「憔悴」の最後の方で中也は「僕は美の、核心を知っているとおもうのですが」と書いている。
では、中也の云う”美の核心"とはなんだろう。その一つに、この詩集には未掲載の中也の詩に「盲目の秋」というものがある。彼はこう書いている
「ごく自然に、だが自然に愛せるということは、そんなにたびたびあることでなく、
そしてこのことを知ることが、そう誰にでも許されてはいないのだ」
これは一つの"美"に対する"核心=答え"だと私は想う。中也は実は言葉巧みなどではなく、表現の難しい"核心"に戸惑い続けた詩人かも知れない。
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