この本の内容は大きくざっくり分けて次の二つ。
・ブラック企業が存在するのは、その企業を利用する元請けの会社が存在するから
・雇用の流動化を促し、解雇規制を緩和して人の行き来を活発にすることが必要
これがブラック企業だ!的な具体的な事例はあまりこの本では書かれていない。
例として3パターン、肉食系、草食系、グレー系と3種類に分類され、
それぞれの実例が挙げられている。
ブラック企業が存在する背景、その中に身をおいたときにどう対処していくか、
そういった内容を企業を取り巻く背景を中心に様々な角度からとらえている。
キャリアカウンセラーである著者の体験と合わせて、
自身が過去に身をおいたブラック企業での体験もおりまぜて綴られている。
ブラック企業=悪という図式ではなく、その企業を使う側にも責任がある。
また日本の悪しき職習慣がブラック企業の存在を肯定している。
こうした問題を解決していくにはどうするべきか?という形で締めくくっている。
世の中のブラック企業を取り巻く環境を知りたいのならばおすすめの本である。
自分がブラック企業にいる立場の方で、その他のブラック企業の実例を知りたい人にはイマイチ物足りないかもしれない。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ブラック企業、世にはばかる (光文社新書 456) 新書 – 2010/4/16
蟹沢 孝夫
(著)
- 本の長さ202ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2010/4/16
- ISBN-104334035604
- ISBN-13978-4334035600
商品の説明
著者について
蟹沢孝夫(かにさわたかお)
第2次ベビーブーム期に生まれる。某有名私立大学大学院を経て、いわゆる「勝ち組」職場の事務職として勤務。その後30代で人材紹介会社のキャリアカウンセラーに転じる。これまで600人以上の転職支援にかかわり、大手から中小下請けまで、さまざまな企業で働く人びとの勤務実態および各社の採用の理不尽さを垣間見てきた。
第2次ベビーブーム期に生まれる。某有名私立大学大学院を経て、いわゆる「勝ち組」職場の事務職として勤務。その後30代で人材紹介会社のキャリアカウンセラーに転じる。これまで600人以上の転職支援にかかわり、大手から中小下請けまで、さまざまな企業で働く人びとの勤務実態および各社の採用の理不尽さを垣間見てきた。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2010/4/16)
- 発売日 : 2010/4/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 202ページ
- ISBN-10 : 4334035604
- ISBN-13 : 978-4334035600
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,530,854位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 315位総務・人事・労務管理の労働問題
- - 2,406位光文社新書
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年4月28日に日本でレビュー済み
就職や転職を考えている人は、一読の価値がある本だと思います。
「ブラック企業」や「肉食系」「草食系」など目次に並んでいる用語は軽薄なものの、
論考自体は手堅い印象です。
就転職について臨場感のあるエピソードが連ねられているのに加え、
一歩引いた視線から「ブラック職場」に関する問題点が分析されています。
IT業界が持つ多重の下請け構造、小売業や外食産業は給与水準が低いこと、
IT業界のテスト担当者やユーザーサポートなどの業務は「敗戦処理」
でありスキルアップにつながりにくいこと、など。
私は、転職を何度か繰り返したあと現在はユーザーサポート業務に従事しています。
そうした中で見聞してきたことと本書の内容をつきあわせてみると、
納得できる論考が多かったです。
そして、「ブラック職場」問題の背景にあるものとして名指しされているのは、
「新卒採用主義」と就転職にあたっての「年齢制限」。明快な記述に胸がすく思いです。
そのあとの論考は、解雇規制の緩和など、必ずしも同意できるものばかりではなかったものの、
筆者の熱い思いは一貫して感じました。
この本の内容を、企業の担当者や政府などが真剣に検討すれば
