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遅刻の誕生: 近代日本における時間意識の形成 単行本 – 2001/8/1

4.6 5つ星のうち4.6 8個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

明治6年の太陽暦採用。定時法に転換した日本の社会の鉄道、工場、学校における時間規律の導入は、いかにして行われ、人々の生活をどのように変えていったのか。現在に至るまでの時間意識の変遷をたどる。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 三元社 (2001/8/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2001/8/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 361ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4883030830
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4883030835
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 8個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
8グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2008年11月19日に日本でレビュー済み
今でこそ時間に正確な日本人ですが、
その時間意識が明治からの近代化で形成されてきたところを
鉄道その他の資料から示しています。

巻頭にある、幕末から明治にかけて日本にやってきた
いわゆる「お助け外国人」が日本人の労働者の
時間にルーズなことに嘆いているのは、現代人には意外なことでしょう。
ふらっと出かけたまま戻ってこない職人、期日通り届かない資材・・・

現代の日本人の時間への厳しさは
明治から猛スピードですすめてきた現代的工業社会への
過剰な適応からきたのではないかと思えてきます。
24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年2月27日に日本でレビュー済み
第1部 定刻志向
 近代日本における鉄道と時間意識
 1920年代における鉄道の時間革命

第2部 時間厳守と効率性
 近世の地域社会における時間
 二つの時刻、三つの労働時間 

第3部 時間の無駄のない生活
 子どもに時間厳守を教える
 家庭領域への規律時間思想の浸透

第4部 新暦と時計の普及
 明治改暦と時間の近代化
 歳時記の時間 

第5部 時間のゆくえ
 農村の時間と空間
 時は金なりのなぞ
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2011年2月11日に日本でレビュー済み
主に近代にスポットを当てた、時間意識やその変遷に関する論考のオムニバス本です。たくさんの研究者の方が別々のテーマで書いているので一貫性が無いのですが、ところどころハッとするような文章があり、なかなか読み応えがありました。

第1章 近代日本における鉄道と時間意識

第2章 1920年代における鉄道の時間革命 自動連結器取替に関連して
   当時のある教授が、「第一次世界大戦前後における異常に増大した輸送の要請にたいして、資本の追加投資が少なく、・・・・当然なされるべき車輌、施設の増加が、不十分にしか行われなかったという条件の下で生まれたものである」「こうした『優秀な』成果は新しい機械や、設備の採用によって達成されたものではなく、国鉄労働者の個々の熟練した技能が集積されたものであり、異常な労働強化の産物である」と書いているのですが、深いですね。この「労働強化」による成功体験は今でも神話として続いているような気がしていまして、戦術があるけど戦略が無いとか、制度設計がダメとか、ど根性主義などとつながっているような気がします。現代においては労働強化じゃ現実を変えられないことを肝に銘じるべきだと思います。

第3章 近世の地域社会における時間

第4章 二つの時刻、三つの労働時間
   明治時代の工場管理の話。時代を経るごとに労務管理マニュアルが厳しくなっていくのがうひゃーという感じ。

第5章 蒲鉾から羊羹へ 科学的管理法導入と日本人の時間規律

第6章 子供に時間厳守を教える 小学校の内と外
   最後の連載漫画、「冒険ダン吉」の内容はショックでしたね。かつてしごきを受けた部活の後輩達が今ではすっかり先輩面で後輩いじめをしているようで。

第7章 家庭領域への規律時間思想の浸透 羽仁もと子を事例として
   「家庭の友」を創刊した羽仁もと子さんの時間管理方法はやりすぎな気がした。。本当の仕事ならわかるが。

第8章 明治改暦と時間の近代化

第9章 歳時記の時間

第10章 明治時代における時計の普及

第11章 農村の時間と空間 時間地理学的考察
   章の内容としてはここが一番面白かった。必読である。時間地理学という研究手法が斬新で、もっとこの荒井良雄さんの本を読んでみたいですね〜。農村と大都市近郊のベッドタウンでの、人々の時間の使い方を比較しているわけですが。農村が思いのほか自由で、夜も活発に活動しているのに対し、ベッドタウンは終電で夜は活動していないし、意外と都会に住んでいる人の方が住空間や時間に制限があるんですよね。「職業の都市化と空間の都市化の双方を同時に体現する例を挙げよ、ということになればそれは間違い無く電車のラッシュアワーということになるだろう。画一的な始業時間、都市への一極集中、その他もろもろが「痛勤」ラッシュとも揶揄される現象を生んでいる」

第12章 「時は金なり」のなぞ
   短い章ですが、こちらも面白かったです。「時は金なり」なぜ時間は貨幣なのか?「遅刻の誕生、に貢献した種々の社会的、技術的要因のほかに、どうしても時間と貨幣の絡み合いを忘れてはならない」ヴェーバーは「時は金なりを資本主義を支える勤労のエートスを表すものと紹介した」「ひとが衣食住確保のために働くのは当然であろう・・・フランクリンの構図では、富を蓄えてもそれを享受する暇が残らない。ただひたすらに倹約し、働き続けることだけが勧められている。・・・労働がもはや手段から目的に変身している。」「時間も消費されるものになり、倹約、出費の対象になる」「お金は繁殖する。・・・信用があれば時間を稼げる。時間を稼げばその分利息がつき、お金が増える。利子の繁殖こそ時は金なりの錬金術を実現させる」「時は金なり、は人を急ぎたてる言葉である。「ひま」の価値を否定し、恒常的な勤勉さを表九し、ゆとりを奪う言葉である。それに頷くあらゆるひとのどこかに、不安と焦燥がうごめく。いくら時間があっても余裕がない・・・」「利子にも実は内的側面がある。・・・利子の前提は負債であり、その想像の核に潜むのは「借り」の心理である」
   
時間を考えるための50の文献
30人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年2月16日に日本でレビュー済み
 複数の著者が日本近世以降の時間意識の変遷、特に
時間意識の強化の歴史を跡づける論考集。鉄道による
均一的な時間の存在の意識付け、能率コンサルタント
による労働の合理化の旗振り等、多数の著者がそれぞ
れの専門について論じるもので、題名からも新書的な
内容を想像したが、論文集と言った方が良い。充実し
た論考集で、このような問題を俯瞰するには良い書だ
と思う。

 学者なので、たまに現代左翼的言辞による権力が云々
といった一方的な断罪が見られ、鬱陶しいが、論考の
質には直接影響しないので目をつぶるべきか。特に
第二章にそれが見られる。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート