資料
①2011年(平成23年) 3月11日 東日本大震災 ②2011年8月5日 ディアスポラ 単行本出版 文藝春秋
③2014年2月7日 ディアスポラ 文庫版出版 文春文庫 ④2018年11月28日 死去
原発事故からわずか半年でこのような内容の本を出していることに驚いた。私は当時はこの本が出版されていることを知らず、亡くなってからのネットの追悼記事の中で知った。
内容は3.11よりもずっと大きな原発事故が起き、日本中が人間が住めない状態、つまり日本が国土を失った時に想定される、人びとが取るであろう2つのパターン。中編小説二つという形で書かれている。必要にして十分なことが書きこまれているている教科書みたいな本だ。
①逃げ出す。よその国で難民となる。「ディアスポラ」
②国内に取り残される。「水のゆくえ」
日本は世界でたった一つ、2種類の原子力による被害を経験した国になった。広島、長崎への原爆投下と地震による福島原発の爆発である。今回の原発事故は幸いにしてというか国土全部を失うということにはならなかったが、迫り来る危機を現実として敏感に感じ取れないお人好しの日本人。
ちなみに”ディアスポラ” という言葉は、解説で百田氏が書いているような一般的な”植物がタネを飛ばす”というような甘い意味では使われない。日本人には馴染みが薄いだろうが、一歩海外に出れば、特に欧米人社会においては、ユダヤ人が紀元73年、ユダヤ戦争のマサダの戦いに敗け、故郷を追われて世界中に散らばっていったことを指す。だからこそ勝谷氏は作中においてユダヤ人のダヤン・ヒレルを登場させ、およそ2000年を経過した自分の民族の歴史を語らせ、それを追うような歴史を辿ることになるであろう日本人民族の将来について推測させているのだ。
ダヤンの話の中で宋時代の中国にユダヤ人がたくさん来たというのは印象的だ。「いまは中国にはあまりユダヤ人はいないけど、彼らはどうなったの?」という主人公の問いにダヤンはこう答える。「塩のように溶けて、消えてしまったんだよ」表紙カバーの、おそらくナムゲルと奈津子と思われる男と女が手を取り合って遠ざかっていく姿が、溶けて消えていく日本民族の遺伝子の未来の象徴のように見える。
お酒のことばかりが取り上げられてメディアには流れているが、隠れた素顔は冷徹な分析家だった。勝谷氏にはもっと長生きして、世の中の仕組みについて、私達のボーッとした頭の中身を整理して教えてくれるような小説をたくさん書いて欲しかった。

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ディアスポラ 単行本 – 2011/8/4
勝谷 誠彦
(著)
“事故”により日本列島が居住不能となり、日本人は世界中の国々に設けられた難民キャンプで暮らすことを余儀なくされた。ここ、チベットのラサから二千キロもはなれたメンシイにも、日本人の難民キャンプがある。国連職員としてキャンプを訪れた“私”の目に映ったのは、情報から隔絶され、将来への希望も見いだせないままに、懸命に「日本人として」生きようとする人々の姿だった(「ディアスポラ」)。いまから十年前に、破滅的な原発事故で国を失った日本人、という設定で、日本人のアイデンティティーを追究した、いまにして思えば「先見の明」としか言いようのない作品。2作目の「水のゆくえ」は同じ設定の下、日本に残り、酒造りを再開しようとする酒蔵の息子を描く。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2011/8/4
- ISBN-104163807500
- ISBN-13978-4163807508
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2011/8/4)
- 発売日 : 2011/8/4
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 240ページ
- ISBN-10 : 4163807500
- ISBN-13 : 978-4163807508
- Amazon 売れ筋ランキング: - 183,675位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年8月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
野暮天を覚悟で言えば、何が起こったのか最後までわかりませんでした。
まず10年前に今を予見して書いているのには素直に驚き。
いや、見事です。と、脱帽します
偶然ながら「撫子」の名前も、撫子ジャパンとの奇遇にびっくりで、自慢されても良いすばらしさです
作品はすばらしいのですが、効果を狙ったのでしょうが
肝心の日本に住めなくなったアクシデントが、さりげなく原発と風の関係だけを、ほのめかされているだけなので、クリアに理解できないのがたいへん残念です
未読の方にはネタバレで申し訳ありませんが、
日本に何らかの原子力発電所の1万年に一度(と言われた)事故があり、放射能降下物が舞い降りて、被害を受けた日本人が死に、生き残った日本人は、
「日本沈没」のように、世界各地を放浪する・・・のでしょうが、
この作品は日本人のアイデンティティを問うものでしょうから、本来は原発でなくても良かったのかもしれません
それが、福島原発と、撫子ジャパンで出版に至ったのかもしれませんが、
(そうでなくても面白い小説で、中身だけでも100点に値すると思われますが)
残念なのは、この本が、福島県民差別に直結する風評被害に結びつきそうだからです
現状では、(2011年8月10日現在)何とか冷却も進み、30キロは解除できそうな趨勢になっていますが、
福島県民は、福島ナンバーと言うだけで、差別されている現状があります。
医療従事者の端くれとして、被災者の方々が避難所で、血圧血糖がめちゃくちゃな数値になっているのを見ると
いま、原発周辺から逃げ出した事で、かえって不健康になって死ぬ人も言うという印象があるので
あまり風評被害を浴びせる小説はちょっと疑問があります
昔、被曝者差別は広島でも長崎でもあった訳でしたが、子ども同士の差別もひどく
子ども同士で福島県民をいじめるような子どもは、是非、灘高の受験を落として欲しいものです(関係ないか?・・・)
さて、
この本の設定では
日本全部が住めないのですから、
おそらくは日本の真ん中あたりに位置する原発が、爆発して(核爆発?黒鉛?水蒸気?水素?)
