プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥3,960¥3,960 税込
ポイント: 119pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥3,960¥3,960 税込
ポイント: 119pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥2,866
中古品:
¥2,866

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ローマとパルティア: 二大帝国の激突三百年史 単行本 – 2013/12/18
ローズ マリー シェルドン
(著),
三津間 康幸
(翻訳)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥3,960","priceAmount":3960.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"3,960","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"0QBzMsrHdIZDCbHQ1%2BrR0zeqfhmMs8f0tOV6RQoGoY50XpkFiGcagw1bCWzhdiu6HZUhsr8rwvr8u6Roizz2dr6%2FSqHPfvgeMHW3sDfPuea%2B0134a0v0pupy1Fi7p4UmYSYl8oOMqxw%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥2,866","priceAmount":2866.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,866","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"0QBzMsrHdIZDCbHQ1%2BrR0zeqfhmMs8f03V19VYJBGzLzPDkAuotbGh0z2lWPTMBTgG41dPteIqcoJg1c1jXjaxWJid2XBIfvgkf2jV9unq9MiV50wxj9qF30kNC7WZZZnAPnzp9y8qBuxeA2tUZNEg7UEqmA0cYynviooSZIw9qPEUqDH52Umg%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
千七百年以上前にイラン・イラクの地に栄えた大国、パルティア。この強大なライバルを相手にローマ帝国がくりかえした戦争と数々の失敗の原因を、アメリカの軍事大学教授が分析する。
21世紀初頭、超大国アメリカはイラク相手に泥沼の戦争状態にあった。この地がおよそ二千年あまり前にどうなっていたかというと、超大国ローマがパルティア相手に泥沼の戦争状態にあった。しかも両国の戦争は、なんと約三百年にわたって繰り返されている。
パルティアという国は、紀元前3世紀に興り、約五百年間存続した。現在のイラン・イラクを中心に栄え、その最大版図はトルコ東部からイスラエル、アフガニスタンにまで及ぶ。古代ローマ史のファンならおなじみ、カルタゴと並ぶローマのライバル国である。カルタゴ相手には、ローマは死闘のすえ完勝したが、その後に激突した対パルティア戦になると失敗を繰り返し、首都を制圧・蹂躙してもじきに退却を余儀なくされる。払った膨大な犠牲にくらべ得たものは少なかった。
アメリカの軍事大学教授である著者は、ローマ対パルティアの戦争史を詳細に見ていきながら、ローマ帝国が犯した失敗の一番の原因を、情報収集を怠り、勝利した後のことを考えなかったことだとし、これらはこの地域で戦ったアメリカにも共通する点だと考える。ローマ人の戦争観・地理観の考察にまでつながる一冊。
[目次]
まえがき
パルティアの統治者一覧
1 序説
2 最初の接触
3 失敗の高い代償──クラッススとパルティア人
4 パルティアの反撃
5 アントニウスの遠征
6 外交による解決──アウグストゥスとティベリウス
7 コルブロの遠征とネロの和睦
8 パルティアにおけるトラヤヌスの冒険──今日の目から見た但し書きを添えて
9 ハドリアヌスからカラカラまで
10 ローマは何を、いつ知ったのか
11 戦費と帝国
12 結論──ひたすらにバビロンへ
ローマ・パルティア関係史年表
謝辞
訳者あとがき
参考文献
原注および訳注
