つい先日の大新聞で、識者3人がヘイトスピーチについてのインタビューに答えていた。3人は異口同音に怒りや不満の感情を昇華させる方法について語り、まるで精神修養論だった。
見るべきものを見ず、語るべきことを語らぬのが、昨今の大メディアの宿痾である。
この本の共著者四人は、耳を覆いたくなるようなヘイトスピーチへの憤りや批判は共有するものの、ネット右翼へのスタンスはそれぞれに異なり、異口同音ではない。このスタンスの違いが程よい緊張感をもたらし、議論がかみ合っているので、一冊の書に重層感を与えている。
冷戦終結後の世界のパラダイムの激変とそれに伴う韓国の立ち位置の変化、このこととネット右翼の台頭との関連が古谷均衡氏によって述べられる(もっとも古谷氏は「ネット右翼」は幻の概念だと捉えているが)。当然に不可欠の視点だが、大メディアの多くはこのパラダイムの変化については常に鈍感だ。既成メディアへの不信感とネット言論の隆盛はもちろんメダルの裏表といえる。
四人それぞれの意見に違いはあるものの、ネット右翼と保守との関係について思考を続けるよう読者に問題を投げかけている。保守とは何か。
嫌韓感情とヘイトスピーチの関係についてもだ。レイシズムとは何かについて考え続けるのも読者の課題だ。
部外者を排斥し、さらには憎悪し、ついにはジェノサイドにまでも至る可能性を秘めた人間集団の業(ごう)について岩田温氏は書いている。人間集団はこのような残虐さを業として背負っていると同時に、それを非難する高貴な倫理性をも兼ね備えている。人間集団にはこの二面生があるからこそ、「善く生きる」ために「政治」が生まれるのだと岩田氏は解説する。あと一歩論を進めれば「国家とは何か」という問題につながってくるが、それは本書のテーマではないのでそこまでは語られていない。考えを深めるのは読者の責任だ。
優れた芸術作品が読者(若しくは鑑賞者)の想像力を膨らませるように、優れた評論文は、読者の自立思考を誘発するものなのである。
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ヘイトスピーチとネット右翼 単行本(ソフトカバー) – 2013/10/4
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暴力的で差別的表現はどこまで許されるのか!?
ネット右翼と呼ばれてる人たちは、何を考えているのか?
左右の立場を超え若き論客たちが挑む!
・正義感の暴走~先鋭化する在特会とレイシズム~ 安田浩一。
・嫌韓とネット右翼はいかに結びついたのか。 古谷経衡。
・「ネトウヨ」を産み出した日本社会の現実。 森 鷹久。
・大衆運動が先鋭化した「増悪の共同体」としてのネット右翼。 岩田 温。
・座談会 ヘイトスピーチが日本社会に突きつけたもの~ネット右翼とナショナリズム~。
ネット右翼と呼ばれてる人たちは、何を考えているのか?
左右の立場を超え若き論客たちが挑む!
・正義感の暴走~先鋭化する在特会とレイシズム~ 安田浩一。
・嫌韓とネット右翼はいかに結びついたのか。 古谷経衡。
・「ネトウヨ」を産み出した日本社会の現実。 森 鷹久。
・大衆運動が先鋭化した「増悪の共同体」としてのネット右翼。 岩田 温。
・座談会 ヘイトスピーチが日本社会に突きつけたもの~ネット右翼とナショナリズム~。
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社オークラ出版
- 発売日2013/10/4
- ISBN-104775520679
- ISBN-13978-4775520673
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登録情報
- 出版社 : オークラ出版 (2013/10/4)
- 発売日 : 2013/10/4
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 223ページ
- ISBN-10 : 4775520679
- ISBN-13 : 978-4775520673
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,071,513位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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古谷経衡(ふるやつねひら)
文筆家。1982年北海道札幌市生まれ。立命館大学文学部(史学科―日本史学)卒。社)日本ペンクラブ正会員。特非)江東映像文化振興事業団理事長。
