くわしい目次は以下のとおり。
■巨災対から――キャストインタビュー
映画界の異端児が、学界の異端児に / 塚本晋也 (聞き手・構成=切通理作)
安田のスタイル / 高橋一生 (聞き手=編集部)
■あるゴジラの記憶
極私的『シン・ゴジラ』論 / 原 一男
原ゴジラから新ゴジラへ / 辻 真先
■詩
春とシ / 川口晴美
■怪獣王の帰還
帰らないゴジラ 『シン・ゴジラ』の熱線と変わらない首都東京 / 猪俣賢司
私たちの今日と『シン・ゴジラ』 / 切通理作
ゴジラはなぜ都市を目指すのか / 橋爪紳也
■人新世の主権
『シン・ゴジラ』の政治学 主権についての不安な意識 / 関 曠野
『シン・ゴジラ』が逆照射するもの / 小泉 悠
立ち尽くすノモス 夢と《現実》のあわいに / 谷口功一
ニッポン、この厄介な虚構 / 辻田真佐憲
ゴジラが想像/創造する共同体 「属国」としての「科学技術立国」 / 中尾麻伊香
■黙示録の咆哮
巨神と鎮魂 ゴジラ音楽の血脈 / 小林 淳
『シン・ゴジラ』の音楽 伊福部昭のモノラル音源と鷺巣詩郎の合唱曲 / 円堂都司昭
修羅の音を聴く 『シン・ゴジラ』におけるモノとステレオ / 福田貴成
■インタビュー
ゴジラを彫塑する / 竹谷隆之 (聞き手=編集部)
■映画の論理と怪獣の倫理
恐ろしいものにはもっと恐ろしいものを 『シン・ゴジラ』をめぐって / 高橋 洋
怪獣映画のリアリティ / 小中千昭
ゴジラより大きな呪い / 白倉伸一郎
シン・ゴジラ』という小さからざる映画の栄光と頽廃 「怪獣になること」と人間の擬人化をめぐって / 木村建哉
尾頭ヒロミというヒロイン 女性映画としての『シン・ゴジラ』 / 石田美紀
■3,526秒後
『シン・ゴジラ』断想 / 飛 浩隆
『シン・ゴジラ』の怪物的「しるし」 未来からの映画 / 田中 純
天使は恋のラッパを吹き上げる / 池田純一
■補完と救済
外傷の器としての… / 斎藤 環
ゴジラの二つの身体 カタストロフとアーカイブ / 林田 新
■歴史の呼び声と日本の桎梏
シン・ゴジラ』は感情天皇制を断念する / 大塚英志
『シン・ゴジラ』と戦後的な倫理 / 福嶋亮大
すめろぎの地質学 『シン・ゴジラ』からの一心象 / 串田純一
■〈完全生物〉の研究
空想科学小説 山根博士、ゴジラを語る / 倉谷 滋
『シン・ゴジラ』に学ぶ生命科学 / 仲野 徹
■第四世代のゴジラ――インタビュー
人間の声を聴く、あるいはゴジラの静寂 / 佐倉綾音 (聞き手=編集部)
怪獣のネイチャーと現実のシミュレーション / 古田一紀 (聞き手=編集部)
■シンなる虚構
エヴァンゲリオン』から『シン・ゴジラ』へ 庵野秀明における公共性の浮上 / 稲葉振一郎
「それでもなお」の/と「あかるさ」 / 伊藤 剛
失恋に狂うゴジラ / 西田 藍
■Speculative-Godzilla
Syn-God-Zillaの迷宮 / 江川隆男
『シン・ゴジラ』の予告する世界 生命とその影 / 大橋完太郎
法人、ゴジラ、死の恐怖 超知性にとっての身体と共同性 / 西川アサキ
「シン・ゴジラ」は凄い映画だ。あの「エヴァンゲリオ(ヲ)ン」の庵野秀明さんがここまでリアルに「現実」をシミュレートしてみせた、ということに、驚いた人も多かったんじゃないか。これにつき、大塚英志さんが、論考の末尾に「案外とぼくたちはちゃんと年をとれているのかもしれない。/それが率直な感想である。」と記してるのが印象ぶかかった。とかく口のわるい大塚さんにしてみれば、これは最高級の賛辞だと思う。
だからこの映画への批評は、いわばサブカル文化の集大成といった脂っこい匂いを発散しつつ、「3・11」(フクシマ)を踏まえた上での、社会論、政治論、国家論、戦後論、日本論、日米論、映画論、官僚論、国防論、軍事論、女性論、音楽論、神話論、怪物論、生物学……などへと縦横無尽に広がっていく。この猥雑な豊饒さは、ちょっとほかでは見られない。325ページを3時間ほどで読んでしまった。「シン・ゴジラ 私はこう読む」(日経ビジネス・編 kindleで324円)と併せてお勧めします。

