多くの日本人が未だに刷り込まされている日本の歴史は、明治になって欧米先進国に追いつく事を至上命題とし、民を無視して軍備拡張に邁進、日清・日露戦争に勝利したことから驕り高ぶった。その流れの中で台湾と朝鮮を侵略、傀儡国家満洲国を作り、増長した軍部がチャイナまでを侵略しようと暴走。そして愚かにも日米戦争まで引き起こしてアジア各国に多大な迷惑をかけたというものである。
しかし米国GHQにレールを敷かれ、古くはソ連、北朝鮮、近年はニセリベラルの左翼と、日本をいつまでも貶めておきたい中韓に補強され続けてきた戦後レジームは、漸く打開されつつある。
そうした背景で、日米戦争自体も欧米が追い込んだうえでの開戦という主張も表に出るようになってきた。そしてそのかなりの部分は正しいと感じる今日この頃。
ではすべてがルーズベルトやチャーチルによって操られていたのかというと、そんな簡単な陰謀論では説明できない。
このあたりを、カネの流れでもって説明しようというのが本書である。
経済に疎いわたしが、現在の近代史教育で欠落しているとこれまで考えていたのは、共産主義者の暗躍だ。
便衣兵のように一般人に紛れた彼らが、戦争に向けて火を焚き続けたことが世論の意識を戦争へと誘導した第一要因だと最近は考えている。
しかし、そもそも経済事情が悪くなくて国民の一人一人に生活の不満も少なければ、共産主義なんて極端な思想に易々と影響されはしないというのが、著者の主張だ。
なるほど正しい見方だと思う。
経済の話は本当に煩雑で難しいのだが、そこを判り易く解説しているのが本書の売りである。
長くなってしまうが、自らの整理の為に、本書で理解できた内容を書いてみようと思う。
モノとカネ。それらは基本的でバランスが取れているべきもので、そこに大きな不均衡が生じる場合に、経済がおかしくなる。
モノが不足してカネが余っている状態がインフレ。
モノが余ってカネが不足している状態がデフレ。
おー解りやすい。
ついでながら、ハイパーインフレ、リフレ、それに石油危機体験世代は学校で習ったスタグフレーションなんて関連用語もネットでおさらいした。
世界経済は産業革命の広がりとともに回転を加速させたが、当時の金(カネ)は金(ゴールド)と等価で、いつでも交換できるという保証によって成り立っていた。金本位制である。【注1】
つまり世界で流通しているカネの量は、ゴールドの量と同量ということ。言い換えると、世界のゴールドの量までしかカネは増やせないということになる。
産業革命以降の大量生産でモノは急激に増え続けたわけだが、それと同量にカネ=ゴールドは増えたのか?
これが増えたのである。
ゴールドラッシュという言葉を聞いたことがあると思うが、19世紀のアメリカやカナダ、オーストラリアなどで起こって大ブームとなった。世界のゴールドの量は、急激に増えていったのである。
ただし、すべてのバブルが弾けるのと同様に、ゴールドラッシュも終焉を迎えた。
バランスが取れている間はよかったが、20世紀に入るとゴールドの産出量は鈍り、モノとカネのバランスは崩れていく。モノが余り、カネが不足するからデフレだ。
余っているのでモノは安くなるけれど、カネが不足しているから収入は上がらない。収入が上がらないから消費は伸びない。また経営者は利幅を読めなくなって設備投資に二の足を踏むようになる。不況のスパイラルが始まるわけだ。
この経済不況の中、第一次世界大戦という総力戦が始まる。
具体的には、ヨーロッパの中で産業構造の切換えが遅かったオーストリアやバルカン半島では、世界的不況の中で産業革命に失敗し、庶民の不満が蓄積。例のボスニア人によるオーストリア皇太子暗殺が起こってしまった。
産業革命は軍事兵器の発展も加速。効率的に大量に殺傷できる兵器が登場することに加えて、共和国等の国民国家の意識が皆に定着するに連れて、戦争は総力戦となっていく。大量の兵士が戦うので、大量の兵器が要る。ゴールドの量は増えないが、戦力を維持するにはカネが必要だ。背に腹は変えられない。というわけで、各国は金本位制から離脱し、どんどんカネを刷りまくってやりくりした。
ところが戦後になると、金本位制に戻そうという考えが主流となった。当時の人の常識では、金本位制が自然だったのだ
これは、戦時中に出回った大量のカネを(金利を上げるなどして)回収することを意味する。当然戦時中には大量にモノが破壊されているので、改めて築き上げていかねばならないが、その原動力となる先立つもの(カネ)を減らす方向に進めてしまった。
しかも戦勝国のイギリスやフランスは、アメリカから大量にカネを借りていたので、戦後はその返済をしなければならなかったが、自ら戦争当事者で懐事情の厳しかった両国は、さらに事情が厳しかった敗戦国のドイツから、極めて無慈悲に取り立てようとした。困窮し切ったドイツでは、過激な思想が急激に力を伸ばし、その極右と極左の国内闘争に打ち克ったのがナチスというわけ。そして生活苦に喘ぐドイツ国民を団結させるために、ユダヤ人が生贄にされた……。