時間あたり10シーベルトくらいの降下物が振り注ぐくらいでないと、この本のように、ばたばた全員が死ぬ事態にはならないように思えます
そこまで日本中に振ると言う事は、
現実には、朝鮮半島や中国ももちろん北半球上のどこでも死亡してもおかしくないほどの核物質が振らないと理論的におかしいように考えられるからです
日本のどこに住んでいても、この酒屋さん一帯のような即死レベルの降下量にならないと、全日本から避難と言うことにならないし
そこまで振るなら世界中どこでもダメなような気がします
太平洋の核実験でも、チェルノブイリでも、世界のどこでも核物質は振っていました
壮大な日本人の尊厳を問う小説として、話しは面白いし、チベットの現状の批判も苦みが利いて見事です
ただ、SFは、設定にまじめな本当らしさがないと、もとSF研究会の出身者としては、ちょっと設定に納得がいきません
また、福島に住む方々が読むと、(私もむかし住んでいました)
現状では降下量が激減しているのに、この小説でまた差別されるのか?、と、絶望感が伴うと思います
以上、納得ができない点が残っている訳ですが
現代を批判する小説として皆様に読んで欲しいので星五つですばらしいと存じます
まず10年前に今を予見して書いているのには素直に驚き。
いや、見事です。と、脱帽します
偶然ながら「撫子」の名前も、撫子ジャパンとの奇遇にびっくりで、自慢されても良いすばらしさです
作品はすばらしいのですが、効果を狙ったのでしょうが
肝心の日本に住めなくなったアクシデントが、さりげなく原発と風の関係だけを、ほのめかされているだけなので、クリアに理解できないのがたいへん残念です
未読の方にはネタバレで申し訳ありませんが、
日本に何らかの原子力発電所の1万年に一度(と言われた)事故があり、放射能降下物が舞い降りて、被害を受けた日本人が死に、生き残った日本人は、
「日本沈没」のように、世界各地を放浪する・・・のでしょうが、
この作品は日本人のアイデンティティを問うものでしょうから、本来は原発でなくても良かったのかもしれません
それが、福島原発と、撫子ジャパンで出版に至ったのかもしれませんが、
(そうでなくても面白い小説で、中身だけでも100点に値すると思われますが)
残念なのは、この本が、福島県民差別に直結する風評被害に結びつきそうだからです
現状では、(2011年8月10日現在)何とか冷却も進み、30キロは解除できそうな趨勢になっていますが、
福島県民は、福島ナンバーと言うだけで、差別されている現状があります。
医療従事者の端くれとして、被災者の方々が避難所で、血圧血糖がめちゃくちゃな数値になっているのを見ると
いま、原発周辺から逃げ出した事で、かえって不健康になって死ぬ人も言うという印象があるので
あまり風評被害を浴びせる小説はちょっと疑問があります
昔、被曝者差別は広島でも長崎でもあった訳でしたが、子ども同士の差別もひどく
子ども同士で福島県民をいじめるような子どもは、是非、灘高の受験を落として欲しいものです(関係ないか?・・・)
さて、
この本の設定では
日本全部が住めないのですから、
おそらくは日本の真ん中あたりに位置する原発が、爆発して(核爆発?黒鉛?水蒸気?水素?)