略号表
索引
[原題]ROME'S WARS IN PARTHIA: Blood in the Sand
21世紀初頭、超大国アメリカはイラク相手に泥沼の戦争状態にあった。この地がおよそ二千年あまり前にどうなっていたかというと、超大国ローマがパルティア相手に泥沼の戦争状態にあった。しかも両国の戦争は、なんと約三百年にわたって繰り返されている。
パルティアという国は、紀元前3世紀に興り、約五百年間存続した。現在のイラン・イラクを中心に栄え、その最大版図はトルコ東部からイスラエル、アフガニスタンにまで及ぶ。古代ローマ史のファンならおなじみ、カルタゴと並ぶローマのライバル国である。カルタゴ相手には、ローマは死闘のすえ完勝したが、その後に激突した対パルティア戦になると失敗を繰り返し、首都を制圧・蹂躙してもじきに退却を余儀なくされる。払った膨大な犠牲にくらべ得たものは少なかった。
アメリカの軍事大学教授である著者は、ローマ対パルティアの戦争史を詳細に見ていきながら、ローマ帝国が犯した失敗の一番の原因を、情報収集を怠り、勝利した後のことを考えなかったことだとし、これらはこの地域で戦ったアメリカにも共通する点だと考える。ローマ人の戦争観・地理観の考察にまでつながる一冊。
[目次]
まえがき
パルティアの統治者一覧
1 序説
2 最初の接触
3 失敗の高い代償──クラッススとパルティア人
4 パルティアの反撃
5 アントニウスの遠征
6 外交による解決──アウグストゥスとティベリウス
7 コルブロの遠征とネロの和睦
8 パルティアにおけるトラヤヌスの冒険──今日の目から見た但し書きを添えて
9 ハドリアヌスからカラカラまで
10 ローマは何を、いつ知ったのか
11 戦費と帝国
12 結論──ひたすらにバビロンへ
ローマ・パルティア関係史年表
謝辞
訳者あとがき
参考文献
原注および訳注
略号表
索引
[原題]ROME'S WARS IN PARTHIA: Blood in the Sand
- 本の長さ276ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2013/12/18
- ISBN-104560083371
- ISBN-13978-4560083376
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
ローズ・マリー・シェルドン Rose Mary Sheldon
古代ローマおよびビザンツ帝国を専門とするアメリカの歴史家。1987年にミシガン大学でPh.D.取得、ヴァージニア軍事大学の元歴史学科長で、現在も同学科の教授をつとめる。Intelligence Activities in Ancient Romeをはじめとして、古代世界の諜報活動と情報収集についての著書複数あり。
訳者:三津間 康幸(みつま やすゆき)
1977年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。日本学術振興会海外特別研究員(ロンドン大学SOAS)を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。セレウコス朝史、パルティア史専攻。共著書に、『ローマ帝国と地中海文明を歩く』(本村凌二編著、講談社刊。第十九章「バビロン──天空を仰ぎ見る学知の都市」担当)がある。
古代ローマおよびビザンツ帝国を専門とするアメリカの歴史家。1987年にミシガン大学でPh.D.取得、ヴァージニア軍事大学の元歴史学科長で、現在も同学科の教授をつとめる。Intelligence Activities in Ancient Romeをはじめとして、古代世界の諜報活動と情報収集についての著書複数あり。
訳者:三津間 康幸(みつま やすゆき)
1977年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。日本学術振興会海外特別研究員(ロンドン大学SOAS)を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。セレウコス朝史、パルティア史専攻。共著書に、『ローマ帝国と地中海文明を歩く』(本村凌二編著、講談社刊。第十九章「バビロン──天空を仰ぎ見る学知の都市」担当)がある。
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2013/12/18)
- 発売日 : 2013/12/18
