◆正しさは必要か
すべての価値を支える価値は何か
規範は死を決められるか
事実とは何か―事実と社会システム
科学は正義を決められるか
他人に迷惑をかけてはいけないか
◆選択の自由があるのはいいことか
暴力をどう管理するか
◆国家とは何か
民主主義は正しさを実現できるか
◆正しさの世紀へ
未来を選ぶということ

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「おろかもの」の正義論 新書 – 2004/12/7
小林 和之
(著)
本書は、「正しさ」について考える・初級編です。脳死・臓器移植、死刑、南北格差、環境危機などの現実の問題を題材として、絶対的な権威に頼ることも、開き直って力に訴えることもなく、価値観の異なる他者とよりよく生きていくには、具体的にどうするのが「正しい」のかを述べています。初級編ではありますが、刺激的であると感じる人も多いようです。「脳死が医学的に人の死であろうとなかろうと、法律で人の死とすることもしないこともできる」「われわれの社会は、自動車の利便性と引き替えに、人がひき殺されることを容認している」などの認識は、残念ながらまだ常識的な見方になっているとは言えないでしょう。前者は規範の性質についての初歩的知識、後者は問題のシステム的把握の基本から簡単に導かれることなのですが。本書をお読みになれば、合理的な判断ができる人ならそれらのことに納得していただけると思います。
なお、本書の公式ページを設けました。手始めに、「正しさ」について考える能力を'市民としての教養'として論じた拙稿「哲学はオタクのご託か」を掲載しました。これは、筑摩書房のPR誌『ちくま』2005年1月号に掲載されたものです。掲載を快諾いただいた筑摩書房に感謝いたします。
今後は、本書にいただいた感想へのコメントを掲載することも計画しています。ご興味がおありでしたら検索してみてください。
なお、本書の公式ページを設けました。手始めに、「正しさ」について考える能力を'市民としての教養'として論じた拙稿「哲学はオタクのご託か」を掲載しました。これは、筑摩書房のPR誌『ちくま』2005年1月号に掲載されたものです。掲載を快諾いただいた筑摩書房に感謝いたします。
今後は、本書にいただいた感想へのコメントを掲載することも計画しています。ご興味がおありでしたら検索してみてください。
- ISBN-104480062092
- ISBN-13978-4480062093
- 出版社筑摩書房
- 発売日2004/12/7
- 言語日本語
- 本の長さ253ページ
商品の説明
抜粋
そして、「正しさ」について理解し考える力が身に付くことは、栄養素の効果を理解する力が身に付くのとは全く異なった意味を持つ。タンパク質は、人がその効能を知っていようといまいと存在する。だが、「正しさ」は人が考えることをやめれば世界から消えてしまうだろう。そして、「正しさ」は、常に語られなければならない。心の奥底にしまわれた「正しさ」は思いこみでしかない。「正しさ」は人と人との間に成り立つのだ。
われわれは、十分に「正しさ」について語っているだろうか。わたしは、今ほど「正しさ」について語ることが重要な時代はないと思う。本書が「正しさ」についてさらに語るひとつのきっかけになることを願ってやまない。('あとがき'より)
われわれは、十分に「正しさ」について語っているだろうか。わたしは、今ほど「正しさ」について語ることが重要な時代はないと思う。本書が「正しさ」についてさらに語るひとつのきっかけになることを願ってやまない。('あとがき'より)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年11月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あまり哲学的な内容でも言い回しでもない。寝る前の眠い頭でもついて行ける内容である。
脳死、過失責任、不妊、死刑などのテーマごとに話は進められており、平易な言葉で難しくなく、不自然さもない。元来法学者だそうで、過失責任や死刑の章は特に上手に話が進められており面白かった。気になるところは、しばしば出てくるたとえ話がかなり詭弁ぽかったり、理解を歪曲していたり、妙に刺々しく書かれていたりで下世話であること。
個々のテーマは、そのことについて考えたことのある人なら、大凡到達するであろう考え方が書かれている。しかし、一点抜けている考え方があるようだ。それは、そういう言葉があるのかどうか知らないが、一言で言えば、「社会の財産としての個人(の価値)」という考え方だ。意図的に避けているのか分からないが、不妊や死刑の段において、この考え方をすれば、もっとクリアカットに議論を進められると思うのだが、何故だろう。
