ほとんど最近は読んでないこの雑誌だけど、テーマが「Google」ということで読んでみた。Googleという企業に賛否両論はあろうが、こういう思想雑誌で取り上げられることからしても、現代社会におけるその存在の大きさを再確認した。
日頃、Googleの提供するウェブサービスやアンドロイド端末の使い方に関する本や雑誌、ウェブサイトの記事を目にしない日はないぐらいだし、私自身も毎日、Googleのサービスを使わない日もない。インターネット=Googleに近い状態になっているが、その存在の思想的な意味、位置づけなんて気にもしてなかった。
この本の中で誰かが書いていたが、Googleの登場は、PC、インターネットの登場に続くインパクトのある出来事だったのだろう。現在のウェブの隆盛は、Googleがもたらしたと言っても過言ではない。そういったGoogleの思想を解読することは、現在そして今後の情報社会を理解するにも役に立つと思う。
ただ、ほぼ、この1冊がGoogleに関する論評で占められているが内容も、またその難易度も千差万別。現代思想の基本的な素養を持たない私にとっては、すべてを理解することもできず、ストレスがたまった。
比較的、理解できたのは、西垣通氏の「オープン情報社会の裏表」やM・パスキネッリの「「フリー・カルチャー」イデオロギーとサボタージュの文法」、和田伸一郎氏の「Googleと情報横断性」。
パスキネッリの論文は、ローレンス・レッシグのクリエイティブ・コモンへの批判的言及が参考になるし、和田氏のは、ハッカー文化とGoogleのつながりから国家とインターネットとの関係に至る記述が非常に興味深かった。

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現代思想2011年1月号 特集=Googleの思想 ムック – 2010/12/27
Googleの思想
- 本の長さ229ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2010/12/27
- ISBN-104791712218
- ISBN-13978-4791712212
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登録情報
- 出版社 : 青土社 (2010/12/27)
- 発売日 : 2010/12/27
- 言語 : 日本語
- ムック : 229ページ
- ISBN-10 : 4791712218
- ISBN-13 : 978-4791712212
- Amazon 売れ筋ランキング: - 970,895位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2011年1月28日に日本でレビュー済み
「グーグルの思想」を特集したが、時期が適切であったのか、日本的な情報断絶が見える。グーグルは本誌が発売される直前に、アメリカの科学雑誌Science v.330 (Dec.17, 2010)にJohn Bohannon. Google Opens Books to New Cultural Studiesという記事で、Google Bookがスキャンした1億5千万冊のデータを解析するソフトを無料公開した。収録されているのは1800年以降の英語とドイツ語文献であるが、これの言語学的解析を経て、様々な文化現象を再現しようとする試みで、システムの開発者たちはculturomicsと呼んで、開発情報公表サイトも公開している。その成果を踏まえてJean-Baptiste Michel, et al. Quantitative Analysis of Culture Using Millions of Digitized Books, 176 (2011);331 Scienceが先週公表された。これは実に面白いディジタル人文学の産物である。
評者もグーグルへの偏見を捨てきれずに、グーグルを使っているが、本誌掲載の論考で、グーグルの立場を正確に描いているのは、和田伸一郎の「Googleと情報横断性」のみではないか、と感じる。グーグルの、民主主義に反する専制などが云われてきたが、グーグルはやっとその本来の社会哲学を実行段階に移したと見るべき根拠を和田は、ハッカー思想と資本主義を対峙させることで見事に描き出している。安易にハイデガーの技術論を批判するのではなく、グーグルという<情報>産業が<知識>産業の一翼でもあり、その多様性を情報レヴェルから精確に認識するスタンスが、グーグルを批判するさいの大きな試金石である。
情報は、最近マクスウェルの悪魔を検証した中央大+東大の研究チームの成果もあり、近視眼的に思想対象にすることは慎まねばなるまい。特集としては、ちょっと時期が外れた観は否めない。タイミングは実に怖い、不運だが、それを恐れては編集はできない。悲惨なのは執筆者の問題意識が、金太郎飴状態で、これは戦後日本に<民主主義>の精確な受容がなされていない延長で、批判精神の欠如を再演しているのかもしれない。
評者もグーグルへの偏見を捨てきれずに、グーグルを使っているが、本誌掲載の論考で、グーグルの立場を正確に描いているのは、和田伸一郎の「Googleと情報横断性」のみではないか、と感じる。グーグルの、民主主義に反する専制などが云われてきたが、グーグルはやっとその本来の社会哲学を実行段階に移したと見るべき根拠を和田は、ハッカー思想と資本主義を対峙させることで見事に描き出している。安易にハイデガーの技術論を批判するのではなく、グーグルという<情報>産業が<知識>産業の一翼でもあり、その多様性を情報レヴェルから精確に認識するスタンスが、グーグルを批判するさいの大きな試金石である。
情報は、最近マクスウェルの悪魔を検証した中央大+東大の研究チームの成果もあり、近視眼的に思想対象にすることは慎まねばなるまい。特集としては、ちょっと時期が外れた観は否めない。タイミングは実に怖い、不運だが、それを恐れては編集はできない。悲惨なのは執筆者の問題意識が、金太郎飴状態で、これは戦後日本に<民主主義>の精確な受容がなされていない延長で、批判精神の欠如を再演しているのかもしれない。
2011年2月15日に日本でレビュー済み
現代思想もここまで来たかという感じがしました。
googleを思想として捉えるためには、
IBM
Microsoft
Sun Microsystems
Oracle
などのアメリカの企業が、ソフトウェアという道具を武器に、
市場を制覇しようと企てるという文脈で、googleも類似している点を、
もっと明確に示すべきだと思う。
高い評価をつけたのは、題材として貴重だということによる。
批判の対象として、これだけのものを揃えられるのはNHK以外にはここにしかないかもしれない。
googleを思想として捉えるためには、
IBM
Microsoft
Sun Microsystems
Oracle
などのアメリカの企業が、ソフトウェアという道具を武器に、
市場を制覇しようと企てるという文脈で、googleも類似している点を、
もっと明確に示すべきだと思う。
高い評価をつけたのは、題材として貴重だということによる。
批判の対象として、これだけのものを揃えられるのはNHK以外にはここにしかないかもしれない。