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ユリイカ 2016年12月臨時増刊号 総特集◎『シン・ゴジラ』とはなにか ムック – 2016/11/25
『シン・ゴジラ』とはなにか。
40人が、その問いかけに対峙する。
■キャスト・スタッフインタビュー
塚本晋也/高橋一生/竹谷隆之
■エッセイ
原一男/辻真先/高橋洋/小中千昭/飛浩隆/白倉伸一郎
■詩
川口晴美
■インタビュー
佐倉綾音/古田一紀
■論考
大塚英志/田中純/切通理作/福嶋亮大/斎藤環
関曠野/猪俣賢司/橋爪紳也/小林淳/福田貴成
池田純一/木村建哉/石田美紀/小泉悠/辻田真佐憲
倉谷滋/仲野徹/江川隆男/大橋完太郎/西川アサキ
稲葉振一郎/伊藤剛/円堂都司昭/西田藍/中尾麻伊香
谷口功一/林田新/串田純一
40人が、その問いかけに対峙する。
■キャスト・スタッフインタビュー
塚本晋也/高橋一生/竹谷隆之
■エッセイ
原一男/辻真先/高橋洋/小中千昭/飛浩隆/白倉伸一郎
■詩
川口晴美
■インタビュー
佐倉綾音/古田一紀
■論考
大塚英志/田中純/切通理作/福嶋亮大/斎藤環
関曠野/猪俣賢司/橋爪紳也/小林淳/福田貴成
池田純一/木村建哉/石田美紀/小泉悠/辻田真佐憲
倉谷滋/仲野徹/江川隆男/大橋完太郎/西川アサキ
稲葉振一郎/伊藤剛/円堂都司昭/西田藍/中尾麻伊香
谷口功一/林田新/串田純一
- 本の長さ325ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2016/11/25
- ISBN-104791703189
- ISBN-13978-4791703180
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登録情報
- 出版社 : 青土社 (2016/11/25)
- 発売日 : 2016/11/25
- 言語 : 日本語
- ムック : 325ページ
- ISBN-10 : 4791703189
- ISBN-13 : 978-4791703180
- Amazon 売れ筋ランキング: - 108,684位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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科学史研究者。東京大学大学院総合文化研究科修了、博士(学術)。
東京大学UTCPリサーチ・アシスタント(2008−2010)、日本学術振興会特別研究員(2010−2015)、立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員(2015−2018)、マックス・プランク科学史研究所ポストドクトラルフェロー(2015)、コロンビア大学ウェザーヘッド東アジア研究所客員研究員(2016−2017)、長崎大学原爆後障害医療研究所助教(2018-2021)などを経て、現在、広島大学大学院人間社会科学研究科准教授(2021-)。
ドキュメンタリー映画『よみがえる京大サイクロトロン』で第50回科学技術映像祭ポピュラーサイエンス部門優秀賞受賞(2009)。博士論文「放射能の探求から原子力の解放まで:戦前日本のポピュラーサイエンス」で第10回日本科学史学会学術奨励賞受賞(2016)。
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トップレビュー
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2018年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年11月28日に日本でレビュー済み
興行としての評価が定まり、批評も落ち着いてから刊行される書籍としての意義を充分に感じた。
