有理数体のガロア拡大体はガロア理論によりガロア群と対応しています。
ガロア拡大体の研究は、ガロア拡大がアーベル拡大(ガロア群がアーベル群)のときには高木貞治の類体論となります。類体論から半世紀経ってから、ラングランズが、ガロア拡大体を表現論によりガロア群の双対で研究するというラングランズ予想を提出しました。
ラングランズ予想では、ガロア群の表現のゼータ関数は、保型表現(アデール群の表現)のゼータ関数と等しくなることを要請します。ゼータ関数とは素数論のオイラー積のことです。
ワイルズはこの方向でフェルマー予想を証明しました。
1996年にラングランズはラングランズ予想から方針を転換して、ガロア群の表現の解析的性質を保型表現を経ずに直接示すことを提言しました。例えば、ガロア群の表現を行列式表示することが要請されます。
量子色力学におけるSU(3)についての「ウイッテンのゼータ関数」(1991年)では、ゼータ関数をコンパクト位相群の双対の次元を用いて定義しました。驚くべきことに、クオーク、グルーオンなどの素粒子がウイッテンのゼータ関数に含まれているのです。
また、ウイッテンのSU(2)のs=-1におけるゼータ関数では1+2+3+…=-1/12
という著しい結果があらわれますが、この関係は超弦理論で用いられています。
ウイッテンのゼータ関数と双対なゼータ関数として群の共役類のゼータ関数は本書が初出です。
ゼータ関数にはハッセ型、ラングランズ型、アルチン型、セルバーグ型の4つのゼータ関数があります。量子電磁力学はラングランズ型の類体論と対応しています。4つのゼータ関数の統一と物理学の4つの力の統一理論との対応が示唆されています。
セルバーグ跡公式の右辺はラプラス作用素のスペクトルを含んでおり、コンパクトリーマン面のゼータ関数は行列式表示されます。セルバーグゼータ関数を表現論的に定式化すると、ラプラシアンの固有値全体は特殊線形群の双対に埋め込まれて解釈され、セルバーグゼータ関数論は群、部分群、表現という広い枠組みの中で考えることが自然になります。
それが絶対セルバーグゼータ関数です。
ガロア理論と表現論、ゼータ関数の誘導定理によって、「すべてのゼータ関数は一点上のゼータ関数となる」ということが、著者から読者へのはなむけの言葉です。

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ガロア理論と表現論: ゼータ関数への出発 単行本 – 2014/11/24
黒川信重
(著)
現代数学の基盤をなす《ガロア理論》と《表現論》のコンパクトな入門書。2つの理論を土台に、読者を《ゼータ関数論》へと促す。
- 本の長さ202ページ
- 言語日本語
- 出版社日本評論社
- 発売日2014/11/24
- ISBN-104535785899
- ISBN-13978-4535785892
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商品の説明
著者について
東京工業大学大学院理工学研究科教授
登録情報
- 出版社 : 日本評論社 (2014/11/24)
- 発売日 : 2014/11/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 202ページ
- ISBN-10 : 4535785899
- ISBN-13 : 978-4535785892
- Amazon 売れ筋ランキング: - 882,757位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2015年5月11日に日本でレビュー済み
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2018年2月23日に日本でレビュー済み
積の微分:ライプニッツ則⇒線型性の起源⇒環の準同型
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:350年間解かれなかった難問フェルマーの最終定理【なぜ1994年に解けたのか?数学的に背景ときっかけを解説】 この動画は最高!!
も必見ですね。
You tube動画で【有限次ガロア理論の基本定理】正確にガロア理論の主張を理解しよう【#3 高校生でも分かるガロア理論】、「【代数学#81】円分体のガロア群」
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,第3回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム [数理科学分野]「数学の創造:数論から幾何学へ」砂田 利一
はてな宇宙「第28回:P進整数」
「2-2. 時計の世界の整数論」平方剰余の相互法則を学ぼう。
「全ての素数の積が4π^2である事の証明 (1)リーマン・ゼータ関数の導入」をみてから
この分野の分かり易い名著は
「数学は世界をこう見る」小島寛之著でイデアルの超分りやすい解説
「素数の歌が聞こえる」加藤和也
「フェルマーの最終定理・佐藤‐テイト予想解決への道」 加藤和也が類体論の一番の入門書。
「21世紀の新しい数学」黒川、小島の第8章にはイデアルと代数幾何学の超分りやすい解説があります。
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「整数論2: 代数的整数論の基礎」雪江明彦 (京大動画you tube の講義あり)
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「環のイデアルによる剰余環の構成【ガロア理論】」
「大森健児」さん「浅芝秀人」教授、
「黒川信重教授.最終講義「絶対数学の世界を旅して」」の解説は非常に勉強になります必見!!。
