へびににらまれた蛙のように、アメリカから要求を突き付けられると「いやだ」と言えない日本政府、そしてそれを支える官僚とマスコミ。それが最大の問題であるというのが著者、小林氏の結論である。
というのも、アメリカ側は「年次改革要望書」をアメリカ大使館のホームページで公開し、親切にも日本語訳まで付けているのに対し、日本語は政府もマスコミも完全に口を閉ざしていたからである。つまり、アメリカはあくどいことをしている意識はないのにもかかわらず、日本は不良に脅されて家の金を盗んでこっそり渡すような後ろめたさを感じながら、アメリカの言いなりになっているのである。
「年次改革要望書」に関してのアメリカの公式な見解は第3章にのべられている。その中で、著者が感じていた純粋な疑問についての回答をアメリカ大使館のズムワルト氏から直接もらっているのだが、それによれば、「日本が規制緩和・自由競争強化によって経済成長を遂げれば、それはアメリカのためにもなると考えている。日米両者の利益になると思って、日本の改革の応援のつもりで要求を出している。」ということを述べているのである。
これが本音かどうかは極めて怪しいが、自国の利益を追求するのは当たり前の話で、それを放棄した日本の方がどう考えてもおかしいのである。
この本全体に小林氏の国民のために活動しようという信念と、アメリカの言いなりになって国民の資産をアメリカに垂れ流すに至った日本の現状への悔しさが満ち満ちている。
このような人こそが本来、政治家と呼べるのであって、それを当選させられない今の日本には深い失望感を感じさせられる。
しかし、最後の方に書いてあるが、自民党が過半数割れしたときには、必ず小林氏の新党日本に協力要請が来て、そこから本当の改革ができるだろう、そのときは郵政民営化を元に戻し、年次改革要望書を国会で積極的に取り上げ、アメリカとは徹底的な話し合いを持ち、この交渉を国民にオープンにする、ということが述べられており、僅かではあるが希望を持つことができた。

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主権在米経済 The Greatest Contributor to U.S. (光文社ペーパーバックス) 単行本(ソフトカバー) – 2006/5/24
小林 興起
(著)
これからも貢ぎ続ける日本でいいのか?
なにも知らされず、誰も知らないうちに、あなたのおカネはアメリカのものになることが決まった。それが「郵政民営化」の真実である。なぜ、マスコミはこのことを伝えなかったのか? なぜ、政治家も官僚も国民を欺いたのか? 私は今後も闘い続ける。それが政治家としての私の使命だからだ!
なにも知らされず、誰も知らないうちに、あなたのおカネはアメリカのものになることが決まった。それが「郵政民営化」の真実である。なぜ、マスコミはこのことを伝えなかったのか? なぜ、政治家も官僚も国民を欺いたのか? 私は今後も闘い続ける。それが政治家としての私の使命だからだ!
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2006/5/24
- ISBN-104334933815
- ISBN-13978-4334933814
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商品の説明
著者について
著者・小林興起
1944年生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省に入省後、政府派遣留学生としてペンシルバニア大学大学院でMBA取得。1980年から3年間、聖心女子大学講師も務める。通産省退官後、1990年の衆議院選で初当選。2002年には財務副大臣を務める。2005年7月の郵政民営化法案採決では反対票を投じて自民党を除名され、新党日本を結成。現在、新党日本代表代行。
1944年生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省に入省後、政府派遣留学生としてペンシルバニア大学大学院でMBA取得。1980年から3年間、聖心女子大学講師も務める。通産省退官後、1990年の衆議院選で初当選。2002年には財務副大臣を務める。2005年7月の郵政民営化法案採決では反対票を投じて自民党を除名され、新党日本を結成。現在、新党日本代表代行。
登録情報
- 出版社 : 光文社 (2006/5/24)
- 発売日 : 2006/5/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 288ページ
- ISBN-10 : 4334933815
- ISBN-13 : 978-4334933814
- Amazon 売れ筋ランキング: - 855,268位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,306位経済学・経済事情
- - 5,373位政治入門
- - 103,730位ノンフィクション (本)
