1997年刊行。ちょうど20年前の東洲斎写楽入門書。
図版の掲載は40点弱。いわゆる第一期の大首絵がそのうちの半分を占めていますが、相撲絵、追善絵、都座頭取口上図等々、主要なところはひと通りカバーしているので、写楽浮世絵の手引書としては過不足ないのでは。図版に付された解説も簡潔かつ要領よく、役者絵の楽しみ方を教えてもらえます。
本書の白眉は著者による13ページ写楽論。写楽といえば別人説がつきものですが、本書はいまや定説の斎藤十郎兵衛説を採用。
他の浮世絵師が描いた大首絵との作画の比較(上半身のトリミングなど)から他の浮世絵師の誰とも一致していないと結論づけたり、そうかと思えば他の浮世絵師の画歴から類似例(デビュー当時から破格の扱いだった歌川国政やスポンサーの出資で役者絵を出版した三代歌川豊国)からアマチュアの斎藤十郎兵衛が写楽であっても不審がないとする解説はまことにごもっとも。いわゆる写楽の謎解きというやつは写楽を特別扱いしたいあまり、他の浮世絵師の場合はどうだったかという点がおろそかになっているのではないでしょうか。
特に興味深かったのは初代歌川豊国が書き残した役者絵論。「大うつわらはへの戯れにも松本幸四郎の鼻高きを贋せ、岩井半四郎のくちひるの出たるをその儘にゑがきておのつから画師の目をも驚かすもの少からず」というものですが、これって、謎解き本なんかで写楽に対するあてこすりといわれる喜多川歌麿の某書き込みなんかよりも、はるかにストレートに写楽の大首絵への言及じゃないですか! この豊国の文章を紹介した写楽の本が他に見当たらないのがちょっと不思議なレベル。まあ、きっと東洲斎写楽=斎藤十郎兵衛に有利な証言だから、写楽の謎解きでお金儲けがしたい向きには黙殺されてきたのでしょうね……
巻末には浮世絵年表が掲載されており、写楽以外の話題についても綿密に押さえられているのでとっても便利。
すでに20年前の本とはいっても内容に古びた感じはなく、いまでもきちんと押さえておきたい写楽の基礎知識であります。
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東洲斎写楽 (新潮日本美術文庫) 単行本 – 1997/10/10
大久保 純一
(著)
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東洲斎写楽
- 本の長さ93ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1997/10/10
- ISBN-104106015412
- ISBN-13978-4106015410
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2017年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年5月17日に日本でレビュー済み
新書より一回り大きく、カラーのページ一杯の図版が30枚程度とその解説が入っています。写楽の図の特徴、変遷、他の浮世絵師と比べた時の位置づけ等が書いてあります。値段も手頃で、気楽に写楽の世界について知ることができるので良いと思います。著者の書き方が浮世絵について詳しくない自分にもわかりやすく、大変読みやすかったです。最後に写楽についての解説があり、写楽の「正体」についても説明があります。一方的に押し付けるわけではなく、有力な説を根拠、時代背景を含めて解説しています。写楽について既に詳しい方には物足りないのかも知れませんが、個人的には大いに楽しめました。大久保さんの解説が気に入ったので、岩波新書の「浮世絵」も買って読みましたが、こちらもお勧めです。
2004年8月4日に日本でレビュー済み
写楽が阿波藩お抱えの能役者斎藤十郎兵衛だったということは、いまやほぼ100パーセント近く確実なのですが、「写楽実はだれそれ説」というのはまだ跡を絶たないのでしょうか。擬似学問ごっこをしたい素人が多いということかもしれませんね。しかし近年また、「写楽は北斎だ」という何番煎じかのアイディアの本を出したのは、大学の美術史の先生だそうで。写楽と北斎との違いもわからないで、御商売はだいじょうぶなのでしょうか。
こちらの本は、ちゃんとした浮世絵の専門家が書いた、最も安価で良質の1冊です。図版をながめて簡潔で的確な解説と本文を読めば、ほかのだれでもないこの浮世絵師の個性がよくわかります。
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