オバマ新政権成立を受けて、アメリカ合衆国政府に対して日本よアクションを取れ、と主張するが、日本も変わるべきと唱えている本人が、どう考えても日本人特有の新しい事象に短期的視点でのみアプローチする典型的なアメリカ・コンプレックスの人間に思えて仕方がありません。（あくまで読後感としてですが。）
オバマに関するエピソートや逸話に基づいた想像はスーパー老婆心かアクダーズ・スタジオの演技“メソッド”に基づいた役作り的妄想にも思えます。アフリカ系アメリカ人を見ると差別の歴史を重ねてしまう著者の論調に、新しさは感じられません。
コラムニストのジョージ・ウィルがよく言うことだが、アメリカ合衆国はきちんとした理由があって二党制が維持されているのです。アメリカの政治はその二大政党の間に収まるように出来ています。オバマが全てをChangeしてひっくり返すようなことは、まずないであろう、という点についてはその通りだと思いますが、英語圏の文化として、二大政党政治体制や、場合によっては自分の意見の正当性を試すためにあえて反論したり極論を展開するような背景を踏まえて議論しなくてはならないと思うのだが、そういった手間ひまはかけないで、複雑な家庭環境や黒人ならでは差別を受けた少年時代の話を、黒人でもなければハーフでもない著者がいちいち断言的語るべきようなことだとは思えません。
普段からNHK BS-1やポッドキャストでアメリカの政治番組を見ているような人には全く不要な本です。会社や小さなグループの中で引用まみれの知ったかぶりに興じたい方にはお勧めします。雑多な事柄が列記されているだけで、ブログ並というか、質の低い一部ウィキペディア記事のような内容としか受け取れません。
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