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2007年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2006年6月15日に日本でレビュー済み
先の総選挙の一事をもって衆愚制、ポピュリズムに堕したとはレッテルを貼りたくはないが、もし先の選挙についてただ忘却するのみで自省することがないとするならばそれは入り口には立っていると認めざるをえないだろう。国益を守るとはどういうことか、また愚民とならないためにマスコミ、政治家、官僚に期待できない以上それだけ監視する国民の目そのものが問われている。
もし、本書で初めて先の郵政民営化の真実を知ったというならば、「国富消尽―対米隷従の果てに」吉川 元忠・関岡 英之(共著)を、また自民党内部の政争に興味があるならば「自民党は殺された!」堀内光雄(著)をあわせて読むことを(特に前著)お勧めする。
それにしても石原慎太郎の情けないことよ!長年の盟友の小林氏をあっさり手の平を返して見捨て、その彼を認めたのが田中知事だったということ。まさに田中氏が言ったように石原はカワードだったと結論が出てしまいました。
もし、本書で初めて先の郵政民営化の真実を知ったというならば、「国富消尽―対米隷従の果てに」吉川 元忠・関岡 英之(共著)を、また自民党内部の政争に興味があるならば「自民党は殺された!」堀内光雄(著)をあわせて読むことを(特に前著)お勧めする。
それにしても石原慎太郎の情けないことよ!長年の盟友の小林氏をあっさり手の平を返して見捨て、その彼を認めたのが田中知事だったということ。まさに田中氏が言ったように石原はカワードだったと結論が出てしまいました。
2010年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今現在の日本に迫る危機。すでにこの書が著されてから4年その間にもここで指摘されたシナリオが政官報のトライアングルの中で着々と実行されている。小泉政権当初は漠然と疑念でしかなかったものが次第に形として現れている現実をみると正にこの書の指摘道理であったと思い知らされる。一般には話題にされることの少ない共済破壊の企てについても語られていてそこにおいても貴重な警世の書である。
2006年9月10日に日本でレビュー済み
いやぁ、読んでびっくりしました。
自分が郵政民営化について、いかにマスコミの認識して欲しいように、そのまま受け取っていたかがわかります。
しかしながら、政治家は当選しなきゃただの人ですから、落選するだろうに、法案可決に反対した小林こうきという人は、立派だなと思った。
価格がこれっていうのは安いね。
本の題名を郵政民営化の裏側とかいう風にした方が売れるんじゃ。
自分が郵政民営化について、いかにマスコミの認識して欲しいように、そのまま受け取っていたかがわかります。
しかしながら、政治家は当選しなきゃただの人ですから、落選するだろうに、法案可決に反対した小林こうきという人は、立派だなと思った。
価格がこれっていうのは安いね。
本の題名を郵政民営化の裏側とかいう風にした方が売れるんじゃ。
2006年6月8日に日本でレビュー済み
本書で著者は、日本が自身に関することを自分で決められず、アメリカへの従属化の度合いを強めているのはなぜかという問いを立てる。それに対しては、政治家、官僚、マスコミと、これまで誇りと矜持をもって日本をリードしてきた人たちがすっかりだめになってしまっているからだと説いている。日本がアメリカ依存から脱し、世界のリーダーとなるにはどうすればいいかを政治家の立場から考えたもの。官僚時代に留学し体験したアメリカの高等教育システムと日本の大学を比較し、日本のシステムを根本的に立て直すべきとの意見には共感した。先に述べた3「バカ」の根本は教育にありと考えれば、実にもっともな主張だ。
2006年7月17日に日本でレビュー済み
1小泉政権のやっていることは、秘書官を中心とした売国政治である。
2郵政民営化とは、実は国民の貯金等340兆円の外資への泥棒行為である。
3国民は小泉政権による詐欺に遭遇している。日本人にとって何一ついいことなどない。
4すべて米国からの年次改革要望書に基づいて「改革」は行われており、日本人をだますことで成り立つ。これらの事実はマスコミでは報道されない。つまり真相にアプローチできず正しい情報提供をなされず、どう判断してよいのかわからない日本人が大多数である。この中で、この本は、とても正しく小泉政権の実態を知らせている。日本人必読。今マスコミテレビ、新聞等には情報統制がなされているため真相を国民は知らないが、この本によって真相が知れて愕然とするはずである。つまり小泉政権とは、石川五右衛門のような政権なのだということがわかるだろう。あなたはこれを知ると「不景気」「リストラ」「給与カット」「暗い世相」が実は小泉政権の「国家を外資に売り飛ばして日本人を奴隷化する」計画に基づいているということにも気づき始めるだろう。とにかく想像をはるかに超えて