見方を変えれば、周辺戦勝国の過度な追い込みがナチスを誕生させたのだが、著者はここでも、もう一歩踏み込んだ面白い見方を提示している。ほどほどで手を打たずに、情け容赦なくドイツから賠償金を獲ろうとした背景には、民主化があるというのだ。
一般国民(大衆)が国の主体と言うと聞こえは良いが、マスメディア(当時は新聞オンリー)に容易に煽動される大衆は、バランスや長期的視野を持たない。自分たちの家族を奪った憎き敵国から賠償金を分捕れとヒステリックに喚きがちだ。現代でもメディアの煽りが如何にも有効である。
一方日本はというと、主な戦争地域からは距離があったので、戦時中は経済成長して、おかげで日露戦争時の負債を返却できた。
しかし欧州各国へカネを貸し付ける体力はなかったので、アメリカのようには戦後経済は伸びず、しかも関東大震災発生。
その後も高橋是清の政策で持ち直したりするものの、震災のダメージに加えて金本位制への復帰などの経済政策失敗により、デフレ基調の不況が継続した。
著者が繰り返し述べているように、このように不況の中でこそ、他国と同様に過激な共産主義思想が大いに力を得ることになった。
共産主義は資本主義社会の破壊の後に生まれるという過激な思想。非力な一般労働者が権力者に勝つためには、組織に潜り込んで中から破壊すべしという戦略に則って大量の偽装右翼が発生した。そしてそういった輩は、国を戦争に導く世論誘導を活発に行った。
軍部の暴走といった現象も、この流れの中で考えるべきである。
言うまでもなく、個々の軍人も家庭生活があって新聞等の世論誘導の影響を受けるのだから。
当時の軍部の中でも、実際に世界を見て戦略を考える将軍クラスには、意外に戦争反対論者が多かったことにもうなずける。
もちろん彼らにも責任は大ありだが、精神主義を形作って自省能力が働かないようにしたのは、中級の指揮官以下の総体だろう。
繰り返すが、戦争に邁進していったのは、生の情報に疎く新聞に躍らされる輩(大多数だ…)だった。軍人も民間人もない。
ちょっと考えてみれば、現代の状況もまったく同じ。
大多数の人は世界情勢に疎く、随分衰えたとは言え、まだまだTVと新聞に踊らされている。未だにバランスを欠いた平和ボケの中にある。
方向が真逆なだけで、メディアに踊らされる無知な一般人という構造は、今も戦前・戦中となにも変わっていないことが、現代日本の最大の懸念である。
【注1】そもそも漢字文化圏では、money をgold と同じ「金」で表せるくらいだ。
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経済で読み解く大東亜戦争 単行本(ソフトカバー) – 2015/1/24
上念 司
(著)
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●内容紹介
「大東亜戦争」とは何だったのか?
“地政経済学"で「日米開戦」の謎を解く!
日本は70年前も「資本主義」の強国だった! !
「金本位制」復帰による「世界恐慌」で瀕死の欧米、
「共産革命」のソ連&中国……。
「第一次世界大戦」から「大東亜戦争」「高度経済成長」まで、
グローバル経済の荒波に立ち向かった日本の苦闘を“経済的視点"で描く―。
「経済」がわかれば、「戦争」がわかる!
戦後70年睦月に贈る、著者渾身の書下ろし! !
日本はなぜ「大東亜戦争」に突入したのか
■ 「軍部台頭」というファンタジー
■ 「昭和恐慌」の真因は“インフレ"ではなく“デフレ"
■ 「戦争をすると儲かる」は本当か?
■ 「金本位制」の致命的欠陥
■ 金本位制絶対派 vs. 元祖・リフレ派
■ 経済には「絶対に逆らえない掟」がある
■ 戦前にもあった「日本ダメ論」
■ 経済政策の間違いが「大東亜戦争」を招いた 他
●目次
◆序 章 【経済と戦争の相関】
「経済」がわかれば、「戦争」がわかる!
・「植民地」とは「海外投資」である
・「経済戦争」という言葉は、バカが使う言葉 他
◆第一部 【第一次世界大戦までの世界経済の動向】
「金本位制」が世界経済を成長させ、そして、奈落に突き落とした……
・島国のイギリスが「経済大国」になった理由
・マルクスの大きな勘違いとは? 他
◆第二部 【第一次世界大戦の明暗】
凋落するドイツとフランス、台頭するアメリカと日本
・ドイツ人の英仏に対する復讐心
・「対米開戦」へのレール 他
◆第三部 【第二次世界大戦前夜の日本経済】
日本はなぜ「大東亜戦争」に突入したのか
・日本を貶めた“ハゲタカ"経済人
・痛みに耐えてもバラ色の未来はやってこない 他
◆終 章 【日本の戦後復興】
焼け野原から「高度経済成長」を成し遂げた奇跡の国・日本
・急成長を遂げた日本の自動車メーカー
・高度経済成長とは「日本を取り戻す政策」のことである 他
「大東亜戦争」とは何だったのか?
