今まで私が信じていた日露戦争に関する知識が完全に覆された本でした。深い考察と専門知識で綴られていく内容に、私の浅い知識では反論の余地はありませんでした。確かに他の本を読んでいても日本の参謀本部はあまりレベルが高くないイメージが膨らみつつありましたので、この本を読む事によってその思いが確信に変わりました。
しかし残念な事に、軍事専門家ではなく歴史作家である司馬遼太郎氏が数十年前に書いた本を何度も何度も批判しています。
良い方にとると…、
多数の日本国民に大きな影響力を持っている司馬氏の書いた本を絶対的なものと信じ込んでいる人達に対する警鐘を鳴らさなくては!という気持ちが高まった。
悪い方にとると…、
著名な作家をこき下ろしつつ、史実に対する新発見をPRして本をたくさん売ろうとする企み。
私個人としては、司馬遼太郎氏の批判さえ無ければ良い本だと思いますが、個人名を直接出して何度もこき下ろしすぎなのでとても嫌悪感を感じます。
確かに[坂の上の雲]は創作無しの史実に基づいているというふれこみでしたが、古い作品はどうしても資料的にも考察的にも色褪せてしまう事が多いです。
それに思想家、表現者としての司馬氏の作中の想いをことさら批判する必要はないと思います。
それにロシア時代の資料が公開されてからノモンハン事件等の新事実も出版されたりと、現在に近い時代に出版された本が有利になるのは当たり前です。
後、この本の書かれている事が絶対的に正しいとも言い切れません。
なので、日露戦争について新しい年代に書かれた評判の良い「良書」を探して更に考察を深めたいと思います。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
旅順攻防戦の真実: 乃木司令部は無能ではなかった (PHP文庫 ヘ 5-1) 文庫 – 2006/5/1
別宮 暖朗
(著)
- 本の長さ365ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2006/5/1
- ISBN-104569666051
- ISBN-13978-4569666051
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2006/5/1)
- 発売日 : 2006/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 365ページ
- ISBN-10 : 4569666051
- ISBN-13 : 978-4569666051
- Amazon 売れ筋ランキング: - 738,272位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史は資料に基づかなくては、価値がありません。見事でした。他の本も追加発注しました。参考文献の入手法も出して下さると助かります。ことに外国の資料。最近は、ネットからのオリジナル資料ダウンロードは比較的容易になりました。そんなことも頭に置いての著者の方、あるいは出版社へのお願いです。私の専門分野理数系でも古典の研究は楽になりました。 リケロ(理系老人)より。(どうでもよいことですが、私自身この本の登場人物の孫です。)
2020年9月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
司馬遼太郎の批評を延々と繰り返す。
「司馬遼太郎は…」 「司馬遼太郎が言うには…」と事あるごとに司馬遼太郎のことを引き合いに出してきて正直ウンザリ。
もっと客観的に史実を述べてくれれば良いのに。主観入りすぎ。
途中で読むのをやめて捨てた。
「司馬遼太郎は…」 「司馬遼太郎が言うには…」と事あるごとに司馬遼太郎のことを引き合いに出してきて正直ウンザリ。
もっと客観的に史実を述べてくれれば良いのに。主観入りすぎ。
途中で読むのをやめて捨てた。
2014年4月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
司馬遼太郎が焦点を当てたことで、歴史の表舞台に引っ張り上げられた歴史上の人物は多い。私たちがそれを偉業と認識することに意義はない。しかし、司馬氏の時代より今は研究が進み、氏の認識に間違いがあったことも、合わせて認識しなければならない。
氏がヒーローと扱った人物は必要以上にスーパーマンとなり、氏が卑下した人物は無能の烙印を押され、皆がそれを知識として、あるいは一般常識として認識し共有してしまっている。こうなると、むしろ正しい歴史を知る上で弊害と言わざるを得ない。
本書は、卓越した歴史分析書までは到達していない。また、タイトルに品がなく出版社のセンスもお粗末と言わざるを得ないが、司馬遼太郎というくびきから脱却する必要を論じた点で秀逸であると思う。
氏がヒーローと扱った人物は必要以上にスーパーマンとなり、氏が卑下した人物は無能の烙印を押され、皆がそれを知識として、あるいは一般常識として認識し共有してしまっている。こうなると、むしろ正しい歴史を知る上で弊害と言わざるを得ない。
本書は、卓越した歴史分析書までは到達していない。また、タイトルに品がなく出版社のセンスもお粗末と言わざるを得ないが、司馬遼太郎というくびきから脱却する必要を論じた点で秀逸であると思う。
2009年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
わたしの今までの理解は、203高地の確保によって、陸上砲撃で旅順港内にいたロシア極東艦隊を
壊滅させたという認識でしたが、大孤山が確保した時点でそこの観測点から、旅順港内の極東艦隊を
砲撃でき、かつ艦船に命中弾を与えていると言う事実が、まったく意外でした。
