最近、世界における日本の立ち位置や行く末がよく分からなくなってきて、子供のころから金科玉条のごとく教わってきた、いわゆる平和憲法になにか不具合があったのではないかと考え、書籍を渉猟するうちに出会った1冊。
三島由紀夫氏の事件は知っていましたが、本書を読むまでは過激思想の末の暴発くらいに考えていたのだから、その薄っぺらな思い込みを恥ずかしく思います。
氏の思いは遺された文章から初めて理解しましたが、このままでは日本が世界のなかで存在が困難になるのではないかという切実な訴えは、実際に現在、近隣諸国から受けている数々の仕打ちをみたときに、氏の慧眼に心底驚かされます。
本書は、氏と森田必勝氏が死をもって訴えたにもかかわらず国民の反応は鈍く、日本はなにもしない国、日本国民は与しやすしと近隣諸国に思われたという顛末を描いています。
あの昭和45年11月25日以後、靖国参拝、拉致被害、教科書、慰安婦、尖閣などなど、自衛隊も日本人も恐れずにたらずとわが国は見くびられたのではないか、と。
わが国はこのままでいいのか、もしかしたら我々はなにか大事なものを忘れてきてしまったのではないかと不安のうちに首を傾げている人は多いのではないかと思います。
三島氏はあの時代に大きな危機感を抱いており、それゆえに蹶起に及んだあまりにも純真な思いと、そうせざるを得なかった時代をはじめて垣間見たような気がしました。
かつて三島由紀夫という文学者がわが国の行く末を真剣に考え、そしてあのような悲劇があったことを考えるとき、あの事件は今を生きるわれわれにも多くのことを示唆しているように思うのです。
本書はそれを教え、考えさせてくれた力作だと思いました。著者の村田春樹氏に感謝します。

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三島由紀夫が生きた時代 楯の会と森田必勝 単行本(ソフトカバー) – 2015/10/20
村田春樹
(著)
三島由紀夫生誕90年、没後45年!
志士達が生きた時代と後世に遺したもの
当時「楯の会」最年少会員であった村田春樹が
会員時代の貴重な写真を交えながら語る
三島由紀夫、そして楯の会と森田必勝の秘められた真実。
〈目次〉
序文 西村幸祐
プロローグ
第一章 ナンパ系全学連が楯の会へ
学生運動激化の年に/左右の学生運動が盛り上がった早稲田大学/森田必勝、早稲田大学で大活躍/三島由紀夫という巨人/楯の会の結成/ナンパ系全学連/楯の会と自衛隊の接近/治安出動の意味/蹶起への助走/森田必勝との出会い/三島由紀夫と入会面接
第二章 楯の会第五期生 富士教導団普通科教導連隊第四中隊/だれよりも楽しんでいた森田必勝/訓練の日々/楯の会へ入会/一度は退会を申し出る/「尚史会」に入会/リフレッシャー訓練/蹶起の五ヶ月前の肉声/俺は右翼なのかな/着々と進む蹶起への道 第三章 昭和四十五年十一月二十五日
市ヶ谷会館にて/何も知らされていなかった/森田必勝自決の意味/遺された者へのメッセージ/楯の会、解散
第四章 取り残された者たち
右翼兼自堕落学生/裁判はじまる/ロックと女子大生と吉田松陰が同居/裁判終わる/阿部勉氏との出会い/福田俊作氏に受けた影響/自己変革の旅/一周忌/福田氏との旅/就職試験
第五章 三島・森田蹶起と日本の運命
森田必勝という人/行動の人/辞世の意味/自衛隊を信じ裏切られた/あの罵声は予想していた/楯の会出身の自衛官/魂の叫びは四十五年の時を超えて/自衛隊とクーデター/政体を守るのか国体を守るのか エピローグ その後の楯の会
経団連襲撃事件/瑤子夫人とのこと
資料 「檄」
このままで良いのだろうか。末席とはいえ楯の会の会員だった自分にやるべき事はないのか、三島先生の蹶起の時の会員に対する命令書に「三島はともかく森田の精神を後世に向かって恢弘せよ」とある。もとより楯の会随一のヘタレ、怯懦 (きょうだ) 弱卒(じゃくそつ) の私などに、森田さんの精神を恢弘する 事などできはしない。しかし後世に「こういう素晴らしい青年がいたんだ」と語り遺したい。一人でも多くの方に森田さんの存在を知っていただきたいと思うようになってきた。 (本書「まえがき」より)
志士達が生きた時代と後世に遺したもの
当時「楯の会」最年少会員であった村田春樹が
会員時代の貴重な写真を交えながら語る
三島由紀夫、そして楯の会と森田必勝の秘められた真実。
〈目次〉
序文 西村幸祐
プロローグ
第一章 ナンパ系全学連が楯の会へ