時間あたり10シーベルトくらいの降下物が振り注ぐくらいでないと、この本のように、ばたばた全員が死ぬ事態にはならないように思えます
そこまで日本中に振ると言う事は、
現実には、朝鮮半島や中国ももちろん北半球上のどこでも死亡してもおかしくないほどの核物質が振らないと理論的におかしいように考えられるからです
日本のどこに住んでいても、この酒屋さん一帯のような即死レベルの降下量にならないと、全日本から避難と言うことにならないし
そこまで振るなら世界中どこでもダメなような気がします
太平洋の核実験でも、チェルノブイリでも、世界のどこでも核物質は振っていました
壮大な日本人の尊厳を問う小説として、話しは面白いし、チベットの現状の批判も苦みが利いて見事です
ただ、SFは、設定にまじめな本当らしさがないと、もとSF研究会の出身者としては、ちょっと設定に納得がいきません
また、福島に住む方々が読むと、(私もむかし住んでいました)
現状では降下量が激減しているのに、この小説でまた差別されるのか?、と、絶望感が伴うと思います
以上、納得ができない点が残っている訳ですが
現代を批判する小説として皆様に読んで欲しいので星五つですばらしいと存じます
2018年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2001-2002の作品。読むの2回目。原発事故をテーマにした作品。311が起こる前からこんなところに目をつけている点はさすが。表題作では、人種の問題を扱い、“水のゆくえ”では公共事業と、それによって皮肉にも助かる命とを描いている。名作。
2011年8月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この2作品と邂逅したのは2004年頃。文學界のバックナンバーを図書館で借り出して。
「水のゆくえ」は勝谷氏の日記を読まれている方には、すっと馴染むだろう内容。
酒造りや選挙など、どちらかというとさらり、と。
「ディアスポラ」が余りにも重量級なので、読むのが面倒になってくるかも知れない。
先に収められている「ディアスポラ」はそのタイトルから、ユダヤの民が題材だと思い込んでいたところ、
対象が日本人であったことにかなりショックを受けたことが記憶に生々しい。
同時に、なんて酷いモノを書く人なのだろう(日本がそんなことになる筈がない、という意味で)!と
半ば憤りすら感じたことも鮮明に思い出せる。
読み進むうちに、これは日本人を書いたのではなくてチベットの人達を書いたモノなのだ、
と勝手に自分の中で消化しようとしていたことも覚えている。民族離散と民族浄化。
まさか日本人が大和民族が、忌むべき大きな流れに巻き込まれることがあろうか?と。
しかし、リアルに背筋が寒くなるような描写によって、
やがて自分がこのような現実に向き合うことがあるならば、と想定させられてしまった。
ディアスポラは難民とは異なる。離散した先で住み着くという意味がある。
私のルーツは中国に続き、日本に帰化して今日に至る家系故か、
とにかく読後に嫌な気持ちになったことが忘れられない。
今日、単行本として改めて手に取り思い出した。
購入はしたけれど、私は多分読まないと思う。
子供達には然るべきタイミングで読ませようと思う。
「水のゆくえ」は勝谷氏の日記を読まれている方には、すっと馴染むだろう内容。
酒造りや選挙など、どちらかというとさらり、と。
「ディアスポラ」が余りにも重量級なので、読むのが面倒になってくるかも知れない。
先に収められている「ディアスポラ」はそのタイトルから、ユダヤの民が題材だと思い込んでいたところ、
対象が日本人であったことにかなりショックを受けたことが記憶に生々しい。
同時に、なんて酷いモノを書く人なのだろう(日本がそんなことになる筈がない、という意味で)!と
半ば憤りすら感じたことも鮮明に思い出せる。
読み進むうちに、これは日本人を書いたのではなくてチベットの人達を書いたモノなのだ、
と勝手に自分の中で消化しようとしていたことも覚えている。民族離散と民族浄化。
まさか日本人が大和民族が、忌むべき大きな流れに巻き込まれることがあろうか?と。
しかし、リアルに背筋が寒くなるような描写によって、
やがて自分がこのような現実に向き合うことがあるならば、と想定させられてしまった。
ディアスポラは難民とは異なる。離散した先で住み着くという意味がある。
私のルーツは中国に続き、日本に帰化して今日に至る家系故か、
とにかく読後に嫌な気持ちになったことが忘れられない。
今日、単行本として改めて手に取り思い出した。
購入はしたけれど、私は多分読まないと思う。
子供達には然るべきタイミングで読ませようと思う。
2017年6月28日に日本でレビュー済み
2011年の福島を予見していたかのようなテーマは偶然かもしれないが素晴らしい。
中国のチィベット弾圧とからめ、その奥に日本人のアイデンティティーとは何なのかを