時事問題、政治、ネット右翼、アニメ評論など多岐の評論活動を行う。テレビコメンテーターの他、ラジオMCなどメディア媒体でも出演多数。株)オフィス・トゥ・ワン所属。
主な著書:『意識高い系の研究』(文藝春秋)、『日本を蝕む極論の正体』『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『道徳自警団が日本を滅ぼす』(イースト・プレス)、『ネット右翼の終わり』(晶文社)、『女政治家の通信簿』『草食系のための対米自立論』(小学館)、長編小説『愛国奴』(駒草出版)ばど多数。
古谷経衡公式サイトhttp://www.furuyatsunehira.com/
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年10月27日に日本でレビュー済み
森鷹久氏の論考に、この国の行く末に対する一抹の光を感じた。
確かに岩田氏の言われるように、ネット右翼は「憎悪の共同体」という大きな側面があるのは確かだろう。
しかし、「ネット右翼」「ネット保守」の理論武装が、特に3.11以降において、かなり進化・発達してきていることもまた事実である。私自身も、インターネット上にそういう類いの「友人」が多い方であるが、彼らの投稿を見ている限り、「進化・発達」の傾向は否めない。
問題は、根底に「憎悪」しかなく、単なる理論武装として「保守」を口にする輩だろう。それは四悪道としての「修羅、畜生、餓鬼、地獄」を現出する、「人間」の醜い側面である…と自分は思う。
2013年10月末の今、安倍政権に過剰に期待していた「ネット保守」「ネット右翼」の人々は、自身の理想…例えば、アンチTPP、首相の靖国神社への公式参拝などの理想が、現実の政治の世界の中で半壊していくことに耐え切れない面々が多いのではないか。
私もその一人かもしれない。古谷氏、岩田氏が言われているように、真実というものは断片を発見したらそれで以って自身の全ての罪をこそぎ落とすことができるようなものではない。断片を発見したら、その先にはそれを更に拡げる、という行為が求められる。
そこには、哲学的な価値議論を自身の中で深く反芻するという知的作業を必要とする。真実には明暗の両面がある。真実を見つめんとする者が、真実の闇の部分に魅入られてしまったら、まったく意味を為さない。闇に魅入られることなく、真実を見つめていくこと。それこそが、「保守」「右翼」を標榜する者に求められる姿勢であろう。
確かに岩田氏の言われるように、ネット右翼は「憎悪の共同体」という大きな側面があるのは確かだろう。
しかし、「ネット右翼」「ネット保守」の理論武装が、特に3.11以降において、かなり進化・発達してきていることもまた事実である。私自身も、インターネット上にそういう類いの「友人」が多い方であるが、彼らの投稿を見ている限り、「進化・発達」の傾向は否めない。
問題は、根底に「憎悪」しかなく、単なる理論武装として「保守」を口にする輩だろう。それは四悪道としての「修羅、畜生、餓鬼、地獄」を現出する、「人間」の醜い側面である…と自分は思う。
2013年10月末の今、安倍政権に過剰に期待していた「ネット保守」「ネット右翼」の人々は、自身の理想…例えば、アンチTPP、首相の靖国神社への公式参拝などの理想が、現実の政治の世界の中で半壊していくことに耐え切れない面々が多いのではないか。
私もその一人かもしれない。古谷氏、岩田氏が言われているように、真実というものは断片を発見したらそれで以って自身の全ての罪をこそぎ落とすことができるようなものではない。断片を発見したら、その先にはそれを更に拡げる、という行為が求められる。
そこには、哲学的な価値議論を自身の中で深く反芻するという知的作業を必要とする。真実には明暗の両面がある。真実を見つめんとする者が、真実の闇の部分に魅入られてしまったら、まったく意味を為さない。闇に魅入られることなく、真実を見つめていくこと。それこそが、「保守」「右翼」を標榜する者に求められる姿勢であろう。
2013年11月3日に日本でレビュー済み
A新聞や韓国のメディアが、ネット空間での発言の数々についての非難をする際に述べる内容を
繰り返しただけであり、読む価値はまったくありません。
長期不況で蔑んでいた中国や韓国の追い上げにいらだった人たちが嫉妬したとか
やれ、負け組みがどうのとか
やれ、ニートがどうのやらとかね
ま、確かにネットで書き込みを入れている人たちも色んな人がいますから
指摘に当てはまる人もいるでしょうが
しかしほとんど報道されませんが、過去にネット右翼と呼ばれる人たちの構成を調べた調査もありますが