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 276ページ
- ISBN-10 : 4560083371
- ISBN-13 : 978-4560083376
- Amazon 売れ筋ランキング: - 556,547位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 192位古代ローマ史
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
旅行の友にするには良すぎますがイランの他の方面の歴史書とあわせると一部ですが旅行した場所、歴史上の人物が蘇ります。良い本をご存知でしたら教えてください。
2017年3月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦争の推移を追っていて時系列に理解できたが、ポストヘレニズム、プレイスラムの時代背景を知りたかった。
2014年7月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
軍事史的視点からローマについて書かれていて、それはいいのですが、肝心の宿敵パルティアの内情についての分析はほとんどされておらず、その意味では片手落ちだといわざるを得ません。
2014年8月8日に日本でレビュー済み
本書については3点述べたいと思います。
1)パルティア史書としての活用度
専著でパルティア史を扱った日本語書籍は、デベボイス『 パルティアの歴史 』しかなく、しかもこの書籍は現在入手が難しいことから、長らく、パルティア史に興味をもっても先に進み難い状況にありました。本書は、ローマと抗争を繰り広げた前95−後217年の約300年を扱っていて、パルティア史の全時代をカバーしているわけではなく、また軍事史に焦点をあてていることから、パルティア史の代替本としては通用しないのではないか、というイメージをお持ちになる方もおられるかも知れません。
しかし、実のところ、パルティア人或いはその配下の民族自らが書いた同時代的史書が残されていないことから、まとまったパルティアに関する記述が見られるのは、ポンペイウス・トログスの『 地中海世界史 (西洋古典叢書) 』と『プルターク英雄伝』やタキトゥスの『 年代記 (岩波文庫) 』だけで、これらに登場するパルティア関連の記述だけで(印象的には)同時代的史書のパルティア記述の8割方を占めるのではないかと思います。残りの2割は、その他ギリシア・ラテン・シリア語史料、『史記』や『漢書』や、バビロン天文日誌などの発掘史料に登場する断片的情報群です。
ポンペイウス・トログスの『地中海世界史』のパルティア史部分は、パルティアの勃興から前2世紀末くらいに重心があり、それに『プルターク英雄伝』(前1世紀分)・タキトゥスの『年代記』(後1世紀分)に登場するパルティアの記述が続きます。そうして、プルタルコスもタキトゥスも、ローマとの軍事・外交関係においてのみ、パルティアについて記載しています。つまり、現状発見されている史料では、前95−後217年という期間についてまとまった記載のある史料は、殆ど軍事・外交史を扱っており、それは即ち本書の内容である、ということになります。こういう意味で、本書は現状日本語書籍でもっとも入手のし易い「パルティア史書籍」と言ってしまっても、そう外れていることにはならないのではないかと思います。
2)註釈について
また、デベボイス『パルティアの歴史』邦訳では、原書に記載のある、本文中の記述の出典史料を記した註が全て省かれてしまっているため、史料書籍におけるパルティアの記述を読みたいと思っても、難しいものがありましたが、本書は全部ではないにしても、多くの出典箇所註釈が掲載されており有用です。本書対象時代では、カッシウス・ディオの『ローマ人の歴史』、ヘロディアノス『マルクス後の帝国の歴史』、エウトロピウス『首都創建以来の歴史』、『 ローマ皇帝群像〈1〉 (西洋古典叢書) 』など、パルティア記載が散在する書籍の出典箇所は非常に有用で、特に『首都創建以来の歴史』と『ローマ皇帝群像』は近年邦訳が出ていることから、参照も容易なので、本書に引用されている出典箇所註は非常に役立ちます。
3)『ローマ人の物語』との比較