腐敗している政治が小泉政権なのである。恐らくこの本によって、この小泉政権の「国民の生活を犠牲にして金儲けをやる狂気の政治」が実際に存在していることを知るとあなたは腰を抜かすかもしれない。
2郵政民営化とは、実は国民の貯金等340兆円の外資への泥棒行為である。
3国民は小泉政権による詐欺に遭遇している。日本人にとって何一ついいことなどない。
4すべて米国からの年次改革要望書に基づいて「改革」は行われており、日本人をだますことで成り立つ。これらの事実はマスコミでは報道されない。つまり真相にアプローチできず正しい情報提供をなされず、どう判断してよいのかわからない日本人が大多数である。この中で、この本は、とても正しく小泉政権の実態を知らせている。日本人必読。今マスコミテレビ、新聞等には情報統制がなされているため真相を国民は知らないが、この本によって真相が知れて愕然とするはずである。つまり小泉政権とは、石川五右衛門のような政権なのだということがわかるだろう。あなたはこれを知ると「不景気」「リストラ」「給与カット」「暗い世相」が実は小泉政権の「国家を外資に売り飛ばして日本人を奴隷化する」計画に基づいているということにも気づき始めるだろう。とにかく想像をはるかに超えて
腐敗している政治が小泉政権なのである。恐らくこの本によって、この小泉政権の「国民の生活を犠牲にして金儲けをやる狂気の政治」が実際に存在していることを知るとあなたは腰を抜かすかもしれない。
2008年3月3日に日本でレビュー済み
郵政民営化法案について勉強した人ほど民営化法案には反対だった。
アメリカからの年次改革要望書に沿った政策を強引に進める小泉・竹中路線の
矛盾と問題にいち早く気づいたからだ。
本書では上記のことについてわかりやすく記載されていて読み物としても、ルポとしても大変興味深く読むことができました。
マスコミ・政治家・官僚の3大バカの壁についても熱い論調を展開されています。
アメリカには留学経験があり恩義があると考えながらも日本国民の利益に反することには正面から堂々と信念を主張する小林興起さんの姿勢に感動しました。
一日でも早い小林興起さんの国政への復帰を願います。
アメリカからの年次改革要望書に沿った政策を強引に進める小泉・竹中路線の
矛盾と問題にいち早く気づいたからだ。
本書では上記のことについてわかりやすく記載されていて読み物としても、ルポとしても大変興味深く読むことができました。
マスコミ・政治家・官僚の3大バカの壁についても熱い論調を展開されています。
アメリカには留学経験があり恩義があると考えながらも日本国民の利益に反することには正面から堂々と信念を主張する小林興起さんの姿勢に感動しました。
一日でも早い小林興起さんの国政への復帰を願います。
2006年6月4日に日本でレビュー済み
小泉自民党はもとより、旧来の自民党をも支持しない私にとって、小林興起氏といっても、いわゆる郵政民営化法案の採決において高々と青票(反対票)を掲げ、刺客(小池百合子氏)を送りこまれて落選した古いタイプの自民党政治家程度の印象しかなかった。しかしあるウェブサイトでこの本が紹介されており、早速読んでみたところ、私の小林氏の印象は一変した。
郵政民営化を含む小泉・竹中コンビが行ってきた「構造改革」なるものは、米国から日本への指令書である「年次改革要望書」に沿って行われてきたことは、既に知る人ぞ知ることとなっている。(新聞・テレビが報道しないのは、何らかの政治的圧力がかかっている、と言われている。)しかしこのようなことは、今まで関岡英之氏や本山美彦京都大学教授など、政治の世界の外にいる人たちによってのみ論じられていた。この小林氏の著書は、この点について政治家が書いた書籍としては初めてではないか。同氏は、丹念な取材を通じ論理的に郵政民営化は米国に利益を移転する「郵政米営化」である、と結論づけている。何も同氏は単純に米国を批判しているのではなく、日本の国益を省みず米国(ブッシュ政権)の国益を優先する小泉政権を批判しているのだ。
同氏はこの法案は日本の国益に反するとの強い信念から、結果的に議席を失うことになった。しかし今後政治家として復帰し、日本のために働いていただきたいものである。
郵政民営化を含む小泉・竹中コンビが行ってきた「構造改革」なるものは、米国から日本への指令書である「年次改革要望書」に沿って行われてきたことは、既に知る人ぞ知ることとなっている。(新聞・テレビが報道しないのは、何らかの政治的圧力がかかっている、と言われている。)しかしこのようなことは、今まで関岡英之氏や本山美彦京都大学教授など、政治の世界の外にいる人たちによってのみ論じられていた。この小林氏の著書は、この点について政治家が書いた書籍としては初めてではないか。同氏は、丹念な取材を通じ論理的に郵政民営化は米国に利益を移転する「郵政米営化」である、と結論づけている。何も同氏は単純に米国を批判しているのではなく、日本の国益を省みず米国(ブッシュ政権)の国益を優先する小泉政権を批判しているのだ。
同氏はこの法案は日本の国益に反するとの強い信念から、結果的に議席を失うことになった。しかし今後政治家として復帰し、日本のために働いていただきたいものである。