地下鉄サリン事件が発生した時、私は中学生でした。朝から晩まで、ニュースはオウム関連がほとんどでした。
当時通っていた学校では、麻原彰晃の奇抜さに、麻原が冗談のネタになっていました。全く自分らとは「関係ない」事件として、オウム真理教の存在がありました。
ここ数日、改めてオウム事件の歴史的な意味を考えていました。たまたまサリン事件の日が近かったことや、またYOUTUBEのお勧めに当時のニュース映像があがっていたからです。
この書籍は、オウム真理教の広報官だった上祐史浩が、サリン事件の17年後に、
オウムとは何だったのかを総括したモノです。今回、改めて、オウム事件は、「私に関係ある」と思いました。
つまり、あの事件は他人事じゃないと思いました。
①上祐史浩のこの書籍
②オウムの後継団体であるアレフの代表の野田成人が書いた書籍
③上祐史浩がひかりの輪で行っているYOUTUBEの動画、
④オウムの信者だった人の告白記、
⑤オウムの脱洗脳を行った苫米地英人のYOUTUBE動画
以上を参考に、オウム事件とは何だったのか、またどのように今の日本に関連しているのか、考えていました。
結論から言えば、今の日本は、社会も、日本人も、「オウム化」したのではないか、
その危惧を非常におぼえました。オウムというものを、日本社会が生んだ、私達と関係した存在と考えず、頭がおかしいテロリスト集団と断定し、この20年、日本社会から積極的に排除してきたことは、百害あって一利もなかったように思います。
「オウム化」とは、複雑な物事や社会の事象を、それが善か悪かのような極端な二元論で考えて、
自分が自ら考えた思考や経験から導き出したモノではないと考えることです。つまり第三者からの評価や教えを「絶対的なモノ」、「批判できない強固なモノ」と考えてしまうことです。この「オウム化」に、今の日本人が陥っているように、私は思います。
80年代から90年代にかけて、当時の日本社会に対して、生きにくさを感じた多くの若者を麻原が、組織化したものがオウム真理教でした。
修行と称して、外部環境とは隔絶した空間で、若者達へ、二元論的な価値観を、身体的な感覚を伴う、
ヨガ教室の一つのプログラムとして、麻原が教示をしていました。オウム真理教の教義は、
当時ニューアカデニズムの有名な学者、宗教家も絡んでいたといいます(苫米地英人曰く)。
その教義の論理性に、最高学府のインテリでさえ共感をしていました。
そういった麻原の教えやオウム真理教の教義に当時の一部の若者は非常に共感しました。
少なくない若者が、当時世界でも稀にみる物質的な豊かさの頂点を極めていた日本に対して、精神的な虚しさや違和感を感じていて、社会に自分の居場所がないという疎外感を感じていました。
物質的ではない、何か精神的な豊かさをもとめていた彼らに、麻原の独善的な考えは非常にマッチしたと思います。
当時、日本社会は、第二次新宗教ブームが起こり、テレビ、マスコミが、その奇抜さを取り上げていました。多くの人が、面白おかしく認知していきました。数多くの有名人が、新興宗教をネタにして、笑いをとっていました。まさか、その裏で、本当にオウム真理教が、化学兵器を使って、日本転覆を企んでいるとは、夢にも思っていませんでした。
そういった日本独特の無責任、無批判のノリが、日本至上最悪な犯罪者集団=オウムを生む土壌となっていきました。
今現在の日本には、オウムのような集団は、表向きに目立って活動はできませんが、当時も今も、多くの人が、二元論的な価値感を提示してくれる存在に、悪魔的な魅力を感じるのは、
変わっていないと思います。つまり、オウムのような集団はないに等しいが、オウムのメンタリティーを持った個人は、この20年で増え続けているのではないでしょうか?
「個人のオウム化」は、ネットが普及した今だからこそ、
加速度的に進んでいるのではないかと思います。
特に今はスマホで、自分が好きなモノをいつでも、どこでも、疑似的に享受できます。
嫌いなモノは、すぐに削除できます。自分が好きなものを、ひたすら享受できます。
YOUTUBEを見れば、いつでも、どこでも、
自分に対して、聞こえのいい内容が喧伝されています。
このような生活環境で二元論的な考えにならない方がおかしいのではないでしょうか?