最後に。どこに書かれていたか忘れたが、無知で合理的でない市民に、いかに高次の啓発を与えるかに苦慮する、旨の記述があった。それゆえ「『おろかもの』(のため)の正義論」だとしたら、食えない人だ。
脳死、過失責任、不妊、死刑などのテーマごとに話は進められており、平易な言葉で難しくなく、不自然さもない。元来法学者だそうで、過失責任や死刑の章は特に上手に話が進められており面白かった。気になるところは、しばしば出てくるたとえ話がかなり詭弁ぽかったり、理解を歪曲していたり、妙に刺々しく書かれていたりで下世話であること。
個々のテーマは、そのことについて考えたことのある人なら、大凡到達するであろう考え方が書かれている。しかし、一点抜けている考え方があるようだ。それは、そういう言葉があるのかどうか知らないが、一言で言えば、「社会の財産としての個人(の価値)」という考え方だ。意図的に避けているのか分からないが、不妊や死刑の段において、この考え方をすれば、もっとクリアカットに議論を進められると思うのだが、何故だろう。
最後に。どこに書かれていたか忘れたが、無知で合理的でない市民に、いかに高次の啓発を与えるかに苦慮する、旨の記述があった。それゆえ「『おろかもの』(のため)の正義論」だとしたら、食えない人だ。
2007年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
常に目の前にあって「自明なこと」と思い、普段疑うことのない問題に対し、その不確かさを思い悩まないということは一つの健康的な生き方だ。それが、その無関心さゆえに地球の裏側の多くの人々を殺しているとしても。しかし、それについて思い悩まないこと自体を理由とし「正義を考えることを放棄する」ことは非常に危険だ。
死刑の問題を考えるとき、そこには必然的に「冤罪」がある。罪がないにもかかわらず殺される人々というのが常に一定数存在する。そして、多くの人はそれを理解していながら、その死を望む。
また毎年8000人の人の命の代わりに私たちは車社会を受け入れている。これは「生贄」と同じことではないか。しかし、この公認の人身御供を否定することが正しいわけではない。そもそも車社会をやめることは不可能だろう。
「正しさ」には正解がない。それは妥協で成り立っていたりもする。しかし、「よりより答え」は常に存在する可能性はある。そういうことを考えさせてくれた。
死刑の問題を考えるとき、そこには必然的に「冤罪」がある。罪がないにもかかわらず殺される人々というのが常に一定数存在する。そして、多くの人はそれを理解していながら、その死を望む。
また毎年8000人の人の命の代わりに私たちは車社会を受け入れている。これは「生贄」と同じことではないか。しかし、この公認の人身御供を否定することが正しいわけではない。そもそも車社会をやめることは不可能だろう。
「正しさ」には正解がない。それは妥協で成り立っていたりもする。しかし、「よりより答え」は常に存在する可能性はある。そういうことを考えさせてくれた。
2004年12月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
考えることは自由になることである、と序章で作者は書いている。
そして本書を読み進む内に、私は彼の見えない大きな温かい手によって、自由の方向へとやさしく導かれようとしていることに気づいた。
私は自分が考えていると考えるほど考えてなどいなかった。
私が自由に考えていると考えていたことは実は不自由の中で自由に考えているに過ぎなかった。
私は以前小林「よりのり」氏の著書を初めて読んだ時もこれに近い感覚を覚えたことがある。しかし小林よしのり氏の著書が与えてくれるのは、自由な考え方ではなく、既成の知識から自由になった見方である。いわば答えである。しかし答えが与えられるということは、新しい不自由に入り込むに過ぎないのだ。
小林「和之」氏のこの著書は、読者を自動的に考えさせる巧妙な作りになっている。そして読み終えた時に、確かに以前より自由になっている自分に気づかされるのである。
そして本書を読み進む内に、私は彼の見えない大きな温かい手によって、自由の方向へとやさしく導かれようとしていることに気づいた。
私は自分が考えていると考えるほど考えてなどいなかった。
私が自由に考えていると考えていたことは実は不自由の中で自由に考えているに過ぎなかった。
私は以前小林「よりのり」氏の著書を初めて読んだ時もこれに近い感覚を覚えたことがある。しかし小林よしのり氏の著書が与えてくれるのは、自由な考え方ではなく、既成の知識から自由になった見方である。いわば答えである。しかし答えが与えられるということは、新しい不自由に入り込むに過ぎないのだ。
