無理あるプーチン翼賛本．
「才能ある役者」（p.17）などというのは主観だから，理解できないこともなし．
だが，「超自然」（p.10）や「占星術」（p.53）まで持ち出してプーチンを誉めているのを見ると，不審な感じを免れ得ず．
プーチンが「露骨な喧嘩を好まない」（p.68）という評価は，後のベレゾフスキイらとの抗争を見るに，大きな違和感．
さらに，KGB賛美（p.84）まで著者が始めるに至っては……．
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少しでも客観的と思えるデータに基づく擁護論もなくはないが，それは少数．
「プーチン支持急増は，チェチェンへの武力行使それ自体のせいではなく，『適切な武力行使』のため」（p.78）
レニングラードでのプーチンの仕事ぶりに関する同僚の証言（p.88-89）
大統領就任で起きたルーブル高（p.130-131）
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著者は1960年代の著名な反ソ連体制活動家．
したがって，このような不自然な体制翼賛をやっていることが，なおさら不可解．
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本書は薄い本だが，擁護の材料が早々に不足したためか，ページが進むにつれ，反プーチン・メディアによるプーチン攻撃文章の引用（およびそれへのツッコミ）が急増．
いいかげんなプーチン・バッシングの多さには，それはそれで笑える．
また，それら攻撃文章と似たような評価が，現在の欧米から発信されているのも気になるところ．
（当時の反プーチン側のメディア・ボスが，欧米に多く亡命していることは，いまさら言うまでもなし．イラクのチャラビの一件を見ても分かるように，しばしばそうした亡命者は，亡命受け入れ先の国で『有力情報源』として扱われる）
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むしろ本書は，著者がプーチン擁護のつもりで書いている，実は必ずしもプーチンにとってプラスとはならない記述に価値を見出すべき．
擁護のつもりでそのようなことを書いているのなら，それは事実に近いと考えられるため．
冷戦崩壊を苦々しく思い，アンドロポフを尊敬しているプーチン（p.91-92）
なぜドイツの言うことならプーチンは聞くのか？（p.139）
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本書の情報はクロス・チェック必須．
プーチン本を何冊も読み込んだ後でなら．
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