現代の生活を普通にしていれば、誰も、彼もが、オウム化するのが必至なのではないでしょうか?
オウム事件は、日本社会から彼らを排除して、終わったのではなく、
オウム的な何かが、より日本社会に浸透していったと思います。
この20年で、日本人自体が、オウム化したのではないかと、非常に危惧しています。
自分の思い違いならば、いいですが、実は、改めて、オウム事件を考えることが、
私達にとって非常に意味あることだと思います。そうしなければ、
オウム事件の歴史的な教訓を抽出することができず、
皮肉にもこの20年でオウム化した私達が、この日本社会を、再度、破滅させようとしているのではないかと思います。戦前、国民全体が、とりつかれたように戦争に突き進み、破滅に向かったように。

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オウム事件 17年目の告白 単行本 – 絵本, 2012/12/17
上祐 史浩
(著),
有田 芳生 (検証)
(著)
2012年―平田信、菊地直子、高橋克也とオウム特別手配犯が全員逮捕され、オウム事件にひとつの区切りがついた。
それを受け、麻原の側近として、教団のスポークスマンとして世間を騒がせた上祐史浩氏が今まで語れなかった真実を告白。
オウム真理教はいかにして地下鉄サリン事件を引き起こし、信者たちはなぜ麻原を盲信してしまったのか。その内実を綴った一冊です。
第一章: 地下鉄サリン事件直後
第二章 オウム入信と麻原への帰依
第三章 オウム犯罪の原点?暴走の始まり
第四章 教団武装化?大量破壊兵器の製造実験
第五章 麻原の高弟たちと教団内の男女関係
第六章 サリン事件前夜?狂気の教団内部
第七章 サリン事件を起こしたカリスマの精神病理
第八章 服役、出所。脱け出せない麻原の呪縛
第九章 麻原奪還テロ未遂事件
第十章 麻原からの自立。アレフから脱会
第十一章 ひかりの輪としての歩みと、アレフとの違い
第十二章 父、そして母のこと
参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏との検証対談も収録!
それを受け、麻原の側近として、教団のスポークスマンとして世間を騒がせた上祐史浩氏が今まで語れなかった真実を告白。
オウム真理教はいかにして地下鉄サリン事件を引き起こし、信者たちはなぜ麻原を盲信してしまったのか。その内実を綴った一冊です。
第一章: 地下鉄サリン事件直後
第二章 オウム入信と麻原への帰依
第三章 オウム犯罪の原点?暴走の始まり
第四章 教団武装化?大量破壊兵器の製造実験
第五章 麻原の高弟たちと教団内の男女関係
第六章 サリン事件前夜?狂気の教団内部
第七章 サリン事件を起こしたカリスマの精神病理
第八章 服役、出所。脱け出せない麻原の呪縛
第九章 麻原奪還テロ未遂事件
第十章 麻原からの自立。アレフから脱会
第十一章 ひかりの輪としての歩みと、アレフとの違い
第十二章 父、そして母のこと
参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏との検証対談も収録!
