この著者は、歴史家として新史料を発掘したわけではないだろう。しかし、すでに公になっている史料のどこにポイントを置き、どういう文脈で見るかにより、歴史はまったく異なる相貌を現す。そしてこの本は、その意味でちゃんと仕事をしたと思う。
突っ込みどころはたくさんあるだろう。「属国日本史」といううたい文句からすれば余計な、「歴史はきれい事じゃないよ」と言うためだけじゃないかと思える話も目に付く。他の著作でも多くの事実誤認や、成り立ちにくい過剰な妄想的裏読みや、旧式の世界認識を指摘する声がよく聞かれる。
しかし、この人はテロリストなのだ。たぶんこの著者は、洗練されたスキのない議論など求めていない。枠組みを転換させるためなら、ホラ話も含めて、あらゆる手段を用いる。要は、その枠組み転換を支持するかどうか、ではないか?
少なくとも私は、今後この著者の提示した明治維新像を無視した歴史叙述を、無批判に読むことは出来ないだろう。

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属国日本史 幕末編 単行本 – 2004/9/8
副島 隆彦
(著)
言論界の「異才」副島隆彦が、幕末の「作られた」ヒーロー伝説の「虚」を暴き、真 実を追究した劇画シリーズの第1弾。幕末ファン、司馬遼太郎ファンからの反論必至。
- 本の長さ275ページ
- 言語日本語
- 出版社早月堂書房
- 発売日2004/9/8
- ISBN-104907838220
- ISBN-13978-4907838225
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上位レビュー、対象国: 日本
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2014年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マンガなので読みやすかった。ロシナンテ青木の劇画はリアルでよかった。
2004年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
司馬遼太郎の歴史観に問題があることは理解できるが、ロスチャイルドなどの陰謀説はどうかな・・・。
また、この時代から属国陰謀というものも・・・。今は間違いなく属国ですが。
著者は佐賀と関係があるようだが、佐賀についての記述が少ないのが残念である。
また、長州と幕末の関わりについて、もう少し突っ込んでも良かったのではないだろうか。
漫画なんで目くじら立てて・・・と思うが、挿絵のように維新の志士達の愛人を半裸状態で載せる意味がもう一つ分からない。女性が見たらセクハラだと怒るのでは・・・。
また、この時代から属国陰謀というものも・・・。今は間違いなく属国ですが。
著者は佐賀と関係があるようだが、佐賀についての記述が少ないのが残念である。
また、長州と幕末の関わりについて、もう少し突っ込んでも良かったのではないだろうか。
漫画なんで目くじら立てて・・・と思うが、挿絵のように維新の志士達の愛人を半裸状態で載せる意味がもう一つ分からない。女性が見たらセクハラだと怒るのでは・・・。
2004年9月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
子供の時、近代日本の歴史について親や先生が誇らしげに語っていたこと。ひとつは戦前アフリカ、アジア(有色人種の国)のなかで数少ない独立国だったこと。もうひとつはアメリカには(惜しくも!)負けたけど日清、日露戦争で勝ったこと。
私も幼心に、昔から日本人というのは特別に勤勉で、純粋に運が良かったからと妙に納得していた。その後、歴史小説などを読んでもその歴史観が補強されることはあっても崩れることはなかった。
が、しかし!!である。視点を変えて、世界の歴史の中の日本、もっていうと先進欧米諸国から見た日本はこんなにちっぽけで騙されやすかったのです。(基本的には現政権も同じ)
世界の中心がイギリスからアメリカに移行する時、日本の近代もそれに流され翻弄されていく。
日本の財閥の正体とは?
明治の元勲ってそんなに偉かったの?
いままで江戸幕府を馬鹿殿みたいに扱っていたのは何故?
本当の愛国者とは・・・。
著者は日本にはじめて属国史観をもちこんだ第一人者で、各分野を今までに無い新鮮な切り口で一刀両断している。
この本で惜しいのはあまりに劇画タッチ過ぎて(!)子どもに読ませるにはちょっと気が引けること。また、繰り返しの部分が多くくどい印象を受けること。
コンテをもっと練って、小林よしのりあたりとタイアップしてたらもっと万人受けしていたと思います。
私も幼心に、昔から日本人というのは特別に勤勉で、純粋に運が良かったからと妙に納得していた。その後、歴史小説などを読んでもその歴史観が補強されることはあっても崩れることはなかった。
が、しかし!!である。視点を変えて、世界の歴史の中の日本、もっていうと先進欧米諸国から見た日本はこんなにちっぽけで騙されやすかったのです。(基本的には現政権も同じ)
世界の中心がイギリスからアメリカに移行する時、日本の近代もそれに流され翻弄されていく。
日本の財閥の正体とは?
