ここ数年、日本の捕鯨に対し、シーシェパードは過激な暴力的反発を繰り返してきた。
ニュースに取り上げられる度、「行き過ぎた過剰な行為だ」と感じていたが、
どちらが正しいのか?と問われると、普段あまり口にしないクジラを捕る必要も
無いのではないか、被害が大きくなるのであれば無理して捕鯨に力を入れる必要も
無いのではないか、と深く考えることはしなかった。
この書評をご覧頂いている方もあまり大きく違わないと思う。
本書を手に取ったのは、シーシェパードと捕鯨を生業としている方々とのイザコザを
報道で見て、捕鯨に関する知識がないのでは、どちらが正しいか判断がつかないと
思ったからだ。
本書は、「鯨を食べるということ」を歴史的な観点から書かれているが、その根底に
あるのは、捕鯨に冠する正しい知識を広め、古来より伝わる日本文化としての鯨食を守ること。
そして、鯨をなぜ捕らなければならないのか?ということを真剣に書いている。
ゾウや牛が年間何トンという餌が必要であるのに、より巨体な鯨がオキアミやプランクトンで
満足する訳がない。実際には、漁獲量に壊滅的な影響を与える程のイカやイワシを
大量に捕食していて、生態系にすら影響を与えるレベルでそれは進行している。
すでに保護している場合ではないのだ。
捕鯨、鯨食とはなんなのかを知りたい方に是非お勧めしたい。
また、鯨料理の献立と歴史を知りたい方にも非常にお勧めである。
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日本の鯨食文化――世界に誇るべき“究極の創意工夫”(祥伝社新書233) 新書 – 2011/6/2
小松正之
(著)
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【本書の主旨】
学校給食から「クジラの竜田揚げ」が消えて久しい。
鯨肉の供給量は、反捕鯨勢力の圧力で激減し、すっかり高嶺の花となった。
一度も食べたことがないという日本人が増えている。
私たちは古来、食べることを前提にクジラを捕ってきた。
皮も内臓も軟骨も、一頭を余すところなく食べる。
江戸時代に、八〇種以上の部位を解説した料理本が書かれていたほどだ。
なにより愛着と敬意をもってクジラに接してきた。
こんな優れた食肉文化は、世界を見渡しても他にないだろう。
固有の食文化こそが、民族性の基本である。
途絶えさせることなく、後世に伝えなくてはならない。
【本書の内容】
序章 クジラが大衆食だった時代
1、日本人を救ったクジラ
2、「クジラの竜田揚げ」が消えた日
3、なぜ日本は、「調査捕鯨」をするのか
第一章 日本の鯨食は、いかにして発展したか
1、食文化こそが、民族文化の基本である
2、鯨食の土台を築いた「鯨組」
3、「一頭を食べつくす」という文化
4、クジラに向けられた強い憧れ
5、外国人も食べたクジラ
6、近世捕鯨を終わらせた二つの事件
第二章 鯨食は生きている
1、鯨肉はどこから来ているか?
2、いちばんおいしいクジラは何か?
3、忘れ得ぬ鯨食の記憶
4、「鯨ベーコン」──まさしく創意工夫の鯨食文化
5、一度は食べたい部位・調理法
第三章 日本全国の鯨食文化を訪ねて
1、クジラと歩んだ日本人
2、千葉の鯨食を訪ねる
3、大阪の鯨食を訪ねる
4、和歌山の鯨食を訪ねる
5、高知の鯨食を訪ねる
6、山口の鯨食を訪ねる
7、長崎の鯨食を訪ねる
8、佐賀の鯨食を訪ねる
9、東京にいながらクジラを食べる
終章 未来食としてのクジラ
1、増えている鯨類資源──南氷洋と北西太平洋
2、クジラは、人類最高の食材
本書紹介店リスト
学校給食から「クジラの竜田揚げ」が消えて久しい。
鯨肉の供給量は、反捕鯨勢力の圧力で激減し、すっかり高嶺の花となった。
一度も食べたことがないという日本人が増えている。
私たちは古来、食べることを前提にクジラを捕ってきた。
皮も内臓も軟骨も、一頭を余すところなく食べる。
江戸時代に、八〇種以上の部位を解説した料理本が書かれていたほどだ。
なにより愛着と敬意をもってクジラに接してきた。
こんな優れた食肉文化は、世界を見渡しても他にないだろう。
固有の食文化こそが、民族性の基本である。
途絶えさせることなく、後世に伝えなくてはならない。
【本書の内容】
序章 クジラが大衆食だった時代
1、日本人を救ったクジラ
2、「クジラの竜田揚げ」が消えた日
3、なぜ日本は、「調査捕鯨」をするのか
第一章 日本の鯨食は、いかにして発展したか
1、食文化こそが、民族文化の基本である
2、鯨食の土台を築いた「鯨組」
3、「一頭を食べつくす」という文化
4、クジラに向けられた強い憧れ
5、外国人も食べたクジラ
6、近世捕鯨を終わらせた二つの事件
第二章 鯨食は生きている
1、鯨肉はどこから来ているか?