ほとんどの人たちが平均より多くの年収があり、四十代以上の社会的地位のある人たちだった
判で押したようなネット右翼像で語られるような状態ではない事は明らかでしょう
そもそもネット右翼という言葉自体、明らかなレッテル貼りですし
恣意的に人物像を世間に押し付けようとする意図があるとしか思えない
加えて言わせてもらえば、ネット右翼を非難する人たちの姿がネット右翼より上等だとは私は思えませんね
何かあれば、やれレイシストだの、何だのと他者にレッテルを貼り。
さらに議論につまると、決まってやれ歴史だの、議論が難しいことを言い出して議論そのものを封殺しようとする
本人もよくわかっているかどうかも怪しい人たちばかりだったな。
アメリカでは政治を動かしたネット集団として、ティーパーティーの存在も指摘されているし
まあ、確かに日本のネットでの政治活動や発言は、度が過ぎたものもありますが
ネットに限らず、世論というのは、議論が白熱すると極論も飛び出してくるのが常
ネットは顔が見えない分、その傾向は強いでしょう
だが、それはそれで認めるべきではないかと思いますけどね
少なくとも、日本では、ネット右翼がテロ行為を行った事実はない。ヘイトスピーチと言っても、沖縄でオスプレイに反対する人たちや
原発反対を訴える人たちも、時にはそんなことを言い出すことはある
集団心理に煽られて、そういう発言が起こることを問題としてはキリがないとも思います
現実にテロ行為まで計画したり及ぶようなら、さすがに叩き潰す必要があるが、そこまで至らない限りは仕方ないような気もしますけど
あと、在特会に関しては、当初からネット右翼と呼ばれる人たちの中でも賛否が分かれていた事は指摘します
ヘイトスピーチに関しては、大部分がやりすぎだと言っていましたしね
繰り返しただけであり、読む価値はまったくありません。
長期不況で蔑んでいた中国や韓国の追い上げにいらだった人たちが嫉妬したとか
やれ、負け組みがどうのとか
やれ、ニートがどうのやらとかね
ま、確かにネットで書き込みを入れている人たちも色んな人がいますから
指摘に当てはまる人もいるでしょうが
しかしほとんど報道されませんが、過去にネット右翼と呼ばれる人たちの構成を調べた調査もありますが
ほとんどの人たちが平均より多くの年収があり、四十代以上の社会的地位のある人たちだった
判で押したようなネット右翼像で語られるような状態ではない事は明らかでしょう
そもそもネット右翼という言葉自体、明らかなレッテル貼りですし
恣意的に人物像を世間に押し付けようとする意図があるとしか思えない
加えて言わせてもらえば、ネット右翼を非難する人たちの姿がネット右翼より上等だとは私は思えませんね
何かあれば、やれレイシストだの、何だのと他者にレッテルを貼り。
さらに議論につまると、決まってやれ歴史だの、議論が難しいことを言い出して議論そのものを封殺しようとする
本人もよくわかっているかどうかも怪しい人たちばかりだったな。
アメリカでは政治を動かしたネット集団として、ティーパーティーの存在も指摘されているし
まあ、確かに日本のネットでの政治活動や発言は、度が過ぎたものもありますが
ネットに限らず、世論というのは、議論が白熱すると極論も飛び出してくるのが常
ネットは顔が見えない分、その傾向は強いでしょう
だが、それはそれで認めるべきではないかと思いますけどね
少なくとも、日本では、ネット右翼がテロ行為を行った事実はない。ヘイトスピーチと言っても、沖縄でオスプレイに反対する人たちや
原発反対を訴える人たちも、時にはそんなことを言い出すことはある
集団心理に煽られて、そういう発言が起こることを問題としてはキリがないとも思います
現実にテロ行為まで計画したり及ぶようなら、さすがに叩き潰す必要があるが、そこまで至らない限りは仕方ないような気もしますけど
あと、在特会に関しては、当初からネット右翼と呼ばれる人たちの中でも賛否が分かれていた事は指摘します
ヘイトスピーチに関しては、大部分がやりすぎだと言っていましたしね
2013年10月8日に日本でレビュー済み
書籍の中でまともなことを言っている順に並べますと
森鷹久>>>古谷経衡>岩田温>>>>>>安田浩一
という感じです。
はっきり申し上げまして、森氏以外は斜め上を行くような内容が多々見受けられました。
どういうことかと言いますと極端な例から「これがネット上の右派側の大多数の意見だ」
というような言い方で話を進めている点です。
これは読んでいて唖然としました。
それに対して、森氏は淡々と現状の右派活動の状況や日本の世論を分析しています。
ここが私がこの本を☆2をつけた理由です。
しかし森氏の話がちょっと少ないんですよね。
この方の話がもうちょっと入っていたら☆3を差し上げるところなのですが・・
