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暴力の人類史 上 単行本 – 2015/1/28
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「わたしが読んだなかでもっとも重要な本の一冊。それも「今年の」ではなく「永遠の一冊」だ。」
--ビル・ゲイツ--
人類は地球上から暴力を根絶し、平和に向かうことができるのか?
人間の攻撃性を生み出す内なる「悪魔」と、暴力を回避する内なる「天使」の正体とは――。
先史時代から現代にいたるまでの人類の歴史を通観しながら、神経生物学などの多様なアプローチで、暴力をめぐる人間の本性を精緻に分析。
『言語を生みだす本能』『心の仕組み』『人間の本性を考える』などで知られる心理学の世界的権威が、
これまでの知見を総動員し、壮大なスケールで大胆な仮説を提示する、未来の希望の書! !
ニューヨーク・タイムズ ベストセラー! !
--ビル・ゲイツ--
人類は地球上から暴力を根絶し、平和に向かうことができるのか?
人間の攻撃性を生み出す内なる「悪魔」と、暴力を回避する内なる「天使」の正体とは――。
先史時代から現代にいたるまでの人類の歴史を通観しながら、神経生物学などの多様なアプローチで、暴力をめぐる人間の本性を精緻に分析。
『言語を生みだす本能』『心の仕組み』『人間の本性を考える』などで知られる心理学の世界的権威が、
これまでの知見を総動員し、壮大なスケールで大胆な仮説を提示する、未来の希望の書! !
ニューヨーク・タイムズ ベストセラー! !
- 本の長さ700ページ
- 言語日本語
- 出版社青土社
- 発売日2015/1/28
- 寸法14 x 3.9 x 19.6 cm
- ISBN-104791768469
- ISBN-13978-4791768462
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登録情報
- 出版社 : 青土社 (2015/1/28)
- 発売日 : 2015/1/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 700ページ
- ISBN-10 : 4791768469
- ISBN-13 : 978-4791768462
- 寸法 : 14 x 3.9 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 33,249位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2022年1月3日に日本でレビュー済み
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一貫してデータ分析の結果に基づいて、考察していることが強い説得力を生んでいると思う。
2022年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
領土戦争、宗教戦争、人種争い、経済戦争、身近に起きている略奪、穀物紛争、其の外の多くの奪い合いや争い殺しあいが今も起きています。そんな実態を教えてくれます。
2015年3月7日に日本でレビュー済み
アフリカでの内戦、過激派組織によるテロ、未成年者による猟奇的殺人。そんなニュースに日々接していると、現在のこの世界はなんと残酷で、なんとひどい暴力に満ち溢れているのかと思う。しかし、本書の著者スティーブン・ピンカーによると、じつは暴力は歴史的に減少している。しかも、ただ減少しているというのではない。数千年、数百年、数十年というどの時間尺度で見ても減少しているし、また、戦争から体罰に至るまで、さまざまな形態の暴力が減少しているのである。「信じられないような話だが」と断ったうえで、ピンカーは冒頭でこう述べる。「長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれないのだ」(上巻11頁)。
