主人公のイギリス人が第二次大戦で日本と密接にかかわることになり・・・というお話。
ここで描かれる日本人のキャラクターが著者が実際に関わった実在する人物か創作されたものかは判りませんが、日本人の本質を見事に射抜いているように感じました。その残虐でありながら美徳も持ち合わせ、冷酷でありながら礼節を弁えるという古くからある日本人の本質を捉えていて鋭い洞察に驚きます。
ここで著者は多分、反戦や厭戦の立場でこの小説を書こうとしたのではなく、戦争という極限状況で人間がどうあるべきかを問いつつ戦争の本質を探ろうとしたのではないかと思いましたがどうでしょうか。戦争の小説ですが、あまり戦闘シーンはなく殆どの場面が登場人物の内面の葛藤を軸に話が進むのでそういう風に思ったのですが・・・。
「戦場のメリークリスマス」の題名で映画化された作品に関して監督の大島渚氏は生前、日本の戦争映画に敵が描かれていないものが多くてそれが不満で撮ったと申してらっしゃいましたが、確かにこの原作を読むとこの当時の敵に当たる英米の人や連合国側の人間性がよく描かれていて感心させられます。このあたりに大島監督の琴線に触れたのかなとか思いました。
ピエール・ショアンドェルフェルの「さらば大様」等日本以外の人が日本について書いた戦争小説の系譜があるようですが、これもその系譜に連なる傑作だと思います。機会があったらご一読を。

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戦場のメリークリスマス 原作版 新装版: 影の獄にて映画版 単行本 – 2009/2/1
- 本の長さ328ページ
- 言語日本語
- 出版社新思索社
- 発売日2009/2/1
- ISBN-104783512000
- ISBN-13978-4783512004
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登録情報
- 出版社 : 新思索社 (2009/2/1)
- 発売日 : 2009/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 328ページ
- ISBN-10 : 4783512000
- ISBN-13 : 978-4783512004
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