ちょっと残念です。
森鷹久>>>古谷経衡>岩田温>>>>>>安田浩一
という感じです。
はっきり申し上げまして、森氏以外は斜め上を行くような内容が多々見受けられました。
どういうことかと言いますと極端な例から「これがネット上の右派側の大多数の意見だ」
というような言い方で話を進めている点です。
これは読んでいて唖然としました。
それに対して、森氏は淡々と現状の右派活動の状況や日本の世論を分析しています。
ここが私がこの本を☆2をつけた理由です。
しかし森氏の話がちょっと少ないんですよね。
この方の話がもうちょっと入っていたら☆3を差し上げるところなのですが・・
ちょっと残念です。
2014年5月1日に日本でレビュー済み
0.文中敬称略。
1.内容
いわゆる在特会は朝鮮人(韓国人も含む)に対する憎悪表現を含んだデモをしているが、それに対してレイシストしばき隊などのカウンターがあるが、どちらも過激であり、大多数の人々が関心を持たない状況になっている。他方、ネトウヨ(ネット右翼)というレッテル貼りも横行している。このような状況で、ヘイトスピーチとされる嫌韓(レビュアーが本書の内容を要約した表現であり、ヘイトスピーチと嫌韓はイコールではない)とはどういうものか、ネトウヨはどういうものかを、4人の著者がそれぞれ示したものである。最終章は座談会。
2.評価
安田、岩田の文章は、なるほどと思うところが多かった(安田は事実を述べ、事実でないところは根拠を持って反論している(レビュアーは未確認だが検証可能になっている)。岩田のp128l11〜l13の内容はまさに正論)。一方、古谷、森の文章は、そもそもの認識からダメである。古谷でいえば、「『嫌韓』はレイシズムではなく、正当な隣国への批判」(p69)とあるが、そうでないのが目立つから問題になっているのである(嫌韓ではなくレイシズムだから問題)。また、ネット上の表現にもヘイトスピーチがあるからネトウヨとされて問題視されるのである。森でいえば、「欧米のポップス」等「は日本で自然に受け入れられた」(ともにp80)とあるが、たいていはマスメディア経由で受け入れるものだから韓流ドラマやK−POPも同じであり、ともに「自然」(p80)かそうでないかのどちらかしかなく、レイシズムの域を抜けていない。以上、安田、岩田の内容が星5つ、古谷、森の内容が星1つ、中間をとって星3つ。この本は絶版にして、安田、岩田だけにすれば、もっと素晴らしい本になるのだが。
1.内容
いわゆる在特会は朝鮮人(韓国人も含む)に対する憎悪表現を含んだデモをしているが、それに対してレイシストしばき隊などのカウンターがあるが、どちらも過激であり、大多数の人々が関心を持たない状況になっている。他方、ネトウヨ(ネット右翼)というレッテル貼りも横行している。このような状況で、ヘイトスピーチとされる嫌韓(レビュアーが本書の内容を要約した表現であり、ヘイトスピーチと嫌韓はイコールではない)とはどういうものか、ネトウヨはどういうものかを、4人の著者がそれぞれ示したものである。最終章は座談会。
2.評価
安田、岩田の文章は、なるほどと思うところが多かった(安田は事実を述べ、事実でないところは根拠を持って反論している(レビュアーは未確認だが検証可能になっている)。岩田のp128l11〜l13の内容はまさに正論)。一方、古谷、森の文章は、そもそもの認識からダメである。古谷でいえば、「『嫌韓』はレイシズムではなく、正当な隣国への批判」(p69)とあるが、そうでないのが目立つから問題になっているのである(嫌韓ではなくレイシズムだから問題)。また、ネット上の表現にもヘイトスピーチがあるからネトウヨとされて問題視されるのである。森でいえば、「欧米のポップス」等「は日本で自然に受け入れられた」(ともにp80)とあるが、たいていはマスメディア経由で受け入れるものだから韓流ドラマやK−POPも同じであり、ともに「自然」(p80)かそうでないかのどちらかしかなく、レイシズムの域を抜けていない。以上、安田、岩田の内容が星5つ、古谷、森の内容が星1つ、中間をとって星3つ。この本は絶版にして、安田、岩田だけにすれば、もっと素晴らしい本になるのだが。
2014年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近よく聞くネット右翼について、実際に右翼の方から話をうかがっています。
2013年10月7日に日本でレビュー済み
「朝鮮人をぶっ殺せ―」だの、「朝鮮人はブサイク」だの下品な言葉で朝鮮人を中傷、口撃する在特会、ネット右翼を識者4人がそれぞれの視点から分析している本書。