スティーブン・ピンカーは、心理学や言語学において業績のある、世界的に著名な研究者である。また、その文才もよく知られるところで、『言語を生み出す本能』や『人間の本性を考える』(いずれもNHKブックス)などのヒット作を生み出している。本書は、そんな才人が「暴力の歴史」というテーマに挑んだ大著である。なお、2011年刊行の原書は800頁を超え、今回の邦訳書は上下巻あわせてなんと1400頁ある。それだけの大著であるから、以下では議論の細部は割愛して、議論の大枠だけを紹介することにしたい。
[本書の主題]
さて、本書のおもな目標はふたつある。ひとつは、すでに述べたように、暴力が歴史的に減少しているという事実を明らかにすること。またもうひとつは、どういった暴力が、いつ、どのように、なぜ減少したのかを明らかにすることである。そこで、それらの点を明らかにするべく、ピンカーは次のように議論を進めていく。
[本書の構成]
ピンカーはまず、暴力の歴史的な減少を「6つの動向(trend)」にわけて例証する。これが本書の前半部で、第2章から第7章に相当する。続いてピンカーは、暴力の減少と関連する人間の本性(nature)ないし心理的傾向に目を向ける。具体的には、わたしたちに宿る「5つの内なる悪魔」(第8章)と「4つの善なる天使」(第9章)がそこでの考察対象である。そして最後に、それまでの議論を前提としながら、暴力の減少を促した「5つの歴史的な力」を炙り出していく(第10章)。これが、本書の議論の最も大きな枠組みである。では、最初の「6つの動向」を追ってみよう。
[6つの動向]
暴力の減少における6つの動向を論じた第2章から第7章までは、本書のいわば「歴史編」である。この歴史編でピンカーは、おもに統計データと物語を用いながら、その動向をひとつひとつ跡づけていく。数千年というスケールから数十年というスケールまで、ピンカーのいう6つの動向は、簡略化すれば以下のようになる。
(1) 平和化のプロセス。紀元前5000年から数千年単位で起きたプロセスで、狩猟採集社会から農耕社会へ、統治機構(いわゆるリヴァイアサン)のない社会から統治機構のある社会への変化をいう。このプロセスにより、集団ないし敵対者どうしの襲撃や抗争が減少し、暴力死を遂げる人の割合はおよそ5分の1に減った。(第2章)
(2) 文明化のプロセス。中世後半から20世紀にかけて生じたプロセスで、おもに中央集権国家の誕生と通商の発達に起因する。国家は、騎士どうしの縄張り争いを抑止し、また通商は、人びとを奪い合い(ゼロ・サム)の関係から両者両得(プラス・サム)の関係へと変化させた。このプロセスにより、殺人の発生率は10分の1ないし50分の1ほどに減っている。(第3章)
(3) 人道主義革命。年代的には17〜18世紀、理性の時代、啓蒙主義の時代に相当する。この時代になって初めて、迷信による殺人、拷問、奴隷制などを廃止しようとする運動が広まった。そして、その広がりに貢献したもののひとつが、印刷物の増加と識字能力の向上である。人びとは物を読み、他人の視点を取得することで、共感の輪を拡大させていった。(第4章)
(4) 長い平和。第二次世界大戦後から現在までの動向のこと。この間、大国間の戦争が例を見ないほど長く回避されている。(第5章)
(5) 新しい平和。冷戦終結後の動向で、昨今のニュースから抱いてしまう印象とは反対に、3つのタイプの組織的暴力(内戦、ジェノサイド、テロリズム)がいずれも減少している。(第6章)
(6) 権利革命。世界人権宣言(1948年)以降に、おもにアイデアと人の拡散をとおして促進された動向のこと。特定の人種、女性、子ども、同性愛者、そして動物に対する暴力が減少し、それらの権利を擁護する運動が活発化している。(第7章)
というのが、ピンカーのいう6つの動向である。個々の細かい議論は省略するが、それでもこれで、どういった形の暴力が、いつ、どのように減少してきたかはおおよそ明らかだろう。では次の議論に移ろう。
[5つの内なる悪魔と4つの善なる天使]