2、いちばんおいしいクジラは何か?
3、忘れ得ぬ鯨食の記憶
4、「鯨ベーコン」──まさしく創意工夫の鯨食文化
5、一度は食べたい部位・調理法
第三章 日本全国の鯨食文化を訪ねて
1、クジラと歩んだ日本人
2、千葉の鯨食を訪ねる
3、大阪の鯨食を訪ねる
4、和歌山の鯨食を訪ねる
5、高知の鯨食を訪ねる
6、山口の鯨食を訪ねる
7、長崎の鯨食を訪ねる
8、佐賀の鯨食を訪ねる
9、東京にいながらクジラを食べる
終章 未来食としてのクジラ
1、増えている鯨類資源──南氷洋と北西太平洋
2、クジラは、人類最高の食材
本書紹介店リスト
- 本の長さ236ページ
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2011/6/2
- ISBN-104396112335
- ISBN-13978-4396112332
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商品の説明
著者について
一九五三年、岩手県生まれ。政策研究大学院大学教授。
二〇〇七年まで水産庁に籍を置き、日本の漁業交渉の最前線で活躍。
資源管理部参事官、IWC日本代表代理、FAO水産委員会議長などを歴任した。
著書に、『クジラと日本人』『国際マグロ裁判』
『これから食えなくなる魚』『世界クジラ戦争』などがある。
二〇〇七年まで水産庁に籍を置き、日本の漁業交渉の最前線で活躍。
資源管理部参事官、IWC日本代表代理、FAO水産委員会議長などを歴任した。
著書に、『クジラと日本人』『国際マグロ裁判』
『これから食えなくなる魚』『世界クジラ戦争』などがある。
登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2011/6/2)
- 発売日 : 2011/6/2
- 言語 : 日本語
- 新書 : 236ページ
- ISBN-10 : 4396112335
- ISBN-13 : 978-4396112332
- Amazon 売れ筋ランキング: - 651,918位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 568位祥伝社新書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年10月2日に日本でレビュー済み
「捕鯨を守れ」という本は結構ありますが、本書は中でも相当ユニークかつ力が入っています。
水産庁出身の著者はとにかく「クジラの食文化」にこだわり、日本中を駆け回って資料を集め、実際にクジラ料理を食べてきた人。それだけに、さすがの臨場感です。
そして本書を読めば、捕鯨がまさに「文化」以外の何物でもないことがわかります。長い歴史、豊富な文献資料、そして地域によって多様な料理……。
独りよがりの捕鯨反対論に対抗するには、こうした「知ること」「食べること」も大事だと痛感しました。
本筋とはあまり関係ないところですが、本書に鯨の胃袋の中身の写真が収録されているのですが、ものすごく大量の魚が入っており衝撃的でした。
鯨だけを保護することもまた、生態系に影響を与える……この写真を見ただけでもそれを実感できます。
水産庁出身の著者はとにかく「クジラの食文化」にこだわり、日本中を駆け回って資料を集め、実際にクジラ料理を食べてきた人。それだけに、さすがの臨場感です。
そして本書を読めば、捕鯨がまさに「文化」以外の何物でもないことがわかります。長い歴史、豊富な文献資料、そして地域によって多様な料理……。
独りよがりの捕鯨反対論に対抗するには、こうした「知ること」「食べること」も大事だと痛感しました。
本筋とはあまり関係ないところですが、本書に鯨の胃袋の中身の写真が収録されているのですが、ものすごく大量の魚が入っており衝撃的でした。
鯨だけを保護することもまた、生態系に影響を与える……この写真を見ただけでもそれを実感できます。
2012年1月10日に日本でレビュー済み
