叔父、伊藤文學[いとう ぶんがく](くどいようですが、本名です)が『裸の女房』に続いて、2010年11月に出版したのが本書。出版記念パーティを銀座のキャバレー「白いばら」で行いました。団鬼六先生が前回同様ご出席くださいました。
そのときに本書を手にしてから2ヶ月ぐらいそのままにしてしまいました。それは電車の中で読めないから…。
まず、表紙が山川純一さんの漫画でベンチに座るブルーカラーの青年が「やらないか!」と呼びかけ、もう一人の青年がハッとして戸惑いの表情を浮かべている…。それではと、カバーを外すと今度は曾祖父の伊藤富士雄と叔父の伊藤文學の顔写真のアップ。
しかたがないと紙のカバーをして電車の中で読んだとしても、隣の人が覗いたらビックリするような写真・挿絵が随所にある…。電車では無理です! と、ここまでは、ほんの「枕」です。
さて、前半は、大正3年9月に洲崎で廃娼運動中に大けがをした、救世軍士官だった伊藤富士雄のことが中心です。村上信彦『日本の婦人問題』岩波新書 p. 100(絶版かな?)にもこの事件の顛末が書かれています。伊藤富士雄は私たち親類にとっては「誇り」です。
後半は、『薔薇族』編集長である叔父にしか知りえない、日本におけるホモセクシュアルの歴史が書かれています。
でも何よりも知っていただきたいのは、p. 126-128に書かれている、下北沢の自宅を訪問してくる読者に対する叔父の温かな対応。
そして、書かれていませんが、忘れてはいけないのが祖母が誰に対しても平等に茶菓を出していたこと。それが『薔薇族』を家に置いておけないので預かってほしいという読者であっても…。
廃娼運動に身を投じた曾祖父、心優しい祖母の血を受け継いだ叔父だからこそ、読者の悩み相談に親身に応じることが自然に為されていました。素晴らしいと思います。
このことをお含み置きいただいてお読みいただければ幸いです。

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やらないか!: 『薔薇族』編集長による極私的ゲイ文化史論 単行本 – 2010/11/8
伊藤 文学
(著)
ゲイよ、差別に生きる者たちよ、己を信じ堂々と生きろ!
書名を《やらないか!》としたのは、何かいやらしいコトバともとれるが、今の日本、不況続きで、日本中が元気をなくしている、とくに若者は将来への希望がもてず、行動する気力さえない若者たちに「行動せよ」という提言の意を込めたのである。そして約40年にわたってゲイ文化を世に喧伝してきた歴史的証言の書として本書を先達たちに捧ぐ!
書名を《やらないか!》としたのは、何かいやらしいコトバともとれるが、今の日本、不況続きで、日本中が元気をなくしている、とくに若者は将来への希望がもてず、行動する気力さえない若者たちに「行動せよ」という提言の意を込めたのである。そして約40年にわたってゲイ文化を世に喧伝してきた歴史的証言の書として本書を先達たちに捧ぐ!
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社彩流社
- 発売日2010/11/8
- 寸法12.8 x 1.7 x 18.8 cm
- ISBN-104779115825
- ISBN-13978-4779115820
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商品の説明
著者について
1932年、東京生まれ。駒澤大学文学部国文学科卒業後、父が設立した第二書房に入社。1971年7月、日本初の同性愛専門誌「薔薇族」を創刊。爾来30年以上に亘り編集長を務めた。著書には、心臓病で夭折した実妹の闘病生活を描いた『ぼくはどうして涙がでるの』(第二書房)、『薔薇ひらく日を、薔薇族と共に歩んだ30年』(河出書房新社)、『編集長「秘話」』(文春ネスコ)、『裸の女房』(彩流社)等がある。「薔薇族」は400号をもって閉幕。
登録情報
- 出版社 : 彩流社 (2010/11/8)
- 発売日 : 2010/11/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 254ページ
- ISBN-10 : 4779115825
- ISBN-13 : 978-4779115820
- 寸法 : 12.8 x 1.7 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 615,605位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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