暴力減少の動向を論じた前半部が「歴史編」であるならば、人間の本性や心理的傾向について述べた当該箇所は「心理編」である。ピンカーによれば、わたしたち人間の本性は、悪魔(暴力的)か天使(平和的)かのどちらかであるわけではない。むしろ、「暴力」が「減少」してきたというその事実からして、わたしたちは悪魔的な面も天使的な面も持っているといえる。すなわち、「人間の本性は、私たちを暴力へと促す動機をもちあわせているが、適切な環境さえ整っていれば、私たちを平和へと促す動機ももちあわせている」(下巻195頁)。
ピンカーが指摘する、わたしたちに宿る「5つの内なる悪魔」とは、(A) 捕食、(B) ドミナンス、(C) 報復、(D) サディズム、(E) イデオロギーである。他方、「4つの善なる天使」とは、(a) 共感、(b) 自己制御、(c) 道徳感覚、(d) 理性である。詳細はここでも割愛するが、とくに(a)から(d)の性質に関しては、フランス・ドゥ・ヴァールのいう共感、ロイ・バウマイスターによる自己制御の研究、アラン・フィスクが掲げる道徳モデル、そしてピーター・シンガーのいう「理性のエスカレーター」などと関連ないし対比させながら、いずれも興味深い議論が繰り広げられている。
前後の議論との関連でいえば、暴力の減少というのは、善なる天使が内なる悪魔を抑えこんできた過程として捉えることができる。しかしそれならば、歴史的に見て、いったい何が天使の力を強めてきたのだろう。すなわち、暴力の減少を引き起こした外生的な要因とは何だったのか。議論はいよいよ最終章、「5つの歴史的な力」の話へと向かう。
[5つの歴史的な力]
暴力はなぜ減少してきたのか。ピンカーは、その5つの外生的要因、とりわけ「[6つの動向]すべてに通底する縦糸」(下巻537頁)を挙げることによって、本書の議論を締めくくる。これまでの議論を下敷きとして、また、「平和主義者のジレンマ」というフレームを新たに設定しながら、ピンカーは次の5つの要因を導出している。
(i) リヴァイアサン(統治機構、中央集権国家)
(ii) 通商
(iii) 女性化
(iv) 共感の輪の拡大
(v) 理性のエスカレーター
なお(iii)については、いくぶん唐突な感じがしないでもないが、「政治による直接的な女性への権限付与、男らしい名誉の文化の衰退、女性自身の意思による結婚の促進、女児が無事に生まれられる権利、自身の繁殖に関する裁量権の保持など、さまざまなかたちでの女性化が、暴力を減少させる力となってきた」(下巻565頁)、とピンカーは見ている。
というわけで、以上が本書の議論の大枠である。ここでは個々のトピックの紹介を省略してきたが、しかし本当のことを言えば、本書の魅力はそうした個々のトピックにあるのかもしれない。狩猟採集社会ではどれほど殺人が発生していたのか、かつてのヨーロッパではどんなひどい拷問が行われていたのか、また、共感の限界は何か、などなど。そんな点については、ぜひ本書を実際に読んで堪能してほしいと思う。
博覧強記で鳴るピンカーが書いた本であるから、おそらく読者にとっても、すべての論点を正確にたどることは非常にむずかしいだろう。しかしそれでも、何とかして本書を最後まで読み終えれば、自分がいままさに、かつてない平和な時代に生きていることを実感させられる。そして、その実感をさらに強めてくれる、最後の2頁の文章は感動的だ。最後の段落だけ引用しておこう。
「だが、この惑星が重力の不変の法則にしたがって回りつづけてきた一方で、その種は苦しみの数を下げる方法を見つけてもきた。そして人類のますます多くの割合が、平和に生きて、自然な原因で死ねるようにもなってきた。私たちの人生にどれほどの苦難があろうとも、そしてこの世界にどれほどの問題が残っていようとも、暴力の減少は一つの達成であり、私たちはこれをありがたく味わうとともに、それを可能にした文明化と啓蒙の力をあらためて大切に思うべきだろう。」(下巻579頁)
先に述べたように、原書はすでに2011年に刊行されている。この大著ゆえに邦訳は困難かと考えていたのは、おそらくわたしだけではないだろう。だから何よりもまず、この待望の邦訳の刊行に、惜しみない拍手をおくりたいと思う。