学生運動激化の年に/左右の学生運動が盛り上がった早稲田大学/森田必勝、早稲田大学で大活躍/三島由紀夫という巨人/楯の会の結成/ナンパ系全学連/楯の会と自衛隊の接近/治安出動の意味/蹶起への助走/森田必勝との出会い/三島由紀夫と入会面接
第二章 楯の会第五期生 富士教導団普通科教導連隊第四中隊/だれよりも楽しんでいた森田必勝/訓練の日々/楯の会へ入会/一度は退会を申し出る/「尚史会」に入会/リフレッシャー訓練/蹶起の五ヶ月前の肉声/俺は右翼なのかな/着々と進む蹶起への道 第三章 昭和四十五年十一月二十五日
市ヶ谷会館にて/何も知らされていなかった/森田必勝自決の意味/遺された者へのメッセージ/楯の会、解散
第四章 取り残された者たち
右翼兼自堕落学生/裁判はじまる/ロックと女子大生と吉田松陰が同居/裁判終わる/阿部勉氏との出会い/福田俊作氏に受けた影響/自己変革の旅/一周忌/福田氏との旅/就職試験
第五章 三島・森田蹶起と日本の運命
森田必勝という人/行動の人/辞世の意味/自衛隊を信じ裏切られた/あの罵声は予想していた/楯の会出身の自衛官/魂の叫びは四十五年の時を超えて/自衛隊とクーデター/政体を守るのか国体を守るのか エピローグ その後の楯の会
経団連襲撃事件/瑤子夫人とのこと
資料 「檄」
このままで良いのだろうか。末席とはいえ楯の会の会員だった自分にやるべき事はないのか、三島先生の蹶起の時の会員に対する命令書に「三島はともかく森田の精神を後世に向かって恢弘せよ」とある。もとより楯の会随一のヘタレ、怯懦 (きょうだ) 弱卒(じゃくそつ) の私などに、森田さんの精神を恢弘する 事などできはしない。しかし後世に「こういう素晴らしい青年がいたんだ」と語り遺したい。一人でも多くの方に森田さんの存在を知っていただきたいと思うようになってきた。 (本書「まえがき」より)
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社青林堂
- 発売日2015/10/20
- ISBN-104792605326
- ISBN-13978-4792605322
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商品の説明
著者について
村田春樹(むらたはるき)
昭和26年生まれ。早稲田大学卒業。三島由紀夫率いる楯の会会員でもあった(在籍当時最年少)。全国で密かに決議されている、自治基本条例阻止のため講演会活動を行う。ネットを中心に、村田春樹の追っかけも存在するほど、ファンが多い。自治基本条例に反対する市民の会会長、外国人参政権に反対する市民の会東京代表。
昭和26年生まれ。早稲田大学卒業。三島由紀夫率いる楯の会会員でもあった(在籍当時最年少)。全国で密かに決議されている、自治基本条例阻止のため講演会活動を行う。ネットを中心に、村田春樹の追っかけも存在するほど、ファンが多い。自治基本条例に反対する市民の会会長、外国人参政権に反対する市民の会東京代表。
登録情報
- 出版社 : 青林堂 (2015/10/20)
- 発売日 : 2015/10/20
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 312ページ
- ISBN-10 : 4792605326
- ISBN-13 : 978-4792605322
- Amazon 売れ筋ランキング: - 650,946位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 33,091位歴史・地理 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
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2016年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先ほど読了し終えたところです。
印象として、大変読みやすい文章で、あの三島義挙の何たるかを明確に記した良書だと思います。
それは元楯の会の会員(第5期、最後の会員)であった著者が、当時の自分を飾ることなく、ありのままに描き、率直な思いを綴っているからだと思います。
その上で三島先生、森田義士をはじめとした5名の楯の会会員があの義挙によって、戦後日本に何を訴えようとしたかを様々な角度から記しています。