- 本の長さ325ページ
- 言語日本語
- 出版社扶桑社
- 発売日2012/12/17
- ISBN-104594067492
- ISBN-13978-4594067496
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登録情報
- 出版社 : 扶桑社 (2012/12/17)
- 発売日 : 2012/12/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 325ページ
- ISBN-10 : 4594067492
- ISBN-13 : 978-4594067496
- Amazon 売れ筋ランキング: - 86,446位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2021年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まだ読破してないですが、届いてから一気に十章まで読み進めました。
口述筆記なのか?急いで書いたのか?文章的にはあまり推敲されていないような荒さや、単純な校正ミスがありますが、内容は面白く、一気に読めます。
口述筆記なのか?急いで書いたのか?文章的にはあまり推敲されていないような荒さや、単純な校正ミスがありますが、内容は面白く、一気に読めます。
2020年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サリン事件の時、教団の主張をテレビで述べた上祐氏が
「弱い者が強い者と闘うためには、批判に対して180度逆の主張をするしかない。
自分たちは加害者でないと主張するでなく、被害者で、自分とは違う別の者が
加害者だと主張するように」
と指示があったと最初の頃に書かれてて、こういうことする国だったり
政党だったり、あるなぁと、今に繋げて読んでました。
で読み進めて行くうちに、この本自体が、オウムがしてきた事件の中枢に
いた上祐氏の見てきた事実の懺悔録なのですが、氏が2012年から省みて分析、
オウムは、戦争に突入した第日本帝国にも似ていて、中華思想、小中華思想に
も。逆に、現在の日本は敗戦と同時に、父権を喪失した。
などと、歴史的に俯瞰して語ってくれています。
さらに、それは、上祐氏自身にも当てはまり、また、
当てはまってる国民も多いのではないか、と考えされられます。
また、ラスト(ネタバレになるので言いませんが、対談ではなく本編の)、
非常に感動させてくれました。
いや、本として面白かった、オススメです。
「弱い者が強い者と闘うためには、批判に対して180度逆の主張をするしかない。
自分たちは加害者でないと主張するでなく、被害者で、自分とは違う別の者が
加害者だと主張するように」
と指示があったと最初の頃に書かれてて、こういうことする国だったり
政党だったり、あるなぁと、今に繋げて読んでました。
で読み進めて行くうちに、この本自体が、オウムがしてきた事件の中枢に
いた上祐氏の見てきた事実の懺悔録なのですが、氏が2012年から省みて分析、
オウムは、戦争に突入した第日本帝国にも似ていて、中華思想、小中華思想に
も。逆に、現在の日本は敗戦と同時に、父権を喪失した。
などと、歴史的に俯瞰して語ってくれています。
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当てはまってる国民も多いのではないか、と考えされられます。
また、ラスト(ネタバレになるので言いませんが、対談ではなく本編の)、
非常に感動させてくれました。
いや、本として面白かった、オススメです。
2013年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
リアルタイムでオウム事件をテレビで見ていた。
サリン事件は、同僚が日比谷線での遭遇を間一髪で免れた。
今、上祐氏がどう考えているのかが知りたかった。
上祐氏の贖罪の気持ちは多分、本当なのだろうと思う。
そして、元最高幹部が実際はどうだったのか、について、とても興味があった。
しかし、何故、石川公一のことが書いていないのか。
全く触れないのは、おかしい。やはり何かを隠しているように思う。
なので、★は2つ以上つけられない。
プレーボーイの対談で、有田氏と原発廃止の会話。
「デモしかやってないじゃないか。俺たちは死ぬ気で国を変えようとした。
まだ甘い。」と。
軽い衝撃を受けた。向けるベクトルが違うが確かにそうだった。
そう言う意味で+★。
サリン事件は、同僚が日比谷線での遭遇を間一髪で免れた。
今、上祐氏がどう考えているのかが知りたかった。
上祐氏の贖罪の気持ちは多分、本当なのだろうと思う。
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しかし、何故、石川公一のことが書いていないのか。
全く触れないのは、おかしい。やはり何かを隠しているように思う。
なので、★は2つ以上つけられない。
プレーボーイの対談で、有田氏と原発廃止の会話。