食文化こそが、民族文化の基本である、という項目のなかで<ほとんど「すべての部位を食用として利用し、残された骨を工芸品や生活用品などに加工し、芸術や文化の水準にまで高めてきたのは、日本人だけである。>と、鯨と日本人の関わりを的確に示している。日本人と鯨食の歴史、IWCでの攻防、そして、食卓から鯨が消えていった・・・。実例として全国を訪ね歩き、それぞれの土地に根ざした調理・加工方法を伝える。なんと豊かなことか!まさに文化だ。鯨を通じての食文化に興味のある方は、一読を。
2016年6月12日に日本でレビュー済み
著者は水産庁時代に捕鯨問題などでならした論客。
本書は、日本の捕鯨が伝統的なものであり、また国際関係や科学的な立場から見ても、まったく問題がないことを力説したもの。他の著作と主張としては同じであり、あまり目新しさはない。
鯨食文化という部分に力点が置かれているが、分量的にはかなり控えめで、またあまり詳しくもなく、その点では期待はずれであった。
とはいえ、捕鯨問題に関しての格好の入門書であることは間違いない。
本書は、日本の捕鯨が伝統的なものであり、また国際関係や科学的な立場から見ても、まったく問題がないことを力説したもの。他の著作と主張としては同じであり、あまり目新しさはない。
鯨食文化という部分に力点が置かれているが、分量的にはかなり控えめで、またあまり詳しくもなく、その点では期待はずれであった。
とはいえ、捕鯨問題に関しての格好の入門書であることは間違いない。
2011年8月6日に日本でレビュー済み
シーシェパードで捕鯨に注目を集めるが、自分自身は鯨を食べたことがなかった。
そのため、捕鯨の国際問題を考える上で、実際にはどの程度日本で鯨が食べられているのか知りたく思いこの書籍を手にした。
自分がこの書籍を読んだ結果としては、鯨食の文化は日本各地で見られるがそれは全国的なものではない。
過去、給食で鯨が出されたことはあるがそれは戦後の食糧不足による一時的な措置であり、日本全体の文化として根付いているかといえばそうではない。1度も食べたことがないのに日本全国の文化といわれても感覚的に受け入れにくいものである。
日本各地で見られる鯨食文化は保存されるべきで、これからも捕鯨を続け守っていかなくてはならない。しかし、保存されるべき捕鯨文化は江戸時代までのものではないか。明治以降は軍国主義に付随する1つの行動に過ぎない気がした。
捕鯨について考える上でとても参考になり良い書籍だった。歴史についても知ることが出来た。
しかし、本文は感情的な文がところどころに見られそれがこの書籍の信ぴょう性を落としていた。もう少し客観的な記述であればもっと良い書籍なのだが。
そのため、捕鯨の国際問題を考える上で、実際にはどの程度日本で鯨が食べられているのか知りたく思いこの書籍を手にした。
自分がこの書籍を読んだ結果としては、鯨食の文化は日本各地で見られるがそれは全国的なものではない。
過去、給食で鯨が出されたことはあるがそれは戦後の食糧不足による一時的な措置であり、日本全体の文化として根付いているかといえばそうではない。1度も食べたことがないのに日本全国の文化といわれても感覚的に受け入れにくいものである。
日本各地で見られる鯨食文化は保存されるべきで、これからも捕鯨を続け守っていかなくてはならない。しかし、保存されるべき捕鯨文化は江戸時代までのものではないか。明治以降は軍国主義に付随する1つの行動に過ぎない気がした。
捕鯨について考える上でとても参考になり良い書籍だった。歴史についても知ることが出来た。
しかし、本文は感情的な文がところどころに見られそれがこの書籍の信ぴょう性を落としていた。もう少し客観的な記述であればもっと良い書籍なのだが。
2011年6月30日に日本でレビュー済み
第三章、日本各地に残る捕鯨・鯨食文化の紹介が素晴らしい。本書にある通り「地域の活性化のために、画一化した文化や歴史が存在した例などない」(p167)のだから、このように豊かで多彩な、地域独自の鯨文化を守るためにも、これらの地域文化と関係のない国策=南極海でのノルウェー式捕鯨は廃止し、その予算や人員を、各地の沿岸地域捕鯨振興に使うべきだと感じた。
