私はあまり「文藝春秋」を読まないので、中学生だった著者のレポートが掲載されたことは知りませんでした(この年の8月に行われたあるイベントの準備で忙しかったというのは言い訳ですね…)。11月にブックオフで購入した「2ちゃんねる宣言」の巻末にあった紹介記事を見て関心を惹かれたのは (a)15歳の少女がどのような文章を書いたのか (b)インターネットでどれほどの調査ができたのか という点です。
この本は、(1)1998年の「和歌山毒入りカレー事件」 (2)著者に関すること (3)著者が中学2年生のときに作成したレポート から構成されていますが、どれもが面白く、満足のいくものでした。
(1)について:「カレーで食中毒なんてあり?」という小さな疑問。夏休みの宿題というきっかけがあったにせよ、疑問を疑問で終わらせることなく納得のいくまで調べる行動力と文章力には感心しました。また、著者を取り巻く環境も素敵です。毒物の専門書の購入費を援助した父親が著者に話した言葉も素晴らしいと思います。人格的な家族に恵まれ、好奇心旺盛な著者だからこそ、この事件にも真摯に取り組めたのではないでしょうか。
(2)について:著者が小学生のとき遺跡の発掘作業に参加したことや、お兄さんの進学問題も興味深いものでした。「自由と自立と自主と…」という三好家のモットーも、著者の生き方によい影響を及ぼしたのでしょう。事件から3年後のことも書かれていますが、著者のこれからの活躍が楽しみです。
(3)について:事件が起きる1年前に作成された、「ハジメマシテ」の表記についてのレポートも唸らせるものがあり、楽しめました。

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四人はなぜ死んだのか: インターネットで追跡する毒入りカレー事件 (文春文庫 み 25-1) 文庫 – 2001/6/1
三好 万季
(著)
日本中を震撼させた和歌山毒入りカレー事件。中学の夏休みの宿題レポートに事件を取り上げた少女が辿り着いた衝撃の結論とは?
- 本の長さ313ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2001/6/1
- ISBN-104167656086
- ISBN-13978-4167656089
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上位レビュー、対象国: 日本
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2005年12月11日に日本でレビュー済み
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2016年7月21日に日本でレビュー済み
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素晴らしいドキュメントでした。到底中学生が書いたとは思えない文章。調査の方法等々参考になることばかり。馬齢を重ねた私は、恥ずかしい限り。反省とこの事件の本当の姿はどうだったのか。知りたいですね。
2005年1月30日に日本でレビュー済み
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著者が新聞で集めたという患者の症状が26ページに載っていたので、これを読んだ上で、著者の推薦する開業医の病名思い出しデータベースにあたってみた。砒素中毒など全く出てこなかった。明らかに著者は「砒素中毒」のバイアスの下で情報を恣意的に選んでいると思う。ニュートラルな立場からの情報の取捨選択は神でもない限り不可能である。カレー事件以前の砒素中毒で、医師たちがギランバレー症候群と誤診したことも著者は批判しているが、砒素中毒よりもギランバレーの方がずっと確率が高いのだから、症状が部分的に重なっていれば、そう診断されても仕方がない。考えられるすべての可能性を考えて検査、診断している時間も費用も日本医療にはない。
この事件の被害者遺族たちが、死因は医療過誤だとして、保健所と医師たちを相手におこした民事訴訟は一審部分勝訴、二審全面敗訴であった。
もっとも、現場取材しているだけで、専門書を読んだりInternetをあたったりする程度の情報収集を怠ったマスコミの情報分析能力は、当時中学生だった著者のそれをさらに下回る。
この事件の被害者遺族たちが、死因は医療過誤だとして、保健所と医師たちを相手におこした民事訴訟は一審部分勝訴、二審全面敗訴であった。
もっとも、現場取材しているだけで、専門書を読んだりInternetをあたったりする程度の情報収集を怠ったマスコミの情報分析能力は、当時中学生だった著者のそれをさらに下回る。
2005年5月22日に日本でレビュー済み
著者は当時中学3年生の少女で、新聞の記事を見て「食中毒にしては何か変ね」と素人ながらに疑問をもって探偵趣味も手伝って得意のインターネット検索を駆使していろいろ調べ、現地取材もしてまとめ上げたのが、本書の第1章、第2章。元々は単行本で数年後に文庫本化する際に校正しなおし、その後、著者に起こったことが第3章以下に書かれている。
