久しぶりに著者の本を読んだ。もうひとりのKeikoさんの絶望的なほど盲目的なイギリス礼賛と違って、以前の著書と同様、現地で生活する実感がリアルに伝わってくるところがいい。たとえば、永住ビザの取得をめぐる話や、移民問題、イギリス人の商売の変らぬ非能率さなど、やはりなるほどと思わせてくれる。自転車を買ったときのエピソードなどは本当に笑える。
一方、フォークランド紛争と竹島問題を比べて、日本も武力で竹島を守れと気炎を上げたり、会田雄次氏の『アーロン収容所』を「幼い愚痴」としてくそみそにけなしたりしているのはどうかと思う。今でもときに姿を表すイギリス人の大英帝国意識の亡霊や、(白人)イギリス人の有色人種に対する差別意識は、著者も身にしみて感じてきたはずなのだが。
著者の利点は、日本とイギリスのそれぞれに対して、インサイダーとアウトサイダー両方の視点から二つの国の文化を比較できるところにあると思うが、イギリス暮らしが長くなったせいか、かつての批判力が鈍っているように思われるときもある。
たとえば、著者はイギリスの健康保険制度(ナショナル・ヘルス・サービス: NHS)をほとんど手放しで礼賛しているが、つい最近、BBCのオンライン・ニュースで、歯科診療が信頼できないので民間の医者に患者が流れるという話を読んだばかり。医者や看護師の慢性的不足、院内感染の多さなども相変わらず報道されている。緊急医療が6時間待ちから3時間待ちになったところで、NHSが改善されたとはいえないと思う。著者個人の経験から一般論への広がりが欲しいところ。
それから、本書のタイトルはいささかミスリーディング。著者のポルトガル人の友人の死やローマ法王の逝去、パリでの話なども含まれていて、必ずしもイギリスについてだけ書かれているわけではない。ただ、著者の昔と変らぬエネルギーには脱帽するのみ。

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やっぱり、イギリス人はおかしい (文春文庫 た 49-9) 文庫 – 2008/10/10
高尾 慶子
(著)
ロンドン・テロの背景を考察し、アテネ・オリンピックを楽しみ、医者とのつきあいや自転車の購入をめぐって英国での日常生活を綴る
- 本の長さ355ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2008/10/10
- ISBN-104167123177
- ISBN-13978-4167123178
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2008/10/10)
- 発売日 : 2008/10/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 355ページ
- ISBN-10 : 4167123177
- ISBN-13 : 978-4167123178
- Amazon 売れ筋ランキング: - 894,288位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 416位ヨーロッパの地理・地域研究
- - 8,987位文春文庫
- - 16,549位社会学概論
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年10月4日に日本でレビュー済み
文筆家デビュー時のエッセイは痛快だったが、本書はご自身のために書かれたメモワールと言ってよい。冒頭に「本書を故 米原万里さんに捧げる」とある。読者としては両者の力量を較べざるを得ないが、較べるまでもない。本書の著者には米原氏が持ち合わせた他人を面白がらせる才能が決定的に欠けている(米原氏はそのためならば悪気のない作り話も厭わなかった)。
精力的に著作を出版されているようだが、本書に関しては自費出版のレベルと言え、身内以外は蚊帳の外に置かれる。
他の方も書かれているが、むやみやたらと貶すのは聞き苦しい。老害という日本語はご存知なのだろうか。改めて米原万里の毒舌の稀有な才能を認識する機会となった。
精力的に著作を出版されているようだが、本書に関しては自費出版のレベルと言え、身内以外は蚊帳の外に置かれる。