「ブラック職場」の問題も少しは改善するだろうか、ということも想像しています。
「ブラック企業」や「肉食系」「草食系」など目次に並んでいる用語は軽薄なものの、
論考自体は手堅い印象です。
就転職について臨場感のあるエピソードが連ねられているのに加え、
一歩引いた視線から「ブラック職場」に関する問題点が分析されています。
IT業界が持つ多重の下請け構造、小売業や外食産業は給与水準が低いこと、
IT業界のテスト担当者やユーザーサポートなどの業務は「敗戦処理」
でありスキルアップにつながりにくいこと、など。
私は、転職を何度か繰り返したあと現在はユーザーサポート業務に従事しています。
そうした中で見聞してきたことと本書の内容をつきあわせてみると、
納得できる論考が多かったです。
そして、「ブラック職場」問題の背景にあるものとして名指しされているのは、
「新卒採用主義」と就転職にあたっての「年齢制限」。明快な記述に胸がすく思いです。
そのあとの論考は、解雇規制の緩和など、必ずしも同意できるものばかりではなかったものの、
筆者の熱い思いは一貫して感じました。
この本の内容を、企業の担当者や政府などが真剣に検討すれば
「ブラック職場」の問題も少しは改善するだろうか、ということも想像しています。
2010年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブラック企業の実態について知っておきたいと思っていたのだが、著者は、自らのプロフィールでも言っているように某有名私立大学大学院を出て、経験したことをもとに本を書いており、「勝ち組のはずだったのに」という人向けのブラック企業解説本になっている。また、ブラック企業の事例が少なすぎて残念。
ブラック企業を見る視点は、あくまで「優秀なはずの」労働者。「こんなブラック企業で働くために大学で勉強してきたんじゃない」という気持ちを持った人にしか参考にならないと思った。
中途採用がもっと一般的になれば良い、とか、解雇が容易にできる社会(解雇がむずかしいため企業は採用に慎重になる)といったようなことには共感。
ブラック企業を見る視点は、あくまで「優秀なはずの」労働者。「こんなブラック企業で働くために大学で勉強してきたんじゃない」という気持ちを持った人にしか参考にならないと思った。
中途採用がもっと一般的になれば良い、とか、解雇が容易にできる社会(解雇がむずかしいため企業は採用に慎重になる)といったようなことには共感。
2013年7月27日に日本でレビュー済み
いわゆるブラック企業といわれる会社は単純になくせばよいと思っていたが、
ブラック企業が取り扱う下請けの仕事は、社会にとっても必要なものであるので
単純に排除できないという考えは、自分にとって新たな発見でした。
本書は、ブラック企業をただ批判するのではなく、社会制度や人事制度を絡めて
ブラック企業が発生する原因を探る展開は、参考になりました。
ブラック企業問題に興味がある方は、ぜひ読んでみたらよいと思いました。
ブラック企業が取り扱う下請けの仕事は、社会にとっても必要なものであるので
単純に排除できないという考えは、自分にとって新たな発見でした。
本書は、ブラック企業をただ批判するのではなく、社会制度や人事制度を絡めて
ブラック企業が発生する原因を探る展開は、参考になりました。
ブラック企業問題に興味がある方は、ぜひ読んでみたらよいと思いました。
2015年3月29日に日本でレビュー済み
2010年刊行。
本書はまず、ブラック企業を類型化するところから始まる。新人使い捨ての肉食系ブラック企業、応用の利かない単純業務で職業経験をつむことが難しい草食系ブラック企業、待遇や賃金に問題はないが業務負担の大きいグレーカラー企業とブラック企業を3つに類型化している。
そして、下請けや外部委託によって業務を他社に押し付け経費削減を図ろうとする大手企業や元受がブラック企業を生み出す原因だと指摘している。
本書の後半ではブラック企業の問題を解消するための提言として雇用の流動化をあげている。
総論としてはおおよそ首肯できる内容だが、はやり言葉を使って説明してみたというだけで、先行する今野晴貴氏や城繁幸氏の著作ですでに指摘されていることとまったく同じで、新しい議論や視点はなにもない。
特に問題に感じることは、著者がブラック企業の問題を矮小化しすぎている点だ。
著者は本書の冒頭で、ブラック企業は、需要があるから存在しているのであり、われわれが快適で安価なサービスを受けられるようにするためには、誰かが担わなければならないものだと述べる。問題は高学歴で本来勝ち組になりえた人が、ブラック企業に落ちてしまうようなことが問題なのだという。
