国の実態だと理解ったときに、やはり作者は裏切らないと確信しました。
求めて良かったです。
期待して求めました。 出だしが有る街のゴーストタウンの情景でしたので、
少し違和感を感じましたが、そのうちにこれは正しく一般のマスコミでは取り上げない
リアルな中国の実態だと理解ったときに、やはり作者は裏切らないと確信しました。
求めて良かったです。