“地政経済学"で「日米開戦」の謎を解く!
日本は70年前も「資本主義」の強国だった! !
「金本位制」復帰による「世界恐慌」で瀕死の欧米、
「共産革命」のソ連&中国……。
「第一次世界大戦」から「大東亜戦争」「高度経済成長」まで、
グローバル経済の荒波に立ち向かった日本の苦闘を“経済的視点"で描く―。
「経済」がわかれば、「戦争」がわかる!
戦後70年睦月に贈る、著者渾身の書下ろし! !
日本はなぜ「大東亜戦争」に突入したのか
■ 「軍部台頭」というファンタジー
■ 「昭和恐慌」の真因は“インフレ"ではなく“デフレ"
■ 「戦争をすると儲かる」は本当か?
■ 「金本位制」の致命的欠陥
■ 金本位制絶対派 vs. 元祖・リフレ派
■ 経済には「絶対に逆らえない掟」がある
■ 戦前にもあった「日本ダメ論」
■ 経済政策の間違いが「大東亜戦争」を招いた 他
●目次
◆序 章 【経済と戦争の相関】
「経済」がわかれば、「戦争」がわかる!
・「植民地」とは「海外投資」である
・「経済戦争」という言葉は、バカが使う言葉 他
◆第一部 【第一次世界大戦までの世界経済の動向】
「金本位制」が世界経済を成長させ、そして、奈落に突き落とした……
・島国のイギリスが「経済大国」になった理由
・マルクスの大きな勘違いとは? 他
◆第二部 【第一次世界大戦の明暗】
凋落するドイツとフランス、台頭するアメリカと日本
・ドイツ人の英仏に対する復讐心
・「対米開戦」へのレール 他
◆第三部 【第二次世界大戦前夜の日本経済】
日本はなぜ「大東亜戦争」に突入したのか
・日本を貶めた“ハゲタカ"経済人
・痛みに耐えてもバラ色の未来はやってこない 他
◆終 章 【日本の戦後復興】
焼け野原から「高度経済成長」を成し遂げた奇跡の国・日本
・急成長を遂げた日本の自動車メーカー
・高度経済成長とは「日本を取り戻す政策」のことである 他
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社ベストセラーズ
- 発売日2015/1/24
- 寸法18.8 x 12.8 x 2 cm
- ISBN-104584136157
- ISBN-13978-4584136157
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商品の説明
著者について
【著者紹介】
上念司(じょうねん・つかさ)
経済評論家。1969年、東京都生まれ。
中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。
2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。
2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。
金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。
著書に、『≪完全版≫「日本ダメ論」のウソ』(イースト・プレス)、『TOEICじゃない、必要なのは経済常識を身につけることだ! 』(ワック)、『デフレと円高の何が「悪」か』(光文社)他多数。
上念司(じょうねん・つかさ)
経済評論家。1969年、東京都生まれ。
中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。
2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。
2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。
金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。
著書に、『≪完全版≫「日本ダメ論」のウソ』(イースト・プレス)、『TOEICじゃない、必要なのは経済常識を身につけることだ! 』(ワック)、『デフレと円高の何が「悪」か』(光文社)他多数。
登録情報
- 出版社 : ベストセラーズ (2015/1/24)
- 発売日 : 2015/1/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 256ページ
- ISBN-10 : 4584136157
- ISBN-13 : 978-4584136157
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2 cm
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- - 60位経済史 (本)
- - 117位日中・太平洋戦争
- - 318位その他の地域の世界経済関連書籍
- カスタマーレビュー:
著者について
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1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の日本最古の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年9月24日に日本でレビュー済み
戦前期民政党の浜口雄幸首相、井上準之助蔵相による金解禁政策は経済的な大失敗だった事がよく分かりました。第一次世界大戦後の金本位制度への復帰を強行する金融政策が国の経済基盤を弱くするデフレ政策だったんですね。そのやうな観点での分析、考察に今までに接した事がなかっただけにとても刺戟ある学びになったかと存じます。
この時期の経済失政が日本にとっての「失はれた10年」であり、世界恐慌もその延長線上にあった出来事であると筆者は解説してゐます。浜口等の命を張った政策と行動が「男子の本懐」であったかのやうな小説もありましたが、それは贔屓の引き倒しであり、明らかな誤りとして総括出来るのではないでせうか。ドイツの賠償問題で優れた経済的な考察をしてゐたケインズに学んだ高橋亀吉、石内湛山の経済感覚の正しさ、高橋是清蔵相の名経済政策ぶりをもっと見直さないと行けないなあと感じました。
又、本書は戦争が経済に及ぼす影響について冷静に考察、分析して居り、かういった分野での知の蓄積の大切さを感じました。経済が誤まると国も危ふくなるとの筆者の感覚は誠に全うなものであり、今後は経済と政治の関係を深く考へられる学びを続けて行ければと存じます。
この時期の経済失政が日本にとっての「失はれた10年」であり、世界恐慌もその延長線上にあった出来事であると筆者は解説してゐます。浜口等の命を張った政策と行動が「男子の本懐」であったかのやうな小説もありましたが、それは贔屓の引き倒しであり、明らかな誤りとして総括出来るのではないでせうか。ドイツの賠償問題で優れた経済的な考察をしてゐたケインズに学んだ高橋亀吉、石内湛山の経済感覚の正しさ、高橋是清蔵相の名経済政策ぶりをもっと見直さないと行けないなあと感じました。
又、本書は戦争が経済に及ぼす影響について冷静に考察、分析して居り、かういった分野での知の蓄積の大切さを感じました。経済が誤まると国も危ふくなるとの筆者の感覚は誠に全うなものであり、今後は経済と政治の関係を深く考へられる学びを続けて行ければと存じます。
2015年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
クララ先生の相方である上念先生の最大の魅力は、分かりやすい文体(例えば某・原武史なんて
死ぬほど偉そうな文体でしょ?)と爆笑必至の例え話に加えて、わざと誤った言説を流布するような
連中は乱離骨灰に叩き潰すまで許さないという義侠心にあると思います。 カコ(・∀・)イイ!!