明治の元勲ってそんなに偉かったの?
いままで江戸幕府を馬鹿殿みたいに扱っていたのは何故?
本当の愛国者とは・・・。
著者は日本にはじめて属国史観をもちこんだ第一人者で、各分野を今までに無い新鮮な切り口で一刀両断している。
この本で惜しいのはあまりに劇画タッチ過ぎて(!)子どもに読ませるにはちょっと気が引けること。また、繰り返しの部分が多くくどい印象を受けること。
コンテをもっと練って、小林よしのりあたりとタイアップしてたらもっと万人受けしていたと思います。
2004年9月6日に日本でレビュー済み
司馬遼太郎の『龍馬がゆく』に夢中になっていたのはいまから15年前、中学生の時のことだ。
「世界の海援隊をやる」という理想に大きな衝撃を受けた。
広い海を渡り外国を見てみたい。
遠洋航海実習に行くためだけに海上自衛隊を志望するきっかけになった。
高校に進学してからは、交換留学の機会にも恵まれた。
私の海、海外への素朴な憧れは、『龍馬がゆく』なしには語ることができない。
しかし、ただ一つ、釈然としなかったのは、やはり、いったい誰が、どのように、土佐の下級侍にすぎなかった龍馬に「海運会社」を設立するような巨大な資金を提供したのか。
素朴だが、小説を何度読んでも解決しない疑問だ。
龍馬だけではない。
伊藤博文、金子堅太郎などはどうやって欧州留学の資金を得たのか?
伊藤博文には、初代内閣総理大臣でありながら、伝記を読んだことがない。なぜなのか?
都内の某所にある伊藤博文の巨大な銅像は、なぜか周りを木で覆われている。
まるで銅像の存在を隠すかのように・・・。
なぜなのか?
この本は、こうした疑問に、必ずや解決の糸口を与えてくれる。
「世界の海援隊をやる」という理想に大きな衝撃を受けた。
広い海を渡り外国を見てみたい。
遠洋航海実習に行くためだけに海上自衛隊を志望するきっかけになった。
高校に進学してからは、交換留学の機会にも恵まれた。
私の海、海外への素朴な憧れは、『龍馬がゆく』なしには語ることができない。
しかし、ただ一つ、釈然としなかったのは、やはり、いったい誰が、どのように、土佐の下級侍にすぎなかった龍馬に「海運会社」を設立するような巨大な資金を提供したのか。
素朴だが、小説を何度読んでも解決しない疑問だ。
龍馬だけではない。
伊藤博文、金子堅太郎などはどうやって欧州留学の資金を得たのか?
伊藤博文には、初代内閣総理大臣でありながら、伝記を読んだことがない。なぜなのか?
都内の某所にある伊藤博文の巨大な銅像は、なぜか周りを木で覆われている。
まるで銅像の存在を隠すかのように・・・。
なぜなのか?