他の方も書かれているが、むやみやたらと貶すのは聞き苦しい。老害という日本語はご存知なのだろうか。改めて米原万里の毒舌の稀有な才能を認識する機会となった。
2015年8月15日に日本でレビュー済み
2007年に単行本で読み、最近また引っ張り出してきて読んでみました。
毒舌おばさんの言いたい放題という他の評者の批判は当たっています。しかし、著者が本当に正直な人で、自分の感じていることをそのままに書いていることがよく伝わってきます。毒舌があらぬ方向に飛んで行ったりしている点はありますが、英国でしばらく過ごした経験のある人には本当にそんなとこあるよねと同感する場面がいっぱいあると思います。例えば、滞在許可延長の申請にホームオフイスに行った時の話など。
もう一人の慶子さん(井形慶子さん)の本では英国が素敵で優雅な憧れの国のように描かれていますが、それを真に受けて(観光旅行は別ですが)英国に住んでみたらショックを受ける人もいるかと思います。本書に書かれているようにプラスとマイナスの両面のあることをよく認識しておく必要があります。
この本にあるように英国のいい点も実際いっぱいあります。一方、日本の方が断然いいぜというところもあります。この本には書いてありませんが、配達荷物の受け取りに一日家にいなければならなかったり、その日に届かなくて次の日も一日中待っていなければならなかったりした時などは、日本の宅配便の時間指定や再配達システムを思い出して今すぐ帰りたいと思う人も多いでしょう。
大陸と狭い海を隔てた島国という点で英国と日本は共通し、共通の島国根性があります。しかし、異なる点も多くて、その一つが民主主義の定着度(民主主義の歴史によるもの)と言えると思います。怒り心頭で書いている日本の政治と過去の愚かな戦争、それは著者の日本人としての愛国心から発しているものと私は思います。
この本は英国と日本についての比較の評論ではなく自分自身の体験から来た思いをそのまま綴ったものですので、人種差別だの日本蔑視だのとむきになる必要はありません。肩の力を抜いて、著者と共に大いに笑ったり、ほろっとしたり、怒ったりすればよいのです。もちろん異論があったら、そこは違うぜおばさんと言えばいいのです。でも、この本に書いてあることにいろいろな点で真実があることも確かです。私が思うに、やっぱりイギリス人はおかしいです。でも日本人もやっぱりおかしいです。
追記: 2020年5月に本書と井形慶子さんの「仕事と年齢にとらわれないイギリスの豊かな常識」を読み返してみました。井形さんの本はレポーターとしての視点から書かれたもので、一方高尾慶子さんの本は実際にロンドンに長く住み生活している人の視点から書かれたものということをあらためて確認しました。また、著者の交際範囲の人々はワーキングクラスや移民として英国に来た人達だということを認識する必要があります。実はこれらの人達が現在の英国での大きな勢力を(少なくとも都市部では)占めていることを理解しておく必要があります。以前からの日本人の英国人のイメージ(中流のアングロサクソン)は現実とずれているとも言えます。いずれにせよ、一日がかりでホームオフィスへ出かけて滞在ビザを更新した経験のある人でないと書けない本です。井形さんの怒り狂う日本の政治は現在も変わりません。本書の最後の日本軍隊による捕虜虐待や日本人の戦争総括の話はそのとおりと納得します(抵抗のある読者もあるかと思いますが)。自身のカトリック信仰を出し過ぎということはあるかもわかりませんが、個人の信仰の問題でありとやかく言うものでもないと思います。いずれにしても本当に正直なおばさんです。お元気で今後も執筆を続けて下さい。
毒舌おばさんの言いたい放題という他の評者の批判は当たっています。しかし、著者が本当に正直な人で、自分の感じていることをそのままに書いていることがよく伝わってきます。毒舌があらぬ方向に飛んで行ったりしている点はありますが、英国でしばらく過ごした経験のある人には本当にそんなとこあるよねと同感する場面がいっぱいあると思います。例えば、滞在許可延長の申請にホームオフイスに行った時の話など。
もう一人の慶子さん(井形慶子さん)の本では英国が素敵で優雅な憧れの国のように描かれていますが、それを真に受けて(観光旅行は別ですが)英国に住んでみたらショックを受ける人もいるかと思います。本書に書かれているようにプラスとマイナスの両面のあることをよく認識しておく必要があります。