スティーブン・ピンカーは、心理学や言語学において業績のある、世界的に著名な研究者である。また、その文才もよく知られるところで、『言語を生み出す本能』や『人間の本性を考える』(いずれもNHKブックス)などのヒット作を生み出している。本書は、そんな才人が「暴力の歴史」というテーマに挑んだ大著である。なお、2011年刊行の原書は800頁を超え、今回の邦訳書は上下巻あわせてなんと1400頁ある。それだけの大著であるから、以下では議論の細部は割愛して、議論の大枠だけを紹介することにしたい。
[本書の主題]
さて、本書のおもな目標はふたつある。ひとつは、すでに述べたように、暴力が歴史的に減少しているという事実を明らかにすること。またもうひとつは、どういった暴力が、いつ、どのように、なぜ減少したのかを明らかにすることである。そこで、それらの点を明らかにするべく、ピンカーは次のように議論を進めていく。
[本書の構成]
ピンカーはまず、暴力の歴史的な減少を「6つの動向(trend)」にわけて例証する。これが本書の前半部で、第2章から第7章に相当する。続いてピンカーは、暴力の減少と関連する人間の本性(nature)ないし心理的傾向に目を向ける。具体的には、わたしたちに宿る「5つの内なる悪魔」(第8章)と「4つの善なる天使」(第9章)がそこでの考察対象である。そして最後に、それまでの議論を前提としながら、暴力の減少を促した「5つの歴史的な力」を炙り出していく(第10章)。これが、本書の議論の最も大きな枠組みである。では、最初の「6つの動向」を追ってみよう。
[6つの動向]
暴力の減少における6つの動向を論じた第2章から第7章までは、本書のいわば「歴史編」である。この歴史編でピンカーは、おもに統計データと物語を用いながら、その動向をひとつひとつ跡づけていく。数千年というスケールから数十年というスケールまで、ピンカーのいう6つの動向は、簡略化すれば以下のようになる。
(1) 平和化のプロセス。紀元前5000年から数千年単位で起きたプロセスで、狩猟採集社会から農耕社会へ、統治機構(いわゆるリヴァイアサン)のない社会から統治機構のある社会への変化をいう。このプロセスにより、集団ないし敵対者どうしの襲撃や抗争が減少し、暴力死を遂げる人の割合はおよそ5分の1に減った。(第2章)
(2) 文明化のプロセス。中世後半から20世紀にかけて生じたプロセスで、おもに中央集権国家の誕生と通商の発達に起因する。国家は、騎士どうしの縄張り争いを抑止し、また通商は、人びとを奪い合い(ゼロ・サム)の関係から両者両得(プラス・サム)の関係へと変化させた。このプロセスにより、殺人の発生率は10分の1ないし50分の1ほどに減っている。(第3章)
(3) 人道主義革命。年代的には17〜18世紀、理性の時代、啓蒙主義の時代に相当する。この時代になって初めて、迷信による殺人、拷問、奴隷制などを廃止しようとする運動が広まった。そして、その広がりに貢献したもののひとつが、印刷物の増加と識字能力の向上である。人びとは物を読み、他人の視点を取得することで、共感の輪を拡大させていった。(第4章)
(4) 長い平和。第二次世界大戦後から現在までの動向のこと。この間、大国間の戦争が例を見ないほど長く回避されている。(第5章)
(5) 新しい平和。冷戦終結後の動向で、昨今のニュースから抱いてしまう印象とは反対に、3つのタイプの組織的暴力(内戦、ジェノサイド、テロリズム)がいずれも減少している。(第6章)
(6) 権利革命。世界人権宣言(1948年)以降に、おもにアイデアと人の拡散をとおして促進された動向のこと。特定の人種、女性、子ども、同性愛者、そして動物に対する暴力が減少し、それらの権利を擁護する運動が活発化している。(第7章)
というのが、ピンカーのいう6つの動向である。個々の細かい議論は省略するが、それでもこれで、どういった形の暴力が、いつ、どのように減少してきたかはおおよそ明らかだろう。では次の議論に移ろう。
[5つの内なる悪魔と4つの善なる天使]