塚本晋也さん高橋一生さんへのインタビューでは、読者が映画を観たことを前提に裏まで明かしてくれる。
台本に書かれていること、庵野監督から伝えられた意図、ある感想を抱いた観客たちへの「苦言」
論考も先に出ている評からの引用やそれについての批評もあり、まさに「シン・ゴジラ評の総決算」といった体。
ただ、30人以上いる評者の多くが作品全体について大きく語るので重複する記述もやはり出てくる。
「初代ゴジラとの比較」「3.11の想起」「"現実対虚構"とは」「東京に残るゴジラ」への考察はあまり幅もないので飽きる。
個人的には関曠野氏の全体評で多くのことが胸にストンと落ちた。
特にカヨコ論は、あの荒唐無稽さが果たした役割について感じたモヤモヤを綺麗に言語化してくれた。
独特の専門切り口から論考する方のはそれぞれ1つのことを深く掘り下げてあり読み応えがある。
ロシア軍事研究者、音楽批評家、動物比較形態学者。田中純氏による神話からの怪物論もおもしろい。
本書では数少ない女性の石田美紀氏による「女性はなぜ尾頭ヒロミに熱狂するのか考」の「尾頭と安田の配置変化」は白眉。
巻頭の塚本晋也さんインタビューにある「観る人の鏡になっている」の言葉に編集部の意図を感じた。
多くの論考からピースを拾い集め「シン・ゴジラに映る自分」を形作るには最良の書。
最後に。
公開日の近い『君の名は。』への言及も多くネタバレもあるので、これから観ようとしている方はご注意を。
塚本晋也さん高橋一生さんへのインタビューでは、読者が映画を観たことを前提に裏まで明かしてくれる。
台本に書かれていること、庵野監督から伝えられた意図、ある感想を抱いた観客たちへの「苦言」
論考も先に出ている評からの引用やそれについての批評もあり、まさに「シン・ゴジラ評の総決算」といった体。
ただ、30人以上いる評者の多くが作品全体について大きく語るので重複する記述もやはり出てくる。
「初代ゴジラとの比較」「3.11の想起」「"現実対虚構"とは」「東京に残るゴジラ」への考察はあまり幅もないので飽きる。
個人的には関曠野氏の全体評で多くのことが胸にストンと落ちた。
特にカヨコ論は、あの荒唐無稽さが果たした役割について感じたモヤモヤを綺麗に言語化してくれた。
独特の専門切り口から論考する方のはそれぞれ1つのことを深く掘り下げてあり読み応えがある。
ロシア軍事研究者、音楽批評家、動物比較形態学者。田中純氏による神話からの怪物論もおもしろい。
本書では数少ない女性の石田美紀氏による「女性はなぜ尾頭ヒロミに熱狂するのか考」の「尾頭と安田の配置変化」は白眉。
巻頭の塚本晋也さんインタビューにある「観る人の鏡になっている」の言葉に編集部の意図を感じた。
多くの論考からピースを拾い集め「シン・ゴジラに映る自分」を形作るには最良の書。
最後に。
公開日の近い『君の名は。』への言及も多くネタバレもあるので、これから観ようとしている方はご注意を。
2016年12月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
興味深い内容が多くて読み応えがありました。購入して本当によかったです。
2017年9月27日に日本でレビュー済み
2段組で325ページに及ぶ厚さに、40の評論。
出演者のインタビューに始まり、評論家から生物学者に
いたる多彩な内容。全部読むとお腹いっぱい。
つまみ読みするだけでも1800円の価値はある。
これだけの人が何か言いたくなるとは、
ゴジラという題材のみならず、やはり「映画」として
それだけのインパクトがあったということなのだろう。
出演者のインタビューに始まり、評論家から生物学者に
いたる多彩な内容。全部読むとお腹いっぱい。
つまみ読みするだけでも1800円の価値はある。
これだけの人が何か言いたくなるとは、
ゴジラという題材のみならず、やはり「映画」として
それだけのインパクトがあったということなのだろう。
2017年1月16日に日本でレビュー済み
関廣野氏の批評がまさかここに。
氏の論文が一番まとを得ている。必読です。
氏の論文が一番まとを得ている。必読です。