ただし上念先生はクララ先生と違って刊行ペースがそんなに早くないのが欠点で、今回のような
完全新作を首を長っあ~~~くして待っていました。漸く出てくれて、まずはホッとしています。 ┐('ー`)┌
以下に目次を列記しつつあまりにも面白すぎた部分をほんの一部だけ抜粋してゆきます。 (∩'∀`@)⊃
購入の際の参考にしてネ♡
まえがき ~なぜ今、「大東亜戦争」を学ばなければならないのか
「現在、わが国の歴史教科書には『なぜ日本が大東亜戦争へと向かったのか』について、『本当の理由』が
書いてありません。極めて単純化すれば、日本という国が(中略)敷かれたレールの上を(中略)走ることが
問題を解決することだと当時の人々が信じ込んでしまったからです。もちろん、そのレールを敷いたのは、
日本を滅ぼしたい人々でした。彼らは『国粋主義者』になりすまし、政府や論壇のなかに紛れ込みました。」
「(前略)戦争は『正規軍同士の戦い』ではなく、『ゲリラによる非正規戦』が主流となりました。ただでさえ、
リアルな意味での戦争体験を失ってしまった日本に、『戦争そのものの変化』という新たな難題が突き付けられて
いるのです。」
「ジオ・エコノミクスとは、経済をひとつの手段として相手国をコントロールする戦略を研究する学問です。
その観点から見ると、当時多くの国が自国の利益だと信じて突き進んだ道(金本位制)は、相手をコントロール
するどころか自分を縛る最悪の選択であり、戦争への道だったのです。」
序章 経済と戦争の相関
「経済」がわかれば、「戦争」がわかる!
「軍部の台頭」というファンタジー 「昭和恐慌」の真相は「インフレ」ではなく「デフレ」 「経済」と「戦争」の深い関係
「植民地」は「海外投資」である 戦争に直結する、3つの経済的な原因~ピグーの「戦争の政治経済学」
「戦争をすると儲かる」は本当か?~ポーストの「戦争の経済学」 国家が戦争をしない時代 戦争には「表」と「裏」の理由がある
「貨幣経済」に移行した大英帝国の強み 「金本位制」の致命的な欠陥 「経済戦争」という言葉は、バカが使う言葉
「私たちは歴史教科書で、『共産主義者はファシズムに反対して投獄され、アメリカが解放軍として
やってきたときに救出された』と習いましたが、あれは嘘だったのでしょうか。そう、もちろんこれが大嘘なのです。
多くの左翼勢力、革新勢力は、当時の政府内に浸透し、『祖国』ソ連を守るための活動に従事していました。」
「『経済戦争』といった考え方は、イギリスの『重商主義』という200年前に完全論破された考え方にその
源流があると思われます。国家間の競争を企業のシェア争いのように捉え、『輸出が勝ち』で『輸入が負け』という
不思議なルールで勝ち負けを判定する、『戦争もどき』の考え方です。しかしこの言葉には、経済学的な根拠は
まったくありません。この延長線上で、未だに貿易収支の『赤字は負け』『黒字は勝ち』といった言い方をするバカな
人たちがたくさんいます。特に日本のマスコミにおいては、貿易赤字は『転落』するものであり、貿易黒字は『獲得』
するものだそうです。」
第一部 第一次世界大戦までの世界経済の動向
「金本位制」が世界経済を成長させ、そして、奈落に突き落とした・・・・・・
「金本位制」がやってきた! 島国のイギリスが「経済大国」になった理由 金本位制が「デフレ」を誘発する
デフレ状況が「労働者」と「植民地」の人々をとことん苦しめた マルクスの大きな勘違いとは?
