NAや遺伝子とは余り関係がない、マクロの生物学書。きわめて専門的な内容にもかかわらず、タイトルが・・・。
あたりまえですが、男性が同時に複数の女性を身ごもらせることが可能なのに対して、女性は不可能であり、生涯に得ることの出来る自分の子どもの数は理屈の上では圧倒的に男性の方が多い。つまり♂の性行動は本質的に「乱交」的であり、「英雄色を好む」などと社会文化的にも比較的容認されてきた。そのような♂の行動は人間に限らずほとんどの動物で見られ、通常♀は同時に複数の配偶者と交わることはない、とされてきた。がしかし、最近の研究者によると一夫一婦制の絆が固いと思われてきた鳥類ですら、20%近くの卵は「婚外受精」であるらしい。また、多数の♂の精子をカクテルにして受精させる実験などでは、単なる精子の生存競争以外に♀の側にも特定の精子をえり好みし、受精しやすくするような機能があるらしい。
つまり、繁殖活動は決して♀に対して受忍を強いる物ではなく、まして両性間の協力的な営みなどではない。繁殖とは、♂間の競争と♀による選択が激しく混ざり合い、一緒になって勃発する両性間の戦争のようなものなのだ・・・はぁ・・・。

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乱交の生物学: 精子競争と性的葛藤の進化史 単行本 – 2003/8/1
- 本の長さ366ページ
- 言語日本語
- 出版社新思索社
- 発売日2003/8/1
- ISBN-104783502293
- ISBN-13978-4783502296
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
乱交の生物学
ほとんどの生物種のオスが、隙あらば複数のメスと交尾に及ぶ(乱交する)ことはよく知られているが、乱交がオスに限った話ではないとわかったのはつい最近のことという。そしてその事実は生物学の重要なテーマである生殖の研究にも大きな影響を与えた。自らの遺伝子を次代に残すための戦略を考える際に、重要なのはオスの間の競争(精子競争)のみではなく、メスがどのオスの精子を自分の卵子に受精させるか、いわゆる「精子選択」という概念が加わったからだ。
ほとんどの生物種のオスが、隙あらば複数のメスと交尾に及ぶ(乱交する)ことはよく知られているが、乱交がオスに限った話ではないとわかったのはつい最近のことという。そしてその事実は生物学の重要なテーマである生殖の研究にも大きな影響を与えた。自らの遺伝子を次代に残すための戦略を考える際に、重要なのはオスの間の競争(精子競争)のみではなく、メスがどのオスの精子を自分の卵子に受精させるか、いわゆる「精子選択」という概念が加わったからだ。
本書は生殖研究のこのパラダイムシフトを丁寧に解説。鳥類の研究が専門の著者が、無脊椎動物から霊長類まで広範な種について文献を引き、一雌多雄の実例と意義を論考していく。「体長の7倍に及ぶ陰茎を持つナメクジがいる」「交尾後も食べられずに逃げ延びるカマキリのオスは結構多い」など、生殖に関するトリビアも満載だ。
(日経バイオビジネス 2003/11/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
内容(「MARC」データベースより)
生物界は乱交の世界?! ヒト、霊長類、哺乳類、鳥類、魚類、軟体動物などの無数の乱交の具体例をあげ、性淘汰と精子競争をキーワードに、なぜ乱交なのかを解き明かす。雌の視点から述べる、乱交の本質に迫る興味深い論考。
登録情報
- 出版社 : 新思索社 (2003/8/1)
- 発売日 : 2003/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 366ページ
- ISBN-10 : 4783502293
- ISBN-13 : 978-4783502296
- Amazon 売れ筋ランキング: - 802,630位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,143位生物学 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
基本的には人以外の、鳥類や虫の話ですが、正直、興奮しました。
しかし、それと同時に、生物の悲しさを非常に強く感じました。
やはり人が人でありたいのであれば、人であろうと自ら意識して生きていかなければならないのだなと学びました。
しかし、それと同時に、生物の悲しさを非常に強く感じました。
やはり人が人でありたいのであれば、人であろうと自ら意識して生きていかなければならないのだなと学びました。
2003年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
精子競争というより交尾後の性選択に関するまじめな啓蒙書.わかっていることをきちんと記述してかつそこそこに読ませる丁寧なつくりに好感が持てる.話題が網羅されておりいろいろな適応が基本的にオスとメスのアームレースであることがよくわかる.
それにしても邦題のつけ方にはもう少し工夫が欲しかった.
それにしても邦題のつけ方にはもう少し工夫が欲しかった.
2007年7月17日に日本でレビュー済み
色々な動物の摩訶不思議な交尾の形が満載で非常に楽しく読める。
従来パートナーを裏切るのは雄のやる事であり、卵子と精子の製造コストの差から雌には裏切るインセンティブが低いと思われていたのが、実は雌も状況によっては裏切るメリットが大きく存在し、ほとんどの種の雌が実際に複数の雄の子供を産んでいる事実を明らかにする。
雌の裏切りが存在するのをどうやら雄は知っている(個体だけが選択され生き残る)らしく、その結果雄は雌を囲い込むのに必死になる訳だ。(精液に雌の発情をコントロール成分を含んでいる種もある)
ところが雌はパートナーである雄の目を盗んで別の雄と関係を持つものが驚く程多い。
中には巣に利用する小石と引き換えに他の雄と関係を持つ売春ペンギンの話もある。
ところで人間の女性が一生に排卵する数は最大で400個だそうだ。男性が一生に生産する精子の数は約2兆という。
もう1兆以上は無駄にしていると感慨に耽った。
従来パートナーを裏切るのは雄のやる事であり、卵子と精子の製造コストの差から雌には裏切るインセンティブが低いと思われていたのが、実は雌も状況によっては裏切るメリットが大きく存在し、ほとんどの種の雌が実際に複数の雄の子供を産んでいる事実を明らかにする。
雌の裏切りが存在するのをどうやら雄は知っている(個体だけが選択され生き残る)らしく、その結果雄は雌を囲い込むのに必死になる訳だ。(精液に雌の発情をコントロール成分を含んでいる種もある)
ところが雌はパートナーである雄の目を盗んで別の雄と関係を持つものが驚く程多い。
中には巣に利用する小石と引き換えに他の雄と関係を持つ売春ペンギンの話もある。
ところで人間の女性が一生に排卵する数は最大で400個だそうだ。男性が一生に生産する精子の数は約2兆という。
もう1兆以上は無駄にしていると感慨に耽った。