高校時代に学校図書館で読んだ本。
語り口が軽快かつ現代日本や民主制への批判が痛快で何度も読み返した記憶がある。
文系・理系に厳密に分類分けしない総合的な人材である「ブンジニア」を育成せよという提言は、今思えば、現在における旧国立大学の文系学部改革提唱の先駆けではなかっただろうか(理系は文系を代替出来る場合があるが、その逆は原則有り得ないので)。
水素エネルギーについては、水素を人工的に生成する電力の発生源(原発?火力?それとも他の何か?)について疑問を呈していたのは良かった。
水素エネルギーが持て囃される中、このような根本的な部分で議論されないのは、著しい欠陥と言わざるを得ないのではあるまいか。
結局、著者の主張する政治的解決が単なるプラトンの哲人王だと分かった時は、それまでの面白さがうって変わって、竜頭蛇尾のように感じて、ゲンナリしてしまった。
しかしながら、『為さねばならぬ事』(ハンス=ヘルマン・ホッペ著)のように過去の君主制の方が現在の民主制よりも優れた点があるのをみる時、哲人王は論外ではあるが、君主制や貴族制の要素を加えるような、民主制に制約を加える何らかの仕組みが必要ではないか、と思われるが如何であろうか。
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