世界一有名なトンデモ本「シオン議定書」 新しい金山が見つかるとなぜ急に景気が良くなるのか
世界経済に大打撃を与えた、アメリカ発「1907年恐慌」 20世紀初頭、ニューヨーク株式市場で行われたリアル「カイジ」
アメリカの「銅の王者」の害 「日露戦争」に勝利した日本も不況に喘いでいた 付け焼刃だった恐慌対策
「(前略)未だに『日本円が紙くずになる~!!』などと騒いでいる人がいますが、彼らはまさに19世紀的な
『裏付け資産』という発想に囚われています。また彼らは、『日本は1000兆円を超える借金があって、財政
赤字で国庫が空っぽなので、日本円を維持できない』とも考えてしまうそうです。確かにそれは、小学生レベルの
頭脳であれば受け入れやすい与太話かもしれませんが、実際にはそのような単純な話ではありません。」
「(前略)今の日本の『プロ市民』を見て、マルクスやエンゲルスは草葉の陰で泣いていることでしょう。」
「1900年(明治33年)ごろに世に出た『シオン議定書』は、(中略)荒唐無稽な与太話(中略)です。(中略)この
ような雑な与太話は、2014年(平成26年)末に民主党が仕込んで大失敗した『非実在小学4年生』のように
ソッコーばれてしまいそうな単純な陰謀論なのですが、デフレ不況で困窮した人々にとっては絶好の燃料投下
となってしまいました。(中略)しかも、このような荒唐無稽な話を未だに信じているバカな日本人がいることは
嘆かわしいことです。ユダヤ人に対する差別を助長して、何が楽しいのでしょうか。ヘイトスピーチ云々を言っている
左巻きの人が、この件を問題にしないのが不思議です。」
第二部 第一次世界大戦の明暗
凋落するドイツとフランス、台頭するアメリカと日本
超不安定だった「1907年恐慌」後の世界経済 不幸な偶然の連鎖が生んだ「第一次世界大戦」
「勝ち組」の日米と「負け組」の英仏独 「戦争の鉄則」で、第一次世界大戦を分析する 「金本位制」と「戦後賠償」
人類はなぜ、再び金本位制の罠に嵌ってしまったのか ドイツ人の英仏に対する復讐心
欧州経済を再建する道~ケインズの「平和の経済的帰結」 ケインズとオリーンの「トランスファー論争」
経済には「絶対に逆らえない掟」がある ドイツ人労働者の怒り 戦争特需を吹き飛ばした「関東大震災」
後藤新平の「復興プロジェクト」 山本権兵衛内閣3つの対策 「旧平価解禁」という愚策
大蔵大臣の失言が引き起こした「昭和恐慌」 金本位制復帰に耐えられる国は「アメリカ」だけだった
「対米開戦」へのレール
「総力戦というのは、(中略)サッカーでたとえるなら、控えの選手も含めて全選手がフル出場するだけでは
総力戦とは言えません。監督やコーチ、そしてサポーターも使って相手を攪乱する、チームのスポンサーを
使って審判や相手チームの選手を買収する、それぐらいまでやって初めて総力戦と言える戦いになります。
『日韓ワールドカップ(2002FIFAワールドカップ)』で行われた『スペイン対韓国』の戦いにおいて、韓国が
やったえげつない戦いこそ、総力戦の名にふさわしいでしょう。つまり、『スポーツマンシップに、まったく則って
いない戦い』ということです。」
「(前略)経済が大混乱して人々の不満が増大すると、『普段は相手にされないような極端な考え方』が
突如としてメジャーになっていきます。」
「1930年代とはまさに、日本の『日米開戦』へのレールが敷かれていく時代でした。(中略)なぜそんなバカな
ことをしてしまったのか?理由はいくつかあります。例えば、当時のマスコミはそのレールこそが日本の新しい
未来を切り開く素晴らしい道なのだと宣伝しまくったこともそのひとつでしょう。朝日新聞の戦争賛美は特にひどい
ものでした。また当時のエリートのなかに、明らかに外国(ソ連、支那共産党)の意図を汲んで、日本を破滅的な
戦争に誘導するように動いていた人たちがいました。彼らが月刊誌や新聞に寄稿した支那事変拡大を賛美する
論文は、多くの知識人や地方の有力者、インテリ層に影響を与えました。この影響がゼロだったというのは難しい
でしょう。」
第三部 第二次世界大戦前夜の日本経済
日本はなぜ「大東亜戦争」に突入したのか
金本位制VS元祖・リフレ派 政界・財界に蔓延っていた「金本位心性」という病 日本を貶めた「ハゲタカ」経済人
痛みに耐えてもバラ色の未来はやってこない 本当は避けられた「昭和恐慌」
ついに金本位制が「世界的な金融危機」を引き起こす 三井銀行による「ドル買い事件」 戦前にもあった「日本ダメ論」
高橋是清が日本経済を救ったが・・・・・・ 「ブロック経済」の誕生 ドイツの不況が第二次世界大戦への道をつくった
ヒトラーは「デフレ」のおかげで首相になれた 「ブロック経済」が日本に与えた影響とは? 偽装右翼=北一輝