この冒頭の発言にあきれ返ってしまった。本気でいっているのだろうか。
著者はこの問題を本来高学歴で「勝ち組」になり得た人が、ブラック企業で甘んじていることが問題であるかのように捉えている。しかし、ブラック企業によって不当で、しばしば違法な労働環境が広がっているという問題において、学歴はそもそもが関係がないし、勝ち組、負け組みというレッテルも意味のないものだ。
著者は人材紹介会社に勤めていた人物のようだが、著者の行う人材紹介とは、労働者を学歴で判断し、職場を勝ち組、負け組みで区分する仕事のようだ。こうした著者のような学歴信仰が、職歴を考慮しない新卒一括採用を広げているのであって、労働市場の流動化を妨げている最大の原因の一つだろう。
企業の学歴信仰の片棒を担いできた人材紹介業の人間がその考えを改めもしないまま、ブラック企業の批判をする資格があるのか、著者のそもそもの姿勢に疑問を感じる本だった。
本書はまず、ブラック企業を類型化するところから始まる。新人使い捨ての肉食系ブラック企業、応用の利かない単純業務で職業経験をつむことが難しい草食系ブラック企業、待遇や賃金に問題はないが業務負担の大きいグレーカラー企業とブラック企業を3つに類型化している。
そして、下請けや外部委託によって業務を他社に押し付け経費削減を図ろうとする大手企業や元受がブラック企業を生み出す原因だと指摘している。
本書の後半ではブラック企業の問題を解消するための提言として雇用の流動化をあげている。
総論としてはおおよそ首肯できる内容だが、はやり言葉を使って説明してみたというだけで、先行する今野晴貴氏や城繁幸氏の著作ですでに指摘されていることとまったく同じで、新しい議論や視点はなにもない。
特に問題に感じることは、著者がブラック企業の問題を矮小化しすぎている点だ。
著者は本書の冒頭で、ブラック企業は、需要があるから存在しているのであり、われわれが快適で安価なサービスを受けられるようにするためには、誰かが担わなければならないものだと述べる。問題は高学歴で本来勝ち組になりえた人が、ブラック企業に落ちてしまうようなことが問題なのだという。
この冒頭の発言にあきれ返ってしまった。本気でいっているのだろうか。
著者はこの問題を本来高学歴で「勝ち組」になり得た人が、ブラック企業で甘んじていることが問題であるかのように捉えている。しかし、ブラック企業によって不当で、しばしば違法な労働環境が広がっているという問題において、学歴はそもそもが関係がないし、勝ち組、負け組みというレッテルも意味のないものだ。
著者は人材紹介会社に勤めていた人物のようだが、著者の行う人材紹介とは、労働者を学歴で判断し、職場を勝ち組、負け組みで区分する仕事のようだ。こうした著者のような学歴信仰が、職歴を考慮しない新卒一括採用を広げているのであって、労働市場の流動化を妨げている最大の原因の一つだろう。
企業の学歴信仰の片棒を担いできた人材紹介業の人間がその考えを改めもしないまま、ブラック企業の批判をする資格があるのか、著者のそもそもの姿勢に疑問を感じる本だった。
2010年5月9日に日本でレビュー済み
私自身も転職したコンサル会社が、ハードな仕事で責任は
負わされるものの権限は何もないブラック企業でした。
その会社では誰も仕事を教えてくれなくて苦労しました。
もし、あなたが間違ってブラック企業に就職してしまった
場合、その解決策を会社や政府に求めても、解決の糸口は
おそらく永久に出ないでしょう。
これからの時代、会社を頼らなくても生きていけるだけの
スキルや独自のノウハウを身に付けることが先決です。
しかし、ブラック企業に入れば、そもそもスキルやキャリア
を身に付けられないと嘆くのは早計です。
資格で体系的に知識やロジックを身に付けたり、業界の実務
経験を生かすことも可能な筈です。
ただ、著者が言うようにリベンジの機会はそれほど多くは
ないと思います。人間、どんな家庭環境に生まれたか、親の
学歴等でその後の人生はだいたい決まってしまいます。
末筆ですが、公務員の世界でも人をダメにするブラック企業
は存在します。
負わされるものの権限は何もないブラック企業でした。
その会社では誰も仕事を教えてくれなくて苦労しました。
もし、あなたが間違ってブラック企業に就職してしまった
場合、その解決策を会社や政府に求めても、解決の糸口は
おそらく永久に出ないでしょう。
これからの時代、会社を頼らなくても生きていけるだけの
スキルや独自のノウハウを身に付けることが先決です。
しかし、ブラック企業に入れば、そもそもスキルやキャリア
を身に付けられないと嘆くのは早計です。
