前著『戦後思想講義』(1996年)から10年間の距離を述べる。
通説を批判し、戦後思想を再評価する。
例えば、天皇の戦争責任に関して、
「戦争責任」などない。
「戦争犯罪」という概念はある。「犯罪」には「時効」がある。
「戦後補償」という概念はある。
歴史上、対戦国に対する戦争責任を取った国はない。
対国内に対する「敗北の責任」はある。
自国民に対する「失敗」の責任はある。
と述べるなど、目から鱗ものであった。
最後に日本人論も山本七平を引いて「日本的思想」を再評価する。
>民主主義とは、総じて最低線にそろえる平等主義を意味する。
>ところが日本の民主主義は、つねに総格上げの民主主義である。
>山本が指摘するように、明治とは「一億総武士化」の時代である。
そして、戦後には「一億総中流化」がある。
>日本社会には、なんとしても下を上へ上へと
>引き上げようとする揚力が働いている、とみなすことができる。
何とも心楽しい結論である。
巻末に付録として「戦後思想60年を飾った思想家たち」
15人を選抜している。
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「戦後思想」まるごと総決算: 世界レベルの思想とはなにか (鷲田小彌太〈人間哲学〉コレクション 1) 単行本 – 2005/3/22
鷲田 小彌太
(著)
戦後60年――日本は政治的にも経済的にも世界史上稀にみる成功を収めた。反面、日本の戦後の成功を無視ないし嘲笑しようとする議論は論外として、この成功がきちんと思想的に論じられることが稀であった。また、その成功とパラレルに、戦後思想が世界の思想に拮抗する、ないしは世界の思想の中心になるような富を生み出した、ということを論じる人は皆無に近い。その思想的富を台無しにしているのは、日本人の無関心さではないか。成功と失敗は表裏の関係にある。もちろん、日本の成功の思想的意味を語ることが身びいきの賛美に終わってはならない。ボーダレス社会となったいま、「国家」「日本」「日本人」「憲法」等を明確に把捉することが重要になってきている。日本の自画像は、時代変化のなかで何度も書き換えられるべきなのだ。戦後日本の思想像をふっくらと、しかし描線鮮やかに書いた決算の書。
- 本の長さ350ページ
- 言語日本語
- 出版社彩流社
- 発売日2005/3/22
- ISBN-104882029413
- ISBN-13978-4882029410
商品の説明
著者について
1942年北海道札幌市生まれ。1966年大阪大学文学部哲学科卒業。1972年大阪大学大学院文学研究科哲学・哲学史専攻博士課程修了。三重短期大学教授を経て、現在、札幌大学教授。哲学・倫理学を担当。評論活動、エッセイ、人生書等の執筆も精力的に行っている。著書多数。
登録情報
- 出版社 : 彩流社 (2005/3/22)
- 発売日 : 2005/3/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 350ページ
- ISBN-10 : 4882029413
- ISBN-13 : 978-4882029410
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,099,131位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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