塩野七生氏の『ローマ人の物語 第9巻 ローマ人の物語 (9) 賢帝の世紀 』では、トラヤヌス帝の記述に期待を持ちましたが、ほぼダキア関連の記述に終始しており、パルティア遠征は遠征進路図もなくあっさり終わってしまいがっかりしたのですが、本書では、トラヤヌス帝のパルティア遠征が、3枚の行軍路地図とともに詳述されていて、私の頭の中では『賢帝の世紀』のトラヤヌス帝の章の後半に、本書がきれいに繋がりました。『ローマ人の物語』では、ユリアヌスの東方遠征については、遠征路の地図も登場し、非常に詳しいので、同じレベルで、パルティア時代の東方遠征についても書いてくれればよかったのに、と思っておりましたので、本書はこうした要望にあてまる内容となっています。
というわけで、本書は、パルティアの通史にご興味のある方や、『ローマ人の物語』のパルティア時代の東方遠征の記載について、物足りない感触を持っている方にもお奨めです。
1)パルティア史書としての活用度
専著でパルティア史を扱った日本語書籍は、デベボイス『 パルティアの歴史 』しかなく、しかもこの書籍は現在入手が難しいことから、長らく、パルティア史に興味をもっても先に進み難い状況にありました。本書は、ローマと抗争を繰り広げた前95−後217年の約300年を扱っていて、パルティア史の全時代をカバーしているわけではなく、また軍事史に焦点をあてていることから、パルティア史の代替本としては通用しないのではないか、というイメージをお持ちになる方もおられるかも知れません。
しかし、実のところ、パルティア人或いはその配下の民族自らが書いた同時代的史書が残されていないことから、まとまったパルティアに関する記述が見られるのは、ポンペイウス・トログスの『 地中海世界史 (西洋古典叢書) 』と『プルターク英雄伝』やタキトゥスの『 年代記 (岩波文庫) 』だけで、これらに登場するパルティア関連の記述だけで(印象的には)同時代的史書のパルティア記述の8割方を占めるのではないかと思います。残りの2割は、その他ギリシア・ラテン・シリア語史料、『史記』や『漢書』や、バビロン天文日誌などの発掘史料に登場する断片的情報群です。
ポンペイウス・トログスの『地中海世界史』のパルティア史部分は、パルティアの勃興から前2世紀末くらいに重心があり、それに『プルターク英雄伝』(前1世紀分)・タキトゥスの『年代記』(後1世紀分)に登場するパルティアの記述が続きます。そうして、プルタルコスもタキトゥスも、ローマとの軍事・外交関係においてのみ、パルティアについて記載しています。つまり、現状発見されている史料では、前95−後217年という期間についてまとまった記載のある史料は、殆ど軍事・外交史を扱っており、それは即ち本書の内容である、ということになります。こういう意味で、本書は現状日本語書籍でもっとも入手のし易い「パルティア史書籍」と言ってしまっても、そう外れていることにはならないのではないかと思います。
2)註釈について
また、デベボイス『パルティアの歴史』邦訳では、原書に記載のある、本文中の記述の出典史料を記した註が全て省かれてしまっているため、史料書籍におけるパルティアの記述を読みたいと思っても、難しいものがありましたが、本書は全部ではないにしても、多くの出典箇所註釈が掲載されており有用です。本書対象時代では、カッシウス・ディオの『ローマ人の歴史』、ヘロディアノス『マルクス後の帝国の歴史』、エウトロピウス『首都創建以来の歴史』、『 ローマ皇帝群像〈1〉 (西洋古典叢書) 』など、パルティア記載が散在する書籍の出典箇所は非常に有用で、特に『首都創建以来の歴史』と『ローマ皇帝群像』は近年邦訳が出ていることから、参照も容易なので、本書に引用されている出典箇所註は非常に役立ちます。
3)『ローマ人の物語』との比較
塩野七生氏の『ローマ人の物語 第9巻 ローマ人の物語 (9) 賢帝の世紀 』では、トラヤヌス帝の記述に期待を持ちましたが、ほぼダキア関連の記述に終始しており、パルティア遠征は遠征進路図もなくあっさり終わってしまいがっかりしたのですが、本書では、トラヤヌス帝のパルティア遠征が、3枚の行軍路地図とともに詳述されていて、私の頭の中では『賢帝の世紀』のトラヤヌス帝の章の後半に、本書がきれいに繋がりました。『ローマ人の物語』では、ユリアヌスの東方遠征については、遠征路の地図も登場し、非常に詳しいので、同じレベルで、パルティア時代の東方遠征についても書いてくれればよかったのに、と思っておりましたので、本書はこうした要望にあてまる内容となっています。
というわけで、本書は、パルティアの通史にご興味のある方や、『ローマ人の物語』のパルティア時代の東方遠征の記載について、物足りない感触を持っている方にもお奨めです。
2014年2月8日に日本でレビュー済み
これまで、広く説かれてきたローマ帝国の「安全保障」政策とは、