中3の素人でもおかしいと疑問に思って調べて砒素中毒ではないかと推測できたのにどうして第1章、第2章で著者が言いたいことは、「現場の医師、薬剤師(マスコミも?)たちは誰一人気がつかなかったのだろうか。もし、気がついて適切な処置を取っていれば被害者は死ななくてもすんだかも知れない」ということだと思う。彼女の主張に対して賛否両論いろいろあると思う。学生が書いた文章の割に文体はしっかりしているが、軽さは否めない。インターネットからの情報は書籍からの情報に比べて責任の所在がはっきりしないから危険もある。でも、自分の同じ年頃の人が被害者になったことに他人事でないと著者が感じたこと。素直に「食中毒」という新聞記事に疑問を持ち根気よく調べたこと。私はそれなりに評価したい。現場の人たちがプロとは言え余裕がなかったのは想像に難くないが、誰一人疑問に思わなかったのだろうか、処置に当たった人たちは兎も角、取材していた厚生班のマスコミやテレビや新聞を見ていた他の医師や薬剤師、一般の人たちはどうして何も疑わなかったのだろうか、無関心だったのだろうか、と思うと自責の念も沸いてくる。多くの人たちが右向いている時に一人二人左向いている人がいてもよかったのではないだろうか、と。今の時代の我々は周りで起きた物事を素直に関心を持って受け入れることが出来ないのかなと考えさせられる一冊だった。第3章以下については特にコメントはない。本書や著者に対して批判も多いようだが(いい大人が十代の少女にむきになっているのはおかしいが)、それだけインパクトのある内容なのかも知れない。星の数は三つ半。
中3の素人でもおかしいと疑問に思って調べて砒素中毒ではないかと推測できたのにどうして第1章、第2章で著者が言いたいことは、「現場の医師、薬剤師(マスコミも?)たちは誰一人気がつかなかったのだろうか。もし、気がついて適切な処置を取っていれば被害者は死ななくてもすんだかも知れない」ということだと思う。彼女の主張に対して賛否両論いろいろあると思う。学生が書いた文章の割に文体はしっかりしているが、軽さは否めない。インターネットからの情報は書籍からの情報に比べて責任の所在がはっきりしないから危険もある。でも、自分の同じ年頃の人が被害者になったことに他人事でないと著者が感じたこと。素直に「食中毒」という新聞記事に疑問を持ち根気よく調べたこと。私はそれなりに評価したい。現場の人たちがプロとは言え余裕がなかったのは想像に難くないが、誰一人疑問に思わなかったのだろうか、処置に当たった人たちは兎も角、取材していた厚生班のマスコミやテレビや新聞を見ていた他の医師や薬剤師、一般の人たちはどうして何も疑わなかったのだろうか、無関心だったのだろうか、と思うと自責の念も沸いてくる。多くの人たちが右向いている時に一人二人左向いている人がいてもよかったのではないだろうか、と。今の時代の我々は周りで起きた物事を素直に関心を持って受け入れることが出来ないのかなと考えさせられる一冊だった。第3章以下については特にコメントはない。本書や著者に対して批判も多いようだが(いい大人が十代の少女にむきになっているのはおかしいが)、それだけインパクトのある内容なのかも知れない。星の数は三つ半。
2002年5月27日に日本でレビュー済み
当時中学三年生が、あの和歌山の毒入りカレー事件が「食中毒」と報道されたことに疑問を持って調査したレポート。あの事件では、最初「食中毒」と報道され、その後、「青酸中毒」と変わり、最後に「砒素中毒」となった。
あのとき、私自身も同じように「えっ?カレーで食中毒?何かおかしい。」「青酸で即死しなかった?本当に青酸?」と思ったものだ。しかし、その疑問をそれほど深く追求しなかった。疑問を持ったときにそれをあと一歩深く追求した姿勢がすごい!!また、文章力がすごい!本当に中学生が書いたのか疑問を思うほど、説得力のある文章だ。
さらに現地取材たり、香草が砒素に利くことを実験する行動力もすごい!
単行本発行後、文庫本発行までの間に、一時的に目が見えなくなるアクシデントに負けなかったのもすごい!!
著者の物事に対する姿勢、筆力、行動力、根性を見習いたい。
あのとき、私自身も同じように「えっ?カレーで食中毒?何かおかしい。」「青酸で即死しなかった?本当に青酸?」と思ったものだ。しかし、その疑問をそれほど深く追求しなかった。疑問を持ったときにそれをあと一歩深く追求した姿勢がすごい!!また、文章力がすごい!本当に中学生が書いたのか疑問を思うほど、説得力のある文章だ。
さらに現地取材たり、香草が砒素に利くことを実験する行動力もすごい!
単行本発行後、文庫本発行までの間に、一時的に目が見えなくなるアクシデントに負けなかったのもすごい!!
著者の物事に対する姿勢、筆力、行動力、根性を見習いたい。
2001年1月23日に日本でレビュー済み
新聞記事に疑問を感じた15歳の少女が、インターネットという道具を駆使して、真相解明に挑む。その結果、わかったことは、この国の病院・保健所、警察、マスコミといった専門家集団のお粗末な仕事ぶりであった。知性と理性を頼りにまっすぐに突き進む、という十代の特権がここには遺憾なく発揮されている。社会の不必要な慣習とか、人生のマンネリ化とかに毒されていない、羨ましい人生の一時期を、改めて思い出させてくれるとともに、年功序列や社会的権威の弊害を啓発してくれる。
2015年2月10日に日本でレビュー済み
毒カレー事件の手当てが見当違いで、原因の発見までに数日かかった点につき資料を多く調べ書いてあります。毒カレー事件に関心を示したことは評価でしますが、真犯人について何の分析もないのは何故かと思います。一部の関係者のやり方につき、安易な思い込みが大きな被害につながったと言います。ところが真犯人については例の保険金詐欺の人だろうという推定しかありません。これこそひどい思い込みと思いますし、少しも真犯人についての怒りが届きません。科学的なマニア的な知識が書いてあっても、理解できる人は少ないでしょう。保健所長についても、何が専門なのか書いてありません。多分医師だとはおもいますが、産婦人科、歯科医、獣医、麻酔科など専門化が進んでいる現在毒薬のことが分かる方はごく少ないと思います。この辺の分析はゼロです。誰も疑問に思わないのが不思議です。
2012年8月24日に日本でレビュー済み
編集者か父親かは分かりませんが中学生の書いた文章ではないでしょう。
すぐに分かりそうな事なのに。
すぐに分かりそうな事なのに。