経済政策の間違いが「大東亜戦争」を招いた 実はアメリカも不況に喘いでいた! 日米激突の真相
「(前略)ドル買い事件が大きくクローズアップされたせいで、その後日本には財閥批判の風潮が
生まれました。それは日本を滅ぼしたいと思っている『国際共産主義組織』(コミンテルンなど)にとっては
絶好のチャンスでした。『資本主義はもう限界だ!』といった『日本ダメ論』が流布され、人々は究極的な
解決を求めて過激思想を支持します。」
「北一輝は随所に天皇などを持ち出して『国粋主義を偽装』していますが、私有財産制の否定や国家による
市場介入の正当化など、その本質は『単なる共産主義の劣化コピー』でしかありませんでした。歴史教科書では、
『青年将校たちは<国粋主義者>であり、<右翼>だった』というような記述がありますが、これは正しくありません。
彼らは『共産主義者』であり、『左翼=偽装右翼』であったということです。ちなみに、ソ連のスパイであり、ドイツ
大使館員として日本に潜入していたリヒャルト・ゾルゲは、本国ソ連に事件の顛末を報告すべく現場周辺をうろついて
いたそうです。」
終章 日本の戦後復興
焼け野原から「高度経済成長」を成し遂げた奇跡の国・日本
被害総額=約1340億円、失業者1000万人以上 「公定価格」と「闇市価格」の乖離 「旧円から新円への切り替え」と「預金封鎖」
GHQのアドバイスによる「価格統制」 占領政策の大転換 GHQ財政顧問ドッジの「超緊縮財政」と「朝鮮特需」
急成長を遂げた日本の自動車メーカー 通貨の安定は、経済成長の「手段」であって「目的」ではない
高度経済成長とは「日本を取り戻す政策」のことである
「(前略)当時の日銀や官庁エコノミスト界の大ボスである(中略)都留(重人。つるしげと)は(中略)まるで
民主党政権時代に、『もう日本は成長できない』『デフレの原因は人口減少だ』などと言いまくっていたポチノ
ミストや日本ダメ論者みたいなものです。しかし、現実に何が起きたか。歴史がすべてを証明しています。
都留のしょうもない理論や見通しに反論する必要すら感じません。都留の完敗、(池田勇人の経済ブレーンだった)
下村(治。しもむらおさむ)の大勝利だったのですから。」
あとがき ~日本は二度と「過ち」を繰り返してはならない
「正規軍が対峙して弾を撃ち合う戦争は終わりました。戦争なのか、テロなのか、犯罪なのか
判然としないグレーゾーンのなかに、様々な意図が隠されています。降りかかる火の粉を
払いつつ、国民の安全を守る。終わりのない戦いが今日も、明日も、永遠に続くのです。
問題を一挙に解決するような危険思想に流されることなく、真に国民の経済厚生を高める
政策が採られることを期待(中略)したいと思います。」
参考文献
・・・以上です。ここまでわかり易く、そして楽しく戦前の経済が学べる本はそうはないでしょう。 ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ
絶対オススメ!
このレビューが参考になれば幸いです。 (ゝ。∂)
死ぬほど偉そうな文体でしょ?)と爆笑必至の例え話に加えて、わざと誤った言説を流布するような
連中は乱離骨灰に叩き潰すまで許さないという義侠心にあると思います。 カコ(・∀・)イイ!!
ただし上念先生はクララ先生と違って刊行ペースがそんなに早くないのが欠点で、今回のような
完全新作を首を長っあ~~~くして待っていました。漸く出てくれて、まずはホッとしています。 ┐('ー`)┌
以下に目次を列記しつつあまりにも面白すぎた部分をほんの一部だけ抜粋してゆきます。 (∩'∀`@)⊃
購入の際の参考にしてネ♡
まえがき ~なぜ今、「大東亜戦争」を学ばなければならないのか
「現在、わが国の歴史教科書には『なぜ日本が大東亜戦争へと向かったのか』について、『本当の理由』が
書いてありません。極めて単純化すれば、日本という国が(中略)敷かれたレールの上を(中略)走ることが
問題を解決することだと当時の人々が信じ込んでしまったからです。もちろん、そのレールを敷いたのは、
日本を滅ぼしたい人々でした。彼らは『国粋主義者』になりすまし、政府や論壇のなかに紛れ込みました。」
「(前略)戦争は『正規軍同士の戦い』ではなく、『ゲリラによる非正規戦』が主流となりました。ただでさえ、
リアルな意味での戦争体験を失ってしまった日本に、『戦争そのものの変化』という新たな難題が突き付けられて
いるのです。」
「ジオ・エコノミクスとは、経済をひとつの手段として相手国をコントロールする戦略を研究する学問です。
その観点から見ると、当時多くの国が自国の利益だと信じて突き進んだ道(金本位制)は、相手をコントロール
するどころか自分を縛る最悪の選択であり、戦争への道だったのです。」
序章 経済と戦争の相関
「経済」がわかれば、「戦争」がわかる!
