C62の誕生に始まり、今や伝説となっているNHKが1971年に放送したC62重連の急行ニセコのドキュメンタリー、「土曜スペシャル 蒸気機関車C-62」を再編集して収録、そしてC62 3号機の復活と、シロクニへの愛情がたっぷりである。
すさまじいブラスト音、タブレットの交換シーン、走行中の前補機のC62 2のテンダーからC62 3を撮ったり、さらに空撮や並走撮影を駆使したりと、よくぞここまでやってくれたという感動の嵐が巻き起こる。
現役当時の重連のC62を堪能できるのは、この作品と鉄道ジャーナルDVD「映像詩 幻走/雪の行路」に収録の「雪の行路」、そしてJTBパブリッシング「黒岩保美 蒸気機関車の世界1 北海道編」に収録の「風雪急行」など、わずかしかない。
しかし、もともとは高速の旅客列車用に開発されたC62である。「急カーブと急こう配の山坂はこの長万部で終わり。重連が切り離される。2号機お疲れさま。しばらく休んだ2号機は、再び下り急行ニセコを引いて小樽まで帰る。栄光のつばめは毎日黙々とこの山坂の道だけを往復していることになる。この2号機の姿に人生の悲哀を感じるもよし、またこれこそ男の仕事なのだと考えるもよし。」という、1971年の放送時にあった言葉が心に残る。