暴力減少の動向を論じた前半部が「歴史編」であるならば、人間の本性や心理的傾向について述べた当該箇所は「心理編」である。ピンカーによれば、わたしたち人間の本性は、悪魔(暴力的)か天使(平和的)かのどちらかであるわけではない。むしろ、「暴力」が「減少」してきたというその事実からして、わたしたちは悪魔的な面も天使的な面も持っているといえる。すなわち、「人間の本性は、私たちを暴力へと促す動機をもちあわせているが、適切な環境さえ整っていれば、私たちを平和へと促す動機ももちあわせている」(下巻195頁)。
ピンカーが指摘する、わたしたちに宿る「5つの内なる悪魔」とは、(A) 捕食、(B) ドミナンス、(C) 報復、(D) サディズム、(E) イデオロギーである。他方、「4つの善なる天使」とは、(a) 共感、(b) 自己制御、(c) 道徳感覚、(d) 理性である。詳細はここでも割愛するが、とくに(a)から(d)の性質に関しては、フランス・ドゥ・ヴァールのいう共感、ロイ・バウマイスターによる自己制御の研究、アラン・フィスクが掲げる道徳モデル、そしてピーター・シンガーのいう「理性のエスカレーター」などと関連ないし対比させながら、いずれも興味深い議論が繰り広げられている。
前後の議論との関連でいえば、暴力の減少というのは、善なる天使が内なる悪魔を抑えこんできた過程として捉えることができる。しかしそれならば、歴史的に見て、いったい何が天使の力を強めてきたのだろう。すなわち、暴力の減少を引き起こした外生的な要因とは何だったのか。議論はいよいよ最終章、「5つの歴史的な力」の話へと向かう。
[5つの歴史的な力]
暴力はなぜ減少してきたのか。ピンカーは、その5つの外生的要因、とりわけ「[6つの動向]すべてに通底する縦糸」(下巻537頁)を挙げることによって、本書の議論を締めくくる。これまでの議論を下敷きとして、また、「平和主義者のジレンマ」というフレームを新たに設定しながら、ピンカーは次の5つの要因を導出している。
(i) リヴァイアサン(統治機構、中央集権国家)
(ii) 通商
(iii) 女性化
(iv) 共感の輪の拡大
(v) 理性のエスカレーター
なお(iii)については、いくぶん唐突な感じがしないでもないが、「政治による直接的な女性への権限付与、男らしい名誉の文化の衰退、女性自身の意思による結婚の促進、女児が無事に生まれられる権利、自身の繁殖に関する裁量権の保持など、さまざまなかたちでの女性化が、暴力を減少させる力となってきた」(下巻565頁)、とピンカーは見ている。
というわけで、以上が本書の議論の大枠である。ここでは個々のトピックの紹介を省略してきたが、しかし本当のことを言えば、本書の魅力はそうした個々のトピックにあるのかもしれない。狩猟採集社会ではどれほど殺人が発生していたのか、かつてのヨーロッパではどんなひどい拷問が行われていたのか、また、共感の限界は何か、などなど。そんな点については、ぜひ本書を実際に読んで堪能してほしいと思う。
博覧強記で鳴るピンカーが書いた本であるから、おそらく読者にとっても、すべての論点を正確にたどることは非常にむずかしいだろう。しかしそれでも、何とかして本書を最後まで読み終えれば、自分がいままさに、かつてない平和な時代に生きていることを実感させられる。そして、その実感をさらに強めてくれる、最後の2頁の文章は感動的だ。最後の段落だけ引用しておこう。
「だが、この惑星が重力の不変の法則にしたがって回りつづけてきた一方で、その種は苦しみの数を下げる方法を見つけてもきた。そして人類のますます多くの割合が、平和に生きて、自然な原因で死ねるようにもなってきた。私たちの人生にどれほどの苦難があろうとも、そしてこの世界にどれほどの問題が残っていようとも、暴力の減少は一つの達成であり、私たちはこれをありがたく味わうとともに、それを可能にした文明化と啓蒙の力をあらためて大切に思うべきだろう。」(下巻579頁)
先に述べたように、原書はすでに2011年に刊行されている。この大著ゆえに邦訳は困難かと考えていたのは、おそらくわたしだけではないだろう。だから何よりもまず、この待望の邦訳の刊行に、惜しみない拍手をおくりたいと思う。
2021年2月14日に日本でレビュー済み
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上巻だけで652ページ!