この本にあるように英国のいい点も実際いっぱいあります。一方、日本の方が断然いいぜというところもあります。この本には書いてありませんが、配達荷物の受け取りに一日家にいなければならなかったり、その日に届かなくて次の日も一日中待っていなければならなかったりした時などは、日本の宅配便の時間指定や再配達システムを思い出して今すぐ帰りたいと思う人も多いでしょう。
大陸と狭い海を隔てた島国という点で英国と日本は共通し、共通の島国根性があります。しかし、異なる点も多くて、その一つが民主主義の定着度(民主主義の歴史によるもの)と言えると思います。怒り心頭で書いている日本の政治と過去の愚かな戦争、それは著者の日本人としての愛国心から発しているものと私は思います。
この本は英国と日本についての比較の評論ではなく自分自身の体験から来た思いをそのまま綴ったものですので、人種差別だの日本蔑視だのとむきになる必要はありません。肩の力を抜いて、著者と共に大いに笑ったり、ほろっとしたり、怒ったりすればよいのです。もちろん異論があったら、そこは違うぜおばさんと言えばいいのです。でも、この本に書いてあることにいろいろな点で真実があることも確かです。私が思うに、やっぱりイギリス人はおかしいです。でも日本人もやっぱりおかしいです。
追記: 2020年5月に本書と井形慶子さんの「仕事と年齢にとらわれないイギリスの豊かな常識」を読み返してみました。井形さんの本はレポーターとしての視点から書かれたもので、一方高尾慶子さんの本は実際にロンドンに長く住み生活している人の視点から書かれたものということをあらためて確認しました。また、著者の交際範囲の人々はワーキングクラスや移民として英国に来た人達だということを認識する必要があります。実はこれらの人達が現在の英国での大きな勢力を(少なくとも都市部では)占めていることを理解しておく必要があります。以前からの日本人の英国人のイメージ(中流のアングロサクソン)は現実とずれているとも言えます。いずれにせよ、一日がかりでホームオフィスへ出かけて滞在ビザを更新した経験のある人でないと書けない本です。井形さんの怒り狂う日本の政治は現在も変わりません。本書の最後の日本軍隊による捕虜虐待や日本人の戦争総括の話はそのとおりと納得します(抵抗のある読者もあるかと思いますが)。自身のカトリック信仰を出し過ぎということはあるかもわかりませんが、個人の信仰の問題でありとやかく言うものでもないと思います。いずれにしても本当に正直なおばさんです。お元気で今後も執筆を続けて下さい。
2016年2月3日に日本でレビュー済み
著者の本はこれが初めて。
私もイギリスに住んだことがあり、色々と矛盾や不便さを感じたことを思い出して手に取りました。
ところが、、、タイトルから、「イギリス人」の性質についてユーモアをもって書いてあるのかと思えば、ほとんど「著者の日常」の話ばかり。
著者以外に出てくる人々は、イギリス・フランスに住む日本人のご友人やイギリスの移民がほとんど。
イギリス(特にロンドン)に移民がとても多いのは事実ですが、読者が期待しているイギリスに生まれ育った「イギリス人」ではありません。
「ロンドンに住むワーキングクラスの引退したご年配の方の日常」についてつらつら書いてあるだけ。
フランスに絵を買いに行った話など、「イギリス人はおかしい」というテーマと何の関係があるのか?
これならイギリス在住の方のブログでも読んだ方がよっぽど面白いです。
いわゆる毒舌的な語り口なのですが、胸がすくような印象ではなく、なんともつまらなく、後味が悪いです。
私もイギリスに住んだことがあり、色々と矛盾や不便さを感じたことを思い出して手に取りました。
ところが、、、タイトルから、「イギリス人」の性質についてユーモアをもって書いてあるのかと思えば、ほとんど「著者の日常」の話ばかり。
著者以外に出てくる人々は、イギリス・フランスに住む日本人のご友人やイギリスの移民がほとんど。
イギリス(特にロンドン)に移民がとても多いのは事実ですが、読者が期待しているイギリスに生まれ育った「イギリス人」ではありません。
「ロンドンに住むワーキングクラスの引退したご年配の方の日常」についてつらつら書いてあるだけ。
フランスに絵を買いに行った話など、「イギリス人はおかしい」というテーマと何の関係があるのか?