「軍部の台頭」というファンタジー 「昭和恐慌」の真相は「インフレ」ではなく「デフレ」 「経済」と「戦争」の深い関係
「植民地」は「海外投資」である 戦争に直結する、3つの経済的な原因~ピグーの「戦争の政治経済学」
「戦争をすると儲かる」は本当か?~ポーストの「戦争の経済学」 国家が戦争をしない時代 戦争には「表」と「裏」の理由がある
「貨幣経済」に移行した大英帝国の強み 「金本位制」の致命的な欠陥 「経済戦争」という言葉は、バカが使う言葉
「私たちは歴史教科書で、『共産主義者はファシズムに反対して投獄され、アメリカが解放軍として
やってきたときに救出された』と習いましたが、あれは嘘だったのでしょうか。そう、もちろんこれが大嘘なのです。
多くの左翼勢力、革新勢力は、当時の政府内に浸透し、『祖国』ソ連を守るための活動に従事していました。」
「『経済戦争』といった考え方は、イギリスの『重商主義』という200年前に完全論破された考え方にその
源流があると思われます。国家間の競争を企業のシェア争いのように捉え、『輸出が勝ち』で『輸入が負け』という
不思議なルールで勝ち負けを判定する、『戦争もどき』の考え方です。しかしこの言葉には、経済学的な根拠は
まったくありません。この延長線上で、未だに貿易収支の『赤字は負け』『黒字は勝ち』といった言い方をするバカな
人たちがたくさんいます。特に日本のマスコミにおいては、貿易赤字は『転落』するものであり、貿易黒字は『獲得』
するものだそうです。」
第一部 第一次世界大戦までの世界経済の動向
「金本位制」が世界経済を成長させ、そして、奈落に突き落とした・・・・・・
「金本位制」がやってきた! 島国のイギリスが「経済大国」になった理由 金本位制が「デフレ」を誘発する
デフレ状況が「労働者」と「植民地」の人々をとことん苦しめた マルクスの大きな勘違いとは?
世界一有名なトンデモ本「シオン議定書」 新しい金山が見つかるとなぜ急に景気が良くなるのか
世界経済に大打撃を与えた、アメリカ発「1907年恐慌」 20世紀初頭、ニューヨーク株式市場で行われたリアル「カイジ」
アメリカの「銅の王者」の害 「日露戦争」に勝利した日本も不況に喘いでいた 付け焼刃だった恐慌対策
「(前略)未だに『日本円が紙くずになる~!!』などと騒いでいる人がいますが、彼らはまさに19世紀的な
『裏付け資産』という発想に囚われています。また彼らは、『日本は1000兆円を超える借金があって、財政
赤字で国庫が空っぽなので、日本円を維持できない』とも考えてしまうそうです。確かにそれは、小学生レベルの
頭脳であれば受け入れやすい与太話かもしれませんが、実際にはそのような単純な話ではありません。」
「(前略)今の日本の『プロ市民』を見て、マルクスやエンゲルスは草葉の陰で泣いていることでしょう。」
「1900年(明治33年)ごろに世に出た『シオン議定書』は、(中略)荒唐無稽な与太話(中略)です。(中略)この
ような雑な与太話は、2014年(平成26年)末に民主党が仕込んで大失敗した『非実在小学4年生』のように
ソッコーばれてしまいそうな単純な陰謀論なのですが、デフレ不況で困窮した人々にとっては絶好の燃料投下
となってしまいました。(中略)しかも、このような荒唐無稽な話を未だに信じているバカな日本人がいることは
嘆かわしいことです。ユダヤ人に対する差別を助長して、何が楽しいのでしょうか。ヘイトスピーチ云々を言っている
左巻きの人が、この件を問題にしないのが不思議です。」
第二部 第一次世界大戦の明暗
凋落するドイツとフランス、台頭するアメリカと日本
超不安定だった「1907年恐慌」後の世界経済 不幸な偶然の連鎖が生んだ「第一次世界大戦」
「勝ち組」の日米と「負け組」の英仏独 「戦争の鉄則」で、第一次世界大戦を分析する 「金本位制」と「戦後賠償」
人類はなぜ、再び金本位制の罠に嵌ってしまったのか ドイツ人の英仏に対する復讐心
欧州経済を再建する道~ケインズの「平和の経済的帰結」 ケインズとオリーンの「トランスファー論争」
経済には「絶対に逆らえない掟」がある ドイツ人労働者の怒り 戦争特需を吹き飛ばした「関東大震災」
後藤新平の「復興プロジェクト」 山本権兵衛内閣3つの対策 「旧平価解禁」という愚策
大蔵大臣の失言が引き起こした「昭和恐慌」 金本位制復帰に耐えられる国は「アメリカ」だけだった
「対米開戦」へのレール
「総力戦というのは、(中略)サッカーでたとえるなら、控えの選手も含めて全選手がフル出場するだけでは
総力戦とは言えません。監督やコーチ、そしてサポーターも使って相手を攪乱する、チームのスポンサーを
使って審判や相手チームの選手を買収する、それぐらいまでやって初めて総力戦と言える戦いになります。
『日韓ワールドカップ(2002FIFAワールドカップ)』で行われた『スペイン対韓国』の戦いにおいて、韓国が