とてつもなく長い。その中で小さな喧嘩から戦争まで、人類の歴史の中で考察されている。
下巻が楽しみ。長いけど。
しかし、誤字脱字が多すぎるのはなぜだろう?
とてつもなく長い。その中で小さな喧嘩から戦争まで、人類の歴史の中で考察されている。
下巻が楽しみ。長いけど。
しかし、誤字脱字が多すぎるのはなぜだろう?
2016年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
長い本だが翻訳もこなれていて上下巻ともにぐいぐい読めて面白かった。
本書は人間の善性が悪性を打ち負かしてきた歴史を振り返り、その原因を考える本である。
善性が悪性を打ち負かした結果、過去から比べて、戦争や殺人などの直接的な暴力から差別や偏見といったあらゆる種類の暴力が減少している事が本書の肝である。
1章が本書の導入と大まかな流れを説明し、2章から7章までで過去の歴史を見、8,9章が心理学等をおもに使いその要素を考察する。10章は総論など。
作中では善性が「善なる天使」、悪性が「内なる悪魔」と比喩されている。
いかにも 『人間の本性を考える』 等の本を書いてきたピンカーらしい本だ。
本書はそれから一歩先に進んだ話である。
歴史については、まあ当たり前だが欧米などの歴史が中心となっているが、
この手の歴史や文化を論じた本にありがちなキリスト教や欧米人の過去にやってきた暴力行為に大甘になる傲慢さを感じることもなく、真剣に批判している。
視点は西洋中心主義的な思考からは解放されいて公平なものの見方をしているように感じたので信頼性はあるだろう。
日本でも最近の殺人や暴力事件などを取り上げてマスコミが少年犯罪が増えて凶悪化しているといった事が言われたりするが、
統計を見れば1900年代前半から暴力事件が減ってきていることは一目瞭然なので、おおまかには日本にも当てはまる話であると思う。
ピンカーは暴力の減少に焦点を当てて話を進めていくが、
本書の中にはいかにして国家などが生じ、政治機構や法がいかにして進歩し、啓蒙により理性や寛容の善性が進歩してきたかなど、
前半は歴史書、人類史として示唆に富んでいて非常におもしろい。暴力の人類史というのはなかなかうまい邦題だと思う。
後半も心理学や行動経済学、意思決定理論等の発展が著しく議論も盛んな分野から幅広く話の種をもってくるので面白い。
分野が広範なため、私が以前読んだ本がかなり出てきて既知の事も多かったのだが、それにプラスして新たな話や疑問を提示してくれた。
個人的におもしろかったのはスティーブン・レヴィットの 『ヤバい経済学』 で紹介されていた話。
「アメリカで中絶が合法になった結果10年後に治安が良くなった」という話に、そんなうまい話があるわけないといくつかの反論を寄せる部分や、
現在の若者は数十年前のもっとも急進派よりも急進的であるといった事や
第二次大戦中のアメリカの世論調査では、戦争に勝った後は日本人はこの世から絶滅させるべきであるとの回答が10~15%にも上ったこと、
20世紀のジェノサイドが減少したのはは共産主義が衰退したことが一番の原因であるという事などの小話などもおもしろい。
また、道徳などの善性が悪性を打ち負かしてきたものの、その偏狭な道徳心こそが転じて悪性になりうるという皮肉で面白い人間の本性を考えさせられた。
個々のトピックも前提知識などなくても読めるようになっているし、読み物として面白いのでだれでも気軽に読めるよくできた教養書だと思う。
また本書には 『ブラック・スワン』 の、ナシーブ・タレブから、核戦争などのカタストロフィが一度でも起これば無意味になる脆弱な理論である、という旨の反論があったりしたらしい。これもまさにタレブらしい反論だ。
(amazonは他サイトへのリンクが禁止なので興味があれば検索してほしい、まとめてくれている方がいらっしゃる。)
確かに本書の原書が出版されたのはイスラム国の台頭する前の2009年であり、現在のピンカーはそういったことにどういう意見なのか興味深い所ではある。