彼等は何故デモをしているのか。考えても見ると、殺せ殺せ!と高圧的、威圧的に叫んでいるだけでは、朝鮮人だけでなく、普通の日本人もドン引きである。むしろ、このような頭のおかしい右翼にいじめられている朝鮮人は可哀そうと朝鮮人への同情が増え、逆効果なのではないかと私は思う。
そのことについて、本書の識者の一人である岩田温氏が鋭い指摘をしている。岩田氏は本書の中で在特会の人達が何故デモをしているのかをアメリカの社会哲学者エリック・ホッファーの著書「大衆運動」を引用し、説明している。それによると、自分自身、社会に対し欲求不満を持つ人々が自らの存在を承認される満足感を得るためにデモをやっているのだという。デモをやっているメンバーのその内側では、ある種の連帯感、仲間意識が生まれる。外側の人々が彼らをどう見ているかなど最早関係がないのである。特に左翼の側からの彼等に対する「暴力的」だの「低レベル」だのという批判は彼らにとって無意味なのである。むしろそういう批判は、彼らのナショナリズムに益々火をつけるだけで逆効果である。
戦後日本社会は、ナショナリズムについて恐いもの、胡散臭いものといって考えることを避けてきたように私は感じる。
ネット右翼とナショナリズムについて理解を深めたいと考えるのならば、本書を是非ご一読することをお勧めする。
彼等は何故デモをしているのか。考えても見ると、殺せ殺せ!と高圧的、威圧的に叫んでいるだけでは、朝鮮人だけでなく、普通の日本人もドン引きである。むしろ、このような頭のおかしい右翼にいじめられている朝鮮人は可哀そうと朝鮮人への同情が増え、逆効果なのではないかと私は思う。
そのことについて、本書の識者の一人である岩田温氏が鋭い指摘をしている。岩田氏は本書の中で在特会の人達が何故デモをしているのかをアメリカの社会哲学者エリック・ホッファーの著書「大衆運動」を引用し、説明している。それによると、自分自身、社会に対し欲求不満を持つ人々が自らの存在を承認される満足感を得るためにデモをやっているのだという。デモをやっているメンバーのその内側では、ある種の連帯感、仲間意識が生まれる。外側の人々が彼らをどう見ているかなど最早関係がないのである。特に左翼の側からの彼等に対する「暴力的」だの「低レベル」だのという批判は彼らにとって無意味なのである。むしろそういう批判は、彼らのナショナリズムに益々火をつけるだけで逆効果である。
戦後日本社会は、ナショナリズムについて恐いもの、胡散臭いものといって考えることを避けてきたように私は感じる。
ネット右翼とナショナリズムについて理解を深めたいと考えるのならば、本書を是非ご一読することをお勧めする。
2013年10月7日に日本でレビュー済み
一読して、共著者四名の立場はあまり違わないように思える。
ヘイトスピーチ、民族差別的な表現は褒められたことではない、という点で四者は共通している。優等生的、といえば優等生的である。
だが、そこから派生して、なぜヘイトスピーチのような粗暴な言説が生まれたのか?をめぐる四者の座談会が面白い。現在の「保守」「右」の、怠惰がヘイトスピーチを生んだ、という部分はなるほど頷けるものがある。
先鋭化した「運動」の無意味を岩田氏が指摘。古谷氏は次元の低い「保守」のフォロワーが、アメリカの福音派に似ていると指摘。いずれも鋭い論考である。これに対しては、唯一「左派」と目される安田浩一氏も、その過激ともいえる「右」からの自己批判にたじたじといった処で、本書最大の読み所であろう。
惜しむらくは、岩田・古谷・森の「保守」側3名と、安田浩一の対立点があまりなかったことである。若手の保守言論人の見解を、年齢的に一段上の安田氏が上手に聞く、という感触があり、もうすこし激論というものが欲しかったが、企画趣旨も含めて、面白い本であることには違いない。
ヘイトスピーチ、民族差別的な表現は褒められたことではない、という点で四者は共通している。優等生的、といえば優等生的である。
だが、そこから派生して、なぜヘイトスピーチのような粗暴な言説が生まれたのか?をめぐる四者の座談会が面白い。現在の「保守」「右」の、怠惰がヘイトスピーチを生んだ、という部分はなるほど頷けるものがある。
先鋭化した「運動」の無意味を岩田氏が指摘。古谷氏は次元の低い「保守」のフォロワーが、アメリカの福音派に似ていると指摘。いずれも鋭い論考である。これに対しては、唯一「左派」と目される安田浩一氏も、その過激ともいえる「右」からの自己批判にたじたじといった処で、本書最大の読み所であろう。
惜しむらくは、岩田・古谷・森の「保守」側3名と、安田浩一の対立点があまりなかったことである。若手の保守言論人の見解を、年齢的に一段上の安田氏が上手に聞く、という感触があり、もうすこし激論というものが欲しかったが、企画趣旨も含めて、面白い本であることには違いない。