さすれば、観測点を203高地におく必要もなかったことになります。
ではこの戦いにおける203高地の攻防の真の意味は何かと言うことを、この本は解き明かしてくれます。
壊滅させたという認識でしたが、大孤山が確保した時点でそこの観測点から、旅順港内の極東艦隊を
砲撃でき、かつ艦船に命中弾を与えていると言う事実が、まったく意外でした。
さすれば、観測点を203高地におく必要もなかったことになります。
ではこの戦いにおける203高地の攻防の真の意味は何かと言うことを、この本は解き明かしてくれます。
2014年7月26日に日本でレビュー済み
この本を読んだ時は驚きました。 私は世間の乃木無能論には漠然と疑問は持っていました(明治天皇はお気に入りの部下のために、国民が死んでいくことをよしとする人ではないし、国民は恨むべき無能な軍人のために神社を建てないだろう等)。しかし軍事的知識もなかったのですが、乃木司令部の戦術は妥当なことがわかりました。 乃木とその幕僚を無能とするなら、欧州列強の将軍たちは何だったのでしょう? 乃木たちは初めて本格的に使用された革新的武器、機関銃の前に多くの犠牲者を出しますが、必死で研究して正攻法をいち早く塹壕を掘削させるなど、妥当以上の作戦をとったのです。 また大山や児玉も乃木と同じく203高地ではなく、東北正面攻撃を支持していたのも勉強になりました。 あと、28サンチ榴弾砲で撃沈に至った露軍艦艇はないのは驚きました。
2010年4月24日に日本でレビュー済み
日露戦争の旅順攻防戦を中心に、要塞戦の歴史?といった周辺のことまで記述されている充実の構成です。
しかし読んでいると、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に記述を批判/否定するコメントが目立ちます。歴史書でもない、フィクションである小説を槍玉に挙げて、自説の正当性を主張するのは、あまりに幼稚で大人気ないように思います。
しかし読んでいると、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に記述を批判/否定するコメントが目立ちます。歴史書でもない、フィクションである小説を槍玉に挙げて、自説の正当性を主張するのは、あまりに幼稚で大人気ないように思います。
2007年3月16日に日本でレビュー済み
改めて言うまでもないことではありますが、『坂の上の雲』は小説であり、ノンフィクションではありません。司馬氏がエッセイなどで自身の歴史観を元にさまざま考えを述べていたことは確かですが、所詮小説家というのはストーリーが元にあって「そうあって欲しい」というバイアスをかけて史料を読むので、その見解を事実ととらえてはいけません。
・・・と念のため前置きしておいて、この本の真価は、要塞戦、塹壕戦の実態を旅順攻防戦を教材に読者にわかりやすく教えてくれるところにあります。(司馬遼太郎批判はそれほどはでてこない)初めに塹壕戦の技術的ポイントを教えてくれ、次に時系列で旅順攻防戦の双方の駆け引きが描かれます。原則は原則、しかし、個々の戦場ではさまざまな要素があり、かならずしもセオリーどおりにはいきません。
例えば、旅順では港内の艦隊の存在がキーになっていたが、それをめぐって海軍と陸軍の間に対立があり、それが現場での判断を拘束していたこと。一方のロシア側もセオリーどおりの篭城を厳命するステッセルに対し、出撃を主張し、陣頭に立つコンドラチェンコの方が戦術的には誤っていたにもかかわらず兵士には人気があったという矛盾を抱えていました。そして、勝敗を決したのは、陣地をどれくらい奪うかではなく、人命をどれだけ奪うかでした。これに決定的役割を果たしたのは、28サンチ砲でありそれを推進したのはある技術将校でした・・・
こういった内包されたドラマが読者に知的興奮を与えながら、軍事的知識皆無である私たち日本人に塹壕戦の知識も与えてくれます。
この時代の知識を現代にそのまま援用することは無理がありますが、例えば、イラク戦争でイラク軍があれほどあっさりと降伏してしまったことの原因を考察する上でのヒントになるかもしれません。
関係ないことですが、NHKスペシャル大河ドラマ『坂の上の雲』2009年秋からとは待たせますね。
・・・と念のため前置きしておいて、この本の真価は、要塞戦、塹壕戦の実態を旅順攻防戦を教材に読者にわかりやすく教えてくれるところにあります。(司馬遼太郎批判はそれほどはでてこない)初めに塹壕戦の技術的ポイントを教えてくれ、次に時系列で旅順攻防戦の双方の駆け引きが描かれます。原則は原則、しかし、個々の戦場ではさまざまな要素があり、かならずしもセオリーどおりにはいきません。
例えば、旅順では港内の艦隊の存在がキーになっていたが、それをめぐって海軍と陸軍の間に対立があり、それが現場での判断を拘束していたこと。一方のロシア側もセオリーどおりの篭城を厳命するステッセルに対し、出撃を主張し、陣頭に立つコンドラチェンコの方が戦術的には誤っていたにもかかわらず兵士には人気があったという矛盾を抱えていました。そして、勝敗を決したのは、陣地をどれくらい奪うかではなく、人命をどれだけ奪うかでした。これに決定的役割を果たしたのは、28サンチ砲でありそれを推進したのはある技術将校でした・・・
こういった内包されたドラマが読者に知的興奮を与えながら、軍事的知識皆無である私たち日本人に塹壕戦の知識も与えてくれます。
この時代の知識を現代にそのまま援用することは無理がありますが、例えば、イラク戦争でイラク軍があれほどあっさりと降伏してしまったことの原因を考察する上でのヒントになるかもしれません。
関係ないことですが、NHKスペシャル大河ドラマ『坂の上の雲』2009年秋からとは待たせますね。