小林「和之」氏のこの著書は、読者を自動的に考えさせる巧妙な作りになっている。そして読み終えた時に、確かに以前より自由になっている自分に気づかされるのである。
2008年5月31日に日本でレビュー済み
思考停止の対極にある内容の本です。
利害の衝突、価値観の衝突があるときに、どうすれば良いのか。
その様な場合は、とりあえず自分の主張を通す事に最善を尽くし、相手の利益の実現の程度は、相手の力量次第で自分には責任は無い、と相手の立場に目を向けないのが世間一般の対応だと思うのですが、どうしてそんな態度は不味いのか、この本はクリアに説明しています。
互いの生命が掛かった様な対立の場合は、どうするのか。綺麗ごとなど言っていられないだろう、命は何よりも尊いんだから、と考える場合も、命の価値の源泉について、クリアに説明しています。
「思想」が書いてあるわけでは無く「思考法」についての本なので、本の中で取り上げられている問題について信念が固まっていると、読みにくいかもしれません。
正直、自然科学系の本以外で、これ程面白い本を読んだ事がありませんでした。(自分の読書量なんてたかが知れてますが。)
あたりまえの事を平易な文章で分かりやすく示せるというのは、本当に凄いです。著者の方は本当に頭が良いですね。
利害の衝突、価値観の衝突があるときに、どうすれば良いのか。
その様な場合は、とりあえず自分の主張を通す事に最善を尽くし、相手の利益の実現の程度は、相手の力量次第で自分には責任は無い、と相手の立場に目を向けないのが世間一般の対応だと思うのですが、どうしてそんな態度は不味いのか、この本はクリアに説明しています。
互いの生命が掛かった様な対立の場合は、どうするのか。綺麗ごとなど言っていられないだろう、命は何よりも尊いんだから、と考える場合も、命の価値の源泉について、クリアに説明しています。
「思想」が書いてあるわけでは無く「思考法」についての本なので、本の中で取り上げられている問題について信念が固まっていると、読みにくいかもしれません。
正直、自然科学系の本以外で、これ程面白い本を読んだ事がありませんでした。(自分の読書量なんてたかが知れてますが。)
あたりまえの事を平易な文章で分かりやすく示せるというのは、本当に凄いです。著者の方は本当に頭が良いですね。
2011年7月14日に日本でレビュー済み
この著者の方が私の大学で講師をされていたのでこの本を購入しました。
「正しい」ということについて考えさせられました。普段は何気なしに使う言葉ですが、よくよく考えてみると深い言葉です。正義と悪と聞くと、正義はいいことだ、悪はダメだと考えてしまいますが、悪が存在するから正義が存在する、正義が存在するから悪が存在するということなんですね。この本を読むまでこういう発想はありませんでした。
あと、死刑についての記載のところの文章に印象的なフレーズがありました。
「悪い人を殺して、悪い人を殺して、悪い人を殺して、悪い人を殺しつくしたら、良い人だけの社会になるだろうか。」
この本を読むまでは私は死刑に賛成でしたが、このフレーズを見て自身で考えた結果、死刑反対に立場を変えました。悪い人を殺してもいい人だけの社会はできないと思います。善悪は表裏一体ですから無理だと思います。ただ、どんな理由であれ人を殺すことは悪いことだと思います。
新書なので薄い本ですが、中身は濃くてとても考えさせられる一冊でした。
「正しい」ということについて考えさせられました。普段は何気なしに使う言葉ですが、よくよく考えてみると深い言葉です。正義と悪と聞くと、正義はいいことだ、悪はダメだと考えてしまいますが、悪が存在するから正義が存在する、正義が存在するから悪が存在するということなんですね。この本を読むまでこういう発想はありませんでした。
あと、死刑についての記載のところの文章に印象的なフレーズがありました。
「悪い人を殺して、悪い人を殺して、悪い人を殺して、悪い人を殺しつくしたら、良い人だけの社会になるだろうか。」
この本を読むまでは私は死刑に賛成でしたが、このフレーズを見て自身で考えた結果、死刑反対に立場を変えました。悪い人を殺してもいい人だけの社会はできないと思います。善悪は表裏一体ですから無理だと思います。ただ、どんな理由であれ人を殺すことは悪いことだと思います。
新書なので薄い本ですが、中身は濃くてとても考えさせられる一冊でした。
2007年2月20日に日本でレビュー済み
抽象的概念ばっかりの哲学ではなくて、実際の問題を熱かった倫理学の本です。
死刑制度、科学、自由など、細かく章分けしてあり、楽しく読めます。
ただ、筆者の意見丸呑みではなく、自分で考えることが大切です。筆者もそう思っているでしょう。
死刑制度、科学、自由など、細かく章分けしてあり、楽しく読めます。
ただ、筆者の意見丸呑みではなく、自分で考えることが大切です。筆者もそう思っているでしょう。