(たいして調べてないのでもう何かコメントしてるのかもしれないが)
※追記
次回作の 『21世紀の啓蒙』 にてタレブには詳しく反論している。
本書は人間の善性が悪性を打ち負かしてきた歴史を振り返り、その原因を考える本である。
善性が悪性を打ち負かした結果、過去から比べて、戦争や殺人などの直接的な暴力から差別や偏見といったあらゆる種類の暴力が減少している事が本書の肝である。
1章が本書の導入と大まかな流れを説明し、2章から7章までで過去の歴史を見、8,9章が心理学等をおもに使いその要素を考察する。10章は総論など。
作中では善性が「善なる天使」、悪性が「内なる悪魔」と比喩されている。
いかにも 『人間の本性を考える』 等の本を書いてきたピンカーらしい本だ。
本書はそれから一歩先に進んだ話である。
歴史については、まあ当たり前だが欧米などの歴史が中心となっているが、
この手の歴史や文化を論じた本にありがちなキリスト教や欧米人の過去にやってきた暴力行為に大甘になる傲慢さを感じることもなく、真剣に批判している。
視点は西洋中心主義的な思考からは解放されいて公平なものの見方をしているように感じたので信頼性はあるだろう。
日本でも最近の殺人や暴力事件などを取り上げてマスコミが少年犯罪が増えて凶悪化しているといった事が言われたりするが、
統計を見れば1900年代前半から暴力事件が減ってきていることは一目瞭然なので、おおまかには日本にも当てはまる話であると思う。
ピンカーは暴力の減少に焦点を当てて話を進めていくが、
本書の中にはいかにして国家などが生じ、政治機構や法がいかにして進歩し、啓蒙により理性や寛容の善性が進歩してきたかなど、
前半は歴史書、人類史として示唆に富んでいて非常におもしろい。暴力の人類史というのはなかなかうまい邦題だと思う。
後半も心理学や行動経済学、意思決定理論等の発展が著しく議論も盛んな分野から幅広く話の種をもってくるので面白い。
分野が広範なため、私が以前読んだ本がかなり出てきて既知の事も多かったのだが、それにプラスして新たな話や疑問を提示してくれた。
個人的におもしろかったのはスティーブン・レヴィットの 『ヤバい経済学』 で紹介されていた話。
「アメリカで中絶が合法になった結果10年後に治安が良くなった」という話に、そんなうまい話があるわけないといくつかの反論を寄せる部分や、
現在の若者は数十年前のもっとも急進派よりも急進的であるといった事や
第二次大戦中のアメリカの世論調査では、戦争に勝った後は日本人はこの世から絶滅させるべきであるとの回答が10~15%にも上ったこと、
20世紀のジェノサイドが減少したのはは共産主義が衰退したことが一番の原因であるという事などの小話などもおもしろい。
また、道徳などの善性が悪性を打ち負かしてきたものの、その偏狭な道徳心こそが転じて悪性になりうるという皮肉で面白い人間の本性を考えさせられた。
個々のトピックも前提知識などなくても読めるようになっているし、読み物として面白いのでだれでも気軽に読めるよくできた教養書だと思う。
また本書には 『ブラック・スワン』 の、ナシーブ・タレブから、核戦争などのカタストロフィが一度でも起これば無意味になる脆弱な理論である、という旨の反論があったりしたらしい。これもまさにタレブらしい反論だ。
(amazonは他サイトへのリンクが禁止なので興味があれば検索してほしい、まとめてくれている方がいらっしゃる。)
確かに本書の原書が出版されたのはイスラム国の台頭する前の2009年であり、現在のピンカーはそういったことにどういう意見なのか興味深い所ではある。
(たいして調べてないのでもう何かコメントしてるのかもしれないが)
※追記
次回作の 『21世紀の啓蒙』 にてタレブには詳しく反論している。
2016年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカの殺人件数はヨーロッパより高い。