内乱の終結とアウグストゥスの遺訓により、ローマ帝国は拡張主義を取りやめ、防衛重視に転じた。
と言うものであった。確かに、拡張の速度は紀元前1世紀の内乱の時代に比して緩やかではある。しかしながら、ローマの拡張政策は、
決して取りやめられることはなかった。
クラウディウスのブリタニア征服、ドミティアヌスのゲルマニアにおけるリメスの拡張、トラヤヌスのダキア戦争。幾らでも例を挙げることができるだろう。
この、拡張主義を取りやめ、防衛重視に転じたという議論は、ローマ政治史、軍事史界隈においては、ここ40年ほどの間、 喧しく議論されてきた問題であり、本書もそれへの言及が多々見られる。本書を読む上で、このような議論があることは、認識しておいた方がよい。
本書は、ローマ帝国(と史料の関係上、例は少ないがパルティアも)の、情報収集能力、情報の活用例、情報に対する姿勢と言った視点を軸に、3世紀間にわたって繰り広げられた両国の関係を解説する書籍である。
両国間の関係について、通史的に解説された後、作者が重視する、古代国家の情報能力と、古代人たちの情報、または知識に対する姿勢について 別に章を設けて説明されており、様々な点で「ためになる」史書である。
本書を手にとられた方には自明のことだが、帯にもあるように本書の背景には、大量破壊兵器などない、という情報を無視して、短期的利益と復讐心、そして、指導者個人の心理的欲求のために始まったイラク戦争がある。
著者は、軍事大学に勤める歴史学教授として、その使命を十分に果たしていると言えるだろう。
もちろん、ローマは古代国家であり、アメリカは21世紀を生きる、なおかつまだまだ変化し続ける国家である。両者を比較した際にも、前提条件の違いは数多い。
制度的な面からは、官僚組織がほとんど整っておらず、参謀本部といった継続的に国防政策を立案できる組織はない。また、ローマにはCIAなどあろうはずもない。
加えて、彼らは古代人である。現代よりも外国人に対する偏見や思い込みは強く、現代ならばサイードが非難しそうな言説でさえ、彼らには疑われるような価値観ではなかった。
また、地理情報など、空間把握に関する感覚も、現代とは大きく異なる。確かに、プトレマイオス等、正確な地形や地理を研究していた人物は存在するが、彼らの作った地形を2次元で理解する地図が、ローマ軍の戦略決定や軍事作戦に使用されたわけではない。ローマ軍は、現代ならば高速道路の道路網図のような、地図でしか地理情報を把握していなかった。
そのような心性上の違いはあるが、古代においても現代においても重要なのは、正確な情報をつかみ、それに基づく判断を下した側が、勝利、または、目的を達成することができるという、当たり前だが、非常に困難な事実である。
クラッススの敗北はあらゆる情報を無視して栄光を求めた結果であるし、続くウェンティディウスのシリア防衛は、情報収集と偽情報の流布により、有利な体制を作り出して勝利した。
また、アウグストゥスはハニートラップまで仕掛けるなど、活発な裏工作と外交交渉により、クラッススの敗北がもたらした敗北の印を取り戻した。続くティベリウスもそのように努めたが、ネロ、トライヤヌス、セプティミウス・セウェルスといった後代の幾人かは、戦争と言う道を選択した。
しかし、パルティアは征服されず、弱体化した彼らはササン朝という、アケメネス朝の栄光を取り戻さんとする攻撃的な勢力に取って代わられ、この後400年間、ローマはその攻撃に苦しめられるのである。
仮に、アウグストゥスのように、外交と裏工作を使えば、ローマは、優位な立場に立ちつつ、数十年単位で情勢をコントロールし、より安価なコストで安全保障の目的を達成できたかもしれない。だがそれは、軍の最高司令官である皇帝は、有能な軍人であらねばならないという価値観と、戦争の勝利を達成することで得られる政治的影響力の拡大という短期的な目的を達成するために犠牲とされた。
また、著者は、戦争するならせめて正確な情報に頼るべきだと言う。
しかしそれは、ローマ人の覇者たらねばならないという意識や偏見、指導者の政治的事情から無視されることもしばしばで、そもそも国家として、独立した情報収集機関を持たなかったのだから、彼らにとってそれは困難なことだった。もちろん、全体として彼らが情報に価値を置かなかったというわけではない。現代的な意味での客観性をもてなかったと言うだけである。
もっとも、2000年の時を経ても、覇権国家は似たような失敗を行っているのだから、ローマ帝国の欠点がどれだけ改められても、根本的な改善は不可能なのかもしれないが。