ただ日本の捕鯨史には、本書が(おそらく敢えて)触れない、いくつかの事実があるので、読者には注意を促したい。
例えばその一つは、我が国の捕鯨もかつては欧米と同様、鯨油生産が主目的だったことだ。貝原益軒『大和本草』にも、当初は搾油後の肉を食用とせず、多くを棄てていたと書かれているし、1934年の南極海捕鯨進出の目的も鯨油で、肉の大部分を棄てていた。
また鯨肉食(特に赤肉の食用)が全国に普及したのは昭和期以降で、1912年の『大日本水産会會報』でも当時、名古屋以東では、クジラの赤肉はほとんど食べられなかったと報告されている。1941年の調査でも、近畿〜中部の13府県・279集落のうち、半数以上の集落では赤肉を食べていない(「近畿中部地方に於ける鯨肉利用調査の報告概要」伊豆川淺吉1942)。
それより以前の江戸時代、「クジラは貴重で高価な食べ物だった」ことは、本書にある通り(p78)だし、本書で紹介されている『鯨肉調味方』も、実は鯨肉消費拡大を狙った“提案レシピ集”だったとも言われる。
つまり、我が国の鯨肉食に長い歴史があることは事実だが、それは決して、広く普く全国の庶民に普及した食習慣などではなく、地域的に大きな偏りのある、むしろ地方文化に近いものだったのだ。
さらに本書では、乱獲は欧米の捕鯨のみの問題であるかのように書かれているが、既に江戸時代初期には、我が国でも捕鯨による鯨資源の減少が始まっている。各地の『鯨塚』や『供養塔』等も、建立のピークは鯨の減少が顕著となった幕末期で、純粋な鎮魂よりむしろ、大漁祈願が主目的と考える方が自然だ。
また本書は、我が国独自の「網取式」古式捕鯨と明治以降のノルウェー式捕鯨との断絶に触れないが、この二つは同じ「捕鯨」と言いながら、必要な人員も配置も役割も全く異なる、全く別の産業である。そのため「網取式」を運営していた地域共同体=「鯨組」は、中央政府の支援を受けた新興資本の株式会社組織が輸入した「ノルウェー式」に対応出来ず、やがて、まるでこの新しい西洋文化に駆逐されるように次々と、地域共同体ごと、解体されていった。その後の昭和期に至るまで、日本の捕鯨船の砲手にはノルウェー人の雇用が続いており、つまり明治以降のノルウェー式捕鯨の導入は、我が国の捕鯨の機械化などではない。むしろ我が国の伝統的捕鯨文化の破壊だったのだ。
こうした事実を踏まえれば、「我が国の伝統である捕鯨・鯨食文化を守るために、南極海でのノルウェー式捕鯨を認めよ!」という主張は、全く支離滅裂であることが分かる。戦後の食糧難という特殊な一時期の記憶と、偏狭なナショナリズムとが、我が国本来の捕鯨・鯨食文化の理解を歪めているのである。私は「日本国民には捕鯨を行い、鯨を食べる権利がある」とする著者の主張には完全に同意だし、「我が国独自の捕鯨・鯨食文化を守らねばならない」という主張にも同様だが、それが決して南極海でのノルウェー式捕鯨を認める理由にならないことだけは、きちんと認識しなければならない。
もちろんこれとは別に、「南極海の鯨資源を食糧に!」という主張の是非は、今後、より客観的に評価されるべきだろう。しかしこの「南極海鯨資源の利用」と「日本の伝統的鯨文化の継承」とは、基本的に別次元の話だ。これを混ぜこぜにして「捕鯨全体にYESかNOか」などという、無茶な立論をしてはいけない。
本書の著者は、捕鯨問題の論客として高名だが、本書では無理な牽強付会や根拠のない断言、政治的な主張や感情論が目立つ。正直、期待外れと言わざるを得ない。これではとうてい“捕鯨反対派”の説得など出来るはずもないが、一方、日本各地の鯨文化の紹介には価値がある。評価が難しいが、星3つにしたい。
なお、日本の捕鯨史を客観的に知りたい方には、長崎新聞新書『 くじら取りの系譜 』を推薦する。両書を読むことでより幅広い視点から、我が国の捕鯨文化を考えることが可能になるだろう。
ただ日本の捕鯨史には、本書が(おそらく敢えて)触れない、いくつかの事実があるので、読者には注意を促したい。
例えばその一つは、我が国の捕鯨もかつては欧米と同様、鯨油生産が主目的だったことだ。貝原益軒『大和本草』にも、当初は搾油後の肉を食用とせず、多くを棄てていたと書かれているし、1934年の南極海捕鯨進出の目的も鯨油で、肉の大部分を棄てていた。
