朝鮮戦争は例えば、近著ではアルバースタム著の「朝鮮戦争」などが、「忘れ去られた戦争・あるいは忘れようとしていた戦争」として、当時のマッカーサーやその取り巻きたちへの、厳しい批判と真実をとうして、わが国にもようやく実態が知らされてきましたが、米国の本国でも実は「あまり触れたくない戦争」として、扱われていたようです。何といっても、太平洋戦争の末期、あの空とぶ要塞のB-29などの大型爆撃機の圧倒的なすごさが歴史の教科書で強調されましたが、ではなぜ、それらで北朝鮮軍のT型戦車を駆逐できなかったのでしょうか?
こたえは、ソ連軍の提供する空での優秀なパイロットとジェット機を含む空軍力がそれを阻んでいたことが、実際の米国の空軍の人の話から良くわかります。
残念ながら、翻訳がまずいのか、戦記物という全体像からみているわけでなく、朝鮮の空の上でどう彼らが、戦い、破れ、分析し、そして改良してチャレンジしていったかを淡々と記述しているので、「なるほど」という疑問を、前提に読まないと、「マッカーサーの電撃的な仁川上陸」などのような劇的な要素はありません。しかし、先の大戦でも米国は、緒戦で0戦に敗れるも、その後は戦法でしのぎ、その後はその欠点を技術でカバーし、若い兵士を弊履のように、すりつぶそうが、そこから得られたデータを冷静に解析し反転していく姿は、決してマッカーサーなどのトップではなく、中核に大きな力が存在していることを、身にしみる一冊です。

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クリムゾンスカイ: 朝鮮戦争航空戦 (光人社ノンフィクション文庫 331) 文庫 – 2001/11/1
- 本の長さ414ページ
- 言語日本語
- 出版社潮書房光人新社
- 発売日2001/11/1
- ISBN-104769823312
- ISBN-13978-4769823315
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
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上位レビュー、対象国: 日本
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2016年7月22日に日本でレビュー済み
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2017年1月3日に日本でレビュー済み
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序盤はパイロットの生い立ちまで書いてあってやや退屈でしたが、後半には戦闘メインで面白かったです。
ミグとセーバーのバトルは、パイロットのテクニックでセーバーが優位になったと初めて知りました。
ミグとセーバーのバトルは、パイロットのテクニックでセーバーが優位になったと初めて知りました。
2014年7月5日に日本でレビュー済み
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デビッド・ハルバースタムの「ザ・コールデストウィンター 朝鮮戦争」には、なぜ空戦の記録が無いのか?と思ったが、その疑問はこの本の冒頭を読んで氷解した。
アメリカ空軍とアメリカ公文書館の双方で、
「文書を整理するのはそちら側だ」
と責任の押し付け合いをしていて、膨大な量の戦闘記録が未整理のまま放置されているのだそうだ。
そういうわけでこの本は、アメリカ軍パイロットからのインタビューと、公開されたソ連の資料を元に執筆されている。
手に汗握る戦闘機同士のドッグファイトはもちろん、攻撃機による爆撃、地上掃射やダム破壊などなど、内容は盛りだくさんだ。
「勝ち戦」だけでなく、撃墜された際のエピソードからはパイロットの抱く焦燥、悲哀、そして負傷の痛みまでがひしひしと伝わってくる。
一冊で朝鮮戦争の空戦史が概観できるおすすめの一冊である。
アメリカ空軍とアメリカ公文書館の双方で、
「文書を整理するのはそちら側だ」
と責任の押し付け合いをしていて、膨大な量の戦闘記録が未整理のまま放置されているのだそうだ。