本書は、単なるローマの戦争に関する解説書にとどまらず、幅広い視点から、2つの古代国家の交流について解説された良書であり、現代に生きる我々にも教訓をもたらす、歴史学の使命を体現した書籍である。
内乱の終結とアウグストゥスの遺訓により、ローマ帝国は拡張主義を取りやめ、防衛重視に転じた。
と言うものであった。確かに、拡張の速度は紀元前1世紀の内乱の時代に比して緩やかではある。しかしながら、ローマの拡張政策は、
決して取りやめられることはなかった。
クラウディウスのブリタニア征服、ドミティアヌスのゲルマニアにおけるリメスの拡張、トラヤヌスのダキア戦争。幾らでも例を挙げることができるだろう。
この、拡張主義を取りやめ、防衛重視に転じたという議論は、ローマ政治史、軍事史界隈においては、ここ40年ほどの間、 喧しく議論されてきた問題であり、本書もそれへの言及が多々見られる。本書を読む上で、このような議論があることは、認識しておいた方がよい。
本書は、ローマ帝国(と史料の関係上、例は少ないがパルティアも)の、情報収集能力、情報の活用例、情報に対する姿勢と言った視点を軸に、3世紀間にわたって繰り広げられた両国の関係を解説する書籍である。
両国間の関係について、通史的に解説された後、作者が重視する、古代国家の情報能力と、古代人たちの情報、または知識に対する姿勢について 別に章を設けて説明されており、様々な点で「ためになる」史書である。
本書を手にとられた方には自明のことだが、帯にもあるように本書の背景には、大量破壊兵器などない、という情報を無視して、短期的利益と復讐心、そして、指導者個人の心理的欲求のために始まったイラク戦争がある。
著者は、軍事大学に勤める歴史学教授として、その使命を十分に果たしていると言えるだろう。
もちろん、ローマは古代国家であり、アメリカは21世紀を生きる、なおかつまだまだ変化し続ける国家である。両者を比較した際にも、前提条件の違いは数多い。
制度的な面からは、官僚組織がほとんど整っておらず、参謀本部といった継続的に国防政策を立案できる組織はない。また、ローマにはCIAなどあろうはずもない。
加えて、彼らは古代人である。現代よりも外国人に対する偏見や思い込みは強く、現代ならばサイードが非難しそうな言説でさえ、彼らには疑われるような価値観ではなかった。
また、地理情報など、空間把握に関する感覚も、現代とは大きく異なる。確かに、プトレマイオス等、正確な地形や地理を研究していた人物は存在するが、彼らの作った地形を2次元で理解する地図が、ローマ軍の戦略決定や軍事作戦に使用されたわけではない。ローマ軍は、現代ならば高速道路の道路網図のような、地図でしか地理情報を把握していなかった。
そのような心性上の違いはあるが、古代においても現代においても重要なのは、正確な情報をつかみ、それに基づく判断を下した側が、勝利、または、目的を達成することができるという、当たり前だが、非常に困難な事実である。
クラッススの敗北はあらゆる情報を無視して栄光を求めた結果であるし、続くウェンティディウスのシリア防衛は、情報収集と偽情報の流布により、有利な体制を作り出して勝利した。
また、アウグストゥスはハニートラップまで仕掛けるなど、活発な裏工作と外交交渉により、クラッススの敗北がもたらした敗北の印を取り戻した。続くティベリウスもそのように努めたが、ネロ、トライヤヌス、セプティミウス・セウェルスといった後代の幾人かは、戦争と言う道を選択した。
しかし、パルティアは征服されず、弱体化した彼らはササン朝という、アケメネス朝の栄光を取り戻さんとする攻撃的な勢力に取って代わられ、この後400年間、ローマはその攻撃に苦しめられるのである。
仮に、アウグストゥスのように、外交と裏工作を使えば、ローマは、優位な立場に立ちつつ、数十年単位で情勢をコントロールし、より安価なコストで安全保障の目的を達成できたかもしれない。だがそれは、軍の最高司令官である皇帝は、有能な軍人であらねばならないという価値観と、戦争の勝利を達成することで得られる政治的影響力の拡大という短期的な目的を達成するために犠牲とされた。
また、著者は、戦争するならせめて正確な情報に頼るべきだと言う。
しかしそれは、ローマ人の覇者たらねばならないという意識や偏見、指導者の政治的事情から無視されることもしばしばで、そもそも国家として、独立した情報収集機関を持たなかったのだから、彼らにとってそれは困難なことだった。もちろん、全体として彼らが情報に価値を置かなかったというわけではない。現代的な意味での客観性をもてなかったと言うだけである。