また鯨肉食(特に赤肉の食用)が全国に普及したのは昭和期以降で、1912年の『大日本水産会會報』でも当時、名古屋以東では、クジラの赤肉はほとんど食べられなかったと報告されている。1941年の調査でも、近畿〜中部の13府県・279集落のうち、半数以上の集落では赤肉を食べていない(「近畿中部地方に於ける鯨肉利用調査の報告概要」伊豆川淺吉1942)。
それより以前の江戸時代、「クジラは貴重で高価な食べ物だった」ことは、本書にある通り(p78)だし、本書で紹介されている『鯨肉調味方』も、実は鯨肉消費拡大を狙った“提案レシピ集”だったとも言われる。
つまり、我が国の鯨肉食に長い歴史があることは事実だが、それは決して、広く普く全国の庶民に普及した食習慣などではなく、地域的に大きな偏りのある、むしろ地方文化に近いものだったのだ。
さらに本書では、乱獲は欧米の捕鯨のみの問題であるかのように書かれているが、既に江戸時代初期には、我が国でも捕鯨による鯨資源の減少が始まっている。各地の『鯨塚』や『供養塔』等も、建立のピークは鯨の減少が顕著となった幕末期で、純粋な鎮魂よりむしろ、大漁祈願が主目的と考える方が自然だ。
また本書は、我が国独自の「網取式」古式捕鯨と明治以降のノルウェー式捕鯨との断絶に触れないが、この二つは同じ「捕鯨」と言いながら、必要な人員も配置も役割も全く異なる、全く別の産業である。そのため「網取式」を運営していた地域共同体=「鯨組」は、中央政府の支援を受けた新興資本の株式会社組織が輸入した「ノルウェー式」に対応出来ず、やがて、まるでこの新しい西洋文化に駆逐されるように次々と、地域共同体ごと、解体されていった。その後の昭和期に至るまで、日本の捕鯨船の砲手にはノルウェー人の雇用が続いており、つまり明治以降のノルウェー式捕鯨の導入は、我が国の捕鯨の機械化などではない。むしろ我が国の伝統的捕鯨文化の破壊だったのだ。
こうした事実を踏まえれば、「我が国の伝統である捕鯨・鯨食文化を守るために、南極海でのノルウェー式捕鯨を認めよ!」という主張は、全く支離滅裂であることが分かる。戦後の食糧難という特殊な一時期の記憶と、偏狭なナショナリズムとが、我が国本来の捕鯨・鯨食文化の理解を歪めているのである。私は「日本国民には捕鯨を行い、鯨を食べる権利がある」とする著者の主張には完全に同意だし、「我が国独自の捕鯨・鯨食文化を守らねばならない」という主張にも同様だが、それが決して南極海でのノルウェー式捕鯨を認める理由にならないことだけは、きちんと認識しなければならない。
もちろんこれとは別に、「南極海の鯨資源を食糧に!」という主張の是非は、今後、より客観的に評価されるべきだろう。しかしこの「南極海鯨資源の利用」と「日本の伝統的鯨文化の継承」とは、基本的に別次元の話だ。これを混ぜこぜにして「捕鯨全体にYESかNOか」などという、無茶な立論をしてはいけない。
本書の著者は、捕鯨問題の論客として高名だが、本書では無理な牽強付会や根拠のない断言、政治的な主張や感情論が目立つ。正直、期待外れと言わざるを得ない。これではとうてい“捕鯨反対派”の説得など出来るはずもないが、一方、日本各地の鯨文化の紹介には価値がある。評価が難しいが、星3つにしたい。
なお、日本の捕鯨史を客観的に知りたい方には、長崎新聞新書『 くじら取りの系譜 』を推薦する。両書を読むことでより幅広い視点から、我が国の捕鯨文化を考えることが可能になるだろう。
2022年7月10日に日本でレビュー済み
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その昔…反捕鯨活動が活発になったころ、直感的に「牛肉」を買わせるためだろうと思いました。それ以前に他の捕鯨国の鯨油を取るための捕獲など、とても分かりやすくそして読みやすく書かれています。我が国がIWCを脱退する前の出版ですが、その忸怩たる思いも本書に込められています。フードロスが叫ばれる現在、一切を無駄にしない鯨食文化を見直す機会に是非とも読んで欲しい書です。