水曜どうでしょうのOPで着ぐるみきてクルクル回ったり、顔を真っ黄色にしてお月様になったりしているおっさんにこんなバックグラウンドがあったとは、、。
ウィキペディアに書かれた鈴井さんの経歴は、20代でバーを経営して失敗したり、自ら劇団を結成して札幌で活躍した程度の記述しかないのですが、
高校時代から二浪した浪人生活、大学進学から休学、バー経営、数々の劇団を立ち上げてはポシャリ、深夜番組に遅刻などなどものすごい波乱万丈(世間的な成功とはいえないが)な青春記になっています。
人は苦労や失敗に直面した過去が多くあるものです。そしてひとはそれらを「昔のあれがあったから今のおれがある」とその失敗やダメだった自分を物語化して肯定していく生き物なのではないでしょうか。しかし、そのような失敗やダメさの中には、どうしたって今現在の自分の強さへと還元できないような、「ただ失敗したものそのもの」が大量に雑然と記憶に並べられているものではないでしょうか。今の自分へと良いように還元されるのをまっているような。自分にとってそのような「未だ何にも還元されない失敗」は時として苦しみや諦念を引き起こしますが、他人のそれを眺めるのはなにか愛らしさを感じるものです。
水曜どうでしょうファンは、あのおちゃらけたミスターの裏を知ることが出来るようで、とても良い本でした。
個人的に面白かったのが、鈴井さんの女性遍歴です。この本は鈴井さんダメ人間性にスポットが当てられており、付き合っていた女性には「おれはいつもダメで迷惑ばかりかけていた」という程度の記述になっています。しかし、浪人時代から彼女が途切れることが無かったというように、浪人時代から現事務所社長の奥さんとの出会いまで、女性とのやり取りでもう一冊書けるんだろうなぁというくらいの記述が申し訳程度に挿入されています。ぶっちゃけプレイボーイでしょうし、演劇や人生に関する記述と同じかそれ以上に女性関係に関して、非常に濃厚な時間を過ごしていたんだろうなぁと想像されます。つい似非フロイト的な解釈をしてしまいますが、鈴井さんの母親の愛情への飢餓感は、二浪したことや大学休学、借金などの「ダメさ」から「与えられる立場にない」という抑圧がはたらいている。しかしながら鈴井さんはそれを演劇への情熱へと昇華させており、それによって「母性本能」を掻き立てられる女性たちに飼われる/見守られるといった関係へともつれていたのではないかと想像されます。そしてそうした鈴井さんが変わったのは、半分はそうした関係から始まり、半分は「ダメさのケツを叩く」という役割を果たした今の奥さんによるものなんじゃないかなぁなんて考えるのが楽しいです。

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ダメ人間 (MF文庫 ダ・ヴィンチ す 4-1) 文庫 – 2012/2/23
鈴井貴之
(著)
伝説的人気番組『水曜どうでしょう』(HTB)の“ミスター”こと鈴井貴之の、初のエッセイ的私小説が、ついに文庫化!
アーティストであり映画監督であり文筆家でもある鈴井貴之が、ダメダメ時代の過去を初告白。北海道を拠点とした奇跡のクリエイティブ集団クリエイティブオフィスキューのできるまでが明かされる。あの大泉洋もTEAM NACSも、ここから生まれたのだ。その原点は、情けなくて、切なくて、苦しくて、やがてホロリと心に沁みる。ダメな人生、自己嫌悪の連続の果てに、きっと僕たちは力を得ることができる。
アーティストであり映画監督であり文筆家でもある鈴井貴之が、ダメダメ時代の過去を初告白。北海道を拠点とした奇跡のクリエイティブ集団クリエイティブオフィスキューのできるまでが明かされる。あの大泉洋もTEAM NACSも、ここから生まれたのだ。その原点は、情けなくて、切なくて、苦しくて、やがてホロリと心に沁みる。ダメな人生、自己嫌悪の連続の果てに、きっと僕たちは力を得ることができる。
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社メディアファクトリー
- 発売日2012/2/23
- ISBN-104840143986
- ISBN-13978-4840143981
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登録情報
- 出版社 : メディアファクトリー (2012/2/23)
- 発売日 : 2012/2/23
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 223ページ
- ISBN-10 : 4840143986
- ISBN-13 : 978-4840143981
- Amazon 売れ筋ランキング: - 610,753位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 18,035位エッセー・随筆 (本)
- - 135,301位文庫
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミスターが好きなら買っていいんじゃないですか?
それ以上でもそれ以下でもありません。
それ以上でもそれ以下でもありません。
2016年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
素晴らしい
いまだこれだけ自分のダメな部分をさらけ出した本は知らない
鈴井さんのことがより身近に感じられる一冊
いまだこれだけ自分のダメな部分をさらけ出した本は知らない
鈴井さんのことがより身近に感じられる一冊
2015年8月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ファンは読んで間違い無し。愛すべき男、ミスターこと鈴井貴之がますます好きになりました。
2013年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても速くてよかったです。内容も良かった!またお願いしたいと思います!