もっとも、2000年の時を経ても、覇権国家は似たような失敗を行っているのだから、ローマ帝国の欠点がどれだけ改められても、根本的な改善は不可能なのかもしれないが。
本書は、単なるローマの戦争に関する解説書にとどまらず、幅広い視点から、2つの古代国家の交流について解説された良書であり、現代に生きる我々にも教訓をもたらす、歴史学の使命を体現した書籍である。
2018年3月5日に日本でレビュー済み
パルティア史を主題にした本はすくなく、その多くが希少書になっているので、貴重な書籍です。しかし内容面的にはデベボイスの書籍と大きく被っており、全く同一の情報源をそのまま引き写していると見られる箇所が非常に多いです。一部の情報は最新の物に更新されていますが、デベボイスの時代から21世紀まで、パルティア史研究が大きな進展を見せていないことを明らかにしている感があります。
また、イラク戦争当時のアメリカ政府に対する政府批判的な内容を含んでおり、ローマにアメリカをだぶらせて、パルティアへの侵攻を批判的に捉えるものとなっており、この政治性が内容の信憑性に陰を落としているように感じます
貴重なパルティア史の日本語書籍ですが、他に類書が乏しい点に価値があり、内容的に優れているとは残念ながら思えません。ですが、
パルティア史に興味がある方やローマの軍事史に関心のある方には価値ある本だとは思います。
また、イラク戦争当時のアメリカ政府に対する政府批判的な内容を含んでおり、ローマにアメリカをだぶらせて、パルティアへの侵攻を批判的に捉えるものとなっており、この政治性が内容の信憑性に陰を落としているように感じます
貴重なパルティア史の日本語書籍ですが、他に類書が乏しい点に価値があり、内容的に優れているとは残念ながら思えません。ですが、
パルティア史に興味がある方やローマの軍事史に関心のある方には価値ある本だとは思います。
2014年2月20日に日本でレビュー済み
軍事史家の著者が現代の米国とイラン・イラク等との戦闘を念頭においての、類書のない、その意味でたいへん興味深い内容である。
覇権国の陥りやすい強権主義が容赦なく論じられていて、この点で古代ローマ帝国も現在の米国も、過去の歴史から何も学ぼうとしない、否、学ぶ必要がない現実が赤裸々に示されている。
一読しての疑問は、パルティアの弱点として指摘されている割には、その封建制なるものの内実の分析がほとんどなされていないことで、なんだか著者自身がその必要を感じていないのではと突っ込みを入れたくもなるが、他の散見する書物でもご同様なので、資料(史料)の残存問題なのであろうか。今後のパルティア研究の深化を期待したい。
また、軍事には機密がつきものなので、地理情報など正確な情報が残存史料にみられないということで立論するのも危うい面があると思うのだが。p.201-2で「ディオさえもパルティア人について詳細に論じない。この種族とその習慣についてはさんざん書かれてきたからというのである」を逆手に取れば、当時相当に蓄積されていた情報がなぜ後世消滅したのかが、改めて問題となりそうだ。公表して無害なものや人心を誘導するえせ・がせ情報の裏に、どれほど秘匿された情報があり、それが帝権瓦解のどさくさの中で消滅していったのか、ないし意図的に抹殺されたのか、これについて一大仮説が求められることになるだろうが、それはもう小説の世界なのかも知れない。
覇権国の陥りやすい強権主義が容赦なく論じられていて、この点で古代ローマ帝国も現在の米国も、過去の歴史から何も学ぼうとしない、否、学ぶ必要がない現実が赤裸々に示されている。
一読しての疑問は、パルティアの弱点として指摘されている割には、その封建制なるものの内実の分析がほとんどなされていないことで、なんだか著者自身がその必要を感じていないのではと突っ込みを入れたくもなるが、他の散見する書物でもご同様なので、資料(史料)の残存問題なのであろうか。今後のパルティア研究の深化を期待したい。
また、軍事には機密がつきものなので、地理情報など正確な情報が残存史料にみられないということで立論するのも危うい面があると思うのだが。p.201-2で「ディオさえもパルティア人について詳細に論じない。この種族とその習慣についてはさんざん書かれてきたからというのである」を逆手に取れば、当時相当に蓄積されていた情報がなぜ後世消滅したのかが、改めて問題となりそうだ。公表して無害なものや人心を誘導するえせ・がせ情報の裏に、どれほど秘匿された情報があり、それが帝権瓦解のどさくさの中で消滅していったのか、ないし意図的に抹殺されたのか、これについて一大仮説が求められることになるだろうが、それはもう小説の世界なのかも知れない。