結成当初から"世界進出"を目論み、実際アルファがA&Mレコードとの契約も取り付けていた天才集団YMO。
ファーストアルバムの段階から、アメリカ、イギリスを中心に様々な国で数多くのシングルが発売された。
最終的には世界の33カ国で作品が発売されたというから驚きである。
そんな日本以外で発売された7インチシングル(一部12インチ)やプロモーション盤を集めて収録した極めて異例な編集盤。
メンバーが遺憾の意を表明したほど、アコギなアルファ商法のなかでも、少し目の付け所は面白いと思う。
実際に収録されたプレミア価格が付いたシングル現物を集めようとしたら、軽く数十万円になる筈、それをごく一部ながらでも、CD2枚で聴くことが出来るのは幸せなことなのではとすら思えてくる。
まぁコレクターにすれば
そのレアシングルを手元に置いてこそ、意味を成すのであろうから、まったく見当違いなのだろうが。
もちろん、元の音源は原盤を持っている日本既発売のモノばかりなので、新しいレア音源を求めたりしてはいけない。(唯一アメリカ発売12インチの"タイトゥンアップ、ロングバージョンぐらいか)
逆にラジオオンエア用に各国で、勝手にフェイドアウト、ブツ切りした斬新過ぎる加工処理が、編集とは呼べないほど、大胆で興味深い。
他のレビュアーの方が触れている(初回版にしかついていない)36Pオールカラーブックレットには、その各地で発売されたジャケットが掲載されているので、これをパラパラと眺めながら、音源を聴く楽しみが売りのヴィジュアル&データ(音源)付きの資料CDとしては
十分価値があるのではないかとすら、思えてくるから不思議だ。
またその各国のデザイナーが既発アルバムの写真をズームトリミングしたり、カラー加工したりした7インチのジャケットデザインは見ていて飽きない。
UKなんかはオーソドックス過ぎてつまらないが、イタリアやポルトガルのセンスは秀逸で、数十年経った今でもイカしている。
それに比べて、この編集盤自体のデザインのヒドさには閉口せざるを得ない。
表ジャケットに使用した写真から、レイアウト、ロゴデザイン、すべてが、ブックレットに載っている海外盤シングルデザインとは
比較すら出来ないというのは致命傷である。
せっかく企画自体は興味深かったので、及第点ながら、ジャケットで星マイナス1000。