「デモしかやってないじゃないか。俺たちは死ぬ気で国を変えようとした。
まだ甘い。」と。
軽い衝撃を受けた。向けるベクトルが違うが確かにそうだった。
そう言う意味で+★。
2013年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
麻原からの精神的脱却と団体の脱会から5年以上経った事もあり、
かなり本音を正直に語るようになったな、と思える内容になっています。
その意味では読んで損はしないと思います。
中身も、そしてボリューム的にも、肩すかしを食らうような内容ではありません。
ただ、自身の人生の経緯だけではなく、心酔していた師である麻原彰晃についても、
とても詳しく生い立ちから含め分析しております。
私は麻原のパーソナリティについてはさほど興味が無いので、
麻原の分析についてくどくど読むのは苦痛でしたね。
(ただ、あれほど多数の人間を取り込んだ彼の“弁”については有能だと思います)
一方で、かつての法友達(教団省庁の長官レベル)についても一人一人挙げてコメントしてますが、
その量はほんの数行で、けして多くはありません。
むしろ麻原よりもこっちのコメントの方が多く聞きたかったので残念。
ちなみに以前の(というか彼にとって初めてであり現時点での最後の)肉体関係ありの恋人だった、
元教団西信徒庁長官であった女性については、短い数行の中でも、
「美人で明るく」と、最大限の評価で元彼女を褒め、また、
彼女を麻原のもとへと導いた原因は自分だと認めた上で、「申し訳ないことをしたと今では思う」と書いている。
ちなみに95年当時の某雑誌のインタビューでは、
「(元彼女が)麻原とセックスしてたって別にいいじゃないですか!」なんて答えてました。
元彼女へのコメント一つ取っても、時は流れました…
今作のウリの一つである「家族への言及」は、そのままこの作品の質向上に貢献してると思います。
彼が地元の両親とかに触れるのは今までの上祐なら有り得なかった事なので。
彼は今では、両親を尊敬してるそうです。こんな事を彼が言うとは…
時間が流れ、すっかり丸くなり口数も減った上祐は個人的には淋しいですね。
当時、宗教独特の不健康な感じがありつつも、青白いハンサムで、頭脳明晰で英語もでき、
涼しげな目つきで得意げにベラベラ喋ったかと思えば、
たまに投げやりになったように不機嫌な態度になったりと、
そんなエネルギーに満ちた青年の彼を毎日のようにTVで見てたので。
まあ、20年以上にも渡るオウム時代を振り返った総括本としては買って損無し。
彼がオウムに言及するのはこれで最後にしてもいいのではないでしょうか?
少なくとも一連の事件については、知ってる範囲の事を詳しく語り尽くした本だと思います。
かなり本音を正直に語るようになったな、と思える内容になっています。
その意味では読んで損はしないと思います。
中身も、そしてボリューム的にも、肩すかしを食らうような内容ではありません。
ただ、自身の人生の経緯だけではなく、心酔していた師である麻原彰晃についても、
とても詳しく生い立ちから含め分析しております。
私は麻原のパーソナリティについてはさほど興味が無いので、
麻原の分析についてくどくど読むのは苦痛でしたね。
(ただ、あれほど多数の人間を取り込んだ彼の“弁”については有能だと思います)
一方で、かつての法友達(教団省庁の長官レベル)についても一人一人挙げてコメントしてますが、
その量はほんの数行で、けして多くはありません。
むしろ麻原よりもこっちのコメントの方が多く聞きたかったので残念。
ちなみに以前の(というか彼にとって初めてであり現時点での最後の)肉体関係ありの恋人だった、
元教団西信徒庁長官であった女性については、短い数行の中でも、
「美人で明るく」と、最大限の評価で元彼女を褒め、また、
彼女を麻原のもとへと導いた原因は自分だと認めた上で、「申し訳ないことをしたと今では思う」と書いている。
ちなみに95年当時の某雑誌のインタビューでは、
「(元彼女が)麻原とセックスしてたって別にいいじゃないですか!」なんて答えてました。
元彼女へのコメント一つ取っても、時は流れました…
今作のウリの一つである「家族への言及」は、そのままこの作品の質向上に貢献してると思います。
彼が地元の両親とかに触れるのは今までの上祐なら有り得なかった事なので。
彼は今では、両親を尊敬してるそうです。こんな事を彼が言うとは…
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当時、宗教独特の不健康な感じがありつつも、青白いハンサムで、頭脳明晰で英語もでき、
涼しげな目つきで得意げにベラベラ喋ったかと思えば、
たまに投げやりになったように不機嫌な態度になったりと、
そんなエネルギーに満ちた青年の彼を毎日のようにTVで見てたので。
まあ、20年以上にも渡るオウム時代を振り返った総括本としては買って損無し。
彼がオウムに言及するのはこれで最後にしてもいいのではないでしょうか?
少なくとも一連の事件については、知ってる範囲の事を詳しく語り尽くした本だと思います。