本書は、出版(雑誌、書籍など)における、
引用・転載についての法律まわりを懇切に解説してくれる。
法律の話となると、とにかく誰もが、白黒をつけた判断をしたがらない。
だから、出版界の人間に聞いても、引用・転載などの権利関係については、
雲をつかむような返答しかえられないことが多々ある。
本書はそんな人にうってつけで、
一つひとつのコラムだけを読んでいては、要を得ないが、
一冊を通読することで、なんとなく、
どこまでがセーフで、どこまでがアウトで、どこまでがグレーか、
といったことが、きちんと把握できる。
なぜ出版界の人たちが、白黒つけた言い方ができないのか、もよくわかる。
だが、確実に、彼らのようなあやふやな答え方とは違う、
きちんとした受け答えができる知識が身につく本だと思う。
出版業に携わっている人だけでなく、
論文などを執筆する機会のある学生や研究者にも役立つ内容だ。
余談だが、出版に携わっている人間であっても、
実は、法律関係のこととなると、明るくない人が多い。
そもそも、出版界自体がかなり、そうしたことはなーなーでやっていることが多く、
著作者との出版契約をきちんと交わしていない出版社もいるときく。
(契約は後回しで、いかに著者に原稿を書かせるかが編集者のウデ、
と考えられてきた、出版界の慣習が関係しているのだろうが)
本書は非常にニッチな本だが、
このような素晴らしい本が、これからも出版されることを、
つとに願う。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
Q&A 引用・転載の実務と著作権法<第3版> 単行本 – 2014/2/26
ポイントとなる箇所を太字にするなど、より使いやすい工夫を行い、さらにIT化への対応や制限規定の拡充がなされた平成24年改正についても章を追加して解説した。
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社中央経済社
- 発売日2014/2/26
- ISBN-104502079103
- ISBN-13978-4502079108
登録情報
- 出版社 : 中央経済社 (2014/2/26)
- 発売日 : 2014/2/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 260ページ
- ISBN-10 : 4502079103
- ISBN-13 : 978-4502079108
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,621,315位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 29,822位社会・政治の法律
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年1月11日に日本でレビュー済み
著作権の法律的な相談で一番多いのは、引用・転載に関するものだという。私もパワーポイントを使って発表することになり、写真や図版の転載が気になり本書をひもといた。本書は印刷出版物がもっぱら対象になっていて、私が知りたい事例についての記載はなかったが、本書の記述からおおむね理解できた。これまで紛争になった事例をもとに編纂されているようなので、こういう内容になったのだろう。
転載が許諾なくできるのは、官公庁が作成した広報物と時事問題に関する論説だという。これも定義をめぐって細やかな解説がつき、例外規定もある。ただし、私的利用なら無断転載も可能である。私的利用の範囲については説明がなかったが、そもそも本書は商業的利用を対象にしているからだろう。
たとえば、不特定多数の人を相手にパワーポイントを使用して無料の講演を行うときでも、写真や図版の著作物を無断転載自由の表記でもない限り勝手に転載すれば違法であろう。しかし、それが引用であるならば、著作権者の許諾は必要でない。
引用と認められるには、いくつかの条件を満たす必要がある。①公表された著作物から引用すること。②引用であることが明瞭にわかること。③利用者の作品と被引用物との間に主従関係が成り立つこと。④被引用物の出所が明示されていること等である。これらの定義についても判例を引用して微に入り細を穿って説明される。Q&A形式でおおむねわかりやすかった。しかし実際は一筋縄ではいかない境界事例がたくさんあって、それらが紛争になるのだろう。「第5章 引用をさらに深く〔理論と判例〕」は、そんなケースを取り上げているのだろうが、専門用語と複雑怪奇な文章はほとんど理解不能だった。
パブリシティー権と平成24年の著作権法の改正についても解説がつく。細かな議論はさておき、原則を知るという目的は本書でかなえられると思う。
転載が許諾なくできるのは、官公庁が作成した広報物と時事問題に関する論説だという。これも定義をめぐって細やかな解説がつき、例外規定もある。ただし、私的利用なら無断転載も可能である。私的利用の範囲については説明がなかったが、そもそも本書は商業的利用を対象にしているからだろう。
たとえば、不特定多数の人を相手にパワーポイントを使用して無料の講演を行うときでも、写真や図版の著作物を無断転載自由の表記でもない限り勝手に転載すれば違法であろう。しかし、それが引用であるならば、著作権者の許諾は必要でない。
引用と認められるには、いくつかの条件を満たす必要がある。①公表された著作物から引用すること。②引用であることが明瞭にわかること。③利用者の作品と被引用物との間に主従関係が成り立つこと。④被引用物の出所が明示されていること等である。これらの定義についても判例を引用して微に入り細を穿って説明される。Q&A形式でおおむねわかりやすかった。しかし実際は一筋縄ではいかない境界事例がたくさんあって、それらが紛争になるのだろう。「第5章 引用をさらに深く〔理論と判例〕」は、そんなケースを取り上げているのだろうが、専門用語と複雑怪奇な文章はほとんど理解不能だった。
パブリシティー権と平成24年の著作権法の改正についても解説がつく。細かな議論はさておき、原則を知るという目的は本書でかなえられると思う。