そういうわけでこの本は、アメリカ軍パイロットからのインタビューと、公開されたソ連の資料を元に執筆されている。
手に汗握る戦闘機同士のドッグファイトはもちろん、攻撃機による爆撃、地上掃射やダム破壊などなど、内容は盛りだくさんだ。
「勝ち戦」だけでなく、撃墜された際のエピソードからはパイロットの抱く焦燥、悲哀、そして負傷の痛みまでがひしひしと伝わってくる。
一冊で朝鮮戦争の空戦史が概観できるおすすめの一冊である。
2017年8月8日に日本でレビュー済み
プロペラ機とジェット機が入り混じった、この時期の航空戦がよくわかります。こんなことは航空戦史の中でも唯一ですね。朝鮮戦争の航空戦のみではなくて、北朝鮮を含む共産側の考え方もよくよくわかります。停戦交渉が始まってから、国連軍が譲歩を引き出そうと、平城の全てをナパーム弾で焼き払っても、何の譲歩も引き出せなかった事例など、現在の北朝鮮との核、ミサイル交渉などにも参考になるのでは、、、。
2014年1月10日に日本でレビュー済み
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Mig-15やF-86の時代。
レシプロ、ジェット入り交じった空中戦。
資料はあるけど、ストーリーものはあまりないので、
興味をそそられました。
レシプロ、ジェット入り交じった空中戦。
資料はあるけど、ストーリーものはあまりないので、
興味をそそられました。
2014年1月14日に日本でレビュー済み
冷戦時代を通じて現在までに至る東アジアの情勢をほぼ決定付けた朝鮮戦争。この戦いについて述べた書籍は少なく、日本国内においても「特需」といった言葉や一部の韓国映画で接する程度ではないでしょうか。
航空戦においても状況は同じで、「F-86vsMiG-15」などの断片的なトピックは採り上げられるものの、本書の様に戦争期間中の航空戦全般を見渡して記述した書籍は貴重ではないかと思います。
記述の内容はほぼ戦争の推移に沿ったものとなっていて、初期の北朝鮮軍による南侵に伴う撤兵戦援護に出撃した空母機の戦い、中期の中型爆撃機と戦闘爆撃機を中心とした阻止攻撃、そして航空戦の白眉とも言うべき「ミグ・アレイの戦い」までを、それぞれの戦場の特徴的なトピックを交えながら解説しています。特に、あまり書物に採り上げられないF4UやAD-1といったレシプロ艦載機による「死闘」と呼びうる対地支援戦闘が印象的です。
「軍隊はひとつ前の戦争で戦う」と言いますが、ヘリコプターによる捜索救難、パイロット達が直面し、その代償を血で贖った政治的制約の数々、そして、粘り強い敵に直面した際の航空戦力の意外な無力さ等、現在の紛争地帯の戦いを含め、朝鮮戦争には現代の航空戦における特質が既に雛形の形で姿を現わしている様に感じます。
航空戦においても状況は同じで、「F-86vsMiG-15」などの断片的なトピックは採り上げられるものの、本書の様に戦争期間中の航空戦全般を見渡して記述した書籍は貴重ではないかと思います。
記述の内容はほぼ戦争の推移に沿ったものとなっていて、初期の北朝鮮軍による南侵に伴う撤兵戦援護に出撃した空母機の戦い、中期の中型爆撃機と戦闘爆撃機を中心とした阻止攻撃、そして航空戦の白眉とも言うべき「ミグ・アレイの戦い」までを、それぞれの戦場の特徴的なトピックを交えながら解説しています。特に、あまり書物に採り上げられないF4UやAD-1といったレシプロ艦載機による「死闘」と呼びうる対地支援戦闘が印象的です。
「軍隊はひとつ前の戦争で戦う」と言いますが、ヘリコプターによる捜索救難、パイロット達が直面し、その代償を血で贖った政治的制約の数々、そして、粘り強い敵に直面した際の航空戦力の意外な無力さ等、現在の紛争地帯の戦いを含め、朝鮮戦争には現代の航空戦における特質が既に雛形の形で姿を現わしている様に感じます。
2020年9月29日に日本でレビュー済み
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面白いだけでなく資料価値もあります
アメリカ空軍としては忘れたい負け戦でもあるので
今後あまり資料もでないでしょう
アメリカ空軍としては忘れたい負け戦でもあるので
今後あまり資料もでないでしょう