その内訳は、白人はヨーロッパと変わらないが、黒人は十倍に及ぶ。
ルイジアナ州に至っては、パプアニューギニアと同じ割合で殺人が起きている。
それは、黒人が政府によらず、「ストリートの掟」によって復讐を行うからである。
172ページ。
もし親父が死んで、あの男が捕まらなかったとしたら、俺はやつの家族に仕返ししてやる。
ここでは当然のことさ。それがここの掟なんだよ。
そいつをやっつけられなかったら、家族をやっつける。みんなそう教えられて大人になったんだ。
みんな、リスペクトされたい、男になりたいんだよ。
政府のない民族は15%くらいが殺人で命を落とすが、
政府のある国家は5%も殺人で命を落とさないという。
また、イギリスの殺人件数は十二世紀から二十世紀にかけて百分の一に減少したという。
西暦六百年から千八百年までに君臨したヨーロッパの君主のおよそ八人に一人は在位期間中に殺害された。
殺人者の大部分は貴族であり、その三分の一が王座を奪ったという。
これは面白いデータだな。
ぼくのプラトンへの反論である、悪徳より商業の方が利益が大きいという主張は書いてある。
サン・ピエール、モンテスキュー、アダム・スミス、ジョージ・ワシントン、イマヌエル・カントといった人々は、
戦争より商業の方が重要であることを認識し普及した旨が書いてある。
カント「永遠平和のために」
引用する。「カントはこう書いている。「商業の精神は戦争とは両立できないものであり、
遅かれ早かれすべての民族はこの精神に支配されるようになる。……諸国は道徳性という動機によらずとも、
この力によって高貴な平和を促進せざるを得なくなるのである」」。
第三章の礼儀作法の話は笑いに走ってるだろ。第五章と第六章には感銘を受けるところがなく冗長に思われた。
その内訳は、白人はヨーロッパと変わらないが、黒人は十倍に及ぶ。
ルイジアナ州に至っては、パプアニューギニアと同じ割合で殺人が起きている。
それは、黒人が政府によらず、「ストリートの掟」によって復讐を行うからである。
172ページ。
もし親父が死んで、あの男が捕まらなかったとしたら、俺はやつの家族に仕返ししてやる。
ここでは当然のことさ。それがここの掟なんだよ。
そいつをやっつけられなかったら、家族をやっつける。みんなそう教えられて大人になったんだ。
みんな、リスペクトされたい、男になりたいんだよ。
政府のない民族は15%くらいが殺人で命を落とすが、
政府のある国家は5%も殺人で命を落とさないという。
また、イギリスの殺人件数は十二世紀から二十世紀にかけて百分の一に減少したという。
西暦六百年から千八百年までに君臨したヨーロッパの君主のおよそ八人に一人は在位期間中に殺害された。
殺人者の大部分は貴族であり、その三分の一が王座を奪ったという。
これは面白いデータだな。
ぼくのプラトンへの反論である、悪徳より商業の方が利益が大きいという主張は書いてある。
サン・ピエール、モンテスキュー、アダム・スミス、ジョージ・ワシントン、イマヌエル・カントといった人々は、
戦争より商業の方が重要であることを認識し普及した旨が書いてある。
カント「永遠平和のために」
引用する。「カントはこう書いている。「商業の精神は戦争とは両立できないものであり、
遅かれ早かれすべての民族はこの精神に支配されるようになる。……諸国は道徳性という動機によらずとも、
この力によって高貴な平和を促進せざるを得なくなるのである」」。
第三章の礼儀作法の話は笑いに走ってるだろ。第五章と第六章には感銘を受けるところがなく冗長に思われた。
2023年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私はグロいのが苦手なので話がグロすぎて読んでてきつくなる。。(なら最初から読むなと言われそうだが)
2020年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いい状態でした