これならイギリス在住の方のブログでも読んだ方がよっぽど面白いです。
いわゆる毒舌的な語り口なのですが、胸がすくような印象ではなく、なんともつまらなく、後味が悪いです。
2010年3月21日に日本でレビュー済み
高尾さんの著書は全て読んでいる程ファンでした。
初期の頃は歯に衣着せぬ物言いで日英両方を批判されていましたが、ここ数年公平さを失われてるように思えます。
昔は日本批判をされていても、根底にはやっぱり日本が好きという感情が読めて取れましたが、最近はただの嫌悪感としか取れませんし、以前はきつい事を書いていても笑えましたが、もう笑えません。
ただの自慢ばかり並べられていてつまらないです。
イギリス人はおかしいと言いながら、盲目的にイギリスを褒めたたえてるほうにしか思えません。
多分イギリスで年金をもらって世話になっているという恩からでしょうか。
冷静さ公平さを失った高尾さんの本、とても残念です。
初期の頃は歯に衣着せぬ物言いで日英両方を批判されていましたが、ここ数年公平さを失われてるように思えます。
昔は日本批判をされていても、根底にはやっぱり日本が好きという感情が読めて取れましたが、最近はただの嫌悪感としか取れませんし、以前はきつい事を書いていても笑えましたが、もう笑えません。
ただの自慢ばかり並べられていてつまらないです。
イギリス人はおかしいと言いながら、盲目的にイギリスを褒めたたえてるほうにしか思えません。
多分イギリスで年金をもらって世話になっているという恩からでしょうか。
冷静さ公平さを失った高尾さんの本、とても残念です。
2009年6月10日に日本でレビュー済み
初期の作品は楽しく笑える話でだったのですが、笑えなくなってしまいました。
↓抜粋です。
「モズレム(イスラム教徒)とは日本の武士道と同じで自殺や復習に情熱を傾けているので始末が悪い」
「アフリカのダンスに比べたら日本の伝統舞踊の方が単純だ。」
「・・・ふくよかだがデブではない。
「不幸にも、日本社会を嫌っているのは日本のインテリジェントで、日本がいい国だと満足しているのは教育の低い、 そして、社会から実際は虐げられている庶民なのだ。イギリスとまったく反対だ。イギリスでは、イギリスに胸を張り、 これ以上いい国はないと満足しているのは高学歴でアッパーミドルクラス以上である。・・・マジョリティである日本の庶民の文化度が向上しない限り日本社会に変化はないだろう。」
「だいたい英国人と結婚している日本女性は、フランス人と結婚している日本人女性に比べブスでセンスも良くない・・・・
などなど限がありません。
高尾さんが言う恥ずかしい文化の低い日本人が高尾さんの本を購入しているのです。
そこまで日本が嫌いで恥ずかしい国と思っているのなら印税など本からの収入すべてを
教会に寄付しているのでしょうか?
まさかそのまま受け取っているのなら「恥ずかしい」以下の存在です。
キリスト教を完全に美化・肯定し他の宗教を否定するのは理解できません。
それと綺麗な日本語を使ってください。英国生活で日本語を忘れたのですか?
↓抜粋です。
「モズレム(イスラム教徒)とは日本の武士道と同じで自殺や復習に情熱を傾けているので始末が悪い」
「アフリカのダンスに比べたら日本の伝統舞踊の方が単純だ。」
「・・・ふくよかだがデブではない。
「不幸にも、日本社会を嫌っているのは日本のインテリジェントで、日本がいい国だと満足しているのは教育の低い、 そして、社会から実際は虐げられている庶民なのだ。イギリスとまったく反対だ。イギリスでは、イギリスに胸を張り、 これ以上いい国はないと満足しているのは高学歴でアッパーミドルクラス以上である。・・・マジョリティである日本の庶民の文化度が向上しない限り日本社会に変化はないだろう。」
「だいたい英国人と結婚している日本女性は、フランス人と結婚している日本人女性に比べブスでセンスも良くない・・・・
などなど限がありません。
高尾さんが言う恥ずかしい文化の低い日本人が高尾さんの本を購入しているのです。
そこまで日本が嫌いで恥ずかしい国と思っているのなら印税など本からの収入すべてを
教会に寄付しているのでしょうか?
まさかそのまま受け取っているのなら「恥ずかしい」以下の存在です。
キリスト教を完全に美化・肯定し他の宗教を否定するのは理解できません。
それと綺麗な日本語を使ってください。英国生活で日本語を忘れたのですか?
2010年7月8日に日本でレビュー済み
イギリスといえば、紅茶、有名大学、ピーターラビット、ハロッズ・・・勝手に優雅で高貴なイメージを抱いていましたが、実際はツッコミどころ満載で笑えました。
特に好きなのは、著者が自転車を買うところです。数万円、新品なのにキズだらけ、買った日に乗って帰れない、スタンドは別売り!日本のコーナンで自転車を買える幸せに気付きました。
特に好きなのは、著者が自転車を買うところです。数万円、新品なのにキズだらけ、買った日に乗って帰れない、スタンドは別売り!日本のコーナンで自転車を買える幸せに気付きました。
2015年3月1日に日本でレビュー済み
読んで何かの足しになるようなものではありません。イギリスに文句を言いつつ返す刀だかなんだか日本も批判する。
昔はこんな人でも本を出せたんですね。今なら、イギリスに住んでいる個人のブログ程度でしょう。
昔はこんな人でも本を出せたんですね。今なら、イギリスに住んでいる個人のブログ程度でしょう。