やったえげつない戦いこそ、総力戦の名にふさわしいでしょう。つまり、『スポーツマンシップに、まったく則って
いない戦い』ということです。」
「(前略)経済が大混乱して人々の不満が増大すると、『普段は相手にされないような極端な考え方』が
突如としてメジャーになっていきます。」
「1930年代とはまさに、日本の『日米開戦』へのレールが敷かれていく時代でした。(中略)なぜそんなバカな
ことをしてしまったのか?理由はいくつかあります。例えば、当時のマスコミはそのレールこそが日本の新しい
未来を切り開く素晴らしい道なのだと宣伝しまくったこともそのひとつでしょう。朝日新聞の戦争賛美は特にひどい
ものでした。また当時のエリートのなかに、明らかに外国(ソ連、支那共産党)の意図を汲んで、日本を破滅的な
戦争に誘導するように動いていた人たちがいました。彼らが月刊誌や新聞に寄稿した支那事変拡大を賛美する
論文は、多くの知識人や地方の有力者、インテリ層に影響を与えました。この影響がゼロだったというのは難しい
でしょう。」
第三部 第二次世界大戦前夜の日本経済
日本はなぜ「大東亜戦争」に突入したのか
金本位制VS元祖・リフレ派 政界・財界に蔓延っていた「金本位心性」という病 日本を貶めた「ハゲタカ」経済人
痛みに耐えてもバラ色の未来はやってこない 本当は避けられた「昭和恐慌」
ついに金本位制が「世界的な金融危機」を引き起こす 三井銀行による「ドル買い事件」 戦前にもあった「日本ダメ論」
高橋是清が日本経済を救ったが・・・・・・ 「ブロック経済」の誕生 ドイツの不況が第二次世界大戦への道をつくった
ヒトラーは「デフレ」のおかげで首相になれた 「ブロック経済」が日本に与えた影響とは? 偽装右翼=北一輝
経済政策の間違いが「大東亜戦争」を招いた 実はアメリカも不況に喘いでいた! 日米激突の真相
「(前略)ドル買い事件が大きくクローズアップされたせいで、その後日本には財閥批判の風潮が
生まれました。それは日本を滅ぼしたいと思っている『国際共産主義組織』(コミンテルンなど)にとっては
絶好のチャンスでした。『資本主義はもう限界だ!』といった『日本ダメ論』が流布され、人々は究極的な
解決を求めて過激思想を支持します。」
「北一輝は随所に天皇などを持ち出して『国粋主義を偽装』していますが、私有財産制の否定や国家による
市場介入の正当化など、その本質は『単なる共産主義の劣化コピー』でしかありませんでした。歴史教科書では、
『青年将校たちは<国粋主義者>であり、<右翼>だった』というような記述がありますが、これは正しくありません。
彼らは『共産主義者』であり、『左翼=偽装右翼』であったということです。ちなみに、ソ連のスパイであり、ドイツ
大使館員として日本に潜入していたリヒャルト・ゾルゲは、本国ソ連に事件の顛末を報告すべく現場周辺をうろついて
いたそうです。」
終章 日本の戦後復興
焼け野原から「高度経済成長」を成し遂げた奇跡の国・日本
被害総額=約1340億円、失業者1000万人以上 「公定価格」と「闇市価格」の乖離 「旧円から新円への切り替え」と「預金封鎖」
GHQのアドバイスによる「価格統制」 占領政策の大転換 GHQ財政顧問ドッジの「超緊縮財政」と「朝鮮特需」
急成長を遂げた日本の自動車メーカー 通貨の安定は、経済成長の「手段」であって「目的」ではない
高度経済成長とは「日本を取り戻す政策」のことである
「(前略)当時の日銀や官庁エコノミスト界の大ボスである(中略)都留(重人。つるしげと)は(中略)まるで
民主党政権時代に、『もう日本は成長できない』『デフレの原因は人口減少だ』などと言いまくっていたポチノ
ミストや日本ダメ論者みたいなものです。しかし、現実に何が起きたか。歴史がすべてを証明しています。
都留のしょうもない理論や見通しに反論する必要すら感じません。都留の完敗、(池田勇人の経済ブレーンだった)
下村(治。しもむらおさむ)の大勝利だったのですから。」
あとがき ~日本は二度と「過ち」を繰り返してはならない
「正規軍が対峙して弾を撃ち合う戦争は終わりました。戦争なのか、テロなのか、犯罪なのか
判然としないグレーゾーンのなかに、様々な意図が隠されています。降りかかる火の粉を
払いつつ、国民の安全を守る。終わりのない戦いが今日も、明日も、永遠に続くのです。
問題を一挙に解決するような危険思想に流されることなく、真に国民の経済厚生を高める
政策が採られることを期待(中略)したいと思います。」
参考文献
・・・以上です。ここまでわかり易く、そして楽しく戦前の経済が学べる本はそうはないでしょう。 ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ
絶対オススメ!
このレビューが参考になれば幸いです。 (ゝ。∂)