いちビジネスマンとして、リフレ派でもなく構造改革派でもない立場で本書を読みました。ですからどちらかに対して積極的に賛成でどちらかに反対というわけではなく、第三者的に離れた位置から本書を読んだという位置づけです。その上での感想です。
まず、現在(2015年7月)の日本経済を見る限り、この本に書いてあるようなリフレ派の主張は「正しいように」感じました。ただし副作用脅威論は完全には払拭されていない気もします(リフレ派はハイパーインフレーションは起こらないと言っているが、中央銀行が無能だったら起こる可能性もあるはずだし、業界によっては労働力不足が顕著になってきて、需給ギャップは急速に縮小しているように見えます)。
個人的には第3章「金融政策決定プロセスと金融政策論争の系譜」、および第5章「歴史に学ぶ 大恐慌と昭和恐慌の教える物」が面白かったです。この2つを読むだけで論点がかなりクリアーになります。そのほかの章はピンとこなかったか普通という印象です。
本書の中で一番印象に残ったリフレ派の主張は、かつての日銀総裁や審議委員による「ゼロ金利下では日銀がこれ以上やれることはない」「構造改革が進まない限り金融政策は効果を持たない」という発言が無責任であるというものです。確かにこれは一理あります。本当になす術がないのであれば、総裁も審議委員も休業して、コンピューターによる自動操縦モードにしたらどうですかということです。コンピューターによる自動操縦モードの方がコスト削減になるし不平不満も言わないしベターかもしれません。
リフレ派が正しいかどうか、まだ歴史の審判が下ったわけではありませんが、私は中立的な第三者として、今の日銀による取り組みはチャレンジとして高く評価しています。しかし同時に、失敗した場合の被害を甚大なものにしないための注意も十分必要と言うことで、本書を読んでいろいろと考えさせられました。ビジネスマンも面白く読めると思います。
追記:本書のレビューが「役に立った」人の数と「役に立たなかった」に投票した人の数は、まさにリフレ派と構造改革派の比率をあらわしているのかなと思います。現在、構造改革派ができる小さな抵抗は、本書を「役に立たない」と評価することくらいですね。

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まずデフレをとめよ: 日本経済再生 単行本 – 2013/3/1
岩田 規久男
(編集)
アベノミクスが始動、インフレ・ターゲティング導入など日銀による金融政策のレジームチェンジに注目が集まるなか緊急出版。デフレ脱却策の全貌と日本経済再生の道筋をリフレ派エコノミストたちがわかりやすく解説。
- 本の長さ273ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2013/3/1
- 寸法13 x 2 x 18.8 cm
- ISBN-104532355648
- ISBN-13978-4532355647
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登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2013/3/1)
- 発売日 : 2013/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 273ページ
- ISBN-10 : 4532355648
- ISBN-13 : 978-4532355647
- 寸法 : 13 x 2 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 70,745位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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