三島由紀夫と楯の会のことを知らない戦後世代に、一人でも多く読んでいただきたい一冊です。
これはずっと本棚に置き、時折読み返したいと思います。
印象として、大変読みやすい文章で、あの三島義挙の何たるかを明確に記した良書だと思います。
それは元楯の会の会員(第5期、最後の会員)であった著者が、当時の自分を飾ることなく、ありのままに描き、率直な思いを綴っているからだと思います。
その上で三島先生、森田義士をはじめとした5名の楯の会会員があの義挙によって、戦後日本に何を訴えようとしたかを様々な角度から記しています。
三島由紀夫と楯の会のことを知らない戦後世代に、一人でも多く読んでいただきたい一冊です。
これはずっと本棚に置き、時折読み返したいと思います。
2022年4月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の当時の記憶と日記、写真などを織り交ぜ、詳細に事実を記し、あえて自分はナンパでヘタレな楯の会最年少ということを打ち出し、森田必勝さん達とは違った目線で会に所属し、正直に記されている本書は、あまたある三島本の中でもかなり特異な位置づけではないでしょうか。100名近く居た楯の会の最も浅い期生の一人としてどうかかわって、どう感じて、そして今までどう生きてきて、そして今自分なりに総括する。この方ならではのエピソードや初めて見る写真など、大変勉強になりました。
2017年4月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三島由紀夫と生きた時代を知る村田春樹さんの渾身さくだと思います
2016年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
青春時代に三島由紀夫、森田必勝と共に生きた村田春樹さんの心の叫びを感じた。学生時代チャラ男だった自分にとって衝撃を与えた凄い本だ。
2015年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
数年前に三島由紀夫に興味を持って本を数冊目読んだ。でも所詮は第三者の目から見た内容で、なんかモヤモヤしたものであった。この本はまさに内側の人の本として説得力がある。そして森田必勝の話を中心に本は進んでいく。この事件の本質を、三島由紀夫がやりたかったこと、憂いていたことに納得のいく本である。
2015年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三島由紀夫先生の狂おしいぐらいの周囲への配慮と森田必勝さんの純粋な気持ちを感じとることができました。
2020年3月28日に日本でレビュー済み
森田必勝さんのこと、若者が国の為に命を捧げたことを知りませんでした。
村田春樹先生が大切に守ってきたものがこの本に書かれています。
エレファントカシマシの「昔の侍」という曲の歌詞が思い浮かびました。
「昔の侍は
自ら命を断つことで
自らを生かす道を
自ら知ってたという※
戦う術を失う
我らは いたずらにその身体
秋風にさらしている
秋風にさらしている
冬支度済まぬ 寒き町と
夢遠き我が姿
ああ 重ねて消えた
我が姿は重ねて消えた
ああ 紅き空 登り来る朝日よ
ああ さよならさ
我らが青き日々よ
さよならさ
夢遠き我が姿
ああ 重ねて消えた
我が姿は重ねて消えた
たなびく雲 沈み行く夕日よ
ああ さよならさ
滅びし日本の姿よ
さよならさ
我らが青き夢よ
さよならさ
我らが青き日々よ
(※くり返し)
さらば遠き我らが日々よ
さらば友よ」
村田春樹先生が大切に守ってきたものがこの本に書かれています。
エレファントカシマシの「昔の侍」という曲の歌詞が思い浮かびました。
「昔の侍は
自ら命を断つことで
自らを生かす道を
自ら知ってたという※
戦う術を失う
我らは いたずらにその身体
秋風にさらしている
秋風にさらしている
冬支度済まぬ 寒き町と
夢遠き我が姿
ああ 重ねて消えた
我が姿は重ねて消えた
ああ 紅き空 登り来る朝日よ
ああ さよならさ
我らが青き日々よ
さよならさ
夢遠き我が姿
ああ 重ねて消えた
我が姿は重ねて消えた
たなびく雲 沈み行く夕日よ
ああ さよならさ
滅びし日本の姿よ
さよならさ
我らが青き夢よ
さよならさ
我らが青き日々よ
(※くり返し)
さらば遠き我らが日々よ
さらば友よ」