ネットブログ『日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート』⇒「素イデアルの分解法則」の解説がわかりやすい。
「ざっくり学ぶ可換環論」も必見です。
追記:2022年6月号の数学セミナーで著者「ガロア理論の簡単証明」の記事も見つけました。
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追記:2022年6月号の数学セミナーで著者「ガロア理論の簡単証明」の記事も見つけました。
2014年12月16日に日本でレビュー済み
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本書は著者である黒川先生が雑誌『数学セミナー』と『数学のたのしみ』に書かれた記事に加筆された前半の四つの章と、新たに書き下ろされた二つの章及び付録「ゼータ学習法」からなる。書名は『ガロア理論と表現論』であるが、本書はこれらの理論の解説書あるいは概説書ではない。「ゼータ関数を研究する際に基礎となるこの二つの理論の重要性と有用性を読者が十分理解できること」、これが本書の最大の目的といえる。この目的に向け、ガロア理論と表現論の基本的な結果から、ゼータ関数研究に不可欠と考えられる必要最小限なものが厳選され、それら全てに極めて簡潔な証明が与えられている。
数論に現れる表現として、「ガロア表現」と「保型表現」の二つが必ず挙げられるが、本書では前者に詳しく、後者には(本書で説明されていないアデールの導入が必要なこともあり)残念ながら殆ど触れられていない。そのため、各表現のL関数が一致することを主張する「ラングランズ予想」の説明が、お話程度にならざるを得ないのは仕方がない。これは頁数が限られた本書にアデールや保型表現の解説を盛り込むことによるバランスの悪さ、あるいは盛り沢山な内容による通読の困難さの増大、を著者が意識的に回避された結果だと思う。
本書のハイライトは、新たに書き下ろされた第5章「ゼータ関数論」と第6章「絶対数学から見たゼータ関数論」の二つの章にある。
第5章では、先ず代数体のガロア拡大の中間体のゼータ関数を誘導表現によって基礎体のゼータ関数に帰着させることが出来る、という「ゼータ関数の誘導定理」の説明が素晴らしい。次に、群の表現から構成される「ウイッテン・ゼータ関数」とその双対版ともいえる「群の共役類によるゼータ関数」の解説は、和書の成書に初出のものであり、興味深くとても面白い。この章の終わりのほうに「コンパクト位相群分布の素数定理」が述べてあり、これから「ディリクレの素数定理」と「佐藤-テイト予想」が同類の定理であることが分かり非常に驚かされる。
第6章では、基本的な代数的集合である乗法群、一般線形群と特殊線形群の絶対ゼータ関数が求められている。ここで注目すべきは、(F1型である)代数的集合の個数関数のテイラー展開(の各次数の係数)が分かれば、その絶対ゼータ関数の表示式のべき指数にテイラー展開係数が現れるという重要な事実である。この章の後半では、(Fp上の)合同ゼータ関数のジャクソン積分表示から、正規化により絶対ゼータ関数が定義できることが示され、重要な例として1点上の絶対ゼータ関数が求められている。「ガロア拡大(ガロア被覆)の絶対ゼータ関数が、ゼータ誘導により1点上の絶対ゼータ関数に帰着される」という結論に繋がっており非常に興味深い。
黒川先生はゼータ関数論に関する面白い書をたくさん書かれている。本書を読まれて「セルバーグ・ゼータ関数」や「絶対ゼータ関数」などに更に興味を持たれる方は、『リーマン予想のこれまでとこれから』、『絶対数学』、『現代三角関数論』などから気に入った書を精読されることをお薦めしたい。
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2015年11月25日に日本でレビュー済み
またまた年金を叩いて買ってしまった黒川シリーズ。
ラ・マンチャの数学者が挑むリーマン予想、ゼータ関数のハイレベル編。
素人には分かりにくかった群の表現論の存在意義が次々と明らかにされる。成る程!誘導表現ってゼータ関数の為に必要だったのか!?
細部の方法論は素人にはわからなくても、書かれているところは実に明瞭でわかり易いという黒川先生の不思議な数学文法。
見所は何と言っても書き下ろしのゼータ関数と絶対数学。ウィッテンのゼータ関数には、度肝を抜かれること請け合い。
外国の数学者が考えた概念の解釈という従来の日本数学の殻を破って、必要なら自由に新しい数学を作ってしまえっという、創造の飛翔(はばたき)やムンムンした熱気を感じるのは私だけか?
従来の日本の数学書からは全く感じられなかった新しい数感覚だ。
そういう意味では日本の数学書の歴史を画するmile stone bookだと思う。
各章ごとに、詳しい道しるべ(参考文献:『ここから先は有料よっ♪』というちらりズムも、より一層読者の興奮を一層掻き立てる。)が付いているのも嬉しい。同著者による『リーマン予想の先へ』と『ゼータの冒険と進化』はこの本を読むためには基本的参考文献となっている事に注意されたい。
フロベニウス元や有限体Fp等、代数の知識については、雪江先生の『環と体のガロア理論』、『群論入門』に詳しい解説が在ります.
p36の内積については、宮寺功先生の『関数解析』が手に入り易いでしょう。
読み進むにつれて、知らず知らずのうちにゼータ関数教に染まってしまう実に恐ろしい本です。
兎も角、黒川先生、ゼータ教祖として、ずっと長生きをしてもっともっと我々を楽しませて下さい。
ラ・マンチャの数学者が挑むリーマン予想、ゼータ関数のハイレベル編。
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兎も角、黒川先生、ゼータ教祖として、ずっと長生きをしてもっともっと我々を楽しませて下さい。
2020年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とっても満足しております。