2013年6月4日に日本でレビュー済み
「水曜どうでしょう」でのミスターは、
飄々として、つかみどころがない雰囲気が漂っていると同時に、
タレントである大泉さんを、どこか冷静に見守っている雰囲気だと思っていました。
だから、「ダメ人間」というのも
本のタイトルにするため謙遜でつけたタイトルなんだろうな、と。
でも、そうじゃなかった。
こ、これは・・・と思ってしまうほどのエピソードの数々。
事務所社長・タレント・著述業等、今は上手くいっている人だと思うと、
過去のダメエピソードとして読めますが、
もし当時のミスターが友達だったとしたら、”この人どうなってしまうんだ!?”と思うでしょうね。
それでも、数々のピンチを乗り越える時、
沢山の人がミスターを助けてくれる。
これは、ミスターの人柄ならではなのではないでしょうか。
ある人は、なんだか好きだと思い、
ある人は、男気があると思い、
ある人は、何だか面白そうだから一緒に企画をやってみよう、と思う。
これこそがダメエピソードを学びに変えて、
次に繋げるミスターの力になっていたんだろうと思います。
”ダメエピソード”という言葉を使いましたが、
世間的に見てダメでも、この期間はずっとずっと心のなかで自己嫌悪と葛藤しながら学んでいたようです。
失敗することが許されにくい世の中になった今、
模索しながら進んでいったミスターの青春を、羨ましいと感じる人も多いかもしれません。
その後の水曜どうでしょうメンバーとの出会いは、
必然だったのだと思います。
こちらの本「ダメ人間」では会社設立までの鈴井貴之の半生です。
次の本「ダメダメ人間」は会社設立後のエピソードのようなので、続けて読みます。
飄々として、つかみどころがない雰囲気が漂っていると同時に、
タレントである大泉さんを、どこか冷静に見守っている雰囲気だと思っていました。
だから、「ダメ人間」というのも
本のタイトルにするため謙遜でつけたタイトルなんだろうな、と。
でも、そうじゃなかった。
こ、これは・・・と思ってしまうほどのエピソードの数々。
事務所社長・タレント・著述業等、今は上手くいっている人だと思うと、
過去のダメエピソードとして読めますが、
もし当時のミスターが友達だったとしたら、”この人どうなってしまうんだ!?”と思うでしょうね。
それでも、数々のピンチを乗り越える時、
沢山の人がミスターを助けてくれる。
これは、ミスターの人柄ならではなのではないでしょうか。
ある人は、なんだか好きだと思い、
ある人は、男気があると思い、
ある人は、何だか面白そうだから一緒に企画をやってみよう、と思う。
これこそがダメエピソードを学びに変えて、
次に繋げるミスターの力になっていたんだろうと思います。
”ダメエピソード”という言葉を使いましたが、
世間的に見てダメでも、この期間はずっとずっと心のなかで自己嫌悪と葛藤しながら学んでいたようです。
失敗することが許されにくい世の中になった今、
模索しながら進んでいったミスターの青春を、羨ましいと感じる人も多いかもしれません。
その後の水曜どうでしょうメンバーとの出会いは、
必然だったのだと思います。
こちらの本「ダメ人間」では会社設立までの鈴井貴之の半生です。
次の本「ダメダメ人間」は会社設立後のエピソードのようなので、続けて読みます。
2012年2月27日に日本でレビュー済み
「青春とはこうあってほしい」 読後感はそんな感じである。
確かに,「こうありたくないなぁ」という自己嫌悪が本書のテーマであるけれど,ダメな話が続くというよりも,次へのステップとなっていかないもどかしさが全体的に表されていて,非常に読みごたえがある。
うがった見方をすれば,「成功した人のダメだったころの話を延々聞かされてもねぇ…」という感覚で本書を手にする人もいるだろうが,その心配は杞憂だったりするのだ。
「もう一度,同じ経験をするのはやっぱり御免だけれど,その経験があって現在がある」と思える人が読むのがいいかも。
確かに,「こうありたくないなぁ」という自己嫌悪が本書のテーマであるけれど,ダメな話が続くというよりも,次へのステップとなっていかないもどかしさが全体的に表されていて,非常に読みごたえがある。
うがった見方をすれば,「成功した人のダメだったころの話を延々聞かされてもねぇ…」という感覚で本書を手にする人もいるだろうが,その心配は杞憂だったりするのだ。
「もう一度,同じ経験をするのはやっぱり御免だけれど,その経験があって現在がある」と思える人が読むのがいいかも。
2017年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
水曜どうでしょうファンとしては、いまいちです。
水曜どうでしょうの話は出てこないし、あくまでもミスターの若いころの話が中心なので、個人的には、水曜どうでしょうの話も織り込んでほしかったのが本音です。
水曜どうでしょうの話は出てこないし、あくまでもミスターの若いころの話が中心なので、個人的には、水曜どうでしょうの話も織り込んでほしかったのが本音です。