2008年ガンガンウイング2月号にプレビューコミックが載っていた、
第４回スクウェア・エニックス小説大賞佳作受賞作です。
表紙の高崎ゆうき先生の絵が可愛らしい感じで目を惹きますが、
内容は一筋縄ではいかないライトノベルとなっています。
ミステリということで先読みしながら読んでみましたが、
先の読めない展開に何度も驚かされました。
伏線回収が上手くできていてなるほど！という場面も多かったです。
竜騎士07『ひぐらしのなく頃に』のようなファンタジー要素込みのミステリとしては上出来だと思います。
話の中身は夜の大学で勃発する超能力者バトルという割とありそうな話です。
主人公の「宮神司」には超能力がないにも関わらず、そのバトルを持ち前のずる賢さと器用さで相手を丸め込み、
絶対的に能力差のある敵を出し抜き倒してしまうトリックスター、演戯者"プレイヤー"として勝ち残っていきます。
ライトノベルらしい軽妙なやり取りも面白く、メタ的な発言も合わせて
息詰まるミステリ+バトル要素の良い息抜きとなっています。
最後に明かされる真実からこのタイトルに納得するところまで、
処女作とは思えない作りこみで、作者の頭の良さを感じずにはいられません。
ただ新人らしく今までにないことをしたいという意思の表れか、
尖りが強く荒削りに感じる人も出そうな内容、結末かもしれません。
舞台装置も含めると全ての謎が明記されず、想像で補うところも残っています。
その後の作品を期待させられる内容で、実際後から出ている
『欠落フェティシズム』、『僕が美少女をつくる理由』を読むと
日野イズム先生の作風が小慣れて丸くなっていくようで面白いです。
それらと合わせて読むのもお勧めです。
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