資格で体系的に知識やロジックを身に付けたり、業界の実務
経験を生かすことも可能な筈です。
ただ、著者が言うようにリベンジの機会はそれほど多くは
ないと思います。人間、どんな家庭環境に生まれたか、親の
学歴等でその後の人生はだいたい決まってしまいます。
末筆ですが、公務員の世界でも人をダメにするブラック企業
は存在します。
2010年5月16日に日本でレビュー済み
ブラック企業を「肉食型」「草食型」「グレイカラー型」とし、また会社組織を「サッカー型」「野球型」と命名し、わかりやすく格差を生じざるを得ない日本の現状を伝えてくれます。キャリアを伸ばしたりする敗者復活戦のような救済の場はなく、いったん生じた格差は年月を経る毎に広がざるをえない構造をあらためて認識することができました。
マスコミが社会問題として伝える「正社員」か否かといったステレオタイプの議論は不毛であり、著者の指摘する問題点を根底に考える必要があると感じました。本書では問題点を指摘するだけでなく、それに対する提言もまとめられています。ただハードルの高さは半端ではありませんが。
マスコミが社会問題として伝える「正社員」か否かといったステレオタイプの議論は不毛であり、著者の指摘する問題点を根底に考える必要があると感じました。本書では問題点を指摘するだけでなく、それに対する提言もまとめられています。ただハードルの高さは半端ではありませんが。
2011年1月24日に日本でレビュー済み
現行の雇用問題に対する著者の切実な思いは感じられます。
ただ残念なことに、ブラック企業を生み出す社会構造を諭し、その温床として日本の雇用に付き纏う偏見や慣習を是正しようと主張するものの、結局のところ全体を通して何が言いたかったのかが定まっていない。
そうした意味から、せっかくの問題提起が功を奏さず大変惜しいと思いました。
また、下請け構造によってブラック職場が生み出され、大企業に搾取されていることを問題としていますが、ここで大企業ばかりが利益を得ておいしい思いをしているとは言い切れない点もあります。
独占、寡占市場でなければ、大企業であれ市場競争で勝ち残るために自社で切り詰めを行うことはあるでしょう。特に90%が成熟市場の日本で、さらに差別化の利かない商品やサービスを扱っているとするなら、大企業であれ価格を引き下げざるを得ない。元請けの段階で利益搾取がされているとは言い切れないし、むしろコストを切り詰めないと競争に勝てないために、合理化の末下請けへの押し付けがされているのではないでしょうか。合理性重視の企業活動の犠牲こそ、ブラック職場の要因のように思います。なので大企業をとにかく悪いと責めるのは見当違いな感じがします。
あからさまに大企業を叩いている著者は何か因縁でもあるのでしょうか?
しかしながら、著者は自身の経験を通して訴える必要性を感じて荒削りながらも執筆したのではないかと、あとがきを読んでいて思いました。やり場のない憤りをそのままぶつけた故に纏まらない内容になったとしても、この本から雇用問題を提議することには十分意義はあるように思います。著者の志には共感しました。
ただ残念なことに、ブラック企業を生み出す社会構造を諭し、その温床として日本の雇用に付き纏う偏見や慣習を是正しようと主張するものの、結局のところ全体を通して何が言いたかったのかが定まっていない。
そうした意味から、せっかくの問題提起が功を奏さず大変惜しいと思いました。
また、下請け構造によってブラック職場が生み出され、大企業に搾取されていることを問題としていますが、ここで大企業ばかりが利益を得ておいしい思いをしているとは言い切れない点もあります。
独占、寡占市場でなければ、大企業であれ市場競争で勝ち残るために自社で切り詰めを行うことはあるでしょう。特に90%が成熟市場の日本で、さらに差別化の利かない商品やサービスを扱っているとするなら、大企業であれ価格を引き下げざるを得ない。元請けの段階で利益搾取がされているとは言い切れないし、むしろコストを切り詰めないと競争に勝てないために、合理化の末下請けへの押し付けがされているのではないでしょうか。合理性重視の企業活動の犠牲こそ、ブラック職場の要因のように思います。なので大企業をとにかく悪いと責めるのは見当違いな感じがします。
あからさまに大企業を叩いている著者は何か因縁でもあるのでしょうか?
しかしながら、著者は自身の経験を通して訴える必要性を感じて荒削りながらも執筆したのではないかと、あとがきを読んでいて思いました。やり場のない憤りをそのままぶつけた故に纏まらない内容になったとしても、この本から雇用問題を提議することには十分意義はあるように思います。著者の志には共感しました。