ユダヤ民族との比較で表現している。着眼点と素材の選択はとても良いが・・・・
とにかく読みにくい。無理やりちりばめた難しい日本語、ぎくしゃくした暗い文章。
読むのに時間がかかりすぎ。 これでは売れないでしょう。
ベストセラーになる小説ってストーリーが面白い、
しかし、それ以前に『読みやすい』『さくさくページが進みます』が大切です。
第二話 「水のゆくえ」
も全く同じ。勝谷氏の得意な「酒造り」の部分はさくっと読めますが、あとは
残念・・・
中国のチィベット弾圧とからめ、その奥に日本人のアイデンティティーとは何なのかを
ユダヤ民族との比較で表現している。着眼点と素材の選択はとても良いが・・・・
とにかく読みにくい。無理やりちりばめた難しい日本語、ぎくしゃくした暗い文章。
読むのに時間がかかりすぎ。 これでは売れないでしょう。
ベストセラーになる小説ってストーリーが面白い、
しかし、それ以前に『読みやすい』『さくさくページが進みます』が大切です。
第二話 「水のゆくえ」
も全く同じ。勝谷氏の得意な「酒造り」の部分はさくっと読めますが、あとは
残念・・・
2011年8月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
勝谷氏といえば、好き嫌いの分かれる方ではないかと思います。
でもこの小説は、いったんそれを忘れて読んでもらいたい。
ディアスポラでえがかれる世界は、厳しい。
でもラストの若者たちは、前へ進んでいく。
読む者にじわじわと勇気を与えてくれます。
水のゆくえは、酒造りやダムの文章がマニアック?過ぎて
ちょっと中だるみするとこもあります。あと知事選挙のあたり
の文章は、田中康夫氏の選挙戦を手伝った氏ならではでしょう。
でもラストに向かうにつれ、「ただ生きるのではなく良く生きること」
を感じさせてくれます。
私もまだ一回しか読んでいないですが、何度も読んで反芻したくなる
そんな小説です!!!
でもこの小説は、いったんそれを忘れて読んでもらいたい。
ディアスポラでえがかれる世界は、厳しい。
でもラストの若者たちは、前へ進んでいく。
読む者にじわじわと勇気を与えてくれます。
水のゆくえは、酒造りやダムの文章がマニアック?過ぎて
ちょっと中だるみするとこもあります。あと知事選挙のあたり
の文章は、田中康夫氏の選挙戦を手伝った氏ならではでしょう。
でもラストに向かうにつれ、「ただ生きるのではなく良く生きること」
を感じさせてくれます。
私もまだ一回しか読んでいないですが、何度も読んで反芻したくなる
そんな小説です!!!
2014年11月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
百田尚樹氏からの「売れない小説」とのこと。大いに結構!幻冬舎からの「売らんかな本」よりは私は大好きである。著者の外見は下品だが、
才能、精神、人格は孤高で気高い。50年後は名作との評価を受けると信じる。
才能、精神、人格は孤高で気高い。50年後は名作との評価を受けると信じる。
2011年12月2日に日本でレビュー済み
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そりゃあ勝谷氏は結婚しない(出来ない)なあ、とつくづく感じてしまいました。
滅茶苦茶世俗的に例えると、テレビで明石家さんまさんが冗談半分で描写する理想の女性像のよう。
2つの話に登場する女性は一貫して処女性、及び同義語としての娼婦性の中に見る気高さ・虚無性・母性を持つ。
同時に、知識や経験に起因しない達観した感性も持ち合わせている。
そんな女は現実にはおらへんわ!! 解るけど。
これらの女性に限らず、中心人物や他の登場人物の描写は、読んでいて反感を持たないと同時に不用な感情移入もない。
同様に慣習・国家というものに対する単純な絶対善・絶対悪も描かれていない。
それが尚一層、ストーリー自体のテーマ・問題意識を際立たせているように感じます。
TVで拝見する勝谷氏が常に政治家・官僚・国家などを徹底的に攻撃するのと、完全に対称で少し驚きました。
私は純粋に楽しめました。
滅茶苦茶世俗的に例えると、テレビで明石家さんまさんが冗談半分で描写する理想の女性像のよう。
2つの話に登場する女性は一貫して処女性、及び同義語としての娼婦性の中に見る気高さ・虚無性・母性を持つ。
同時に、知識や経験に起因しない達観した感性も持ち合わせている。
そんな女は現実にはおらへんわ!! 解るけど。
これらの女性に限らず、中心人物や他の登場人物の描写は、読んでいて反感を持たないと同時に不用な感情移入もない。
同様に慣習・国家というものに対する単純な絶対善・絶対悪も描かれていない。
それが尚一層、ストーリー自体のテーマ・問題意識を際立たせているように感じます。
TVで拝見する勝谷氏が常に政治家・官僚・国家などを徹底的に攻撃するのと、完全に対称で少し驚きました。
私は純粋に楽しめました。