この本は、こうした疑問に、必ずや解決の糸口を与えてくれる。
2010年8月6日に日本でレビュー済み
せっかく内容はいいところを突いているのに、劇画がごちゃごちゃしており却って分かりにくい。
絵が私自身は個人的に受け入れられない。その上登場人物がごちゃごちゃと乱脈に描かれており落書きのようである。内容な意味のあるものなので同様の内容で文章で副島氏が書きなおしたらどうかと思う。
司馬遼太郎の描いたヒーローはすべて勝てば官軍という価値観から来ているものであり、御雇外国人が黒幕という内容は同意できるがその意味がこのような乱雑な劇画では一読しただけでは伝わってこない。
最後に著者の副島氏が愛人と密会したり風俗に通うというようなフィクションかノンフィクションか分からない意味のない劇画の展開は不快感をとおりこして嫌悪すら感じる。せっかくの本書の内容を台無しにしている。
絵が私自身は個人的に受け入れられない。その上登場人物がごちゃごちゃと乱脈に描かれており落書きのようである。内容な意味のあるものなので同様の内容で文章で副島氏が書きなおしたらどうかと思う。
司馬遼太郎の描いたヒーローはすべて勝てば官軍という価値観から来ているものであり、御雇外国人が黒幕という内容は同意できるがその意味がこのような乱雑な劇画では一読しただけでは伝わってこない。
最後に著者の副島氏が愛人と密会したり風俗に通うというようなフィクションかノンフィクションか分からない意味のない劇画の展開は不快感をとおりこして嫌悪すら感じる。せっかくの本書の内容を台無しにしている。
2006年1月12日に日本でレビュー済み
下半身問題を自認する大器に、気取りを見透かされた若輩者が私である。
日本を黒船で強引に開国させたのはアメリカだが、直後、南北戦争(1861-1865)に見舞われ、
日本属国化作戦の主導権はイギリスに・・・
アヘン戦争(1840年-1842年)でボロ儲けしたスコットランド人アヘン商ジャーディン=マセソン商会(上海)の日本代理人が、
長崎の武器商人ジョン・グラバーであった。資金と武力を持たない者は、勢力とならない。
昔も現在も長州の政治家が本当のワル、坂本龍馬・勝海舟至誠の影にジョン・グラバーの支持、とある。
奇兵隊を支えた長州下関―上海間の密貿易(最新兵器購入による金銀流出)が、幕末のハイパーインフレ(貨幣改悪)を誘引。
偽物の尊王攘夷派(裏で外国勢力とつながって、尊王攘夷を骨抜きにした維新の元勲)による
本物の尊王攘夷派の暗殺(第14代将軍家茂(1866・7・20)、孝明天皇(1866・12・25))を以って、イギリスの属国化が確定。
「人類の全歴史と政治は、実は権力闘争である。これが、マルクス主義政治学の最大の成果である。
権力闘争を中心に世界を理解するという優れた考え以上のものは、まだ発見されていない。」
近代政治学の大原理「権力とは、突き詰めれば暴力である」を説いた著者は、
いずれにしても幕末の属国化は止むを得なかったのだと結んでいる。
日本を黒船で強引に開国させたのはアメリカだが、直後、南北戦争(1861-1865)に見舞われ、
日本属国化作戦の主導権はイギリスに・・・
アヘン戦争(1840年-1842年)でボロ儲けしたスコットランド人アヘン商ジャーディン=マセソン商会(上海)の日本代理人が、
長崎の武器商人ジョン・グラバーであった。資金と武力を持たない者は、勢力とならない。
昔も現在も長州の政治家が本当のワル、坂本龍馬・勝海舟至誠の影にジョン・グラバーの支持、とある。
奇兵隊を支えた長州下関―上海間の密貿易(最新兵器購入による金銀流出)が、幕末のハイパーインフレ(貨幣改悪)を誘引。
偽物の尊王攘夷派(裏で外国勢力とつながって、尊王攘夷を骨抜きにした維新の元勲)による
本物の尊王攘夷派の暗殺(第14代将軍家茂(1866・7・20)、孝明天皇(1866・12・25))を以って、イギリスの属国化が確定。
「人類の全歴史と政治は、実は権力闘争である。これが、マルクス主義政治学の最大の成果である。
権力闘争を中心に世界を理解するという優れた考え以上のものは、まだ発見されていない。」
近代政治学の大原理「権力とは、突き詰めれば暴力である」を説いた著者は、
いずれにしても幕末の属国化は止むを得なかったのだと結んでいる。
2006年5月12日に日本でレビュー済み
本書で描かれた幕末、明治維新論を辿ると、明治維新の常識の不自然なところがストンと落ちる。
今まで漠とした違和感を抱いていた勝海舟や坂本竜馬への思いも、合点がいく。
明治維新とは外奸を引き込んで自分たちの立身出世の種にした野心家たちのフィールドだった。佐幕派に親近感を感じる私としては読んでいてワクワクする読み物だった。
なお、副島本を読んでいていつも違和感を持つのはロックフェラー陰謀説だが、本書を見ているとコロッと行きそうになる。完成度は高い。
ただ、意味不明の裸婦の絵は不要だった。
今まで漠とした違和感を抱いていた勝海舟や坂本竜馬への思いも、合点がいく。
明治維新とは外奸を引き込んで自分たちの立身出世の種にした野心家たちのフィールドだった。佐幕派に親近感を感じる私としては読んでいてワクワクする読み物だった。
なお、副島本を読んでいていつも違和感を持つのはロックフェラー陰謀説だが、本書を見ているとコロッと行きそうになる。完成度は高い。
ただ、意味不明の裸婦の絵は不要だった。